まじかるー
概要
『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)にて、2012年7月号(創刊号)から2017年9月号まで連載(全16巻)。
日常がたった1人の魔法少女の乱入によって非日常と化したり、魔法少女に殺害された者も魔法少女と化すという展開から、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』をはじめとするゾンビ映画を下敷きとしていることが窺える。
あらすじ
Season 1【第1部】
児上貴衣はどこにでもいる普通の男子高校生。いつものように登校し、昨日と同じ日常を過ごすはずだった。しかしその日常は、突如現れた魔法少女により、一瞬にして血塗れの非日常へと変わった。
撲殺・爆殺・焼殺…、魔法少女による虐殺の宴。魔法少女に殺された者もまた魔法少女に変化し、新たな犠牲者を求めて生き残った人間を襲う。幼馴染の福本つくねをはじめとする生存者と共に学校から脱出する貴衣だが、既に町は何人もの魔法少女が暴れまわる阿鼻叫喚の地獄と化していた。
理不尽と不条理がまかり通る、魔法少女による暴虐のスプラッター・パニックホラー。
Season 2【第2部】
時は2030年、巨大製薬会社『ヴァレリーベ』代表取締役社長の一人息子・白金忍は、父から母が突然死したことを告げられる。突然の母の死に絶望する忍は、父から母を復活させるために不死の薬品を作ってほしいと「魔法少女の血」を差し出され、母を復活させるためにも不死の薬品を作ることを決意する。
一方、とある場所では不気味なお面を被る謎の人物が、ある少女を創り出していた。その少女の姿は、後の「魔法少女・オブ・ジ・エンド計画」の黒幕となる少年・姫路弥そのものであった。そして、科学者・殿ヶ谷悠二は、魔法少女に関する古代文献を研究していた。
「魔法少女の血」を利用した不死の薬品開発は、全ての謎と終焉に繋がることとなる。
Final Season【最終章】
貴衣とつくねが姫路とパペットマスターによって拉致された直後、意識を失った楓達の前に未来の児上貴衣が姿を現した。彼の力を借り、それぞれ武具を手にした楓達は、殿ヶ谷の開発したタイムマシンで魔法少女襲来が起こった運命の日へと戻る。
そして、魔法少女襲来の大惨事が起きた5月20日、貴衣は未来の自分と対面し、楓達は魔法少女達に襲われる中でそれぞれ過去の自分達を救出し、最後の戦いに挑む…!!
魔女の血族
…大昔、ある人間が悪魔と契りを交わしたことで産まれた子供が不思議な力を持ち、周囲の人々はその少女を“魔女”と呼び気味悪がり、時代(とき)の権力者により魔女は処刑の対象として、魔女狩りが行われ、魔女達は逃亡。魔女と疑わしき者達は迫害、虐殺されていく中、一人の魔女がある男と出会って恋に落ち、二人は結ばれ、子供が産まれるも、その子供も魔女の血が流れて魔女の力が備わり、魔女と人間の子であることから、その二人はその子供を“魔法少女”と呼ぶようになった…。
こうして、魔法少女と人間の間に産まれる子供は必ず女の子、そして魔法少女として産まれ、子孫を繁栄、代々魔女の血族が次の世代へと繁栄していった。ただし同じ血族でも能力の種類はそれぞれ異なり、同じ血が流れる者とはいえ、能力の発生期にも個人差がある。
現在現存している血族の家系は“13”が存在、ことねの血族は第七世代、娘のつくねはその次の第八世代だが、現在第九世代の魔法少女の10子が行方不明になっている。
魔法少女
突如として出現した謎の存在。機械的に「人間の殺戮」を主目的とし、完膚なきまでの攻撃を仕掛けてくる。個体差はあるが基本的に「まじかるー」しか話さず、頭を吹き飛ばされても魔法のステッキさえ無事なら何度でも復活する。逆に言えば、魔法少女本体を攻撃しなくてもステッキを破壊すれば倒すことが可能。ステッキの形状や固有魔法は、魔法少女によって異なる。
魔法少女の魔法により殺害された人間(ただしみきや夜華などの頭部や上半身を失った一部の者達は例外)は黒いドレスを纏った「まじかるゾンビ」となり、オリジナルの魔法少女に似た姿と化して立ち上がり、さらなる犠牲者を発生させる。ただしこちらは魔法は使えず、驚異的な身体能力のみで襲いかかるが、再生能力もないので、頭を吹き飛ばすなどの致命的なダメージを与えれば簡単に倒せる。
また、魔法少女のステッキは人間でも使える模様。
倫太郎の尋問によって、「20年後の未来から来たこと」、その創生に「未来のつくねの体が関わっていること」が明かされた。
・・・その正体は、破壊と殺戮を目的に魔法少女の血を媒介にして生み出された未来兵器。正式名称「亜種魔法少女(オルタナティブ・マジカル)」。
「魔法少女が出現しない世界」では、美羽と殿ヶ谷によって、新たに作られた亜種魔法少女たちは貴衣たちの仲間として動き、それぞれが貴衣たちを守るべくついて回る。
登場した亜種魔法少女についてはこちらで→亜種魔法少女
その他の重要用語
- 魔法少女・オブ・ジ・エンド計画
魔法少女達が動く計画。魔法少女達はこの計画を円滑に進め、「感動のフィナーレを迎える」ために作られた物で、また魔法少女たちは事の真相を話そうとすると「あの人」に殺されてしまうらしい。そしてこの計画は「ゲーム」と認識され、「ハッピーエンドを迎える」ことを目的とする。後にその計画は「貴衣とつくねを結ばせるため」だけに用意された大惨事だったと判明。
- 魔法少女が出現しない世界
みきや夜華などと言ったその時の惨事で命を落とした者はその時の記憶を失っているが、貴衣や楓、倫太郎、誠一などといった一部の者達はその時の惨事を覚えており、記憶と共に所持していた物まで、この世界に反映されている。
- ヴァレリーベ
表向きでは不治の病とされた病気の治療薬やウイルスのワクチン開発から、その全てに結果を残して世界に多大な影響と幸福を与え、特に癌の新薬は世界中から注目を浴び、ヴァレリーベを大企業へと導いた。それゆえ、新薬開発によって人々の健康に貢献することを旨としているが、その裏では非合法な人体実験が繰り返し行われていた。
- 終焉黙示録(オブ・ジ・エンド・カタストロフ)
- 悪魔
- 悪魔祓人(エクソシスト)
悪魔の力を分散させて封印しようと考えた一人の女性団員は悪魔と契りを交わし、悪魔の力を宿した赤子(無六エリス)を産み落とした直後に命を落とすが、悪魔の再臨には男の身体が必要だと気付き、未来永劫女しか産まれないように娘の遺伝子に細工を施した。
登場人物
主要キャラクター
- 児上 貴衣(こがみ きい)
本作の主人公。平凡な高校1年生。過去に両親を亡くし、現在は母方の祖母の家で暮らしているが、何も無い普通の日常を望み、トラブルを避け、ストレスとは無縁でいるよう心がけて過ごし、つくねと疎遠になっていたが、和解する。
- 福本 つくね(ふくもと つくね)
世界崩壊後の「魔法少女が出現しない世界」では、入学式当日に事故死したことになっている。
- あすか
その正体はつくねが作り出した人格ではなく、姫路によって植え付けられた人格だった。
- 鞘野 楓(さやの かえで)
実は小学生の頃から貴衣のことが好きで、いつもつけてるヘアピンは貴衣からバレンタインのお返しに貰ったもの。
- 芥 倫太郎(あくた りんたろう)
- 穴井 美羽(あない みう)
後に病院内でクロノス・Mと遭遇し、20年前に飛ばされ、過去の世界で20歳になった頃にパラサイト・M(ハナちゃん)と殿ヶ谷に出会い、魔法少女に関して学んだ。行動を共にするハナちゃんからは「みうみう」と呼ばれている。
病院内での死闘で、パラサイト・Mを完膚なきまでに倒した倫太郎を「かみたま(神様)」と呼び崇拝し、恋心を抱いている。性格も以前と打って変わってハイテンションになっているが、倫太郎からも変態呼ばわりされる痴女となった。
- 姫路 弥(ひめじ わたる)
逃走中、ニードル・Mに串刺しにされて死んだと思われたが、実は魔法少女襲撃を引き起こした黒幕。
大惨事をビデオカメラに撮影しており、手で触れたスマートフォンや他人(死体であっても可)の口を通じて健常者と同じように会話をする魔法が使える模様。
高校の生徒たち
- 半沢 夜華(はんざわ よるか)
高校2年生。髪をツインテールにした巨乳の少女。気風が良い姉御肌で、痴漢撃退用にスタンガンを所持している。学校では「夜華様親衛隊」なるファンクラブが存在しており、彼らからは「夜華様」と呼ばれている。パワーアップして襲撃してきたパラサイト・Mに惨殺される。
「魔法少女が出現しない世界」では当初惨劇の記憶を失っていたが、自身の元に魔法少女が送られたことがきっかけで大惨事の記憶を取り戻し、かつての想い人だった蓮と再会する。
- 大月 みき(おおつき みき)
最終章では校内の魔法少女襲撃時、楓と逃亡中、魔法少女に襲われそうだったところをリブに救出された。
- 乾 なつき(いぬい なつき)
「魔法少女が出現しない世界」で、貴衣に告白して返事を聞こうとしたが、そこに現れたリブのとんでもない発言で大きな誤解をしてしまうも、魔法少女襲撃の記憶の断片を思い出しかける。
最終章ではタイムマシンで未来から駆け付けた楓、美羽、ハナちゃんに救出され、貴衣とつくね、澤田と玉井、担任教師と共に生存する。未来で貴衣が婚約していることを知り、相手が誰なのか興味を示す。
- 澤田、玉井(さわだ)、(たまい)
- 景吉 あん(かげよし あん)
最終章では校内の魔法少女襲撃時に夜華と逃亡中、まじかるゾンビに襲われるが、タイムマシンで未来から駆け付けた倫太郎に救われ、貴衣とつくね、なつき、澤田と玉井、貴衣のクラス担任と共に生存する。
- 吾代(ごだい)
- 河西(かさい)
つくねの両親
- 福本 誠一(ふくもと せいいち)
つくねの父親。大学病院に勤める外科医で、神の手と呼ばれるほどの世界的な名医。楓やみき同様、つくねのもうひとつの人格・あすかから脅迫を受け、協力させられていた。
- 福本 ことね(ふくもと ことね)
その他のキャラクター
- 久代 蓮(くしろ れん)
就活中の大学生。所属は医学部。夜華と恋仲になっていたが、サークルカット・M(マジカル)から夜華を守り、絶命。
「魔法少女が出現しない世界」では当初惨劇の記憶を失っていたが、夜華との再会で大惨事の記憶を取り戻した。
- 芦屋(あしや)
- 夏川(なつかわ)
魔法少女と関わる者たち
- 黒服の仮面
貴衣達の行動を監視し、仮面で顔を覆った謎の人物。貴衣を「あたしの旦那」と呼び、行動を共にする白服の子からは「お姉さま」と呼ばれている。
病院内で魔法少女の襲撃を受ける貴衣を救い、ステッキを託すが、白服の子と共にパペットマスターに殺されてしまう。楓と同じヘアピンをしており、その正体は…。
- 白服の子
- 殿ヶ谷 悠二(とのがや ゆうじ)
20年後の未来で魔法少女などに関して研究をしている科学者。婚約者のマリアと結婚を前提に同棲しており、彼女から「悠ちゃん」と呼ばれている。
- 魔女(まじょ) / 無六 エリス(むろく エリス)
実はみかのの実母で、彼女からは「お母さん」と呼ばれている。
- 無六 レイル(むろく レイル)
実はみかのの実父で、魔女・無六エリスの夫にあたり、みかのから「お父さん」と呼ばれている。
第2部の登場人物
- 白金 忍(しろがね しのぶ)
第2部の主人公。高校1年生。巨大製薬会社『ヴァレリーベ』社長を父に持つ。人並外れた天才的な頭脳の持ち主。父から「魔法少女の血」を用いて突然死した母を生き返らせてほしいと依頼される。
- 花飼 みかの(はなかい みかの) / 無六 みかの(むろく みかの)
実は爆発を操る能力を有する魔法少女にして、魔法少女の血族とは別のもうひとつの血筋である、現存する魔女・無六エリスと悪魔祓人・無六レイルの実の娘。
- 飛切 るる(とびきり るる)
ヴァレリーベ
- 白金 宗(しろがね そう)
忍の父親。巨大製薬会社『ヴァレリーベ』代表取締役社長。息子に原因不明の突然死を遂げた妻(忍の母親)を蘇らせてほしいと依頼し、「魔法少女の血」を差し出す。その一方で倫太郎に“ある女性”を探してほしいと依頼する。
- 安倍乃 マリア(あべの マリア)
実はみかの同様、魔法少女の血を引いており、ものの時を自在に操る魔法を有していたが…。
- 泉巳 麗香(いずみ れいか)
- 中島 あきら(なかじま あきら)
- 真壁 敬人(まかべ けいと)
その正体は姫路を生み出した張本人であり、正体を隠す際はパペットマスターと同じ仮面を被って素顔を隠している。また、「真壁敬人」は本名ではないらしい。
普段は朗らかな性格だが、人の命を何とも思わない残虐な本性を持つマッドサイエンティスト。魔法少女の力を持つマリアをはじめとする数名の女性職員を拉致して非合法な人体実験を繰り返しているが…。
その他の人物
- 今木 能利(いまき のうり)
警視庁刑事部捜査第一課・第二強行犯捜査一係巡査部長。警視庁刑事部捜査第一課・第二強行犯捜査一係警部・倫太郎の部下にあたり、彼と行動を共にすることが多い。
- 花飼 十一郎(はなかい じゅういちろう)
だが、彼自身や失踪した妻はみかのの実の両親ではなく、偽装の両親であって、直接的な血縁関係はない。
余談
2018年春アニメとしてアニメ化された『魔法少女サイト』の第6話にて、本作の女性キャラ(福本つくね、鞘野楓、大月みき、半沢夜華、梅村ひかる)がカメオ出演している(ただし、髪の色などが若干変わっている)。
関連イラスト
関連項目
魔法少女サイト 佐藤健太郎
魔法少女 ダークファンタジー
佐藤健太郎作品CPタグ一覧