「わっしが出ましょうすぐ戻ります」
「ご安心なすって」
「せいぜいお気をつけなすって………ヒヨッ子の諸君…今はわっしもいるのでねェ…!!!」
「海賊の罪は消えんでしょう…!!」
「「海軍大将」一人止めといてまだ欲張られちゃあわっしの立つ瀬がない いい加減にしなさいよ」
「コワイねェ~…”白ひげ海賊団”」
「ありゃあ全部“死刑”でいいんでしょ? センゴクさん…」
※この記事は単行本・アニメ未収録の重大なネタバレ情報を含みます。 |
---|
概要
通称「黄猿」。
「どっちつかずの正義」を掲げており、過激になることも無く、相手に情けをかけることも無く忠実に職務をこなす。
頂上戦争以降、当時の元帥センゴクの退任やサカズキとクザンの抗争をきっかけに海軍の組織図が大きく変わる中、唯一大将の立場を保持し続け現在に至る。
プロフィール
本名 | ボルサリーノ |
---|---|
通称 | 黄猿 (きザル) |
年齢 | 56歳→58歳 |
身長 | 302cm |
所属 | 海軍本部大将 |
悪魔の実 | ピカピカの実 (自然系) |
覇気 | 武装色、見聞色 |
出身地 | 北の海 |
誕生日 | 11月23日 (モデル・田中邦衛の誕生日) |
星座 | いて座 |
血液型 | XF型 |
好きな食べ物 | みそラーメン、しょうが、バナナ |
嫌いな食べ物 | レモン |
趣味 | くんせい作り |
イメージ動物 | チンパンジー |
一人称 | わっし |
イメージ職業 | ラジオパーソナリティ |
掲げる正義 | どっちつかずの正義 |
初登場 | 単行本52巻 第504話『海賊前線移動中!!』 |
WT100 | 59位(15559票) |
CV | 石塚運昇(398話 - 751話)→置鮎龍太郎(881話 - ) |
人物
外見
3mを超える長身の中年男性で、大将の中ではスタイルが最も細身である。ティアドロップ型のサングラスを掛け、黄色のストライプスーツを着用(新世界編ではスーツの柄が変化している)。
中将時代は喫煙者だったが、現在はほとんどタバコを咥えている描写は無い。
モデルの田中邦衛氏については余談で後述。
性格
一人称は「わっし」で、光の能力に似合わぬ間延びした喋り方と、どこか抜けたような振る舞いは飄々としているが、逆にそれが腹の底を読ませず他の大将よりも不気味な印象もある。
あまりにも感情を表に出さないため、恩師のゼファーからは苦手に思われており、「相性最悪」だったとのこと。
クザン・サカズキと共に三大将と呼ばれたが、クザンがオハラの事件を経て甘すぎる「だらけきった正義」へたどりついた事、一方でサカズキは悪は根絶やしにするという非情すぎる「徹底的な正義」を貫き続けている事、対照的な二人を俯瞰して眺めたボルサリーノは「どっちつかずの正義」を掲げている。
そのため職務に関してはある意味でバランスの取れた人物であり、クザンやイッショウのように情に流される事もなければ、サカズキやアラマキのようにやり過ぎる事もない。
かつては仲間であった者でさえ敵であれば容赦なく倒す非情さと実行力を持ちながら、目的を優先するために瀕死になっても殺害まではしないという姿勢を見せている。
ただし無情で冷徹というわけではなく、我が子にも等しい弟子を手にかけた際には「本当は傷つけたくなかった」と呟いていたり、ルフィに「何故ベガパンクを殺そうとするのか?」と尋ねられた際に「殺してェわけ⋯‼殺してェわけねェでしょうが⋯‼」と(誰にも聞こえないように戦闘中のルフィから大きく距離を取りつつ)本音を漏らすなどあくまでも葛藤の末命令を遂行しているのである。
このような振る舞いなどから、彼の掲げる「どっちつかずの正義」は極論としては「中立的な正義」というよりも、「中途半端な正義」とも言える(だからこそ中立と表現せずにどっちつかずという言い方をしているのかもしれない)。
もっとも、大将が変わった新世界編では、上司である赤犬と極端に相性が悪かったり、一見良いようだがその実勝手であったりするため、”きちんと話を聞き”、”きちんと言ったことを実行してくれる”大将が彼ぐらいしかいなくなっているが。
戦闘能力
悪魔の実
「速度は…“重さ” “光”の速度で蹴られた事はあるかい」
悪魔の実 | ピカピカの実 |
---|---|
分類 | 自然系 |
自然物 | 光 |
能力 |
|
欠点 |
|
※「光速の蹴り」は解説の通り、彼の得意体術である蹴りの勢いを利用して脚に使用している強い光をレーザービームとして発射する複合技としての意味での発言。つまり、一般化してしまった「彼が直接光速で行動している」という認識はファンの思い込みに過ぎないということに注意(少し紛らわしい発言なので、鵜呑みにしてしまうのも仕方ないところはあるだろう)。
自らの体を光に変える事ができ、光を操って光速で攻撃や移動することができる「光人間」。勘違いが一般的になってしまったので、記述するが、ピカピカの実は「能力者が直接光速で行動できる能力」ではないので注意。要は、光になったから必然的に光速で移動・攻撃ができるという話に過ぎないということである。
文字通り光速で移動する事もでき、体術(主に蹴り)を利用した強い光を長射程の高出力レーザーとして発射する光速での攻撃を得意とする。
レーザーは指や足裏から発射され、指からのものは矢のように相手の体を貫く。
強い光として発射されたレーザービームは、頑丈な障害物に直撃すれば着弾点で大爆発を起こし、凄まじい光熱であらゆるものを一瞬のうちに消し炭にしてしまう。
その一撃で雲に届くほどの高さの巨木『ヤルキマンマングローブ』を炭化させてへし折ってしまった(さすがにやりすぎたと自他ともに語っているが)。
このように彼が光を使用した蹴りを行うと、ボルサリーノの超人的な身体能力と格闘能力が加わることによって強烈な光がレーザービームとして発射される「光速の蹴り」となるため、頑丈な障害物が一切なければ、一瞬で遠く離れた場所まで攻撃が到達する。
そのため、あまり本気になると周囲への被害も甚大なものになってしまうのがある意味で弱点。
そもそも、光からどうやって逃げろというのか。勿論逃走は不可能である。
光の速度で飛び交う攻撃は彼の「見聞色の覇気」を上回る使い手で、さらにある程度同等以上の基礎戦闘力が必要となるので、未来視の領域に達する「見聞色の覇気」の使い手でも回避が困難(実例を挙げると、エッグヘッド編時点のギア4・スネイクマン状態のルフィですら見聞色による未来視を以てしても数km離れた黄猿の「光速の蹴り」を躱せなかった)であり、しかも射程範囲が広く、その多くが一撃必殺の破壊力を誇る。このように彼の場合は、「見聞色の覇気+光による光速」として発揮することも可能である以上、単純な光速の攻撃や移動ではない。
ただ、この話から分かると思うが、強い見聞色を発動して、武装色などの高い基礎戦闘力を持っていれば対処が可能だということも意味している。つまり上記の「光速」の話は、彼にとって並の者が相手であった場合の話に限るということだ。これらの条件をクリアしてしまえば、光による光速の移動や攻撃は防いだり、回避できる可能性が出てくる。実際に、レイリー・ゼファー・サンジらには光による光速の攻撃や移動が止められてしまうこともあるのが好例である。
光を剣や弾丸といった質量のある武器として実体化させることもできる。
また「体を強烈に発光させて目眩まし」「光の反射を利用して死角から強襲」など、搦め手や不意打ちまで何でもアリ。
並みの海賊ならボルサリーノに目を付けられた時点で八方塞がりだろう。
更に自然系のため、「武装色の覇気」による攻撃以外、物理ダメージは一切通らないどころか、攻撃を当てることもできない(光なのですり抜けてしまう)。
たとえ全身をバラバラにされてしまっても、肉体を光の粒子に変えて一点に集約し、再構成して復活できる。
おまけに光化することで滑空するように飛行することもできるなど、汎用性が非常に高い。
弱点として、光速による移動は瞬間的な速度こそ圧倒的なものの、「光」という能力の特性上、移動方向が直線に限られてしまうので、頑丈な障害物などが存在する状況で光速移動を行う場合は、工夫や応用が必要となる。
但し、直線移動に適した環境であれば、自らの体を光に変化させることで、そのまま光速で移動することも多くある。
基礎戦闘力
シャボンディ諸島編では(老年とはいえ)シルバーズ・レイリーと互角以上に渡り合える技量を見せ、体術(肉弾戦)や剣術(白兵戦)にも優れていると言える。
しかも、持久戦においては現在のレイリーを凌ぐ程の基礎体力の持ち主でもあり、能力で光速移動・攻撃を行えるだけの動体視力と強靱な肉体を有してもいる。
特にキックについては能力で光速の蹴りを行い、かつその威力を必殺から距離開けまで調整できるほどの技量を持つ。
マリンフォード頂上戦争においてマルコに蹴りを喰らっても「これは効くねェ~」とボヤき平然としており、相当な肉体強度(もしくは高い練度の武装色の覇気、或いはその両方)を備えていることも窺える。
しかも、ボルサリーノ自身もそこまで本気を出している戦闘描写は少ないため、能力以外の総合戦闘力という点では未知数であり、底知れない強さを思わせる。
自称世界一ガードの固い男こと戦桃丸の師匠だけあって防御力も随一。作中でも負傷した描写が少なく、明確に負傷したと言えるのはレイリー戦で頬を軽く切られたことと、現四皇となったルフィ戦で「ゴムゴムの白星銃(スターガン)」を側頭部に食らってダウンしたことくらいである。
あの頂上戦争でも同格であるサカズキやクザンが重傷を負って大量出血する中、特にダメージを受けている描写が無く、三大将の中で唯一、ほぼ無傷で終戦を迎えた。
覇気
当然ながら中将以上であるため、基本的な2色の覇気(武装色・見聞色)を極めて高水準に扱うことができる。その力は四皇の一人となり、成長したルフィですらも苦戦させるほど強力で、見聞色は自身の光と併用することで、能力を発揮する時間までの行動時間の短縮に繋げられるので、見聞色と彼の能力は相性抜群。
サカズキ、クザンとともに処刑台を守るために、武装色の高度な技術らしきもので“白ひげ”エドワード・ニューゲートのグラグラの実の能力を使用した攻撃(大気の破壊によって生まれた「空振(くうしん)」)を遮断して弾き返している描写がある。
また、白ひげの薙刀による攻撃を無効化させており、覇気による攻撃に対しても何らかの対策を講じているようであるが、シャーロット・カタクリ同様の超高精度に鍛え上げられた見聞色(未来視)を利用した避け方なのかは不明(白ひげが覇気を使っていなかった可能性もなくはないが、状況的に使わないとは考えにくい場面である)。
技
三種の神器などの日本神話を元にした名前が登用されている。
- 八咫鏡(やたのかがみ)
円を作るように構えた手から光を照射し、その光を辿るように光速で移動する。
一見直線にしか動けないかに見えるが、反射を利用することで軌道を変化させ、どこにでも一瞬で移動できる。なお、この技は頑丈な障害物が存在するなど、直線移動が不可能なときに行われる。
しかし、この時の光はただの光であるため攻撃能力はなく、光の道を物理的に遮断されると割りと簡単に移動を妨害されてしまう。もっとも、その速度を見切って捉えることは熟練した「見聞色の覇気」の使い手でないと至難で、戦桃丸でさえこの技が止められるのを見たのはレイリー戦が初だったらしい。
- 天叢雲剣(あまのむらくも)
ボルサリーノ本人の半身以上もある、巨大な光の剣を作り出す。
白兵戦用の技で、その剣技は本人の基礎戦闘力の高さと技術により、レイリーやゼファーと互角に渡り合える。
勘違いされやすいため表記しておくが、光に力や技術が向上する特性はないため、ただ光の剣を作り出しているだけに過ぎない。
つまり、能力の特性と明らかに合わない技術は、能力によるものではないので注意が必要。
- 八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
両手の親指と人差し指で円を作り、そこから無数の光の弾丸を放つ。
光は水中にも届くため、たとえ海の中に逃げ込んだとしてもこの攻撃から逃れるのは至難の業。
自然系能力者の共通項である「能力そのものになる」基礎技と併用し、自分の体を光弾として放つことで高速移動する他、それら全てを自分の姿に形成して疑似的な光の分身を展開することも可能。
なおこの「光分身」はそれぞれがボルサリーノの意志を反映しており、ピカピカの技を使うことも可能だが、あくまで光の虚像なので攻撃を受けると消える。
- 天岩戸(あまのいわと)
脚から太めの高火力レーザーを放ち、着弾点に巨大な爆発を起こす。ただし、この技名は原作では使われておらず、一部のゲーム作品でのみ使われる。
- 天照(あまてらす)
Vサインから閃光を放ち、相手の目を眩ませる。
こちらも、天岩戸と同じく原作では使われていない名称で、現在のところ一部のゲーム作品でのみ使われている。
なお、頻繁に使う光速の蹴り・レーザー攻撃には今のところ技名が確認されていない。
経歴
過去
32年前、海軍に入隊。元海軍本部大将ゼファーは当時の教官。ゼファーが教えるまでもない程の怪物新兵であったが、その一方で怒られてばかりだったという。
サカズキとは同期の関係。
ベガパンクとは旧知の仲であり彼の実験にも積極的に協力し、熊退治の依頼で戦桃丸を拾い戦いを教えた。海軍のコートを羽織っていたことからこの時点で既に将校クラスの実力があった模様。
15年前の時点で中将の地位にあった。
12年前には、“偉大なる航路”フールシャウト島でフィッシャー・タイガー率いるタイヨウの海賊団を襲撃し、タイガーの死に対する激しい怒りで襲い掛かって来たアーロンを圧倒し投獄した。
4年前の時点で大将になっており、五老星からの任務もこなす立場となる。
また、当時ベガパンクを頼ってエッグヘッドに身を寄せていたバーソロミュー・くまとジュエリー・ボニーの親子とは同じ食卓を囲むなど、友好的に接していた。
第1部 サバイバルの海・超新星編
シャボンディ諸島編
天竜人ロズワード一家が麦わらの一味に危害を受けた報告を受け、シャボンディ諸島に出撃する。
諸島に滞在していた11人の超新星のうちの4船長バジル・ホーキンス、スクラッチメン・アプー、X・ドレーク、ウルージらを能力で瞬く間に圧倒し、更に部下の戦桃丸やパシフィスタと共に麦わらの一味を壊滅寸前まで追いやった。
しかしロロノア・ゾロをビームで殺害しようとしたところをレイリーの妨害に遭い、更にくまによる一味離散で捕縛に失敗。
その後には腹いせ代わりに諸島内にいた500人にものぼる海賊達を検挙した。
マリンフォード頂上戦争編
開戦直後に“白ひげ”へ“八尺瓊曲玉”で奇襲攻撃を仕掛けるが、マルコに阻止される。
オリス広場にルフィが現れると直ぐ様狙い、中将2名と共にルフィに瀕死の重傷を負わせる。
更に、中将オニグモとの連携でマルコに海楼石の手錠をはめて能力を封じた。
ルフィが処刑台に辿り着くと、白ひげにレーザーで反撃し、遠距離からポートガス・D・エースの手錠の鍵を破壊した。
その後、ベン・ベックマンの妨害を躱しながらルフィとトラファルガー・ローを“八尺瓊勾玉”で追撃するが結局逃げられてしまった。
上述の通り、三大将の中で唯一無傷で終戦を迎えた。
第2部 最後の海 新世界編
ドレスローザ編
ドンキホーテ海賊団崩壊後、王下七武海自称“白ひげJr.”エドワード・ウィーブルに関する被害報告を受ける。
ウィーブルを王下七武海に在籍させる価値を見出してはいるが、彼の自称する経歴などは信じていない様子である。
「血筋がどうあれ……確固たる価値が一つ…!!」
「奴は海賊として…圧倒的に強い…!!!」
「まるで本当に白ひげの若い頃の様に……強さだけだけどねェ」
世界会議編
“ビッグ・マム”ことシャーロット・リンリンと“百獣のカイドウ”の接触に際して自分がワノ国に出向く事を提案したが、サカズキには“侍”という未知の兵力がある事を理由に止められた。
ワノ国編
第三幕
海軍本部にて、サカズキ及び海軍犯罪捜査局局長テンセイと共に世界会議で起きた事件について整理。
チャルロス聖殺人未遂事件を気にしていたようだが、サカズキに話が複雑化している現状を聞かされ、その後は“炎帝”サボの台頭と、その義弟である麦わらのルフィの四皇入りが偶然にも重なったことについて言及した。
エッグヘッド編
「__じゃあ脱出は容易だねェ」
「__だがおそらく…想像通りの結果にはならねェよ」
世界政府が禁じている空白の100年の研究をしていたDr.ベガパンクを暗殺するため、五老星のジェイガルシア・サターン聖を艦隊で護衛しながらエッグヘッドに向かう。
道中、先にエッグヘッドに上陸したサイファーポールからベガパンクが麦わらの一味を味方に付けている報告を受けるが、作戦続行の方針は崩さずに各海軍基地から可能な限りの軍艦を出航させるよう指示を出す。その結果大小合わせて100隻を超える軍艦がエッグヘッドに向かうことになった。
翌日にはエッグヘッドに到着し、麦わらの一味と一時的に手を組んでいたロブ・ルッチからの密告を受けると、サターン聖と共に今後の行動方針を定め、自身は島内へ単身で突入。そして、工場層でパシフィスタの指揮を執っていた戦桃丸と交戦する。
愛弟子であり我が子にも等しい戦桃丸を下した後は、表情は見えないながらも『傷つけちゃいけねェもの…ヨーク、パワープラント、パンクレコーズ……そして本当は親友…と』と言葉を溢した。
自身の能力でフロンティアドームを突破した後はルフィと遭遇し交戦を開始する。
「行儀が悪いね」
ルフィ「黄猿!! おれ達は二年前の100倍強ェぞ」
ギア4"スネイクマン"状態のルフィの猛攻を容易く捌き、光の速度による蹴りで彼を大きく吹き飛ばすが、ギア5を発動して戻ってきたルフィに不意を突かれ、海に向かって投げ飛ばされてしまう。
復帰後はあくまでも目的は「ベガパンク全員の抹殺」と「確保対象の確保」であるため、ルフィ以外の一味との戦闘はせずにベガパンクを狙い続けるが、その都度ルフィに妨害される。(それでもウソップを一時捕捉するなど、「一味の撃破」が目的だったらとっくに麦わらの一味が全滅していただろう場面も散見される)。
最終的にはサターン聖の出撃直後のタイミングで、時間切れ間近のルフィの放った「ゴムゴムの白星銃」を側頭部にまともに喰らって墜落。
失神こそ免れたものの全く動けなくなり、技の反動で力尽きたルフィと相打ちに持ち込まれる形で事実上戦闘不能となったが、その後くまが参戦した頃に戦線に復帰。
私情を押さえ込んで一応は任務を優先し、サターン聖に攻撃を仕掛けたフランキーとサンジの前に立ち塞がるが、やはり自身と関わり深い人物が苦しめられている状況には心が痛むのか、どこか悲しそうな様子を見せていた。
「“くま”までやって来ちゃ 役者が揃いすぎじゃねェかい?」
「さっさと終わらせよう…」
「みっともねェよな……」
「もっと濃いのをかけて来るんだったよ サングラス」
その後は島からの脱出を目指す一味やボニー、ベガパンク達を何度も妨害し、最終的にボニーに対しレーザーによる直接攻撃を仕掛けるが、外骨格を発動したサンジの蹴りで防がれる(生身の人間がピカピカの実のレーザーを平然と弾いたことに余程驚いたのか、だいぶ抜けた表情で唖然としつつ冷や汗を流していた)。
サンジ「愛は光より強ェんだ!!」
「それで済んじゃあ『物理学』は終わっちまうよ...!!」
そのまましばらくサンジと交戦していた様だが、暴走を始めたサターン聖の猛攻に乗じて、サンジのガードを掻い潜りつつ、既にサターン聖の攻撃で瀕死の重傷であるベガパンクに”天叢雲剣”を喰らわせ、これが致命傷となりベガパンクは死亡した。
攻撃後に複雑な表情を浮かべており、息遣いが荒くなっていたが心を保ってベガパンクを抱えて走るサンジを追撃しようとするが、巨大化したルフィによってサターン聖共々拘束され、軍艦まで投げ飛ばされる。
「傷ならある…深い傷が…もう休ませてくれ……」
身体以上に精神的ダメージがあまりにも大きすぎたボルサリーノは、ここに来てついに戦意喪失。
そしてエッグヘッドでの戦いが終結した時、軍艦の中で立っていたのはボルサリーノただ1人であった。他の海兵は皆、強大な覇気に倒れていた。
そこに海軍本部からの通信が入り、彼は電伝虫を手に取る。相手はサカズキであった。
なぜ、わざわざ大将自らが出るのかとサカズキは訝しみつつも、エッグヘッドの状況やサターン聖の安否などを矢継ぎ早に問うが、ボルサリーノは「若ェのが起きたら報告させる」と報告を拒否。その態度に苛立ったサカズキは「甘い仕事しちょりゃあせんかのう?」と問い詰めるとその問いに地雷を踏んだのか、ボルサリーノは逆にサカズキに尋ねた。
「オイ…サカズキ…お前さん」
「“親友”を殺した事あんのかい」
そう問いかけるボルサリーノの脳裏には、ベガパンクやくま、ボニー父娘、戦桃丸と共にエッグヘッドを作り上げた思い出が浮かび上がっていた。
そして、その思い出の最後に浮かんだのは、それを自らの手で打ち壊した今回の任務だった。
その全ての思いを込めて、ボルサリーノは作中初めて激昂した姿を見せた。
「疑うヒマァあんならよ!! てめェの目で見に来いやクソガキ!!!!!」
親友を自らの手で殺し、かつて共に作ったエッグヘッドは崩壊、四皇麦わらによる傷。そんな重い任務をこなしたというのに仕事で手を抜いたのではという懸念までかけられ、ボルサリーノの精神は限界に達していた。
涙ながらに激怒し訴える彼の剣幕に、流石のサカズキも謝罪するのであった。
サカズキ「悪かったのう…兄弟」
「黙れ 今更…!!」
エッグヘッドの一件がボルサリーノに今後どのような影響を与えるかは定かではない。さすがにクザンのように海軍を辞めたりはしないだろうが、サカズキとの関係が悪化する可能性は否めない。
なお、110巻のSBSにおいて、最後まで不明だった「ギア5の反動でダウンしたルフィに食事を持って来た誰か」がボルサリーノであることがほぼ明言されている(曰く「光の速さで行われた」)。
海兵としての任務は「融合炉の確保とベガパンクの抹殺」であり、ルフィやボニーの抹殺は乱暴に言えば任務外の余事であったことから、あの場面でボニーを逃がすチャンスを僅かでも作るためにルフィを行動可能にした……と推測される。
アニメ版での登場
ONE PIECE FILM Z
原作に先駆けて新世界編の姿で登場。2年前と同じ大将の地位のまま、かつての上官であり恩師でもあった“ゼット”ことゼファー率いるNEO海軍と交戦。
一進一退の攻防を繰り広げ、体調が万全ではないゼットを徐々に追い詰めたが、ゼットがダイナ岩を起爆させたことで取り逃がす。その後、ピリオ島で再度ゼットを攻撃し致命傷を与えて討ち取った。
ゼファーに対して思う所は有った様で、質問を投げかけたり別れの言葉を言うなど重要な役を担っている。
エピソードオブルフィ
海軍支部准将ビリッチの憧れの人物として登場。後に意外な形で終盤に登場することになる。
“3D2Y”〜エースの死を越えて!ルフィ仲間との誓い〜
バーンディ・ワールド復活の知らせを聞いて、つるやサカズキらとともに会議に顔を出している。ワールドの活躍時期はルーキー時代だったようで、つるに言われるまでどんな人物かを忘れていた。
ONE PIECE STAMPEDE
海賊万博の会場であるデルタ島に集結した海賊たちを検挙すべく出陣。
物語中盤までは島から距離を取り、状況を窺っていたが、ダグラス・バレットが覚醒させた能力を行使した際には海軍本部で指揮を執るサカズキに報告し、バスターコールを発動するよう指示を受けた。
終盤ではデルタ島から脱出を図る海賊たちに対して攻撃を仕掛けたが、サボによって阻まれた。
ONE PIECE FILM RED
「犠牲を伴わない正義などありえない 辛いねェ」
世界の歌姫であるウタによる大騒動を止めようとイッショウとともに海軍の艦隊を率いてエレジアに上陸。
サカズキの命令を受けウタを抹殺しようと「八尺瓊勾玉」を放つも、その場にいたシャンクスに弾かれた後、急接近され一度は光速移動で斬撃をかわしたが、すぐにグリフォンを首元に突きつけられた。
トットムジカ召喚後、業を煮やして観客を直接攻撃しようとするも、今度はベン・ベックマンに牽制される。
最終決戦の際には、他の海兵と共に観客の保護と避難を行った。
その後、市民を危険に晒したことやトットムジカ召喚の危険性からイッショウとともにウタの捕縛に乗り出そうとしたが、シャンクスの「覇王色の覇気」の威力を目の当たりにした際には、中将の一部も倒れ膝をついたことに肝を冷やし、ウタを諦めて撤退した。
余談
声優
演者の石塚運昇氏が2018年に逝去したため、後任はオーディションによりCP9のカクも演じている置鮎龍太郎氏が引き継いだ。
置鮎氏の技術はかなりのもので、黄猿のセリフが入ったあるCMで置鮎氏が声を担当したのに、石塚氏が担当したという誤ったネット記事が作られ、置鮎氏が指摘するまで誰も嘘だと気付かなかったという逸話がある。
置鮎氏はラジオにて、「元から石塚の声真似をプライベートで練習していた、カクと黄猿なら演じ分けができるしそもそもシーンが被ることもないだろうと思って黄猿役を受けた」と語っている。
しかし、後にエッグヘッド編で黄猿とカクが同時に登場し置鮎氏は驚愕したという。もっとも、エッグヘッド編で黄猿とカクの接触は無かったので、二人が会話や戦闘をするような難しい場面は無かった。
エッグヘッド編ではキャラクター紹介のため、石塚氏が演じていた時の黄猿の映像も使われているが、それらの映像のセリフは自身の新録であると置鮎氏がXで明かしている。
ボルサリーノ(黄猿)の戦闘能力
ネット上においてボルサリーノの速度について原作漫画などの描写などをもとに「本当は光速ではないのではないか」、「現実と漫画世界で定義が違うのでは」等の考察が散見されるが、公式書籍の『VIVRECARD ~ONEPIECE図鑑~ BOOSTER PACK インペルダウンの番人VS囚人達!!』にて「自らの体を光と化し、光速で攻撃を繰り出す。」と表記されているため少なくとも公式の見解は光速となっている。
モデル
彼のモデルとなった人物は、往年の名優・田中邦衛氏である。
一部の台詞回しは田中氏の代表作である『北の国から』の黒板五郎、名前や衣装は『トラック野郎・爆走一番星』のボルサリーノ2が由来と思われ、後者はサカズキのモデルとなった菅原文太氏との共演作品でもある。なお、菅原氏とは『仁義なき戦い』シリーズでも共演しており、サカズキの台詞回しには同作で菅原氏が演じた広能昌三のキャラクターが反映されている。
技名
他の大将たちの多くは自分の肩書に合わせた名前の付く技を持っていることが確認されている(青キジ→暴"雉"嘴、赤犬→冥"狗"、藤虎→グラビ刀 猛"虎")が、登場してからそれなりの年月が経ち、かなり出番も貰っている黄猿には何故かそういった技が無い。
彼の技名の出典である「日本神話」、そして「光」と「猿」という三点を考えるととある神格が思い浮かぶが……?
くまとの意外な共通点
実はバーソロミュー・くまとは、不気味で恐ろしい人物のように振る舞っているが、根は決して非情な人物ではないという共通点がある。このことから、黄猿もまた、くまのように『いつか、麦わらの一味を助けてくれるのではないか』という考察がある。黄猿は海軍の最高戦力である大将だが、麦わらの一味は立場は海賊、それも新世界に名を轟かす大物海賊であり、立場的には当然相容れないはず。然し、クザンやイッショウのような例もあることやエッグヘッド編にてこれまで謎に包まれていた彼の本心が明かされ始めているので、可能性が皆無とは言えないが……
人の心
上記の経歴を見れば分かる通り、ボルサリーノは親友であったベガパンクや師として鍛えた戦桃丸を自らの手で消さなければならなくなり、実際に任務を全うしてやり遂げて見せた。しかし、その結果彼の心は深く傷つき任務中にも度々苦悩する様子が見られ、最後には心ない発言をしたサカズキに対して感情を爆発させ、それに対してサカズキが謝罪する程であった。
今まで感情を表に出さず、冷酷なまでに軍務をこなしてきたボルサリーノが初めて人間らしい感情を見せたこの展開はかなり衝撃的であり、読者の間で賛否両論ある様々な意見や感想が書かれていた。一部ではボルサリーノの心情を察してこれをきっかけに海軍を引退してしまうのでは?という意見もあり、仮にそうなってしまった場合、ベガパンク(一応まだ政府側にヨークはいるが)とボルサリーノという二つの強大な戦力を失う事となり、只でさえ人手不足に悩まされている海軍は更なる苦境に立たされる事になる。
関連イラスト
- 幼少
- 新兵
- 中将
- 大将
関連タグ
ONEPIECE 海軍 海軍本部 海軍大将 黄猿 最高戦力 ピカピカの実 光 チートキャラ