「おれはNEO海軍総帥ゼット ゼットは全ての海賊を滅亡させる せいぜい生き延びろよ 海賊王!!!」
「お前達の正義は使えねェんだよ!! 正義とか…自由とか…」
「お前ら全てやり直しだ!!」
「 ”ひとつなぎの大秘宝”…この世の全て… くだらない夢だ…!! そんなものがどれだけの犠牲を生んで来たか…!! 悲しみと憎しみを生んで来たか…!!」
「海賊は欲しいものがあれば力ずくで奪うんだろ? 仲間を戻したければ海賊のやり方で来い!!」
「やりたいようにやる…か…ならば おれもそうしよう おれも我が人生全てを懸けて お前の信念を砕いてくれよう!! 掛かって来い!! これが最後だァァァーッ!!!!」
概要だァァァーッ!!!!
劇場版第12作目『ONEPIECE FILM Z』に登場する、通称”黒腕のゼファー”と呼ばれているNEO海軍総帥で元海軍本部大将であり、本作におけるラスボス。
海軍の英雄モンキー・D・ガープ、大参謀つる、大目付のセンゴクは海軍時代の同期である。
本作のために、作者の尾田栄一郎と脚本家の鈴木おさむが考案したキャラクターで、公開前の宣伝では「ワンピース映画史上最凶の敵」という触れ込みで紹介されている。
オレのプロフィールだァァーッ!!よく見とけェー!!
本名 | ゼファー |
---|---|
異名 | 黒腕のゼファー、全ての海兵を育てた男 |
通称 | Z(ゼット) |
年齢 | 享年74歳 |
肩書き | 元海軍本部大将→NEO海軍総帥 |
所属 | 海軍本部→NEO海軍 |
所属船 | ホワイトタイガー号 |
覇気 | 武装色、見聞色 |
武器 | バトルスマッシャー |
武術 | 六式 |
出身地 | とある軍港の町 |
好物 | シェリー酒 |
CV | 大塚芳忠、鈴木真仁(幼少期) |
人物像か…悪いがオレは止まらねェぞ
容姿
紫髪にサングラスをかけた巨漢の老人。
高齢ながら筋骨隆々の身体の持ち主で、NEO海軍のマークが入った黒いコートを地肌に直接羽織っている。
右手には対能力者用の兵器である海楼石製の義手「バトルスマッシャー」を常時装着している。
性格
海兵時代
海軍にいた頃は立派な海兵で、その姿は同期のガープに「誰よりも海軍の正義を信じた男」と評される程であった。設定画や小説によれば、海賊を決して殺すことなく投獄するような、正しい海軍を体現する人物だったとのこと。
しかし彼を恨んだ海賊によって妻子を殺されてしまったショックから自分の信じてきた正義に悩み、大将を辞任。
しかしその後も教官として海軍に残り、現在の海軍の中核をなす海兵たちを育ててきた(眼鏡も教官時代の物)。
だがある時、とある海賊によって自身の教習艦が襲われ、教え子がほとんど殺されてしまうという悲劇に見舞われる。
以降は遊撃隊を組織して能力者の海賊狩りに命を費やすように。
それでも海軍の正義を信じていた彼であったが、教え子を殺した海賊が王下七武海入りした事で、自身の最後の拠り所であった世界政府やそれに属する海軍の"正義"に完全に失望し、性格も一変した。
NEO海軍として
それ以降は海軍を抜けて新たにNEO海軍を組織し、周囲の一般人や海兵の犠牲を厭わず海賊殲滅のために動く、己の正義を実行する超攻撃的な性格となっている。
自分の命を助けてくれたルフィ達が海賊であると知った途端に態度を一変させ、彼らを襲撃する程。
遂には全ての海賊の目標である“ひとつなぎの大秘宝”諸共新世界の海を消滅させるべく、大破局噴火「グランリブート」を引き起こすことを画策する。
当然このような市井の被害を顧みないやり方を海軍が認めるわけがなく、NEO海軍はテロ組織"Z軍"として殲滅対象と定められることとなった。
その一方で、海軍と敵対する立場になっても教え子への情は持ち続けており、ボルサリーノに対しては剣戟の最中にも「“ピカピカの実”の能力に頼り過ぎるなと おれは忠告したはずだが?」と指摘し、既に海軍を抜けていたクザンと再会した際には道を違えたことを理解しつつも穏やかに接していた。
また最期の言葉も「お前達に最後の稽古をつけてやる!!」とかつての教え子たちに向けたものであった。
当然部下からも強く慕われており、NEO海軍の構成員は殆どがゼファーを慕って一緒に海軍を抜けた教え子たちであり、敵対することになった海軍将校の中にも恩師を想って涙を流す者がいたほど。
海賊への評価
36年前の大将昇格時(当時38歳)、それはロジャーや白ひげの全盛期であった。「信念あるなー海賊のくせにー」と敵ながら内心でその存在を認めている意外な姿が尾田先生の設定画で描かれている。もっとも、これは海賊に家族を殺される前の話なので単純な比較はできないが。
またルフィとの闘いではルフィの麦わら帽子に思い入れがあるかのようなことを言っている。さらに、ルフィがシャンクスと再会する約束がある事を告げると「お前を海賊の道に引き込んだのは“赤髪のシャンクス”か!!」「あいつも罪が深い…」と言っており、麦わら帽子がシャンクスのものと考えていなかった節がある。やはり、元々は彼の持ち物だったのだろうか。
オレの戦闘能力を甘く見るなよ!
基礎戦闘力
右腕を失った海軍在籍時代に海軍の科学者により装着された巨大な海楼石製のスマッシャー(バトルスマッシャー)がメインの武器となっている。
殴打、マシンガン、ビーム、爆発、防御など、様々な用途に使用出来る高性能な武器で、残った左腕による武装色の覇気・凄まじく高い基礎戦闘力を合わせた攻撃と併用する事で、年老いた今尚でも、黄猿とも真っ向勝負できる程の強力な戦闘力を生み出している。
黄猿との戦闘終盤に急襲から逃れるために「ダイナ岩」を使用したが、さすがに島を丸ごと消滅させる程の大爆発には耐えられず、同時に海を漂流する羽目に陥っている。
スマッシャーの内部には制御用と思われる義手も存在しており、ルフィにスマッシャーを破壊された後は素手での殴り合いを演じている。
ただし、年齢から来る心肺機能の低下により戦闘中でも吸入器を使った薬物投与を行わないと戦いが継続出来ないなどの理由から、これでも全盛期の大将時代の実力には遠く及ばなくなっている。しかし、それでも海軍本部大将の黄猿と渡り合える技量を持っている。
アインの能力で若返ればいいのではないかという意見もあるが、ゼファー自身は能力に頼り切ることを好まず、アインが倒されれば能力は解除されることを考えるとその考えは間違っていないのだろう。
また、能力にかまけた能力者向けに海楼石製の弾丸を装填した小さい銃を持っている。
覇気
全盛期から大きく衰弱しているとはいえ、それでも練度の高い見聞色を有しており、凄まじい身体能力と併用することで、黄猿の光速の蹴りに対応できる程の元海軍大将に恥じぬ実力を持っている。その力は薬物投与を行っている最中に光速で移動してきた黄猿の不意打ちによる攻撃さえも対応ができてしまう。これらの芸当はカタクリのような超高精度に鍛え上げられた見聞色の覇気の使い手のみ実現が可能なため、彼自身も超高精度に極めた見聞色の覇気による未来予知も可能と思われる。
右腕を失うまでは武装色の覇気をまとった腕っ節のみを武器として用いており、その強さは武装色硬化をした時に発生する手が黒く変色する現象からそのまま付けられた“黒腕のゼファー”という通り名が物語っている。
六式
この他にも映画で使用しているシーンはないが、六式を修得している。
技
- スマッシュバスター
殴った際に右手のスマッシャーを相手に接触させ、その衝撃を利用し内蔵させた爆発物を炸裂させる。巨人族を大きく吹っ飛ばした。
- スマッシュブラスター
バスターとは違い、距離を保ったまま砲撃をする。こちらも巨人族を大きく吹っ飛ばした。
- スマッシュトルネード
スマッシャーを地面に接触させ爆発させることで足場を崩す。これによりルフィはZのペースに乗せられてしまい2度目の敗北を喫した。
生涯か…振り返りたくねェな
過去
海軍在籍時代は、14歳で海軍学校に入り、同期がセンゴク、モンキー・D・ガープ、つるといった化け物海兵ぞろいだった中、自身も凄まじいスピードで成長。
下士官の時点で六式を修得、34歳で覇気を習得して、弱冠38歳で最高戦力である海軍本部大将にまで上り詰めた。
だが、42歳の時に妻子を海賊からの報復で殺害され、そのショックで現役を退いてしまった。
以後は上官の説得で教官として後輩の指導に力を入れ、三大将などの現在の海軍を支える多くの屈強な海兵たちを世に送り出した。
教官としては厳しかったが、これは彼の誰にも死んでほしくないという思いからくるものであり、「全ての海兵を育てた男」 と言われる名教官だった。
しかし、65歳の時、自分が指揮する演習艦が、ある能力者の海賊に襲われる。
アインとビンズを除く演習兵が殺害され、自身も右腕を切断されるという悲劇に見舞われると、教官も辞めてしまい、70歳の時に海軍の科学者に取り付けられた右腕の海楼石製のスマッシャーを武器に、アイン、ビンズを含む部下達と海賊遊撃隊を組織して大海の能力者の海賊達を討伐していった。
だが、73歳の時、演習艦襲撃事件の犯人である海賊が王下七武海に迎え入れられた事で世界政府や海軍の正義に絶望。
自分を支持する海兵達を引き連れて海軍を去り、自らは「ゼット」を名乗って海賊を滅ぼすための『NEO海軍』を結成する。
NEO海軍総帥として
古代兵器に匹敵する力を持つといわれる海軍の切り札ダイナ岩を奪い、その岩を使って新世界の3つの「エンドポイント」を爆破させることで、新世界の海賊達と新世界のどこかにあるとされる海賊達の目標"一繋ぎの大秘宝”を新世界ごと大爆発で消滅させて、大海賊時代を終わらせようと画策。
エンドポイントを守るための「ダイナ岩」の保管施設があり、一つ目の「エンドポイント」でもあるファウス島を「ダイナ岩」を強奪するために襲撃。撤退戦でゼファーは海軍本部大将黄猿の急襲から逃れるためダイナ岩を爆発させた事により、ファウス島の破壊と同時に海を漂流する事態となった。
その際、ルフィ率いる麦わらの一味に助けられ、当初は一味に感謝し好意的に接していたのだが、ルフィ達が海賊と知ると激昂してルフィ達を殺そうとし、一時は一味の母船サウザンドサニー号が火に包まれ壊滅寸前となった。これにより、一味との全面対決に入り、初回のサニー号での戦いを含めて3回に亘り一味と衝突した。
戦いの中では終始ルフィや一味を圧倒したが、最終対決でとうとう老化による体力低下と片腕を失ったハンデからか、ほぼ共倒れのような状態ではあったが、ルフィに敗れる。
敗れた後、ゼファーは単身で挑み続けたルフィを含む一味全員を戦いを通じて認め、同時に自身の計画遂行を諦める事を決意したが、その直後にNEO海軍と麦わらの一味の討伐に現れた大将黄猿率いる大軍団と接触。一味を逃がすため、そして自分がやりたい様にやった落とし前をつけるため、クザンが用意したアイスエイジによる氷の戦場で大将黄猿及び中将モモンガ、オニグモ率いる海軍の大軍に単騎で戦いを挑む。だがそれは、教官時代のかつての教え子達との激闘であり、一部の将校には悲しみの表情を見せる者や涙を流す者もいた。そして、黄猿の八尺瓊勾玉を受け瀕死の重傷を負いながらも最期まで闘い続け、その場で戦死した。
なお、黄猿は敵でありながらも他の将校同様かつての恩師を尊敬しており、攻撃を発動する際に
「さよなら、ゼファー先生!!」
とかつての教官に対する別れの挨拶を捧げた。
彼は闘いに挑む間際、サングラスを付け直す。それは最後の最後まで“ゼファー”ではなく、“Z”として自分の信念に赴くままに生きたことを象徴していた。
後に生き延びたアインとビンズ、そしてクザンの手によって墓が作られ、ルフィとの最後の戦闘で破損したスマッシャーが彼の墓標となる。その場所はかつて演習艦襲撃事件で犠牲となった教え子たちの名が刻まれた慰霊碑の側。
恩師を弔うクザンの手には、生前好物であったシェリー酒が握られていた。
そして、恩師の死に悲しむアインとビンズに対し、クザンは
「泣くな!!」
「男が自分の人生に一本 筋を通して逝ったんだ…」
「カッコイイじゃねェか…」
と自身の師に対して敬意を表す言葉を掲げ、シェリー酒を握る彼の姿はどこか悲しげな表情であった。
オレはZだァァーッ!!
現在
正義はどこだ?
親しい者への愛、海賊への怒り、海軍への失望、正義の味方という理想、海軍では理想を叶えられない現実。Zとはそんな苦悩と無縁な「子供が最も簡単に思い描く悪いやつを倒す正義の味方」。
しかし、そんな綺麗な正義は現実には存在しない。海軍はそんな正義の味方ではない。じゃあ正義はどこにあるのか。
おれが正義だ
おれが正義になる。おれがZになる。
そして、ゼファーはZに無縁であったはずの多くの苦悩を背負ったまま子供時代の理想であるZになろうとする。
そのギャップから「一般人を巻き込んでも海賊を滅亡させるゼファーなりのZ」が生まれたが、はたして、それは正義の味方と言えるのか。
半ば暴走のようにゼファーは自分の信念に燃える。
最後まで
全力で生きる事が自分の中のヒーローであるゼファー。全力で生き理想像であるZに近づこうとしていたが、自分が海賊のようにやりたい様にやっていることを自覚。そんなZは間違い(単純な正義の味方とはいえない)と知っているが、それは自分の信念を貫いた結果。一切反省はしない。
子供の頃の理想そのものではなくなったかもしれないが、その理想を追いかけた今の自分が自分の中のヒーローで自分にとってのZ。
ボルサリーノ達海軍の教え子と最後の闘いをした時も、あくまでZとして戦って生涯を終えたのである。
原点
映画の最後にはいじめっ子を倒し、少女の人形を取り返した子供時代の彼が出てくる。その子供時代の彼の理想“Z”には、今の“Z”を彷彿とさせる部分が多々あった。その行動の善し悪しや形はどうあれ、彼は確かに自分の理想を真っ直ぐに追いかけていたのだった。
「いつでもかかってこい!」
「おれの名は正義のヒーロー…」
「ゼ〜〜ット!!!!」
余談も見ときな
シェリー酒
Zの好物はシェリー酒。
本編の中盤でそのシェリー酒を投げ渡すクザンとそれを受け取るZの墓石前での会話は本編と企画案、小説版とではかなり差がある。
- 本編
クザンがZに酒を投げ渡した後、「ああ…一番カッコイイ酒はこれだ」とZが自身の感想を述べ、「おれもあんたの真似してよく飲みましたよ…かっこいい男になりたくてね…」とクザンが自身の思い出話を始める。
- 企画案
クザンがZに酒を投げ渡した後、「クザン こいつらを殺した奴らが今どういう顔をしてるかわかるか?」「笑ってうまい酒を飲んでるだろうよ。敵を殺し…生き残った者が正義だ」とZが歪んでしまった思想を述べ、そのまま酒を叩き割る。
クザンはその会話中ほとんど喋らない印象的な無音の描写が入れられている。
- 企画案の狙い
企画案の方はクザンとの関係や自分の正義(海賊を殺すことなく投獄したかつてのゼファー)を見失ってしまっているZを描くことで、Zにとどめをささないルフィや出航するルフィたちのための自己犠牲、映画全体のテーマやクザンのラストシーンといった部分を締める狙いがある。もし本編に入れられていれば、『ONE PIECE FILM Z』で印象的なシーンの一つになっていただろうが、残念ながら時間がないので入れられなかったとのこと。他にも時間の都合からZの印象的なシーンはいくつか削られている。
- 小説版
その一方で小説版ではシェリー酒を呑むシーンで、本来は持病の影響で医者に酒を止められていることや、グランリブートの実現を思えば大して呑みたいとも思わなくなっていたが「これは生徒(クザン)が贈ってくれた酒」だからという心情が語られ、恩師の好きな酒の銘柄を覚えていたクザンを「いい生徒だ」と評したり、最期に彼が死に場所を用意してくれた際には「病人に酒を贈った最高の教え子」とまで思いを馳せるなど、こちらはこちらで内心教え子への情を捨てきれないZの人物像を表現している。
彼と王下七武海
演習艦を襲撃した海賊の正体は劇中では明かされなかったが、七武海への加入時期や他の候補の経歴との兼ね合いから、エドワード・ウィーブルである可能性が高い(但し、『ONE PIECE FILM Z』は原作漫画とは直接繋がらない、パラレルワールドでのエピソードである可能性に注意)。
その後本編では王下七武海の制度が撤廃されることが決定し、彼の思いが一つ報われたと思われたが、剥奪された元七武海の一部によって教え子達が守るべき民衆に狙われるという地獄が作り出されるという結果になってしまう。
さらに、クザンもとある元王下七武海の男の誘いに乗っており、彼が率いる海賊団の一員になっていることも判明した。
また、同期のセンゴクもある七武海に息子同然の教え子を殺されており、正面から海のクズ共と呼ぶ程、険悪感を露わにしていたが、ゼファーの様にならず海兵で居続けた(ゼファーがこのことを知っていたかは不明)。
備考
演じる大塚芳忠は、過去にモンブラン・クリケットの先祖であるモンブラン・ノーランド役でシリーズ出演経験がある。
関連タグもあるのか…辛いな
ONEPIECE ONEPIECE FILM Z バトルスマッシャー 海導 漢 高性能じいちゃん ︎︎悲劇のヒーロー ︎︎哀しき悪役
同期
かつての教え子
ランドルフ、イスカ:ゼファーと同様に海賊のせいで家族を失って海軍の負の一面を目の当たりにした海兵達であるが、どちらも闇堕ちする事なく真っ当な人生を歩んでいた。
黒腕のヤマニンゼファー:ウマ娘プリティーダービーとのコラボタグ。
アーチャー(Fate/staynight):理想の夢を追い求め、それを手にした瞬間地獄の道を歩み始めてしまった存在。しかしそれは、最後まで夢を貫いた「正義の味方」そのもの。ゼファー自身も理想の夢を追い求め、自分の道を貫いた
ONE PIECE映画ヴィラン