概要
「劇場版ONE PIECE」シリーズの中でも、特に副題に"FILM"と名付けられる作品の総称。
最大の特徴として、原作者である尾田栄一郎が制作総指揮・総合プロデューサーとして関わり、原作本編にも関わる様なストーリーが描かれること。
ただし、留意すべき点として、映画で描かれる内容自体はあくまでもパラレルであり、決して直接関わるものではない。
特徴
従来の劇場版シリーズと比較すると、以下の様な共通点がある。
- 映画の内容が原作本編と密接に関わっている。
原作者の尾田先生が、原作本編で使用しなかった設定を使用したり、または後々登場する設定の先出しを行なっている。
前者の例としては、本シリーズ1作目のボスキャラである金獅子のシキは、本来ならば原作で登場させる予定があり、シャンクスと白ひげとの対談で名前を出すつもりだったが、諸事情から没になっていたことが明かされている。
映画公開後も、ロックス海賊団の設定が明かされた際にも名前だけだが再登場を果たしたり、四皇にまつわる設定の重要人物ともされたりと、大きく影響を与えている。
後者の例としては、ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)の隠されている島であるラフテルの綴りが判明している。
一方で本編の扱いとして、『STORNG WORLD』以外のFILMシリーズは現状はパラレルワールドである。
作者が「どの映画も無理やり本編に組み込むことはできるが、そうすると漫画を読むためには映画を観る事が義務になってしまうのであまりやりたくない。」とコメントしており、その中でも例外的に『STORNG WORLD』とシキは「元々から漫画の方にもいたキャラで、それを映画に使い、映画用に新設定した要素を漫画に逆輸入したような形になってしまった。」と語っているため、現状FILMシリーズで唯一本編としてほぼ明確に組み込まれている。
なので「ルフィと幼馴染であるシャンクスの娘ウタ」、「ナミとカリーナは東の海でライバルだった」、「元海軍大将ゼファーとその腕を切り落として七武海入りした海賊」、「ラフテルの記録指針とロジャー海賊団の一員だったバレット」、「新世界での青キジとルフィ達の面識時期」といったFILMシリーズの中で語られた本編に近しい設定も、漫画で言及がされない限りはFILMシリーズオリジナルのパラレルワールドの設定であると認識しておくこと。)
- 原作から登場するキャラが多い
これまでの劇場版では、回想シーンと原作エピソードのリメイクである『エピソードオブ』2作を除けばルフィたち麦わらの一味以外は登場しなかったが、本シリーズではゲストキャラと同じくらいかそれ以上登場する。
また上記に関連して、元帥に就任したサカズキや彼と対立して海軍大将を辞めたクザン、CP9からCP‐0に移ったブルーノとカリファなど、時系列が新世界編に移った本シリーズ2作目以降では一部キャラが原作に先駆けて、2年後の姿で再登場している。
- 映画オリジナル衣装
従来の劇場版シリーズが『ONE PIECE』という作品を多くの人に知ってもらう為の宣伝的な役割を担っていた為か、主に原作やテレビアニメと同様の衣装で登場するのに対して、本シリーズでは映画オリジナル衣装やキャラクターデザインを原作者自ら手がけている。
- 入場者特典の小冊子
上記に挙げた重要設定やオリジナル衣装のデザイン画など、主に設定資料集として配布される。
特に本シリーズ1作目の「巻零」は、映画本編や原作にもつながる第0話が原作者の描き下ろし漫画として収録されており、それまで成績面では低迷気味だった劇場版シリーズの回復に貢献。
以降、他の漫画を原作とした映画でも模倣されるようになった。(具体例は「0巻」を参照)
本シリーズでも、ストーリーやキャラにちなんだナンバリングで継続している。
- 副題が簡潔
従来の長編アニメ作品が、映画であれば『ねじまき島の冒険』や『珍獣島のチョッパー王国』の様な明るい副題をつけたり、本編の人気エピソードを抜粋して総集編化した「エピソードオブ○○」の様な副題をつけていたのに対して、本シリーズの場合は英単語やアルファベット1文字を使用するなどの副題の簡略化が行われている。
- 映画連動エピソード
前日譚となるストーリーがテレビシリーズの通常放送枠や、フジテレビの特番「土曜プレミアム」枠にて公開前後に放送される。
詳しくは「アニワン」の当該箇所を参照。
シリーズ作品
カッコ内は劇場版シリーズ全体での順番を指す
No. | タイトル | 公開日 | 備考 |
---|---|---|---|
1(10) | ONE PIECE FILM STRONG WORLD | '09/12/12 | |
2(12) | ONE PIECE FILM Z | '12/12/15 | |
3(13) | ONE PIECE FILM GOLD | '16/7/23 | |
-(14) | 劇場版 ONE PIECE STAMPEDE※ | '19/8/9 | テレビアニメ放送20周年記念 |
4(15) | ONE PIECE FILM RED | '22/8/6 | 原作連載25周年記念 |
※『STAMPEDE』では尾田先生はあくまで監修の立場であり、厳密には含まれない。
ゲストキャラクター
STRONG WORLD
金獅子海賊団を率いる、かつてゴールド・ロジャーと覇を競った大海賊。
上述の通り、原作に元々から設定として存在しており、映画用に設定を追加した上で登場し、映画設定を引っ提げて原作に帰ってきたという特殊な経緯のあるキャラクター。
FILM Z
- 黒腕のゼファー"ゼット"
ガープやセンゴクと同期の元海軍大将で、これまで登場した海兵のほとんどを育て上げた人物。
「超新星編」と「新世界編」の間に海軍を辞めてNEO海軍を立ち上げたのは、かつて自身を襲った海賊がこの時期に王下七武海入りしたのが理由だが、それが誰なのかは明言されていない。
FILM GOLD
- "黄金帝"ギルド・テゾーロ
新世界の怪物とあだ名される大富豪。
彼の経歴にはドンキホーテ・ドフラミンゴやフィッシャー・タイガーが大きな影響を与えている。
STAMPEDE
- "鬼の跡目"ダグラス・バレット
かつてロジャー海賊団に加入していたが、ワノ国編の過去回想「光月おでんの冒険」には登場していない。
FILM RED
- "世界の歌姫"ウタ
公開直前に発売されたジャンプ掲載話に彼女と思われるシルエットが登場していること、劇中でのルフィとの会話、公開後に放送されたアニメ特別編では原作第1話以前のルフィとシャンクスとの出会いを描いていることから原作本編との関係が深いと思われるが、現状ではまだ漫画内で言及がないためパラレルワールドと考えよう。