概要
歴史
2000年に第1作となる『ONE PIECE』が公開され、興行収入が20億円を超える大ヒット。
さらに翌年に公開された『ねじまき島の冒険』が前作を上回る30億円を記録したことにより、2008年までは毎年3月に新作が公開されるのが定番となった。
しかし、原作の展開と共に世界観も複雑になったことで劇場版オリジナルのストーリー制作が困難になっており、あくまでパラレルワールドとして設定せざるを得なくなっていく。また、『ねじまき島の大冒険』以降の作品では興行収入が年々減少しており、『カラクリ城のメカ巨兵』ではついに9億円にまで減少。状況打開のため、テレビ本編のエピソードを映画用にリメイクした『エピソードオブアラバスタ』、『エピソードオブチョッパー+』へと路線変更するも、状況が大幅に変化することはなかった。
転機を迎えたのは2009年公開の『FILM STRONG WORLD』。
「原作者の尾田栄一郎が総合プロデューサーを務め、ストーリー・キャラクター原案を担い、特典として漫画"0巻"が配布される」という布陣で原作ファンも呼び込み、当時の最高成績を大幅に更新する48億円を記録。
この時の原作者による特典冊子はアニメ映画の新たなヒット要因として、他のジャンプ系列の劇場版作品でも模倣されるようになった。
当初は次作の映画制作に際して原作者の続投があるかどうかと疑われたが、その3年後に公開された次作の『FILM Z』が68.7億円を記録。
これ以降はその副題から「FILMシリーズ」と呼称され、3~4年おき、かつ原作者が制作総指揮や総合プロデューサーとして関わり、特典として書き下ろしの設定資料の冊子が配布されるのが定番となっている。
2022年に、原作25周年に合わせて公開された『FILM RED』は半年近くのロングラン上映+1年後の再上映で興収206億円、海外分を含めると328億円を記録した。
特徴
麦わらの一味の中で、ルフィ、ゾロ、ナミ、ウソップ、サンジの5人は全作に登場している。※1
TVシリーズではお馴染みの大場真人によるナレーションだが、劇場版では第1作、第9作、第15作に使用されている。
劇場版のストーリー及び登場したキャラクターについては、原作の時系列と矛盾が生じないよう考慮されている作品もあるものの、基本的にパラレル扱いであり原作には一切登場しない。
これについて尾田は109巻のSBSにて「だいたいの映画はムリヤリでも組み込むことはできるんですけど、そうすると映画を観ることが義務になっちゃうので、あまり原作とつなげることはありません」と語っている。
※例外については「FILMシリーズ」の当該項目を参照。
作品一覧
No. | タイトル | 公開日 | 注釈 |
---|---|---|---|
1 | ONE PIECE | 2000年3月4日 | ※2 |
2 | ONE PIECE ねじまき島の冒険
| 2001年3月3日 | ※2 |
3 | ONE PIECE 珍獣島のチョッパー王国
| 2002年3月2日 | ※2 |
4 | ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険 | 2003年3月1日 | |
5 | ONE PIECE 呪われた聖剣
| 2004年3月6日 | |
6 | ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島 | 2005年3月5日 | |
7 | ONE PIECE THE MOVIE カラクリ城のメカ巨兵 | 2006年3月4日 | |
8 | ONE PIECE エピソード オブ アラバスタ 砂漠の王女と海賊たち | 2007年3月3日 | ※3 |
9 | ONE PIECE エピソード オブ チョッパー+ 冬に咲く、奇跡の桜 | 2008年3月1日 | ※3 |
10 | ONE PIECE FILM STRONG WORLD | 2009年12月12日 | |
11 | ONE PIECE 3D 麦わらチェイス | 2011年3月19日 | ※4 |
12 | ONE PIECE FILM Z | 2012年12月15日 | |
13 | ONE PIECE FILM GOLD | 2016年7月23日 | |
14 | 劇場版 ONE PIECE STAMPEDE | 2019年8月9日 | ※5 |
15 | ONE PIECE FILM RED | 2022年8月6日 |
※1 - サンジは第1作ではエンディングのみ登場。
※2 - 東映アニメフェア内での公開。
※3 - 原作ストーリーのリメイク版。
※4 - シリーズ初のフル3D作品で、上映時間30分の短編作品。劇場版トリコとの同時上映。
※5 - 題名に"FILM"と付いていないものの、原作者監修の作品であり、例外的に「FILMシリーズ」に含まれる。
余談
声優
テレビアニメで初代ミホーク役だった青野武は、第1作から第10作までの常連として様々な役で参加していた。
劇場版のゲストキャラを演じた声優で、内海賢二(第1作のエルドラゴ)や宮本充(『デッドエンドの冒険』のシュライヤ・バスクード)のように、1作限りの出演となった方も多い中、多くは後に原作のキャラの声を担当している。
- 『ねじまき島の冒険』
- 『珍獣島のチョッパー王国』
- 『STRONG WORLD』
- 中尾隆聖:Dr.インディゴ → シーザー・クラウン
- 水田わさび:シャオ → シャーロット・アマンド
一方でその逆もいる。
- 大塚芳忠:モンブラン・ノーランド → ゼファー@『Z』
- 山路和弘:セニョール・ピンク → ギルド・テゾーロ@『GOLD』
- 津田健次郎:ヴィンスモーク・ヨンジ → ゴードン@『RED』
また麦わらの一味以外の原作キャラの登場が増えた近年、特にオールスターと銘打たれた『STAMPEDE』では、過去にゲスト出演した声優がテレビシリーズでの持ち役として再び映画に出演する例も増えている。
- 関智一:ヘビー総裁@『珍獣島』→ ロブ・ルッチ@『GOLD』~『RED』
- 立木文彦:ラコス@『呪われた聖剣』→ サカズキ@『Z』~『RED』
- 佐々木誠二:ビスマルク(同上)→ ブルーノ@『RED』
- 大塚明夫:オマツリ男爵 → マーシャル・D・ティーチ@『STAMPEDE』
- 土井美加:シャオの母@『STRONG WORLD』→コビー@『Z』『STAMPEDE』『RED』
ゲストにまで広げると、『STRONG WORLD』でシキを演じた竹中直人はその後の『GOLD』『STAMPEDE』『RED』にもそれぞれチョイ役で出ている。