スクラッチメン・アプー
すくらっちめんあぷー
「届いてるか───!?この音楽 聞こえてたらステイチューン!!」
「エッビッバッリー!! 聴いてけ“戦う音楽”♬ スクラ~~~~~~ッチ!!!」
オンエア海賊団船長。シャボンディ諸島で「11人の超新星」と呼ばれるルーキーの一人として登場した海賊。
2年後は「最悪の世代」に名を連ねており、四皇“百獣のカイドウ”率いる百獣海賊団の情報屋及び古代巨人族"ナンバーズ"の調教師として活動していた。
一人称は「オラッチ」。「アッパッパッパッパ!!」という独特な笑い方が特徴。
手長族で、腕の関節が普通の人間より一つ多い。
名前の由来は、19世紀の中国の海賊『チュイ・アプー(除亞保)(?〜1851年)』
性格
「ケンカなら“壁”の向こうへお預けにしようぜ なァおい オラッチの強さ知らねェな?」
陽気で目立ちたがりな性格。道中で遭遇した海賊や海兵にちょっかいを掛けるのが大好きで、戦えば絶対に勝てないと分かっているような相手にも自分から手を出し、態々怒らせてから逃げるという悪癖を持っている。
その癖を船員達から咎められる事もあるが、全く意に介していない様子。当然ながらこの悪癖のせいで自分から不利な状況を作ってしまう事もある。
一方、意外にも狡猾な策略家でもあり、希望的な観測や目先の利益に囚われず現実的に物事を考えるタイプでもある。あくまで自分の身を最優先とし、勝算のない(または失われた)ケンカには速攻で見切りをつけて、卑怯なコウモリ的な振舞いを連発する事も厭わない。
同盟を組むと見せかけて相手を陥れたのもその一環で、「おれ達が手を組んだ程度で…!!『四皇』を一角でも潰せたと思うか?」「そもそも海賊の同盟がハッピーエンドを迎える事はねェんだ!!!」など、ワノ国編の鬼ヶ島では因縁の再開を果たしたキッドに対して笑いながらも至極真面目な顔付きで「現実に気づけ!!!」と声を荒げる一幕もあった。
ただ本人から野心が消えたわけでは決してなく、逆に言えば"勝算"や"勝ち逃げの好機"が見えれば、服従を誓った強者であろうが平然と再度の寝返りも行うなど、この男の辞書に忠誠や生き恥という文字は存在しない。
シャッキーによれば、ルフィ・キッド・ホーキンス・ドレーク・ローの5人と比べると、新聞に大きく載るような事件を起こした事は少ないらしく、彼等程の話題性は無かった様だが、それでも初登場の時点で2億近い懸賞金を掛けられており、決して運だけでシャボンディ諸島に到達した様な人物では無い事が窺える。そして後述するように奇想天外な戦闘能力を持っており、戦闘力も決して低くない。
悪魔の実
「オ〜〜!! やっぱりその気か!!! 用意はあるぜ きてみろ!! チェケラ〜〜!!」
頭部はシンバル、歯はピアノの鍵盤、腕はクラリネット、胸は太鼓、手首は弦楽器。全身の汎ゆる箇所を様々な楽器に変化させ、自らの体で多彩な音楽を奏でる能力を持つ。
他にも103巻SBSによる図解では、辮髪はホルン、両肩はタンバリン、右腕はギター、ベースギター、バイオリンの弓、右肘(アプー視点で1番目)はマラカス、右手はカスタネット、左腕~左肘(アプー視点で2番目)はトランペット、左手は笛、腹部はドラム、下腹部はアコーディオン、右脚はターンテーブルとスピーカー、左脚はバイオリン、股間はトライアングルに変化させられるとの事。
アプーの能力の真骨頂は「音から連想される事象をそのまま攻撃に転ずる」という特性にあり、本人はこの特性から自身の能力を"戦う音楽"と称している。
ただし、シンプルな遠距離攻撃ではなく、攻撃の根源が目に見えない「音」であるため、攻撃の軌道を捉えるのは至難の業。その為回避も難しく、敵に回すと非常に厄介な相手である。
また、少し先の未来が見える男と見聞色の覇気で渡り合ったルフィですら、一瞬ながらも白目を剥くほどの攻撃を喰らっているので、そもそも予測や回避が無意味な攻撃であるともいえる(未来が見えても楽器を鳴らしているアプーの姿しか見えない為、それで何をする、行われているのかまでは殆ど分からない)。
そして照準は目線であるため、アプーが視認できる範囲が射程距離内でもある。照準外の人間には聞こえても害を及ぼさないため、無差別攻撃もない。
しかし、自分の体で奏でた音が相手の耳に聞こえないと効果が発揮されないという大きな弱点がある。その為、その能力の概要を知っている相手には耳を塞ぐ、大きく距離を離すなどの比較的簡単な対策で攻撃を防がれてしまう。特に防音に長けたナギナギの実や、耳栓、防音壁などを作成可能なモチモチの実の能力者などは天敵となり得る。
その他、元から聴覚より他の五感が発達している生物や音が全く聞こえない生物が相手でも不利になり得る(実際、作中では嗅覚が鋭敏な猪の群れに追いかけられ、焦っている描写が描かれていた)。
また、照準が目線であるため、発動時に大きく体をずらせば回避できる。視認できなければならないためスケスケの実の能力者や、剃など目にも留まらぬ速さで動ける人間相手にも効かない。
ただ、逆に言えば音が聞こえる範囲全てがアプーの攻撃範囲である上に攻撃力そのものはかなり高いため、恐ろしい能力である事は間違いない。どちらかと言えば初対面の相手や奇襲戦法などに向いた能力と言えるだろう。また、対策がわかっていても準備が足りなければ距離をとるか、自分で耳を塞ぐか鼓膜を破るなどして行動に大きく制限がかかるため、その点も厄介さに拍車をかける。
また、劇中ではこの能力を駆使して百獣海賊団のナンバーズを従えている様子。
基礎戦闘力
能力だけに頼らず、トンファーを武器として近接戦闘もこなせる。手長族の特性上、基本的なリーチにおいては常人(他種族)よりも有利であり、手練れ二人の同時攻撃を捌くなど、実力は決して並ではない。新世界進出後には武装色の覇気も身につけたようである。
また動物系の能力者に匹敵する体力及び耐久力を持っており、キッドの磁気弦やゾロの居合の一撃、恐竜状態のドレークによる噛みつきやCP-0の指銃を受けても立ち上がって戦闘を再開できるほどである。
技
技名は基本楽器を鳴らした際に出る音を漢字で表現したもので、以下のように文字と同様の効果が発生する。またアプーが技名を叫ぶ際は♪や♬といった音符が付く。
- 斬(シャーン)
頭をシンバルのように叩き鳴らし、斬撃の効果を持つ音波を飛ばす。
その切れ味は並みの刃物より鋭く、自然系能力者の腕を本人が反応する前に容易く切り飛ばし、頑強に鍛え抜かれたゾロの肉体にも傷をつけ出血させた。
- 爆(ドーン)
胸を太鼓のように叩き鳴らし、対象を爆破する。
自然系の能力者であれば体がバラバラになってしまうほどの威力を持つ。
- 殴(ボン)
手首から弦のようなものを出し、弾いて対象に強い衝撃波を与える。
一撃でルフィを吹き飛ばすほどの威力を持つ。
第1部・サバイバルの海 超新星編
シャボンディ諸島編
シャボンディ諸島では、キッドに対して挑発するような視線を向けたらしく、一時は一触即発の空気を漂わせたが、結局キッドを挑発しただけでその場から逃亡した模様。その直後、道中で天竜人のチャルロス聖とロロノア・ゾロに遭遇、天竜人に斬りかかろうとしたゾロには流石に焦りを見せ、その行動と「もの凄ェ」殺気を「獣だ ありゃ」と評した。
その後、ルフィがチャルロス聖をぶっ飛ばし、諸島が海軍部隊の襲来で大混乱に陥る中、アプーの取った行動は何と「海軍大将の見学」。態々最前線まで出向き、襲来したパシフィスタや黄猿とドレーク、ホーキンス、ウルージの乱戦を24番GRの建物の屋上から見物していた。ホーキンス達が猛攻撃を受けて劣勢になった所で突如として演奏を開始。そのまま戦闘に発展し一度は黄猿の体をバラバラに吹き飛ばし、直ぐ様逃げようとしたが、即座に“ピカピカの実”によって復活した黄猿から報復の蹴撃を頭部に受けて建物ごと倒されてしまった。
しかし戦桃丸からの通信を受けて黄猿がその場を離れたため、幸運にも止めを刺される事も連行される事も無く諸島からの脱出に成功。
マリンフォード頂上戦争編
頂上戦争の一部始終をシャボンディ諸島にて見届ける。海軍と“白ひげ”が黙約を交わしていた件について、映像電伝虫のトラブルで映像が途切れた事に「バッカだなァおめェらは…見せたくねえェモンがあるから見せねェんだよ “世間”と“海賊達”になァ……!!」との言葉を残した。
頂上戦争の終結後、新世界へ突入。…したのだが、上陸した春島に生息していたイノシシに敵わず、島中を逃げ回る羽目になった。
第2部・最後の海 新世界編
パンクハザード編
キッド・ホーキンスと共に海賊同盟を結成する。最初はキッド海賊団の隠れ家を「狙撃手でも仕込んでんじゃねェかと」思い「用心」で滅茶苦茶にし、再びキッドを挑発するような態度を取り、ホーキンスも早々に帰ろうとするなど話し合いをする前に空中分解寸前だったが、キラーが仲介役となった事もあって最終的に同盟は結ばれた。3つの海賊団は標的を四皇“赤髪のシャンクス”に定め、いざ本格的な行動に移ろうとしたが、その直後、空島「廃虚バロンターミナル」からの投身自殺に失敗した“百獣のカイドウ”が彼らの前に立ちはだかった。
ワノ国編
第二幕
ホーキンスの発言から、彼と同様カイドウに傘下に入っていることが判明。しかし、やむなく傘下に入ったホーキンスと違い、アプーの場合は同盟結成以前より百獣海賊団の傘下に入っており、海賊同盟を結ぼうとしたのもキッド海賊団とホーキンス海賊団を罠にはめるためだった。
一方、当の本人は年に一度の火祭りの夜の宴“金色神楽”に参加するため、ナンバーズらと共にワノ国に帰還している。
第三幕
金色神楽ではDJを担当し、クイーンと共に会場を盛り上げていた。
ルフィとゾロが会場に乱入してきた際は、自身の能力で彼等を苦戦させるも、海賊同盟の一件で自分達を罠に嵌めたアプーの姿を目撃し怒りを再燃させたキッドから“磁気弦(パンクギブソン)”の強烈な一撃を受けてしまう。
キッドから「お前は率先しておれ達の『同盟』に乗ってきた すぐに気づくべきだった…!! お前がすでにカイドウの『情報屋』だった事に!!!」と言われた際は、上述の台詞でキッドを罵倒して“斬”で反撃し、そのままルフィ達にも再度“爆”を仕掛けるも、キラーのアドバイスを受けたルフィ達に攻撃を無効化される。
その後、次々に倒されていくナンバーズの姿を見て嘆き、まだ動けるナンバーズをドーム内に呼び寄せようとする中、ドレークが裏切って麦わらの一味に味方した事を知り、「弱小海賊団に寄生するのか」とドレークを挑発する。しかしその挑発が原因で、元々アプーの事が嫌いだったドレークと、自分達の事を「弱小海賊団」呼ばわりされ怒ったゾロの一時共闘が成立してしまった。
さらに、クイーンが用意した細菌兵器「氷鬼」によって敵味方問わず感染が広がり始めた際は、自分は巻き込まれまいとそのフロアから逃走を図るも、それを見越していたクイーンから「氷鬼」の抗体を渡され、続けて「奪われたら惨殺の刑だぞお前…!!」と容赦の無い指令が下される。結果、「氷鬼」の感染者が死亡するまでのタイムリミットである一時間が経過するまで、敵からも味方からも逃げ続けなければならない状況に陥ってしまい、これには流石のアプーもクイーンに向かって「イカれすぎだろてめー!!!」と怒鳴り散らした。
その後は抗体を奪われまいとゾロとドレークの猛攻を凌ぎ続けたが、ライブフロアの天井の穴から落ちて来た菊の丞の腕を見て奮起したゾロの居合いの一撃で斬り伏せられ、抗体を奪われた為、すぐに抗体を取り戻そうとゾロに襲い掛かるも、恐竜形態となったドレークに噛みつかれ投げ飛ばされてしまった。ただしそれでも再び立ち上がりドレークと交戦。しかしゾロから抗体を受け取ったチョッパーが抗体の複製に成功し、フロア全体に一斉に散布する手段をとったため、抗体の奪還には失敗してしまった。
氷鬼の騒動が終わった後、アプーはナンバーズの一美、二牙、三鬼がいる岩戸の間までドレークを誘導。裏切ったドレーク以外の飛び六胞が全滅し、どちらが勝っても満身創痍になる状況から四皇を討てる好機を見出したアプーはドレークを海軍のスパイだと看破したうえで戦いが終わった後に漁夫の利を得るための同盟を提案する。
しかし散々他人の怒り及び恨みを買ってきたアプーが信用されることはなく、ドレークに同盟を即座に断られて戦闘が再開し、能力の照準を見切られてしまう。
だが、岩戸の間に武器庫へ急ぐヤマトが乱入したことで戦闘は中断。アプーはドレークからヤマトに鞍替えすることを考えたが、ヤマトがアプーに耳を貸すことはなく、更に二牙が突然ヤマトを追いかけ始めたため、一美と三鬼を連れてヤマト追うことになる。
その後ヤマトを追いかける途中でCP-0と遭遇。世界政府の諜報機関が四皇カイドウの城に来ている証拠写真を撮るが、その行動がCP-0に喧嘩を売る結果になり、指銃を受ける。だがアプーはダウンすることなく能力で反撃し、追ってきたドレークと呉越同舟でCP-0相手に共闘することになる。
しかしミンク族の戦士達からは異常な強さと評される程の戦闘力を持つCP-0には力及ばず、三鬼共々ドレークが敗北した為、危険を感じてドレークと三鬼を見捨てて逃走する事となった。
その後規模が拡大した火事によって窮地に陥るも雷ぞうの策によって火は鎮まったため、事なきを得る。そして屋上ではカイドウがルフィによって撃破されたことで鬼ヶ島の決戦は終幕。
アプーは持ち前の持久力と軽薄さを活かしながら周到な立ち回りをした結果、敵対勢力の幹部格の人物の中で唯一決戦を最後まで生き延びた。
このいっそ清々しい程に尻軽な彼のスタンスは、敗死を悟っていても二度の裏切りはできず殉じたホーキンスとは対照的と言える。
決戦後は新たに発行された手配書と新聞を持ち込み、ナンバーズの一美と共にのうのうと連合の前に姿を現す。キッドからは軽蔑する目で見られたが、特に攻撃を仕掛けられることは無かった。
元々敵対していたこともあり、花の都の宴には参加しなかった模様。
手配書やチラシを見せた後はさっさと撤退した。
- 能力
ネットではその能力から「ガキガキの実」の「楽器人間」ではないかといわれていたが、後に「オトオトの実」の「音人間」と判明した。
また、ルフィとゾロに攻撃を仕掛けた際に重低音という言葉を発しており、能力に関してまだ隠し玉を持っている可能性がある。
- クイーン
カイドウを筆頭に火災のキングや旱害のジャック、ホーキンスやドレークといった戦闘狂や堅物が多い印象がある百獣海賊団だが、大看板の一人である疫災のクイーンはミュージカルでの登場やノリの良さなどアプーに近しいコミカルなところが多い。そのため彼ら二人は気が合うのではないかという意見があり、実際クイーンからはブラザーと呼ばれている。
しかし上述の通り、クイーンはアプーに対しても全く容赦のない一面を見せており、アプーもそんな彼に怒りの声を挙げている。相手をおちょくって楽しみ、目的の為なら裏切りも平気で行うアプーの事は、クイーンも心からは信用していなかったのかもしれない。
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