曖昧さ回避
「光子」表記の事物
- 光子 (こうし) ― 本項で解説。素粒子の1つ。
- 光子 (ひかりこ) ― 『東方Project』の幻想郷四面中ボス及び怪綺談三面中ボスにつけられた名前。詳しくは該当項目を参照。
- 光子 (みつこ) ― 日本人の女性名。
光子を含む人物名
実在の人物
架空の人物
その他
- 泉光子郎 (デジモンアドベンチャー)
- 照光子 (ビックリマン)
- 銀河眼の光子竜、超銀河眼の光子龍、輝光子パラディオス、No.62銀河眼の光子竜皇 (遊☆戯☆王シリーズ)
- 光子力ビーム、光子力研究所 (マジンガーZ)
概要
光子 (Photon) はボース粒子に分類される素粒子の1つであり、標準模型において基本相互作用の1つである電磁相互作用を伝達するゲージ粒子である。また、光を含む電磁波の量子でもある。記号はγであり、日本語では時に英語をカタカナ転写したフォトンでも呼ばれる。電荷と質量はゼロであり、常に真空中で光速度で移動する。
名称 | 光子 |
---|---|
記号 | γ |
組成 | 素粒子 |
粒子統計 | ボース粒子 |
グループ | ゲージ粒子 |
電磁相互作用 | 伝達する |
弱い相互作用 | 作用する |
強い相互作用 | 作用しない |
重力相互作用 | 作用しない |
質量 | 0 (1×10^-18 eV/c^2以下) |
平均寿命 | 安定 |
スピン | 1 |
フレーバー量子数 | 無し |
電荷 | 0 (1×10^-35e以下) |
色荷 | 持たない |
弱アイソスピン | 0 |
弱超電荷 | 0 |
X荷 | 0 |
B - L | 0 |
パリティ | -1 |
Cパリティ | -1 |
反粒子 | 自分自身 |
超対称性粒子 | フォティーノ (γ~) |
理論化 / 発見 | 1905年 / 1922年 |
歴史
光が何で出来ているかは、物理学においての長年の謎であった。18世紀末までに光は粒で出来ているという「光粒子説」と、光は波で出来ているという「光波動説」の両方が出揃っていたが、その時点までは光粒子説がやや優勢であった。しかしながら1805年、トーマス・ヤングが二重スリットに光を通すと干渉縞が生ずる事を発見。これは光が波動でないと説明ができない現象であった。また、1864年にジェームズ・マクスウェルが電磁場の振る舞いを記述する「マクスウェル方程式」を確立。電磁波の存在を予言し、1888年にハインリヒ・ヘルツがそれを発見した事で、物理学者の間では光波動説に偏りつつあった。
一方で、1859年から1900年にかけてグスタフ・キルヒホフやマックス・プランクが理論の確立に関わった「黒体放射」や、1888年にヴィルヘルム・ハルヴァックスによって発見され、その後フィリップ・レーナルトによって詳細が突き詰められた「光電効果」など、光が粒子とするならば説明がつくが、光が波動とすると説明がつかない現象も新たに発見された。
光の正体に最初に辿り着いたのはアルベルト・アインシュタインで、1905年に「光量子仮説」を発表。光は粒子と波動のいずれかではなく、その両方の性質を併せ持つ量子であるという結論を導いた。1918年頃から、後に「コンプトン効果」と呼ばれる現象をアーサー・コンプトンが研究し、1922年に光量子仮説によってコンプトン効果が説明づくという最終的な結論を発表した。光量子仮説の正しさが証明された事により、アインシュタインは同年ノーベル物理学賞を受賞している (なお、アインシュタインの受賞は1922年であるが、ふさわしい候補者がおらず保留とされた1921年受賞分が割り当てられている) 。量子としての「光子 (Photon)」の名前は、1928年にコンプトンによってギリシャ語で光を意味する "φῶς" より命名された。
性質
光子は理論上、電荷と質量が共にゼロの素粒子である。実験値はどちらも観測限界までゼロ以上の値を示さない事が判明している。質量がゼロの粒子は、真空中では必ず光速度c=299792458m/sで運動する事になり、これも実験によって確かめられている。物質中では、物質との干渉が生じてcより遅い運動となる。粒子と反粒子の対消滅では、少なくとも2個の光子が生成される過程から、光子は自分自身が反粒子であるとみなされる素粒子の1つである。
光子はゲージ粒子であり、電荷がある粒子同士で作用する電磁相互作用を媒介する。他のゲージ粒子と同じく、相互作用は仮想光子のやり取りで行われると解される。また、高エネルギーでは弱い相互作用と統合され、Wボソン及びZボソンと共に電弱相互作用のゲージ粒子となる。
光子が持つエネルギーは、周波数とプランク定数の単純な掛け算 E=hν によって算出される。エネルギーは E=mc^2 により質量へと変換可能であり、2019年5月20日からのキログラムの定義はこれに基づいている。
量子もつれを利用した量子コンピュータの研究では、光子が非常に高速な運用を可能にする為の要素として標準化されている。ただし、実用化においては光子は扱いづらい側面もあり、原子がその代替をする事もしばしばある。