解説
岐阜県(それも雪のほとんど積もらない南東部・土岐市)出身なのに何故か(厳しい冬や大雪を耐え抜いて来ている)北海道民と間違われる稀有な人。
その口調や仕草など強烈な個性でヤクザから一家庭の父親まで、幅広い役柄を演じられる超個性派俳優。その個性の強さから、彼のものまねをするタレントも数多くいる。
来歴
岐阜県土岐市の美濃焼の窯元の家に生まれる。
短大卒業後に代用教員をしていたが教員としての自信がなく辞めようと決意、一念発起してかつて志した役者の道を目指す。
俳優座養成所に3回挑戦し47人中3人の狭き門を突破して合格。同期に井川比佐志、露口茂、山本學、水野久美らがいる。
1957年に『純愛物語』でデビュー。アクの強い風貌からチンピラ役や殺し屋役を多く演じる。
『若大将シリーズ』で演じた青大将こと石山新次郎は若大将をライバル視するがいつも軽くいなされてしまうコミカルな憎めない役柄で好評となりシリーズのレギュラーとなった。
岡本喜八監督にも気に入られ「喜八ファミリー」の一員として11作に出演。『近頃なぜかチャールストン』は数少ない主演作である。
『網走番外地』シリーズでは高倉健を慕う舎弟をコミカルに演じた一方、『仁義なき戦い』ではずる賢いヤクザを演じるなど幅広い活躍を見せる。
このようにアウトロー役に定評があったが『北の国から』の黒板五郎役から素朴な父親役の印象が全国的に知られる。
大正製薬の「大正漢方胃腸薬」の「食べる前に、飲む!」は氏の出演CMで使われた決め台詞に由来する。
2010年の『最後の忠臣蔵』出演を最後に体力的な限界から事実上の引退状態となり、介護施設への出入りを繰り返していた。
2021年3月24日、老衰のため死去。
主な出演作品
映画
- 『人間の条件』(1959年):小原二等兵
- 『若大将シリーズ』(1961-1971年):石山新次郎(青大将)
- 『椿三十郎』(1962年):保川邦衛
- 『どぶ鼠作戦』(1962年):穴山上等兵
- 『網走番外地』(1965-1972年)
- 日本一シリーズ
- 『日本一のゴリガン男』(1966年)
- 『日本一のショック男』(1971年)
- 『若者たち』(1967年):佐藤太郎
- 男はつらいよ
- 『男はつらいよ 奮闘編』(1971年):福士先生
- 『男はつらいよ 寅次郎紅の花』(1995年):船長
- 『仁義なき戦い』(1973-1974年):槇原政吉
- 『ルパン三世 念力珍作戦』(1974年):次元大介
- 『新幹線大爆破』(1975年):古賀の兄
- 『トラック野郎・爆走一番星』(1975年):ボルサリーノ2
- 『姿三四郎』(1977年):安吉
- 『ダイナマイトどんどん』(1978年):芦刈の作蔵
- 『野性の証明』(1978年):バーのマスター
- 『近頃なぜかチャールストン』(1981年):陸軍大臣
- 『私をスキーに連れてって』(1987年):田山雄一郎
- 『学校』(1993年):イノさん
テレビドラマ
主な出演CM
余談
個性的な風貌からモデルになったキャラクターも多い。
- 『ONEPIECE』
「黄猿」ことボルサリーノのモデルは『仁義なき戦い』で田中が演じた槇原政吉。名前の由来は『トラック野郎』で演じたボルサリーノ2である。
- 『土竜の唄』
谷袋署の署長酒見路夫のモデル。
- 『おやこ刑事』
東京中央新聞記者・片桐志郎のモデル。