概要
渡航による日本のライトノベル。イラストはぽんかん⑧が担当。2011年から2021年に渡り本編全14巻(番外編である「〜.5巻」含めると全18巻)が小学館ガガガ文庫より刊行された。
3巻、7巻、6.5巻にはドラマCD付き特装版が、4巻、8巻にはイラスト集付き特装版がそれぞれ発売された。
三度のアニメ化・ゲーム化がなされた。また二種類のコミカライズが行われている。
正式タイトル『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』は句点含めて20文字と非常に長いため、著者の公式Twitterアカウントを用いて略称が募集され、その中から『俺ガイル』と『はまち』が選ばれた。
現在は『俺ガイル』が主流であり、公式でもこちらが使用されている。
英語版でのタイトルは『My youth romantic comedy is wrong as I expected.』。
中国版でのタイトルは『果然我的青春恋爱喜剧搞错了。』。
あらすじ
友達が1人もおらず、また作ろうとも思わない捻くれた高校生である主人公、比企谷八幡は生活指導担当の教師、平塚静に目をつけられ、才色兼備だが孤立している少女、雪ノ下雪乃が部長を務める「奉仕部」に入部させられてしまう。
奉仕部は生徒の問題を解決する手助けをする部であり、表立ってはその活動が明らかにされておらず平塚先生など奉仕部関係者を通じて生徒がやってくる。
リア充グループに所属するも周囲の目を窺ってしまう悩みを持つ由比ヶ浜結衣、あざとい後輩一色いろはなどの問題を解決していくうちに、否応なしに八幡の高校生活は変化を見せることになっていく…
作風
平坂読の『僕は友達が少ない』を筆頭とするいわゆる「残念系ラブコメ」を目指し書かれており、第1巻の帯には平坂読からの推薦文が掲載されている。
だがスクールカーストが一つのテーマであるなどライトノベルの中ではリアリティのある描写が多く、特に後半に進むにつれてラブコメよりも青春群像小説としての色が濃くなる。これは登場人物にも反映されており、初期の脇役キャラクターはテンプレートな人物だったが(オタクな材木座義輝や男の娘戸塚彩加など)後半になるとイラストも含め現実よりなキャラクターになっていく。(折本かおりや相模南など)
作中にはミスリードを誘う叙述トリックが非常に多く、ミステリー小説の様相も呈する。物語はInterludeなど極一部分を除いて主人公「比企谷八幡」の一人称で進む。その為、読者は八幡の視点と主観越しにしか物語を観測できない。
そしてタイトル通り、八幡の主観は自覚・無自覚問わず誤解や偏見の混じった「まちがっている」(信頼できない語り手)ものの場合がある。さらに「信頼できない語り手」は八幡以外にもおり、その存在が更に読者を惑わせるようになっている。
評価
『このライトノベルがすごい!』作品部門で2014~2016年にかけて3年連続第1位を受賞し、初となる殿堂入りを果たした。
2015年度は好きなキャラクター部門でも主人公の八幡とヒロインの雪乃が男女それぞれで1位を獲得し、3冠を達成している。
また「SUGOI JAPAN Award2015」のラノベ部門1位を獲得している。
いわゆる青春系のライトノベルでは高い評価と売り上げを誇っていた人気シリーズであり、ガガガ文庫では看板作品扱いであった。
主な登場人物
奉仕部
主人公。独自のひねくれた思考回路で周囲とは距離を置くぼっち。
奉仕部の部長。常に正しさを貫こうとする完璧美少女。
八幡のクラスメイト。見た目はギャル風で明るく振る舞うが、常にまわりの空気を読んで合わせてしまう。
奉仕部の関係者
サッカー部でマネージャーを務める後輩。生徒会選挙にまつわる依頼で奉仕部と関わるようになる。
奉仕部の顧問。八幡たちを見守る教師。
雪乃の姉。神出鬼没で、奉仕部の人間関係を引っ掻き回す。
八幡の妹。時にぞんざいに、時に親身に兄を支える。
八幡の友人(?)。中二病気質で、作家志望。
八幡のクラスメイト。見た目は可愛らしいが男。
八幡のクラスメイト。威圧的な雰囲気を持っているが、根は家族思い。
2年F組
(葉山グループ)
八幡のクラスメイト。クラスの中心に立つイケメン。
八幡のクラスメイト。威圧的だが、面倒見は良い。
(相模グループ)
生徒会
海浜総合高校
その他
アニメ
1期
2013年4月から同年6月にかけて放送。
アニメーション制作はブレインズ・ベース。
全12話+番外編1話+OVA1話で、原作1~6巻+αの内容を描いているが、3巻以降で奉仕部と関連の薄いエピソードはバッサリとカットされている。
とはいえ、内容はしっかりと纏まっており、作品の評価も上々。なにより、このアニメ化により作品の知名度・注目度が大きく上がった。
2015年3月にBlu-ray-BOXが発売されたが、OVAは収録されていない。
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | こうして彼らのまちがった青春が始まる。 |
第2話 | きっと、誰しも等し並みに悩みを抱えている。 |
第3話 | たまにラブコメの神様はいいことをする。 |
第4話 | つまり、彼は友達が少ない。 |
第5話 | またしても、彼は元来た道へ引き返す。 |
第6話 | ようやく彼と彼女の始まりが終わる。 |
第7話 | ともあれ、夏休みなのに休めないのは何かおかしい。 |
第8話 | いずれ彼ら彼女らは真実を知る。 |
第9話 | 三度(みたび)、彼は元来た道へ引き返す。 |
第10話 | 依然として彼らの距離は変わらずに、祭りはもうすぐカーニバる。 |
第11話 | そして、それぞれの舞台の幕が上がり、祭りは最高にフェスティバっている。 |
第12話 | それでも彼と彼女と彼女の青春はまちがい続ける。 |
番外編 | だから、彼らの祭りは終わらない。 |
OVA | こちらとしても彼ら彼女らの行く末に幸多からんことを願わざるを得ない。 |
2期
2014年4月に製作決定が発表された。
タイトルは『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』。
アニメーション制作はfeel.で2015年4月から同年6月にかけて放送。
全13話+OVA1話で、原作7~11巻(7.5巻、6.5巻は除く)の内容を描いており、ギャグが多めだった1期に比べ2期以降はシリアス展開が濃くなっていく。
特に11巻は放送中に発売されたため、若干先行する形となった。
なお、最終回は中途半端な終わり方に見えるが、原作準拠である。
2017年10月にはBlu-ray-BOXが発売されたが、こちらもOVAは省かれている。
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | 何故、彼らが奉仕部に来たのか誰も知らない。 |
第2話 | 彼と彼女の告白は誰にも届かない。 |
第3話 | 静かに、雪ノ下雪乃は決意する。 |
第4話 | そして、由比ヶ浜結衣は宣言する。 |
第5話 | その部屋には、紅茶の香りはもうしない。 |
第6話 | つつがなく、会議は踊り、されど進まず。 |
第7話 | されど、その部屋は終わらぬ日常を演じ続ける。 |
第8話 | それでも、比企谷八幡は。 |
第9話 | そして、雪ノ下雪乃は。 |
第10話 | それぞれの、掌の中の灯が照らすものは。 |
第11話 | いつでも、葉山隼人は期待に応えている。 |
第12話 | 未だ、彼の求める答えには手が届かず、本物はまちがい続ける。 |
第13話 | 春は、降り積もる雪の下にて結われ、芽吹き始める。 |
OVA | きっと、女の子はお砂糖とスパイスと素敵な何かでできている。 |
3期
2019年3月に製作発表された。
タイトルは『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』。
アニメーション制作は2期から引き続きfeel.が担当する。
2020年4月放送開始予定だったが、新型コロナウイルスの影響で同年7月からに放送延期となった。
全12話で、原作12~14巻の内容を描いた。
いずれもネット局は基本的にはTBS、CBC、MBS、BS-TBSだが、シリーズによって一部増加している。
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | やがて、季節は移ろい、雪は解けゆく。 |
第2話 | 今日まで、その鍵には一度も触れたことがない。 |
第3話 | やはり、一色いろはは最強の後輩である。 |
第4話 | ふと、由比ヶ浜結衣は未来に思いを馳せる。 |
第5話 | しみじみと、平塚静はいつかの昔を懐かしむ。 |
第6話 | あらためて、比企谷八幡はかたりかける。 |
第7話 | 最後まで、由比ヶ浜結衣は見守り続ける。 |
第8話 | せめて、もうまちがえたくないと願いながら。 |
第9話 | きっと、その香りをかぐたびに、思い出す季節がある。 |
第10話 | 颯爽と、平塚静は前を歩く。 |
第11話 | 想いは、触れた熱だけが確かに伝えている。 |
第12話 | やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 |
OVA | だから、思春期は終わらずに、青春は続いていく。 |
主題歌
オープニングテーマ
「ユキトキ」(1期、2期第10話挿入歌、3期第12話エンディングテーマ)
歌 - やなぎなぎ
「春擬き」(2期)
歌 - やなぎなぎ
「芽ぐみの雨」(3期)
歌 - やなぎなぎ
エンディングテーマ
「Hello Alone」(1期)
歌 - 雪ノ下雪乃(CV:早見沙織)&由比ヶ浜結衣(CV:東山奈央)
「Hello Alone-Yui Ballade-」(1期第5話、2期第13話挿入歌)
「Hello Alone -Band arrange-」(1期番外編)
歌 - 雪ノ下雪乃(CV:早見沙織)&由比ヶ浜結衣(CV:東山奈央)
「エブリデイワールド」(2期)
歌 - 雪ノ下雪乃(CV:早見沙織)&由比ヶ浜結衣(CV:東山奈央)
「エブリデイワールド-Ballade Arrange-Yukino Solo Ver.」(2期第7話)
「エブリデイワールド-Ballade Arrange-Yui Solo Ver.」(2期第12話)
「ダイヤモンドの純度」(3期)
歌 - 雪ノ下雪乃(CV:早見沙織)&由比ヶ浜結衣(CV:東山奈央)
「ダイヤモンドの純度 ~Yui Ballade~」(3期第4話)
「ダイヤモンドの純度~Yukino Ballade~」(3期第11話)
挿入歌
「Bitter Bitter Sweet」(1期第12話、2期第1話)
歌 - 雪ノ下雪乃(CV:早見沙織)&由比ヶ浜結衣(CV:東山奈央)
ゲーム
タイトルは『やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。』で、略称は『ゲイガイル』(原作者公認)。
ハードはPlayStation Vita、ジャンルは「迷走系青春ADV」、制作は5pb.で、2013年9月19日に発売された。
原作4~5巻(アニメ1期7~9話)をベースにオリジナル要素を含むストーリーになっている。
限定版には原作7.5巻収録のエピソードを元にしたOVAが収録されたBlu-rayが付属した。
アニメ2期に伴い第2作『やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。続』が製作された。ハードはPlayStation Vitaで、2016年10月27日発売。
原作10~11巻前半(アニメ2期10話Bパート~12話)をベースにオリジナル要素を含むストーリーになっている。
こちらの限定版にも原作10.5巻収録のエピソードを元にした(Bパートはほぼオリジナル)OVAが収録されたBlu-rayが付属した。
さらに上記2作を合わせたPlayStation 4移植版『やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。&続 おまとめセット』が2017年10月26日に発売された。
こちらは、2022年9月22日にNintendo Switch移植版が発売されている。
アニメ3期に伴い第3作の制作決定が報じられるも長らく続報が途絶えていたが、『やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。完』のタイトルで2023年4月27日に発売。
ハードはPlayStation 4とNintendo Switchで、どちらも限定版にはOVAが収録されたBlu-rayが付属する。
アニメ2期11話から分岐したオリジナルストーリーになる模様。
コミカライズ版
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。-妄言録-
『ビッグガンガン』にて連載された。作画は佳月玲茅。
こちらはアニメ版準拠としている。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic』。
『サンデーGX』にて連載された。ガガガ文庫が同じ小学館なのに何故かこちらの方がコミカライズがあとである。作画は伊緒直道。こちらは基本的に原作準拠としている。ただし原作ではぼかされていたキャラクターの本音が描かれていたり(原作の公認かは不明)、一部ストーリーもやや内容に影響がない程度にオリジナルな部分がある。また『妄言録』とラストが違い、アニメ3期のDVD等の初回限定小説の内容を考慮したものになっている。
関連動画
ガガガ文庫
俺ガイル。続 PV
俺ガイル。完 PV
関連タグ
ラブコメ 千葉県 マックスコーヒー ぼっち スクールカースト
2013年春アニメ 2015年春アニメ 2020年夏アニメ TBS木曜深夜アニメ枠
俺ガイル100users入り 俺ガイル500users入り 俺ガイル1000users入り 俺ガイル5000users入り 俺ガイル10000users入り
俺ガイル小説10users入り 俺ガイル小説50users入り
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』のカップリングタグ
AURA〜魔竜院光牙最後の闘い〜-当作のリスペクト元(スクールカースト物で影響を受けたと思われる)。
ゆきのん…雪ノ下雪乃の愛称。
やっはろー!…主に由比ヶ浜結衣が使う挨拶言葉。
あっちこっち…舞台となっている高校のモデルが同じ。
略称
表記揺れ・誤表記
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている…「。」がない
やはり俺の青春ラブコメは間違っている。…「間違っている」は漢字ではなくひらがな表記。
やはり俺の青春ラブコメは間違っている…「。」がない上に、「間違っている」が漢字。