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概要

学園内序列。

学校、特に高校において、生徒の間で自然発生する「人気」や「権威」の度合いを表す序列を、カースト制度のような身分制度になぞらえたもの。2000年代にネットで囁かれていたものが、2007年にAREAに掲載されたことで広まったともされている。

本家アメリカでは定番の創作の題材で、日本でも時たま作品のテーマになる。

言葉の歴史

学園内序列といえばアメリカ高校におけるそれが「スクールカルチャー」として昔から有名であり、ハリウッド映画や学園モノの海外ドラマでも頻繁に登場するヒエラルキー表現だった。

それが「日本でも同種の現象が発生しているのでは?」と概念が受容されるうち、「スクールカルチャー」を意味する「スクールカースト」という和製英語が誕生した。

その経緯から、日本の学園内序列だけでなくアメリカの学園内序列も日本では「スクールカースト」と呼ばれる。

アメリカのスクールカースト一覧

※あくまで典型例であり、すべて当てはまるわけではない。

全体的に日本よりも運動神経や容姿(性的魅力)が重視される。

逆に自己主張の強さはマイナスポイントになりにくい。

上位層

⭐️ジョック (Jock)

ヒエラルキーの頂点。

体格が良いイケメンで、スポーツ万能な学園の王様。

アメリカの花形スポーツであるアメフト部やバスケ部などで活躍する、校内のスター。

⭐️クイーン・ビー(Queen Bee)/クイーンズ (Queens)

女子版のヒエラルキーの頂点。

モデル体型の美女で、チアリーダーを務める学園の女王様。

ジョックのボーイフレンドを持つ。

「スクール・ディーヴァ」や「スクール・プリンセス」の別名もある。

⭐️サイドキックス(Sidekicks)

ジョックスやクイーンズの取り巻きの二番手たち。

中間層に分類されることも。

中間層

⭐️プリーザー(Pleaser)

ジョック/クイーンズとサイドキックスの子分で、下の立場の者へのたかり(Please) を活発に行う。

⭐️ワナビー(Wannabe)

ジョック/クイーンズとサイドキックスの子分で、上の立場へ昇る野心(Wannabe)を持つ。

⭐️メッセンジャー(Messenger)

ジョック/クイーンズとサイドキックスのパシリ。

⭐️プレップス(Preps)

文化系上位層。教養・芸術系のクラブや、育ちの良いお坊ちゃん、お嬢さんなど。

⭐️スラッカー(Slacker)

お馬鹿キャラ。お調子者

下位層

⭐️ゴス(Goth)

ゴス系(日本でいうV系みたいなもの)のバンドやファッションが好きな女子。ナード(陰キャ、キモオタ)のパターンひとつ。

⭐️ギーク(Geek)

オタク。特に理科系のオタク。ナード(陰キャ、キモオタ)のパターンのひとつ。

⭐️ブレイン (Brain)

ガリ勉。ナード(陰キャ、キモオタ)のパターンのひとつ。

⭐️ターゲット(Target)

いじめの標的。必ずしもナードとは限らない。

階層外

⭐️バッドボーイズ&ガールズ(Bad Boys & Bad Girls)

ヤンキー。不良少年および不良少女。

⭐️フローター(The Floater)

不思議ちゃん。図書館で司書したり一人で本を読んだりしてる子。

アウトカースト

そもそも高校に通い高等教育を受けられる身分で「恵まれている」のであり、志望する高校に通えない「アウトカースト」的立ち位置の人物が描かれる作品もある。

変動するアメリカのスクールカースト

人種・LGBT

かつてはジョックやクイーン・ビーは「白人のブロンド」というのが典型だった。

しかし、移民国家であるが故に白人の数が年々減少し、現在では特に中南米・アジア・インドからの移民の急増によりこれらにルーツを持つアメリカ人そしてこれらの人々との混血が人口の2割を占めている近年のアメリカではこの限りではない。(※)

また昨今の多様性を重視する風潮から、黒人LGBTの学園内の地位も以前ほど下ではなくなっている。(それでも、特に南部や地方を中心に差別は根強いが)

それでもアジア系はスクールカーストの下であることが多い。これはアジア系への差別が場合によっては黒人以上に強いこと、アジア系の多くが体格に恵まれず内向的であるからだと思われる。(アジア人種が欧米社会で出世しようとすると竹の天井に阻まれてそこから上に行けない、という女性差別における「ガラスの天井」に似たような表現がある。)

(※)アジア系・インド系の人々は地毛の色が原則としてブロンドでは無く、それらの人々は人種的にも原則白人ではない。白人とアジア系・インド系との混血の場合も、肌の色はとにかく髪がブロンドであることは100%無い。中南米系の場合は白人あるいは白人かつブロンドの髪の人もいないわけでは無いが、少数派である。

ギークの台頭

かつては「低スクールカースト」の代名詞であったギークだが、近年は地位が上昇している。

それは、IT技術が進歩し社会にとって不可欠な時代となったことで、科学技術(特にプログラミング)に強い人間の市場価値が高まったからである。

以前から「高校までは格好良いジョック」、「大学以降は稼げるギーク」という風潮はあったが、それが強くなっている傾向にある。

無敵のように思えるジョックやクイーン・ビーだが、受験に失敗したり(アメリカの大学受験は日本と違い学内活動なども含めて評価するが、成績も必要)、大学以降に挫折した場合は「高校時代が人生が絶頂期」となる可能性もありえる。バスケットやアメフトでエースになっていたとしても大学で活躍できるのは極一部だからである。特に学力が高くない高校や地方の高校ではそうした傾向がある。

アメリカと日本のスクールカーストの違い

スポーツの違い

アメリカではアメフトやバスケ、チアが上位層のクラブだが、日本ではサッカーや野球、ダンスが上位層の部活(大学だとテニスサークルやオールラウンドサークルなども)である。またアメリカほど運動は重視されないが、就職では上位層のスポーツ系部活、いわゆる体育会系出身者が有数の企業に就職しやすい(反抗が許されない部活出身が多いため、上からの命令にほぼ反抗しないと見なされているのが大きな理由)傾向が今日まで続いている。

体育会系の項も参照されたい。

偏差値と日本のスクールカースト

低偏差値の学校に行けば行くほどアメリカのように運動や容姿が重要視され、アメリカでは階層外とされるヤンキーや不良、ギャルがカースト上位になる。更には低偏差値高全体がカースト下位と見なされることもある。

特進クラスなどがある高偏差値の学校では学力がカーストにおいて重要視され、ヤンキーや不良は存在しない、あるいは階層外となる。

そして同じ進学校でも、地方だと偏差値がカーストで重要(あとは時々部活をプラスすることがあるくらい)なのに対し、「科目を絞って私立大学を受験」あるいは「内部進学・推薦進学」することが多い都会では、学力という前提の上に更に総合力・突破力が求められる。つまり勉強は出来て当たり前なので大きな加点要素にならない。この風潮は難関大学へ進学すると特に強くなる。

オタク文化の多様化と日本のスクールカースト

日本では2000年代終盤以降オタク文化やサブカルチャーが一般的に受容されるようになり、2010年以降の日本ではオタク=ギーク=ナード(陰キャ、ぼっち、変わり者)という構図が成立しにくくなっている。

むしろオタクの中でカーストが生まれている。

日本は空気を読む力=コミュ力重視

例えば2000年代中盤~2010年代序盤における考察では、いわゆる「コミュ力」が最重要視される傾向があり、たとえ美形でスポーツの実力もあり、一見した所トーク力があっても、自己中心的とみなされたり、空気が読めずにクラスの統制を乱す存在は、クラスの集団から排除される場合がある。具体例としては、授業の最中に挙手をして教師と議論するだけで、「目立ちたがり」、「生意気な奴」とみなされ孤立する可能性がある。

といっても日本でも昔からこうだったわけではなく、「ネクラ」「ネアカ」が流行語だった1980年代の学校は、アメリカに似たシンプルな様相だったと思われる。

スクールカーストを巡る問題

1999年アメリカで発生した「コロンバイン高校銃乱射事件」は、このスクールカーストが一因であると考えられている。つまりカースト下位の学生が、カースト上位の学生に虐げられる・迫害される・踏みつけにされる毎日を送る中で、鬱積した不満・怒りが爆発し、カースト上位の学生を殺すという悲劇に至った。

アメリカでは、「異性にモテて、スポーツ万能で、トーク力が高くて、友達が多い」というのが理想の人間像として、また理想の社会人像として求められる傾向がある。「個人の個性を尊重し、誰でも平等であり、誰にでチャンスはある」というのがアメリカのイメージかもしれないが、「隣の芝生は青く見える」というように、実際にアメリカで暮らしてみるとそうではないことも多い。

「個性」はともかく、「平等」「チャンス」に関しては良くも悪くもアメリカが「実力主義=負け犬に発言権は無い」からと言える。

また、「ナード(陰キャ、キモオタ)は二流、負け犬である」と考えるアメリカ人も老若男女問わず少なからずいる。つまり、カースト下位に置かれた若者は、社会からもそっぽを向かれる可能性も高い。

早い話が、「コミュ障とか、ぼっちみたいな根暗な人はアメリカ社会には必要ありません」と言われてるようなもの。

それらがアメリカで数多い校内での銃乱射事件に繋がっているという考察がされている。

しかしながら、こうした明確な差別がまかり通っていても、スクールカースト上位の人間たちが支配するアメリカ社会に挑戦しようとする、スクールカースト下位のアメリカ人も少なくない。

人気映画監督シンガーソングライターの中には、スクールカースト下位に置かれ差別を受けた悔しさをバネに、ハングリー精神で這い上がった者も多い。

このため、アメリカ映画TVドラマでは「スクールカースト上位に属していたような登場キャラクターは、作中では散々な扱いを受ける」傾向があり(特に監督がナードだったホラー映画などに顕著)これはスクールカースト下位に属していたアメリカ人のウケを狙ったものであることから、アメリカにおけるスクールカースト問題の深さが見て取れる。

スクールカーストをテーマとして扱った作品

1985年公開のアメリカ映画。初めてこのヒエラルキー問題に切り込んだ作品として知られる。

FOXTVドラマ。スクールカーストの最下層組である「ナード」を主役にしているが、上記のポジションに該当するほぼ総てのキャラが登場し、それぞれにスポットが当たる構成になっているので、参考になるかもしれない。

日本の特撮ヒーロードラマ。このヒエラルキーを明確にドラマ展開に取り入れられた。

劇中で明言されているのは「如月弦太朗:バッドボーイ」、および「大文字隼:キング(ジョック)」、「風城美羽:クィーン(クィーンビー)」の三人だけだが、他の生徒キャラも「歌星賢吾:ブレイン」等と当てはまる様に設定されている。

もっとも弦太朗は学業的には落ちこぼれであっても不良ではないのだが。

2000年代終盤から2010年代における日本のスクールカーストシステムを、主人公の視点から客観的に考察するというテーマが盛り込まれている。

本場のアメコミの超大物作家が原案・監修したアニメ作品だけあって、アメリカのスクールカーストシステム内で孤軍奮闘する主人公という一種のステレオタイプなアメリカ人主人公がこの作品に登場する。

下記のような明文化した序列ではなく、裏サイトでクラス内での序列が「一軍」「二軍」「三軍」決められている。「スクールカーストとそれに紐づくいじめ」をテーマとして扱っているため、簡単に言うと一軍の生徒はいじめっ子で三軍の生徒は邪険に扱われる存在となっている。ノリが良く空気が読める人間は上位になり、その逆は下位になりやすいが、実際はその裏サイトのランキング自体をクラス内部の人間が操っていた。

スクールカーストに似た学園内序列が舞台の作品

校則等で明文化している学園内序列なので、正確にはスクールカーストとは別物。

日本ならではのものとして、一番偉いのはジョックではなく生徒会長の事が多い(もっとも運動部に所属していないだけで、何をやらせても一番な事が多いが)。

進学校の落ちこぼれ組という設定上E組とそれ以外という形式でのヒエラルキー構造が明確にされており、クラス内外でそれぞれのポジションに属するキャラクターが数多く登場する。

生徒会長鬼龍院皐月により、学園の生徒全員が「三ツ星(生徒会四天王)」「二ツ星」「一ツ星」「無星」にランク分けされており、その生徒の実力や功績に応じてランクが変動する。一ツ星以上の生徒には極制服と呼ばれる特殊な制服が与えられるほか、星の数によって生徒とその家族の生活水準にも明確な格差がつけられており、無星はスラム街だが、一ツ星はマンション、二ツ星以上は高級住宅街に住むことを許される。

 アリス学園のルールのひとつ「星階級」。nothing、single、double、triple、specialの5段階。階級によって待遇(部屋、食事、解放など)が異なり、クラスメイトの間でもそれが原因でいじめの対象にされることも。

 主人公らが属する天之御船学園1年7組(幸福クラス)を除く1~3組、4~6組はそれぞれ勉学、スポーツの特進クラスであり、1年1組の担任は幸福クラスの存在を疑問視していた人物である。

この作品では、序列がギャンブルで全て決まってしまうブッ飛んだ設定のエリート高校が舞台で、ギャンブルに敗北し借金を抱えてしまうと、男子なら「ポチ」・女子なら「ミケ」と呼ばれるようになり、家畜もしくはそれ以下の酷い虐待と迫害を受けてしまう。学校を卒業してもその借金地獄からは全く逃れられず、「人生計画表」なる代物で、弱者の人生そのものを生徒会に全て喰い荒らされ支配されてしまう恐るべし作品である。

主人公たちの学校では入学試験で優秀だったものが一科生、そうでないものが二科生と分別され、二科生たちは一科生たちから差別されている。

主人公たちの通うトールズ士官学院では、長らく平民クラス・貴族クラスとに分かれ、ほぼ伝統的に貴族クラスが平民クラスを見下げる風潮だった。新設されたⅦ組は貴族・平民関係なく「メンバーの能力」で集められたが、それを快く思わない貴族生徒(とりわけ四大名門の御曹司)がしばしばⅦ組に牙を剥き、内戦勃発時には貴族連合軍によって士官学院が占拠された折、御曹司含めた貴族生徒のみが士官学院に残ることが許された。

続編の閃の軌跡Ⅲおよび閃の軌跡Ⅳではトールズ士官学院が「本校」となり、軍事学校色を強めてエリートを集結させる一方で、主人公の通う第Ⅱ分校が「落ちこぼれの集まった分校」として本校より蔑まれ、本校の頂点でもあった帝国皇太子によって衝突が起き、ついには本校生徒が第Ⅱ分校を蹂躙・占拠するに至った。

ただし、前者の貴族生徒・後者の本校生徒ともに内戦の首魁や皇太子に感化どころか逆に彼らの行動に対して疑念を抱くことになり、最終的にはいずれの学院も主人公側に奪還され、生徒たちも敵対を止めて主人公側に与することになる。

作中に登場する天之御柱学園では、生徒は魔法を使えて各企業団体から才能を投資されている「一等生徒」と、 魔法を使えず社会的地位も低い「二等生徒」に分断されている。

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