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叙述トリック

じょじゅつとりっく

意図して読者・視聴者に誤解を与え、その誤解を伏線として利用する文芸手法。
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概要編集

重要な情報をあえて伏せておき、その情報を知る前と知った後とで読者・視聴者の認識が劇的に変わるように叙述を行う文芸手法。


ミスリードにより誤った理解へと誘導した後、物語のどんでん返しとして真相を開示する構成が一般的。

伏線を伏せたまま完結させ、注意深く分析した読者(からの情報発信)によってのみ裏設定に言及されるような作品もある。


真相発覚後に見返しても破綻がない事が望ましく、この点で後付け設定による事実変更と異なる。

ファンの検証などから生じた異説や、作為的な工夫によらない誤謬・矛盾は叙述トリックではない(少なくとも良い例ではない)。


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似た手法編集

名前や性別や血縁関係や関係性や解釈etcをぼかす手法なため、恋愛ものでも近い手法が使われることがあり、有名な例は、「恋人の本命や浮気相手だと勘違いした人物が恋人の血縁者、既婚者、男装女装をした相手、恋愛以外の目的で助けたモブだった」「子供と遊んでいて子持ちだと勘違いされてしまう」「自分に話しかけていたと期待させて、自分の後ろにいた人物に話しかけていた(この人物が同性や動物や別の場所にいる人物であるケースも)」「匂わせシーンが健全なシーンだった」「悲恋の話がペットや既に成就したカップルや作中作のキャラや先祖の話だった」etc、というパターンで、一部の読者が黒幕だと期待している人物(気障な同性のライバル、もう一人のヒロイン、味方など)と公式の当て馬やヴィランの違いを際立たせ、自己投影と第三者視点の違いに気付かせる展開も亜流の手法と言える。

「Aだと思ったらAに似たBだった」という伏線のどんでん返しは、駄洒落を含む一発ギャグでも定番である。

「最初は主人公、性別、関係性だけが主語だったのに、最終回でキャラ名、性格、解像度が主語になる」という手法も古くから使われてきた手法であり、「最終回で名無しの名前が判明する」「最終回で心や関係性が進展する」「群像劇でメイン主人公が最後に登場して〆る」という展開は元々王道であった。

だが、ネット社会になってからは、「主人公補正、性別、数字のみに自己投影していた読者を切り捨て、承認欲求と恋愛感情の違いに気付かせる」「設定以外の解像度も上がる」「倒叙ものの偽主人公(悪い意味で高解像度で、読者が自己投影しづらい)が振られた際に、自分と同一視していた読者が文句を言うかを試す」等の新たな手法も見られるようになっている。

ギャルゲー、乙女ゲーム、RPGの無口主人公はこれと別の方法でプレイヤーの自己投影、解釈を促しており、萌え要素に固有名詞はないが、数字や地味派手という概念は存在しない。


映像媒体では編集

必ずしも作者が読者を欺くとは限らず、主人公もう一人の主人公、主人公と第三者、登場人物と読者の世界観記憶の合致ないしは食い違いを描く手法としても有効で、二人の人物の精神世界の差異が映像で説明されるケースもある。二つは別ものなのに、単語や文章が被っている、絵面や字面(解像度を下げた時の映像)が被っている、シルエットが被っている、狭い範囲の映像(1コマ)が被っている、その複合型などで、二人の片割れか、二人を傍観する第三者か、二人を傍観する読者が欺かれてしまう。映像で多いのは、説明文と物理的状況がどっちも提示されるパターンである。


二人の人物が同じ話を聞いている時に会話が噛み合っていない様子(片割れないしは状況を説明する作者のみが会話の食い違いに気付いている)、人物が台詞の意味を勘違いする様子が描かれることもあり、読者ではなく登場人物が叙述に翻弄されるパターンと言えよう。


作品そのものが序盤で簡単な台詞や物理的状況を用意して、展開が進むまでに読者の間で意見が割れるように仕向けることもある。


平成の頃は、漫画作品が漫画以外(小説やテレビ番組を含む)の要素を逆輸入し、台詞で面白がらせる表現が多く取り上げられ、漫画作品や映像作品のオーディオドラマ化や小説化が多く行われ、漫画では描けない壮大なストーリー(趣旨は「主人公至上主義」「映える世界観」と単純)がライトノベルなどの文字媒体で表現されることが多かった。

一方で、異世界ものを含む漫画作品のドラマ化舞台化、アニメ作品のCG化も積極的に行われていた。

令和現在は、「文字、一枚絵ではなく映像(高解像度の動画、人間味のある表情や抑揚)で表現できない設定は死に設定」と解釈される動きが強まっている。


主な叙述トリックの手法編集


人物編集


  • 同一人物を別人だと誤認させる、またはその逆
  • 人物Aと人物Bを相互に誤認させる(取り違え)
  • 新規登場人物を既知の登場人物と誤認させる、またはその逆
  • 登場人物の性別を誤認させる
  • 登場人物の年齢を誤認させる
  • 登場人物の知覚・認知を誤認させる(感覚器の障害、虚偽記憶、偽証、ESPなど)
  • 登場人物の種族を誤認させる(動物機械人外幽霊などに関わる作風)
  • 登場人物の職業・社会的立場を誤認させる
  • 登場人物間のすれ違い勘違いを隠匿する
  • 登場人物のメタ的な役割(主人公悪役探偵役・犯人など)を誤認させる

時間編集


  • 時刻を誤認させる
  • 同時期の出来事に時間差があると誤認させる
  • 時間差のある出来事が同時に起きたと誤認させる
  • 時系列を誤認させる(物事の順序を入れ替える)
  • 未来に何が起きたのかについて誤認させる(タイムトラベル未来予知ループものにおける伏線
  • 過去に何が起きたのかについて誤認させる(歴史的表現における誤解・偽史・俗説)

場所・状況編集


  • 信頼できない語り手
  • 地理を誤認させる
  • 二点間の距離を誤認させる
  • 状況を誤認させ、真相と異なる出来事が起きたと思わせる
  • 語り手自身の行為を隠匿する
  • ある行為を別の行為だと誤認させる(ナイフを握っていた理由は料理? 木工? 殺人?)
  • 行為の実行者を誤認させる
  • 人によって見え方が違う/人によっては見えないものを描写する(心霊超能力など)
  • 作中の現実と作中作仮想現実とを混同させる
  • 作中の現実と妄想を混同させる(夢オチ発狂オチ)

印象編集


  • 視点人物を誤認させる(一人称叙述を三人称に見せかける・誰の視点の一人称かを隠匿する)
  • 聞き手を誤認させる(語り手が誰に語りかけているのかを隠匿する)
  • 行動の動機を誤認させる(直接の印象のみを語り、前提条件を隠匿する)
  • 言葉の意味を誤認させる(部分否定と全否定の混同・重要な台詞におけるダブルミーニングなど)
  • 作品のジャンル世界観を誤認させる(お約束に沿っていたプロットを途中から変調させる)
  • 読者にとっては自明の事実だが、作中の登場人物はその事実を理解できていない(逆叙述トリック

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