登場作品
本記事では略称で記載する。
- 漫画『大長編ドラえもん のび太と鉄人兵団』・・・原作
- アニメ『映画ドラえもん のび太と鉄人兵団』・・・1986年版
- アニメ『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~』・・・2011年版
- 小説『ドラえもん のび太と鉄人兵団』・・・小説版
概要
地球植民地化の橋頭堡を築くため、鉄人兵団によって送り込まれた土木作業用ロボットの一体。全長は1986年版では20m(重量150t)だが、2011年版では約14.4mと小型化されている。
- 実際他の(劇中において)量産を前提とした所謂「リアルロボット」系ロボットの著名な存在と比較すると、地球の市街地で重機として運用することを考えて設定されたレイバーが全高4~10m、宇宙空間で運用することを考えて設定されたモビルスーツが15~20mとなっていて、その中間に位置する。
リルルのパートナーロボットである。
とは言え、人類が高度な社会を築いている地球に完成体で送り込むのは目立つと考えられたのか(実際にそんな事をしていたらアメリカのNORADに引っかかりそうなもんである)、他のロボットとは異なり、まず頭脳部を地球の北極に送り込み、その誘導によって空間転送で乗用車ほどのサイズの部品単位で送りこまれる、はずだったのだが……
地球での組み立て
ドラえもんとのすったもんだの挙げ句、どこでもドアで北極にやってきたのび太が、氷山の影から覗く頭脳部の姿をドラえもんの後頭部と勘違いして抱きつこうとし、ずっこけて頭脳部はコロコロと近くに転がる。そこへ、足の部分が転送されてきたため、のび太はそれをドラえもんが用意してくれた巨大ロボットだと勘違いして日本・練馬区の自宅へ持ち帰ってしまう。
この時、全幅2mはないどこでもドアをどうやって通過したんだとか、4.5畳~6畳程度ののび太の部屋にどうやって収まったんだとか、深く考えてはいけない。
(ただし、ドラミちゃんのどこでもドアは「ただのドアじゃないんだから」とドアより大きい雪だるまを通している)
その後、のび太とドラえもんによって野比家の庭に部品は到着する。ドラえもん達はおざしきつりぼりとはいりこみオイルによって無人の鏡面世界に部品を持っていき、そこで組み立てるのだが……
のび太とドラえもんは頭脳部を単なる部品の誘導装置と勘違いしており、ドラえもんは頭脳部を庭に放り出してしまう。その後、洗濯物を干そうとして頭脳部に躓いたママによって野比家の物置に放り込まれてしまう。
そのためドラえもんとのび太は肝心の制御装置の中枢コンピューターが送り込まれて来ていないと思い込み、代わりに地球・22世紀製の制御コンピューターを組み込んで完成させる。
このコンピューターは完全自律AIではなく、サイコントローラーと呼ばれる一種の脳波感応型リモコンをつかって操縦するものだった。
- しかし、よくよく考えるとそもそも操縦席が用意されている(三座)時点で、誰かが乗り込んで手動操縦で動かすことは設計に組み込まれているはずなのだが……(具体的な操縦方法が解らないという問題はあるが)。このコックピットの用途はリルルや彼女と同じような大きさのメカトピアのロボットの搭乗や非常時の操縦を想定したとも思われるが、詳細は不明である。
本来の名称はジュドであるが、ドラえもんたちが知るよしもなく、北極に落ちていたことにちなんでサンタクロースをもじり、ドラえもんにザンダクロスと命名される。(正式名称の「ジュド」がジェド・マロース(ロシア版サンタクロース)に由来と仮定するなら、この通称もあまり変わってはいなかったりする。)
ちなみにしずかは水に浮かせた状態から「ラッコちゃん」、のび太は男らしくガンダムやマジンガーとつけようとした。旧劇場版では流石にまずかったのか「ダンプ」や「アントニオ」という候補名に変わった。
しかしその直後、しずかが何気なしに操縦盤のボタンを押したはずみでレーザー(原作・旧劇場版では腹部、新劇場版では眼)が発射され、都心部の高層ビルを一撃で破壊してしまう。
その破壊力に、ドラ、のび太、しずかはこれまたザンダクロスをとんでもない兵器と勘違いし、鏡面世界に封印することにした。
- ちなみに、『超リアル・ジオラマ作戦』でのドラえもんの言動からするに、22世紀の日本ではこの程度のサイズのロボットは多少高価なオモチャとして販売されているようである。
その後、のび太がジュドを探しに来たリルルと出会い、リルルが必死に“ザンダクロス”を探している事を知ると、のび太はドラえもん達との約束を破って鏡面世界にリルルを案内し、一旦はリルルに返却する。
その時にリルルはジュドに呼びかけるのだが、のび太は「操縦もしないのに動くわけがない」と言ったことで、リルルにより頭脳部の説明がされる。だがのび太は頭脳部の行方を知らず亡失したと言い、謝罪しながらサイコントローラーをリルルに渡した。
装備・機能
原作、1986年版、小説版では腹部、2011年版では両眼にビーム砲を備えており、高層ビルを一撃で破壊できるほどの威力を持つ。原作では撃たれた高層ビルが垂直に崩れ去り、小説版ではその威力は同時多発テロに例えられた。
新劇場版では両肩にロケットランチャーも装備している。
また、背中にあるウイング形状のエネルギー吸収板及び足裏のジェット噴射口により、空中飛行も可能である。
これだけ恐ろしい力を持つにもかかわらず、鉄人兵団側はジュドを本気で「土木工事用ロボット」としか認識していない。
地球人がジュドを兵器と考えていることにリルルは唖然としていたし、ドラえもん達に改造されて地球人の味方として鉄人兵団と戦わされたとき、兵団の軍団長たちは「なんで戦場に重機がいるんだ」みたいな反応をしていた。
実際、工事用ロボとして物体を破壊する程の力は持たされているものの、戦闘用にチューニングされているわけではないらしく、終盤においては本腰を挙げて攻勢をかけてきた鉄人兵団の物量作戦であっけなく行動不能にされたりもしている。その直後に歴史改変によって鉄人兵団と共にザンダクロスも消滅した。
頭脳
ザンダクロスの頭脳として働く青い球体コンピューター。見た目の形状は完全にボウリングの球である。
自律のためのパーツと知らずに家の中に放り出され、やかましい信号音を発するためにのび太のママの怒りを買ってホウキでひっぱたかれていた所を、ドラえもんたちに保護された。
自我と意思を持っていて信号音でそれを伝えることが出来るが、同じロボットでもメカトピア人としか意思疎通ができないらしく、上に乗せられたほんやくコンニャクを通じて会話した。その性質は凶暴で好戦的。
ジュド「きたな、地球人ども!!さあ〜、殺さば殺せ!!
わっ、なにをする!!」
ドラえもん「みたことのない回路がいっぱいつまってる」
のび太「みたことのある回路になおしゃいいんだよ!」
原作、1986年版、小説版では、後にドラえもんの手によって改造手術が行われ穏やかで協力的な態度に変わり、自発的に喋る事もなくなった。(原作では頭脳をジュドに戻された際、ドラえもん達をコックピットに乗せる時に一度だけ喋っている)
2011年版では、見た目を親しみやすくするためのひみつ道具である「おはなしボックス」によって、ヒヨコのような姿の「ピッポ」に改造された。
当初、性格の悪さは変わらなかったが、のび太たちと行動を共にするうち、徐々に心を開いて打ち解けていく。見た目は変わっても「ジュドの頭脳」に変わりはなく、ザンダクロスに搭乗して自在にコントロールする事ができる。
デザイン
色はトリコロールだが、外見は『機動戦士Ζガンダム』に登場した百式に酷似している。
それもそのはず、デザインを手がけたたかや健二は、藤子不二雄ファンクラブ「Neo Utopia」にて、百式をモデルに制作した事を語っている。
もちろん原作者の藤子先生も、「ドラえもん」でアカンベーダーだの建設巨神イエオンだのバンダムだのパロディをやっている。
正式名称がジュドなのも、多くの人が「もしかしてジュドー・アーシタなのでは…」と予想するだろうが、
- 『鉄人兵団』の原作掲載が月刊コロコロコミック1985年8月号
- 『機動戦士ガンダムZZ』の放映開始が1986年3月
つまり『鉄人兵団』の方が先なので、おそらくその可能性は無い。(先行で情報を得ていたなら別だが。)
余談
ゲーム『ドラえもん ギガゾンビの逆襲』では、牛魔王が改造したジュドが中ボスとして登場する(リルルは登場せず)。他にも鉄人兵団をモデルにした「メタリッカー」「ゴールドマスター」なども雑魚として量産されている。
藤子不二雄ランド版「鉄人兵団」や大全集の大長編3の表紙では金色の姿を見ることができる。
このイラストは連載当時の完結編の扉に使用されたもの。
……それ以前もトリコロールカラーで登場していたはずだが……?
関連タグ
ドラえもん 大長編ドラえもん 映画ドラえもん のび太と鉄人兵団 新・のび太と鉄人兵団
鉄人兵団関連
影響を受けたデザイン
(ある部分が)似てる方々
バルガ(地球防衛軍5):本来はクレーン等に相当する人型重機だったものを稼働プログラムの改竄によって戦闘ビークルとして使われたもの。