ザンダバルド
ざんだばるど
半年前はチキュウに常駐していたダイカーンの一人だったが、とある功績を挙げた事で昇格、ジョウギ座星系を支配する立場に就いたカロー。ラプター283の出身地でもあるワシ座星系・惑星トテム出身。トーテムポールを連想する頭部と青色の大鎧を纏った身体と言う、シンプルだが力強いシルエットの外見を持つ。
トーテムポールの顔が刀身に描かれた両刃剣『ザンダーバー刀(とう)』を振るって放つ電気エネルギーの斬撃は強力で、建物の一角に放てば瞬く間に瓦礫に変えてしまう程。
支配星系内にある惑星・スリービーに据えられた、ジャークマター学園都市を支配するスクールインダベー一家の上司だが、彼等がキュウレンジャーに敗北しても哀悼する所か「使えねぇ」と口汚く罵る冷酷非道な性格。キョダインロウは左腰前に下げている。
スティンガーやチャンプとはチキュウ赴任時代に面識があり、因縁を持っている様である。
ダイカーン時代
(建前)「私がお前を責める訳が無いだろう?もしお前が失敗し、ドン・アルマゲ様に糾弾されたとしても、私が必ずお前を守る」
(本音)「使えねぇが操り易い女でな。だがあの女を犠牲に消せたのがキュウレンジャー1人じゃ割りに合わねぇ、この代償はその内払ってもらうぜ!」
強い上昇志向故に兼ねてよりカローへの昇格を窺っており、その功績を積む為にチキュウ人とイッカクジュウ座星系人のハーフである女、ミカ・レーツを利用した計画を実行していた。
その内容は、支配地区付近に身を寄せていたチキュウ人達へ自身の配下を送り込み執拗に痛め付ける事で異形の宇宙人に対する憎悪を植え付け、それが右腕が異形であるミカに向かう様仕込む。これにより心身に傷を負い孤独になったミカに上辺の優しさと甘言に満ちた救いの手を差し伸べ、彼女に『孤独から抜け出すには迫害する者達を殺してダイカーンになるしか無い』と吹き込む事でチキュウ人同士殺し合わせると言う、外道としか言えない最悪の物であった。
立案したザンダバルド自身はこの計画を実行させる為なら、本来自身とは真逆の存在である聖人の様な振る舞いや言動でミカに接する事も厭わない(※拠点のモライマーズ内の謁見部屋も教会風に作り替えているのが非常に悪趣味である)。
更に聖人を演じている時の声色は優しげな低音だが、これはトテム星人特有の『ボルトンボイス』と言う微細な電気振動を起こす声。これにより相手の神経に干渉、怒り等の興奮した精神状態であっても自らの言葉を直接精神に響かせて伝える事が可能。これと巧みな話術や演技、雰囲気作り等を駆使して他者の憎悪を操って思い通りに動かす、宇宙のサイコロジストが彼の本質である。
しかしその冷酷な本性故か、当人はこうした心理工作よりも直接的に他者を支配出来る力を強く欲しており(※)、ジャークマターに与してカローへの昇格を狙ったのもこの価値観へ依った物と考えられる。
※よく見ると首から下はまんまツヨインダベーの物だが、これは力を渇望する性分故にジャークマターラボで肉体改造手術を受けて手に入れた身体ではないかとも推測出来る。
そして無論、計画が成功した暁にミカを救う気は全く無く、適当な扱いをして使い物にならなくなったら処分する腹積もりだった。
ダイカーン時代に前述の計画を進め、あと少しの所で目的を達する段階に来ていたがまだミカの心に優しさが残っていた為一線を越えさせる事が出来ないでいた。しかしミカの前に当時単独行動を取っていたスティンガーとチャンプが現れた事を切っ掛けに、2人が一旦腰を落ち着けた廃ビルへインダベーやツヨインダベーを伴ったミカを差し向ける。
そしてミカはスティンガーとビル内で激しく戦うが、そこへザンダバルドはザンダーバー刀からの斬撃を撃ち込んで瓦礫を生じさせ2人を巻き込む。しかしチャンプはインダベー達を引き付ける為、スティンガーと分かれていた事で巻き込まれずビルの外へ出てザンダバルドを発見。彼の糾弾に対して邪悪な本性を現しつつ攻撃を軽くあしらって撤退した。
その後スティンガーによって瓦礫から抜け出し、彼からの優しさを受けたミカだったが、憎しみに燃えるチキュウ人達に捕まりまたリンチを受けそうになった事で自らの復讐心が再燃・爆発。ザンダバルドの想定通りチキュウ人達を惨殺、遂に一線を越えてしまう。
これによりとうとう目的を遂げたザンダバルドは表向きの約束通りドン・アルマゲの力を借りつつミカをダイカーンへと変貌させ、自身を追って来るだろうスティンガーとチャンプに対する足止めとして差し向ける。そして結局、ミカは2人に負けた為彼女の背後より斬撃を撃ち込んで処刑。
「結局お前らはこの女を救えなかったようだな。この女を孤独から救ったのも、“夢”を与えてやったのも、苦しみから解放してやったのも全て俺だったって訳だ!」と言ってスティンガーとチャンプに勝ち誇りミカにはもう用済みと告げた直後、離陸したモライマーズに飛び乗ってチキュウから離れた。
その後、チキュウで成功させた計画がアルマゲに評価され、ジョウギ座系のカローに昇格。それから程無くしてキュウレンジャーが支配星系内の惑星・スリービーに現れたのを察知して出現(※時系列と性格からして、フクショーグンへの昇格を狙いキュウレンジャーの討伐に出向いて来たと思われる)、自身との面識があるスティンガーとチャンプに出会うや斬撃で2人を谷底へ叩き落とした。
だが程無く復帰したスティンガー(※チャンプは再び暴走が起こり何処かへ走って行ってしまった)と再び遭遇、自身がミカ達の人生を狂わせた事でカローに昇進出来たのを嬉々として語りスティンガーを激怒させた。そして直後にスティンガーと駆け付けて来たキュウレンジャー5人(ラッキー・ナーガ・レイ・ハミィ・スパーダ・佐久間小太郎)に対し配下を引き連れて決戦。配下達を他のキュウレンジャーが片付ける中サソリオレンジと一騎打ちするも、ダイカーン時代を上回る実力で圧倒する。
しかし、かつて自身が処刑した直後にミカが生み出したイッカクジュウキュータマをオレンジが使用、チェンジしたサソリオレンジイッカクジュウアームには敵わず、ザンダーバー刀を弾き飛ばされた上で猛攻を喰らい追い込まれてしまう。
そして最後は、ミカの悲しみを利用した事に怒るオレンジ=スティンガーの放つユニコーンアンタレスを喰らい、身体のど真ん中を貫かれて苦悶の声を挙げつつ大爆散。ヒカエオローも出来ずに因果応報の最期を迎えた。
因みに、決戦時のスティンガーは強い怒りに突き動かされており、ボルトンボイスが効果的に使える精神状態でもあった。しかしザンダバルドは本性の赴くまま、カローの力を使っての実力行使で相手を叩き潰す事を選んでしまい、そのまま返り討ちにされて戦死。
結局、ミカ達他者はおろか、自分自身が元々出来た事すら軽んじて見下してしまったザンダバルドは、最終的に出来た事も出来ずに全てを失って滅び去る皮肉な末路を辿ったのだった。
モチーフはカナダやアメリカの先住民インディアン(ネイティブアメリカン)に伝わるトーテムポールのモデルになった伝説の鳥、サンダーバード。UMAとして目撃情報があり、一説には翼竜の生き残りとも言われている。
ザンダバルドが出世欲の強いキャラクターの為、『上昇志向』のイメージから積み重なった柱や鳥が連想され、モチーフとなっている。
また、スーツは劇場版『ゲース・インダベーの逆襲』に登場したオーモ・インダベーの改造。ボディはオーモにあった体毛部分を取り外して、そのまま流用している。
ジャークマター構成員としては、本編では設定やイメージ段階の描写だった『プラネジュームを吸い上げたモライマーズの回収』『ダイカーンからカローへの昇格』を映像作品内で初めて実践している。またカローとしては、出身星系(わし座)と支配星系(じょうぎ座)が違っている初めての例でもある。
声を演じる磯部氏は、魔法戦隊マジレンジャーで魔導騎士ウルザードファイヤー/小津勇を演じている。語るまでも無いが家族への確かな愛情を持つ小津勇は、上辺だけの優しさでミカの運命を玩んだザンダバルドと真逆のキャラである。
因みにキュウレンジャーには、ウルザードと同じもう一人のレッドで類似した武器を持つ鳳ツルギ/ホウオウソルジャーがいるが、時系列上ダイカーン時代ではまだ未登場、現在では作戦に未参加だった為共演は叶わなかった。
宇宙戦隊キュウレンジャー Episode_of_スティンガー ミカ・レーツ
モズマ(キュウレンジャー):同じくワシ座系出身でチキュウに常駐していたダイカーン。
オメーガ:劇中でカローへの出世を目論む発言をしたダイカーン。
ユメパックン/スコルピオジャークマターよりも邪悪な地球人が出た回のジャークマター繋がり、ただしこの二人はキュウレンジャーに標的にしているためザンダバルドよりはまだマシな方である上後者は会心している。
ハリガネ邪面:同じく心に傷を負った人間を話術で唆し、悪事を働かせていた外道つながり。
サンダール:甘言で相手を惑わし、扇動する事を得意とする幹部戦隊怪人。私利私欲の為なら他人は愚か配下や同胞、上司さえも利用する非道な性格も共通する。