「人間の心が闇で満たされた瞬間、私がその人間にこの石のパワーを注げば、邪面獣に変わります」
「親しい人間に化けてそばにいれば、闇に満たされた瞬間を逃さずに狙えることでしょう…」
「この世界はキミには残酷過ぎる……。 行こう? 僕といっしょに、もっと純粋なまま生きられる世界に……!」
データ
身長/188cm
体重/164kg
邪面/針金→線状に細長く伸ばされた地球の金属
ハッシュタグ/#針金 #イリュージョア #くすぐり隊 #代役ン #漫画 #ジイシキシェルガ #ゴーキラメイレッド
概要
ヨドンヘイムが送り込んだ、地球の金属材料「針金」を模した邪面をベチャットに被せて生み出された邪面師。
邪面は一本の針金で大きな二本の角を持った悪魔を形作ったかの様な針金細工製の頭部で、その顔面は目と口の部分がぽっかりと空いた感情や表情を感じさせない不気味さを持つ造形となっている。また邪面の首元からは針金が飛び出している。
首から下のボディの色はラグビー邪面等と同じ、黒主体の配色。後述する化けの姿と対比させると、ひときわ悪意が感じられるカラーリングでもある。
戦闘はあまり得意でない代わりに、針金細工の骨組みにパテや粘土で肉付けして精巧なフィギュアを作る地球の技術を応用する様に、邪面を構成する針金を自在に伸ばして身体中を覆うことで、人間の姿に化ける能力を有する。針金の構造上、擬態した化けの皮から針金の先がどうしても突き出る欠点があるが、よく見なければ判り辛い場所に出る上針金の先を絆創膏等で覆って隠せるので大した問題にはならない。
また、エピソード38でヨドンナが入手したカナエマストーン・イリュージョアの力に着目したクランチュラが、研究を重ねた末にそれを有効活用すべく生み出した邪面師でもあり、上述の変装能力を活かし大きな闇エナジーを生む元となる純粋で心が脆い人間に接近。
そして相手が心の脆さを出した瞬間にイリュージョアの力を開放してその意識を元に邪面を作成、同時に発生した闇エナジーを糧に闇獣を召喚して作成した邪面を被せることで「人間を媒体にして邪面獣を即席で生み出す実験」を兼ねた作戦を遂行する。
全体的におちゃらけたキャラが多かった邪面師の中では珍しく、人間を捕らえての品定めをする(態度からして始末するのも考えていた様子)、狙いをつけた人物へ近寄るため相手に都合の良い優しい人物を演じ切る等、目的のためなら冷酷狡猾な真似も厭わないシリアスな性格の持ち主。
また、自身の演じていたキャラへ盲目的に縋りついて孤立を深めたターゲットを、そう自らが仕向けたのを棚へ上げつつ嘲笑う性根の悪さも見せている。
カロリーくん
演:徳山凛響
実験の本命として目を付けていた漫画家志望の青年・八太三郎を利用するために親しい友人としてハリガネ邪面が扮していた姿。白主体の服装コーディネイトを決めた十代前半の少年を模している。
一見すると年頃で自然な優しさを持つ良い子だが、これはあくまで八太の警戒心を解いて強く信用させるためにハリガネ邪面が演じている虚像の性格に過ぎない。加えて信用を積み上げる目的の為だけに八太の絵を称賛して彼の家へ通い、絵の描き方を教えて貰う等のコミュニケーションも重ねていたようだが、これはクランチュラがイリュージョアの力を解析する目的で八太を実験台にして幻影を見せ続けた結果でっち上げられた関係性だとも考えられる。
名前(※イラスト投稿サイトのアカウント名)は『仮(の姿)』の捩りと思われる。なお、名前は充瑠の元ネタである熱量の単位である「ジュール」に対し、こちらも熱量の単位「カロリー」が由来となっている。
活躍
ヨドンヘイムでクランチュラが発案した実験の説明の最中に出現、ヨドンナに化けることで自身の変装能力を披露し、これを活用して実験を成功に導けると確信を込めて宣言する。
地球に降り立った後は、(予備の)実験台を見つけるべくベチャットを使役して手頃な人間を捕縛。だがいずれも目に適った心の淀みを持っていなかったので「ふぅ…、どれも今一つだ…。 当初の作戦通りにしておくか」と呟いていたところにキラメイジャー5人が現れ交戦に突入。捕らえた人間は解放されベチャットも片付けられるが、追い掛けて来たキラメイジャーから逃げるふりをしてブルーに変装。近くの物陰より出て来て本物を偽者呼ばわりしてキラメイジャーを混乱させ、そのドサクサに紛れてまんまとその場から逃げおおせた。
その後カロリーくんの姿になり、イラスト投稿サイトで知り合った充瑠を引き連れて、「自分も絵を教えてもらっている」八太の家を訪問。何も知らない充瑠は、八太の絵の技術、アニメや漫画への造詣の深さ、ゲームの腕前等を絶賛し、八太を有頂天にさせる。
更に八太の描いた漫画を褒めそやして、漫画雑誌の新人賞に応募するよう後押ししていたが、これはあえなく落選した結果を突き付けることで八太を一気に絶望へ突き落とす最悪の精神攻撃を仕掛ける布石だった。ただし、万が一当選する不確定要素や、評価のコメントが必要以上に露骨な悪意まみれの物ばかりだった事を考慮すると、落選の結果はイリュージョアの力で捏造された物だった可能性もある。
こうして目論見通り打ちひしがれて心が淀みに染まった八太の前にカロリーくんの姿で現れ、「この世界はキミには残酷過ぎる」と優しく声をかける。そこで差し伸べた手を八太が取った直後、天使の翼の形の針金で八太を包みながら変装を解除。生み出された闇エナジーとイリュージョアの力を掛け合わせ、八太を邪面獣ジイシキシェルガへと変貌させた。
そしてジイシキシェルガの頭上へ陣取り、邪面獣に取り込まれた八太を「今までキミを傷つけた世の中に存分に仕返しするんだ」と煽り立てて、街中で暴れさせる。
駆けつけたキラメイジンやギガントドリラーは邪面獣を攻撃しようとするが、その異様な邪面の造形を見たレッドが内部に八太が囚われていることに気づき、迂闊に攻撃できない。ならばと頭部のハリガネ邪面を狙おうとしても、カロリー君が狙われたかのように幻覚を見せられた八太の操るジイシキシェルガが身体を張って身代わりで攻撃を受けてしまう。困惑するキラメイジャーを、「フッハッハ!愚かな奴だ。だが、こいつはいい!」と嘲りつつ、思いがけぬ好展開を喜ぶ。
だがキラメイジャーはギガントドリラーとダストン、スカイメイジの力を駆使して八太を邪面獣より引き剥がし救出。ジイシキシェルガもランドメイジとザビューンにより撃破されてしまう。
ハリガネ邪面は邪面獣が爆散する直前で頭上から飛び降り、命からがら逃げようとする。しかし八太の純粋な心を利用した事で怒りを爆発させたレッド=充瑠が、すかさず追いついてきた。切羽詰まったハリガネ邪面は苦肉の策として、
「充瑠君、僕だよ! また一緒に絵を描こう! ね?」
とカロリーくんの声で動揺を誘おうとする。だが、その姑息な小細工は、この時点でカロリーくんの正体を知らなかったレッドに、わざわざ「自分が八太の心を弄んで利用した」と自白したも同然で、逆にレッドの怒りの炎に油を注ぐ結果になった。
「人の純粋な心を利用して…! 許さない!!」
レッドはキラフルゴーアローを呼び出し、ゴーキラメイレッドへチェンジして止めの体勢に入る。
そこへヨドンナが現れ、ムチを構えてレッドを牽制する。「ヨドンナ様、ご加勢下さるので!?」と安堵の声を上げるも、「石を渡せ」と言われた通りにイリュージョアを差し出すや、「役立たずに用はない」と言い捨ててヨドンナはさっさと姿を消してしまった。彼女は単に実験の終わったイリュージョアを回収に来ただけ。所詮ヨドンの幹部が敗北者を救う訳がなかったのだ。
そして完全に命運尽きたハリガネ邪面は、ゴーキラメイレッドが放ったスパークリングフェニックスの直撃で、苦悶の絶叫を上げながら爆散。裏切りで人の心を踏みにじった者に相応しく、「自分が裏切られ見捨てられて破滅する」という末路をたどることになった。
尚、肝心の邪面獣を即席で生み出す実験自体は成功したものの、要であるカナエマストーンは邪面獣を一体生み出した時点で力を使い果たし休眠状態になったため、戦略の手段としては実用性に欠ける代物だと判明する結果で終わった。
余談
針金がモチーフの戦隊怪人は、『百獣戦隊ガオレンジャー』のハリガネオルグ以来、19年ぶりの登場となる。また、邪面師のオマージュと思われる仮面怪人にも針金仮面が存在している。
デザイナーのK-SuKe氏曰く、『太陽戦隊サンバルカン』のバラモンガーの顔がトラウマになった幼い頃の自身の経験から、子供たちにトラウマを与えるような不気味な1体になればとデザインしたとのこと。
声を演じる大谷氏は今作が特撮初出演となり、後に『爆竜戦隊アバレンジャーwithドンブラザーズ』で氷河鬼役で出演している。
関連タグ
ナミアヤシ、キングビービ、ザンダバルド、魘夢、アズ、ブラックファング:ハリガネ邪面と同じく心を傷ついた人間の弱味につけ込んで利用した卑劣な悪党繋がり。ザンダバルドとブラックファングに関してはマッチポンプで行っていたのでより質が悪い。
ドクター・メフィスト:菊地秀行の魔界都市シリーズの登場人物。針金を武器にし、針金で別の物を造形して動物を模した使い魔を操ることができる。