表記揺れ
概要
著者のデビュー作『魔界都市〈新宿〉』が初出。
以降、『魔界都市ブルース』をはじめ、菊池作品の複数のシリーズにわたって登場する。
198X年9月13日(金曜日)午前3時に発生した「魔震(デビル・クエイク)」によって壊滅した東京都新宿区が復興した後の呼び名。
隣接する他の区には全く被害が生じず、わずか3秒の振動は多数の建造物を倒壊させ、死者4万5千人を数える大惨事となった。更に区の境界線は最大幅200メートル、深度は未知数の亀裂となり、絶え間なく噴き出す妖気によって通信や電波観測が不能となった。
復興計画は頻発する異常現象によって半年で頓挫、新宿は地図上から消える事となる。しかしその後の数年で、多くの犯罪者や魔道士、超能力者などが流入。外部からの干渉を許さない、独立行政区的な存在となった。
「魔界都市」ならではの特産物や最新技術の「貿易」は、他の区と比較しても数十倍に上る規模を誇り、これを求める「区外」を相手にした強かな交渉、そして何よりもこの「魔界都市」を一目見んと押し寄せる客を相手にした観光業によって巨万の富を得ている。
深い亀裂によって他の地域とは隔離されており、早稲田、西新宿、四谷の三ヵ所にある「ゲート」と呼ばれる橋が往来の手段となる。
外部から訪れる観光客は帰りのゲートで禁制品(武器や薬品、呪いの品など)を持ち出していないか厳重にチェックされ、発見されると直ちに没収される。
妖気による影響を受けて適応した「区民」も、区外の一般人と比較して肉体的、精神的に優れているとされ、これを進化ととらえる研究者もいる。
様々な理由から区外に出る道を選ぶ区民もいないではないが、区外=苦界と折り合いがつかず戻る事を余儀なくされる者が大半を占めるという。
廃墟となった戸山団地に居を定めて人間との共存関係を構築した「戸山の陽気な住人」こと吸血鬼や、高田馬場に「魔法街」を構築して日々怪しげなまじないに没頭する魔道士など、風変わりな区民も多数存在する。
各地域の危険度はランク付けされており、「最高危険地帯(MDZ)」は原則として立入禁止。
「危険地帯」についても区民はまず足を踏み入れようとせず、「安全地帯」であろうとも命の危険がない訳ではない。