「それほどでも…あるけどね」
概要
エピソード40に登場。漫画家を目指す成人の男性。
長年、引きこもり生活を送っているものの、根はかなりの努力家であり、ペンダコが出来るまで漫画制作に明け暮れていた。
また、アニメについて詳しいだけでなく、ゲームも上手いオタク気質の人物。机や棚には和田どんのぬいぐるみの他、漫画「グッドスリー」グッズが飾られていた。
とあるイラスト投稿サイトにて知り合った少年「カロリーくん(アカウント名)」が唯一の友達であり、絵を教えている。後に、カロリーくんの紹介で出会った充瑠とも仲良くなった。
カロリーくんに勧められて、ペンだこができる程の努力を重ね、雑誌の新人賞に自分の作品を応募する。「もし入賞したら、これからもずっと友達でいるって約束してくれるかい?」と恐る恐る問い掛けてみたところ、カロリーくんは「当たり前じゃん!八太さんだったら絶対いけるよ」と笑顔で太鼓判を押してくれた。八太にとっては、この唯一の友達が希望の光であったのだ。
だが結果はあえなく落選。そればかりかネット上の作品評価は、
「キモイ絵 #どこで勘違いしたんだ」
「周りが甘やかすから(笑)」
「これでよく応募したな」
「プロに混じって一人だけカラオケ」
「出直してこい」
「単純に面白くない」
「残念すぎる」
「セリフが現実味なさすぎ」
「お引き取り下さい」
「よくわかんなーい」
酷評というより人間の悪意を凝縮したかのような罵詈雑言に等しい低評価コメントで埋め尽くされていた。絶望した八太は、自分の作品を破り捨てて自暴自棄に陥り、家から飛び出して打ちひしがれていた所、カロリーくんが彼の前に現れた。
「カロリーくん、ダメだったよ…。それだけじゃなく、たくさん馬鹿にされた…。こんな…ペンだこが出来るまで頑張ったのに…。この程度の奴が、今まで偉そうなこと言ってごめん…。
なんで、いつもこうなんだ…僕ばっかり…! 全部、めちゃくちゃ壊してやりたい気分だ…!」
涙ぐみながら絶望の心境を吐露する八太に、カロリーくんは優しく微笑みかける。
カロリーくん「この世界はキミには残酷過ぎる……。 行こう? 僕といっしょに、もっと純粋なまま生きられる世界に……!」
差し伸べられた手を八太が取った時、カロリーくんの体から伸びる無数の針金が八太を包んでいく。カロリーくんの正体はハリガネ邪面だったのだ。
生み出された闇エナジーとカナエマストーン・イリュージョアの力を掛け合わせられた事で、八太は邪面獣ジイシキシェルガに変貌させられ、ハリガネ邪面に煽られるがまま、街中を暴れ回る。
駆けつけたキラメイジンとギガントドリラーと交戦する羽目になるが、邪面に埋まった物品を見たレッド=充瑠が邪面獣に八太が取り込まれているのを察知、ザビューンのロレンチーニサーチで解析され腹部に八太がいるのを見破られるが、『カロリー君に危険が迫った』イメージがよぎった八太=ジイシキシェルガは咄嗟に振り返って自分が攻撃を喰らうなど、カロリーくんとの思い出を守ろうとし、キラメイジャーは迂闊に攻撃ができない。
「カロリーくんとの、あの時間だけが…生きてて楽しかった事の全部なんだ…本当に楽しかった…。だから…、何があっても守る!」
充瑠「どうしてこんな事を! 俺は、八太さんの絵を見て本当に感動したんだ! 純粋で、キラキラして、宝石みたいな才能だって…。もっと…ずっと描いてて欲しかったのに!」
そこで、痺れを切らしたギガントドリラーのドリルで腹部を貫かれて八太を救出する突破口を開かれる。すかさずレッドはダストンを呼び出し、ダストンキューイングで八太を邪面獣より引き剥がそうとする。ダストンキューイングの吸引力に負け、外へと吸い出されようとする八太だが、その際にキラキラとした自分の好きなもの囲まれた空間に、浮かぶカロリーくんと対話する。
「1度別れてしまったら、もう2度と戻れない気がするんだ。たとえ、また会えたとしても、きっとその時はもう今の僕たちとは違う。だから…ずっとこのまま…ずっと一緒にいよう…!」
大事な存在であるカロリーくんに手を伸ばそうとするも吸い出され、どんどんと遠くなるカロリーくんの姿…。それは、彼が幻想ではなく現実へと引き戻される瞬間でもあった。
外へと投げ出された八太はスカイメイジに救助され、ジイシキシェルガもハリガネ邪面も倒されるが、大切な友達との別れに打ちひしがれ、泣きじゃくるのみだった。充瑠はせめてもの慰めとして、彼から貰ったつけペンのお礼に自分の色ペンを手渡した。
後日、充瑠が励ますべく彼の家を訪れようとしたところ、八太の家はそこになく、既に更地になっていた。同行した為朝と瀬奈に「きっと引っ越ししたのだろう」と言われ、がっかりする充瑠。
しかし帰路に就いた充瑠が見たポスターには八太の絵柄とそっくりなイラストが描かれていて、充瑠は八太が漫画家としての人生を歩み始めたのだと確信し、「俺もやるぞ!」と笑顔になるのであった。
余談
名前は東映映像本部テレビプロデューサーの共同ペンネーム「八手三郎」だと思われる。
なお、作中を通して謎の多い人物であり、テレビ朝日公式サイトでは引っ越して漫画家デビューした事が示唆されているものの、それにしては自宅が更地になったり、漫画家デビューするのが早過ぎる上に実際に八太が漫画家になったかどうかは明言されていない為、そもそも八太の家での出来事がイリュージョニアの幻影だったのかもしれない等、様々な考察を呼んでいる。
公式完全読本でのインタビューによると徳永富彦氏によると「子供のとき見たアレは何だったのだろうという謎が大人になった時「もしかしてこういうことだったんだろうか」と思うようなものができないかと考えました。」「テーマに据えたのは心中物に近いもの」「その後八太が大人の世界に傷ついて一旦は子供のままでいようとするけど最終的に物語世界や少年とお別れして漫画家として物語世界を与える側になったという「通過儀礼の物語」に終わりますが実は最初に書いた稿にはこの先に当初のテーマに沿った結末があったんです。しかし、シリーズテーマやご覧になられた方々を思うと考え直してカットしました」「物語中、八太の家が急になくなるのは現実世界と心象世界と人にとってどちらが現実と言えるのかという問いかけを含ませるためでしたが結末を変えたのに違和感あるままシーンを残したのは当初のテーマの存在を匂わせたかったからでしょうね」と答えている。
また、公式サイトでは「絵が上手い中年の男」と紹介されているが、演者の賀屋氏は放映日時点で27歳であり、彼の家の前を通りかかって噂話をする中学時代の同級生の男性も、さほど年を食っているように見えないため、カロリーくんや充瑠に比べれば、という扱いだとしても「中年」という表現はいささか疑問でもある。
彼の自室のオタクグッズ内に、ミニバクダンシャドー、ホシ★ミナトの肩上にいたエイリアン人形が混じっているのが確認できる。隣にはブロックでできた小さなヨドンナ様の人形も。
関連タグ
魔進鬼:キラメイジャーをモチーフした戦隊怪人。こちらも人間ベースであるが、最後は救済される機会が無いままヒーローのせいで命を落とす等、八太とは正反対な末路を辿っていた。
星野ユメコ:こちらも誹謗中傷が原因で世間に絶望して怪人に取り込まれたスーパー戦隊の一般人。
久里虫太郎:屈折した青春を過ごし、歪んだ自意識を悪に見出されて怪物を生み出した人物。
カワバタセイジ:特撮作品のゲストキャラとして登場した漫画家繋がり。挫折が原因で怪人になるという共通点を持つが、八太と違って元に戻る事なくヒーローに倒されている。