「ほほお~残念ですねぇ……大切な読者を一人失うことになるとは…」
演:石井正則
概要
第11話「漫画」に登場するホラーの一体。陰我ホラー。
落ちぶれた漫画家カワバタセイジの若手漫画家への嫉妬を陰我に、彼が偶然手にした目打ちをゲートに出現した。
Gペンやカブラペン、羽箒といった漫画家の仕事道具の意匠を取り入れた、インクをかぶったように真っ黒な体を持ち、捕食した漫画家たちの技術を取り入れることができる。
また特殊なインクで描いた絵を実体化させたり先に書いておいた漫画の筋書き通りを現実に作用させることができる。
会話する際には顔のすぐそばに吹き出しが現れる。
カワバタに憑依すると、独立を目指して自分を裏切ったアシスタントのタナカやライバルのオザキといった邪魔な人間たちを次々と捕食し、自分の技術の肥やしにしていた。
当初は仕事場に結界を張り番犬所の目を逃れていたが漫画雑誌『週刊少年ビクトリー』に掲載した漫画の中にホラーを賛美する魔戒文字が書かれていたことを雷牙とマユリに目撃されてしまう。
雷牙との戦いでは描いた漫画のキャラクターたちを使い魔として使役(当然だが食った漫画家たちのキャラクターであるため盗作あるいは出来の悪い二次創作)。召喚したキャラも右手の指が六本ある美少女キャラ、怪獣、ロボット、ミリタリーな兵士と兵器、はては矢吹丈やピカチュウ、スエゾーのパチモンのようなキャラクターと一貫性がなく、雷牙に指摘されても「売れれば何でもあり」と開き直る始末。
結界に踏み込んできた牙狼を事前に書いた「黄金騎士の最期」の筋書き通りに牙狼を防戦一方にしてなぶり殺しにしようとしたが、最後のコマに差し掛かろうとしたときにベタ塗りを牙狼剣で受け止められ、牙狼が倒されるところを黒く塗りつぶされてしまうという奇策で逆転。本来のオチとは逆に牙狼の剣で串刺しにされ敗北するという皮肉な末路を迎えた。
怒りと屈辱のどん底で消えかけていたが、作業場でカワバタが幼少時自由帳に描いた作品『ニンジャリン』を偶然読んだマユリに「嫌いじゃない」と純粋な感想をかけられたことで漫画家としての初心を取り戻し、つきものが落ちたかのような笑みを浮かべながらインクに溶けて消滅していった。