パズズ(牙狼)
ぱずず
「これは美味しそうだ」
「私のオペで一命をとりとめた患者は皆、涙を流して喜ぶ…。生きてる喜び。明日があるという希望。彼らは心から人生を謳歌してる…。そんな生に満ち溢れた人間の身体こそ、グルメの私には…最ッ高の珍味なんだ…。すなわち患者とは最高の味を引き出すための、「食材」だ」
「ホラーに食い殺された黄金戒士の最期は、語り草だ。実に呆気ない最期だったそうだな」
登場話:第4話「晩餐」
声・演:加瀬大周
凄惨な人体実験で使われていたメスをゲートにして出現した上級ホラー。
立神亮一という医師に憑依し、彼が経営する病院を根城に患者たちを自身の医術で治すことで生への喜びを与え、幸せの絶頂にいる状態で食する。
後頭部から先端に注射器やメスといった手術器具が付いたチューブのような触手を伸ばして拘束し、バラバラに切り刻んでその血を吸い、自身をグルメと称する。
しかも本人は己の所業を指摘されても「自分は生きる喜びを与えてやっただけ。その時の人間は最高にうまい」「何ならガチョウの胃に無理やり食材を詰め込んだフォアグラを食べる人間のほうが野蛮。それに比べれば自分は紳士」と自身の悪行を棚に上げて開き直っている、ゲスそのものな性格。
病院のスタッフ4人(男女2人ずつ)もすでに部下として使役するホラーに憑依されており、血を吸った後の遺体は彼らの餌となる。
人間の状態でも冴島鋼牙と互角に渡り合える格闘センスを持つほか、非常に用意周到な性格であり、病院の周囲に魔戒騎士の鎧の召喚を妨害する結界を張っており、魔戒騎士や番犬所の眼を欺いて長年好き放題やってきた。それゆえに鋼牙の父大河のことを「ホラーに食われた黄金騎士」と呼んで知っている模様。手下のホラーや結界を応用し、鋼牙を一度は撤退に追い込んだ実力者。唯一の弱点は火を苦手とすることであり、そのため病院内は火気厳禁。
その正体は、十字架型のメイスを持った蝙蝠に似た頭部の怪人。血肉のカーテンのように真っ赤な触手で全身を纏い、そこから異形の姿が顕れる恐ろしくも荘厳な変身シーンは必見。
冒頭、難病に苦しんでいた患者を直してお礼を言っているところに本性を現して捕食する。
潜入した鋼牙も結界の影響で鎧の召喚ができない状況で手下のホラーや格闘術で圧倒し、撤退へと追いやった。
その後、家族の行方を捜して哀しむ被害者の遺族を目の当たりにした鋼牙は改めてパズズを倒すことを決意。再戦では友人の見舞いにやってきた御月カオルが次のターゲットになったことに目をつけて協力を仰がせ、結界の発生源のお札をはがさせることに成功。
結界が破壊された上に手下のホラーも倒され、鎧を召還されてしまう。
牙狼との戦いでも相変わらず身勝手な理屈を並べ立てるも、遺された者の哀しみを知る鋼牙から「殺されて幸せな人間などいない!」と一蹴され、烈火炎装で病院もろとも両断され致命傷を負う。
その後も「頼む、最後の晩餐に、その女の肉を……」と魔界語で喋りながらなおカオルを喰らわんとするも、鋼牙の「ふざけるな!」の言葉とともに牙狼剣で上下に両断され、全身から火花を吹き出しながら消滅した。
名前の由来はアッカドの伝承に登場する、熱風と共に人々に病をもたらす悪魔・パズズ。病気を治す医者という正反対のモチーフが採用された。
新技である烈火炎装のお目見に映えるように上級怪人感を出すため、部下のホラーを使役するという設定になった。
いくら策士とはいえ、彼に掛かった患者が全員失踪してはさすがに怪しまれると思われるが、その辺りどうしてたのかは不明。ちなみに困難なオペが成功しているのは器用に触手で施術しているため。
演じた加瀬氏が後に覚せい剤を所持した罪で逮捕されたため、2016年のリマスター放送では欠番となった。しかし地上波以外の再放送では普通に放送され、youtubeの期間限定公式配信でも問題なく配信された。
後にアニメ作品『炎の刻印』では彼と似たような嗜好と性質を持つ「メディクルス」という医師のホラーが登場している。