普段はこれだが
突然こうなる
概要
作画崩壊とは、読んで字のごとく「絵の造形が崩れている」イラストにつけられるタグである。
日本の商業用アニメーションでもたびたび起こる現象である。ある程度アニメに詳しい人間ならシュラる、ヤシガニ、キャベツ、いのうえ、五話寺、かんたんルミナス、正直困太などの単語を聞けば大体分かるだろう。
漫画作品でも起こり「絵が荒れている」とも言われたりするが、ギャグでキャラクターが思考停止するなど、平常心を保て無い場面に出くわして造形が狂ってしまうというシュールな表現にも用いられている。
「落書き」タグと違って「この絵が“作画崩壊”…だと…」というようなイラストは少ない。
作画崩壊の原因
日本のTVアニメでは伝説級の作画崩壊がたびたび発生しているが、その原因は
- 実力不足のアニメーターに作画監督を依頼している(慢性的な人材不足)
- スケジュールの逼迫(いくら実力のあるスタッフを集めても、時間がなければそのスタッフ達も作業することは出来ない)
- キャラクターデザインと作画監督の画風が合っていない。
などである。
アニメ業界では、実力のある作画スタッフは各社取り合いになる上、スケジュールが後ろ倒しになりやすい。ゆえに、どれほど予算が潤沢にあっても年に数回は起こりうる現象である。
1〜2クールでも崩壊している回の方が多かったり、ひどいと全編に渡って崩壊している作品もある。短期クールや単発の映画作品でも頻繁に酷い崩壊が起こる場合は、制作スケジュールの遅延、元請け会社でその作品の制作班に入るアニメーターやグロス会社(1話まるごとを下請けする会社)の不足などが原因になっていることが多い。代表格と言われるヤシガニ、キャベツなどは、制作上の工程破綻で作画監督を事実上飛ばした状態にされてしまい、ほとんど修正が出来なかった結果ああなった。
慢性的なアニメーター不足の割に作品数が多い現在のアニメ業界の問題が現れたものでもあろう。
作画監督が原因となる作画崩壊については『作画監督』の頁も参照のこと。
作品によっては演出の一環として敢えて一部のエピソードやシーンを、超絶画力だが個性的でクセのある画風のアニメーターや作画監督に完全に一任することがあり、その場合は本来のキャラデザと大きく乖離した作画となることもある。「個性を生かした(演出)」のか「技術が伴わなかった(作画崩壊)」のか判断に迷う所だろう。
作画崩壊と勘違いされやすい例
ただし、効果的に動かすために敢えてデッサンやデザインを崩した絵や、アニメーターの趣味でいじった絵、極端にデフォルメした絵を動画に加えること自体は普通にアニメーションの作画技術の一つであり、珍しいことではない(金田伊功や湯浅政明の演出、バリグナーなどが有名)。一枚絵でも迫力重視の極端なパースなどがある。
実際『天元突破グレンラガン』第四話での炎上騒ぎの元となった作画崩壊も本当は「動き重視のディフォルメ」である。ちょうどこの時期GUN道・キャベツショックに端を発する作画ブームがきていたことに加え、スタッフ側の反論の仕方が悪かった(口汚かった)ために炎上し火に油を注いでしまったが…。
何でもかんでも作画崩壊と指摘したり、モーション全体を見ずに中割りの動画を一枚だけ抜き出して「作画崩壊だ!」などと騒ぎ立て、ネット炎上等をさせる事は、スタッフに対して非常に失礼な行為である。むしろ、アニメ作画に対する己の無知を晒す行為も同然なので、軽々しくこの言葉を振りかざすのは慎むべし。
中には星のデデデ、劇場版秘密結社鷹の爪、銀魂183話のOP、深夜!天才バカボン、ボブネミミッミのように意図的な作画崩壊をネタにする作品もあるが、これは非常に稀なケースである。こちらの場合は作画ミスもネタにしている節がある。
逆作画崩壊
主にデフォルメ絵を書く人(この人とかこの人とか)のリアル絵に対してもたまにこのタグが付けられている。
これには「いつものデフォルメ絵が崩壊してきれいになってしまった…」という意味合いがあるので、上のように非難の意味は入っていない。秘めたる底画力を解き放った結果という意味で『作画解放』と呼ばれることもある( → 誰てめ絵)。
最近では、パンティ&ストッキングwithガーターベルトの変身シーンで、こちらの意味での『作画崩壊』が行われた。
よって、パンティやストッキングを始めとした、頭身が高いPSGキャラの絵に対しても付いていることがある。
また不細工キャラが美形に書かれた場合にそう呼ばれる事もある。いわゆる「きれいな〇〇」(なお、きれいなジャイアンはジャイアンとは別人なので逆作画崩壊には当たらない)。一部のギャグマンガでは「気合を入れると美形になる(長時間は持たない)」と言うキャラも存在する。
作画崩壊がよくネタにされる作品
ほとんどの場合はあくまで「一部のカット」にとんでもない作画があるだけであり、中には神作画と作画崩壊が同時に混在している作品もある。
全編にわたって作画が崩壊しているようなとんでもない作品もあるにはあるが、さすがに10年に一度くらいしか出てこない。
- 機動戦士ガンダム…特にククルス・ドアンの島に出てきた細長いザクやガンダムが有名。
- 超時空要塞マクロス…作画の良い回と悪い回の差が特に顕著だった。
- トランスフォーマーシリーズ…主に初代、2010、ビーストウォーズⅡ。特に音楽惑星への挑戦は伝説。作画ミスも参照。
- ふしぎの海のナディア…第23話から34話にかけての本編からかけ離れて低調な作画や悪乗りの過ぎたストーリーが島編と形容された。
- ロスト・ユニバース…通称ヤシガニ
- アキハバラ電脳組…上記のロストユニバースと同時期に放送されたアニメ。20話と24話~最終話以外は作画が酷かった。
- ガンドレス…10年に一度の作画崩壊作品の一つ。作画崩壊どころか全編を通じて未完成であり返金騒動を巻き起こした。
- 天空戦記シュラト…通称シュラる。絵のデザインはまともだが作画枚数が少なすぎて動きがおかしい回がある。
- 宇宙の騎士テッカマンブレード
- 遊戯王シリーズ…通称いのうえ
- NARUTO…作画崩壊と神作画が混在する有名な例。アニオリ回では崩壊が顕著だが、原作で重要だったエピソードでは途端に神作画になったりする。
- 魔法先生ネギま!…特にテレビアニメ1期と劇場版。
- 魔法少女リリカルなのはシリーズ(劇場版は除く)…通称ベルカ式作画
- MUSASHI-GUN道-…10年に一度の作画崩壊作品の一つ。背景実写、「うおっまぶしっ」、信玄餅など全編にわたってネタ。
- 家庭教師ヒットマンREBORN!…通称五話寺
- 夜明け前より瑠璃色な…通称キャベツ。これ以降、業界ではキャベツの作画には慎重に慎重を期すようになったとされる。
- 学園都市ヴァラノワール
- 劇場版秘密結社鷹の爪…劇中の予算を可視化する「バジェットゲージ」が常に備わって予算が低迷すると作画崩壊を起こすギャグが発生するネタ。※ただし、一部作品は除く。
- 内閣権力犯罪強制取締官財前丈太郎
- 蒼天の拳
- 咎狗の血
- スパロウズホテル
- 無敵超人ザンボット3
- 国際映画社制作作品
- 夢次元ハンターファンドラ PART2 デッドランダー編
- ふたりはプリキュアMaxHeart…通称かんたんルミナス
- 俺、ツインテールになります
- テニスの王子様…54話はもはや伝説(動画サイトに修正画像をupされるほど)。普段は主にこの2人が被害を受けている。※OVA以降は減少
- 劇場版ドラゴンボール『燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』
- DYNAMIC CHORD…通称ダイナミック作画。キャラだけでなく、不可解な演出や素人目にも判る背景美術の破綻、怒涛の使い回し等でネタにされた。
- クオリディア・コード
- メルヘン・メドヘン…回を進むごとに作画レベルの低下が指摘されるようになり、本放送を2週休止したものの持ち直すことはできず、2話を残して放送が打ち切りとなってしまった。
- Butlers〜千年百年物語〜…最終回が近くなってきた頃、上のような使い回し現象が発生し、せっかくのアクションシーンが残念な結果に。
- チャージマン研!
- ひだまりスケッチ…絵柄自体は崩壊しなかったが紙芝居状態に。通称富士山
- 俺が好きなのは妹だけど妹じゃない…6話EDの原画クレジットに正直困太の名が登場、それに応じるように7話の放送が1週間延期された。
- 千銃士……PVと第一話こそ作画が綺麗だったが、それ以降はキャラの顔のバランスがおかしかったり、口が顔から飛び出たりしている。
- ブルーリフレクション澪……余りにも酷過ぎた為かBlu-rayの一般販売が中止に陥ってしまった。
- 「艦これ」いつかあの海で……3話でレイヤーの欠落により時雨が一瞬坊主頭に。この回では他にも大小の作画ミスが多発しており、その影響からか4話の放送が「制作上の都合」として延期される事態となった。さらに放送再開後の4話でも、大戦中の佐世保市街に中世ヨーロッパ風のロングソードとラウンドシールドが軒先に描かれるミスマッチが発見されている。
- ミカグラ学園組曲……普段の作画は安定しているが、戦闘時の作画レベルが低くなっている。
- 七つの大罪(漫画)……第3シリーズにて、制作会社がA-1Picturesからスタジオディーンに変更された影響によるスタッフ間の連携不足なのか、作画崩壊を引き起こしているシーンが散見されるようになった。一部ファンからは「作画の大罪」と揶揄されていた。その後、第4シリーズは何とか持ち直している。
・・・あれ、なんで21世紀の作品がゴロゴロしてんだ?
フィクション中の劇中劇における作画崩壊作品
- ルイモンド三世(アニメーション制作進行くろみちゃん)
- ぷるんぷるん天国(SHIROBAKO)
- 星のデデデ(星のカービィ(アニメ))
- ロボ刑事番長(こち亀)
※後者2つは作画崩壊の典型的な例として挙げられる。
関連イラスト
いつもの作画崩壊(キャベツ)
「逆」作画崩壊の例
関連タグ
五話寺 かんたんルミナス ベルカ式作画 ダイナミックコード(アニメ)
深夜!天才バカボン:エピソードの一つで作画崩壊したのだが、これはあくまでもネタの一種としてである。
ノエイン・宇宙の騎士テッカマンブレード:こちらは各話の担当した作画監督によって変化があるためか、作画崩壊と間違えられやすい。その為、こちらも意図的演出となる。
檀黎斗:実写作品のキャラクターでありながらあまりに激烈な顔芸ゆえに「三次元で作画崩壊する男」の異名を持つ。