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演:勝矢


概要編集

仮面ライダーゼロワン』第5話のゲストキャラクター。

15年間の連載の末に1億部を売り上げた漫画・『パフューマン剣』の原作者である超人気漫画家。飛電或人「石墨先生の漫画を読んで育った」と断言するほど熱心なファンである。

しかし、自分自身の手で漫画を描いていたのは過去の話。近年ではもっぱら森筆ジーペンを始めとするアシスタントのヒューマギアに漫画を描かせており、絵を描くことはおろか、話を考えることさえも、ジーペンたちアシスタントヒューマギアに丸投げする状態になってしまっている。


更には、アニメの打ち合わせ時に顔を合わせた声優ヒューマギア・香菜澤セイネの事務所社長の多澤青次が「手塩にかけてじっくり育てないと」と発言した事に対し、「AIは疲れないんですよ。どんどんラーニングさせて使い倒してやってくださいよ!」と笑いながら発言しており、ヒューマギアそのものを軽侮していることがわかる。


活躍編集

第5話は注文されたヒューマギアを、或人とイズが自ら石墨邸に届けに向かう所から始まる。

当初はヒューマギアを奴隷のごとく乱暴に扱う専制君主の様に登場し、「ヒューマギアはあくまでも人間を助けるパートナーであり、奴隷ではない」と言う或人の信念に対して、「ヒューマギアなど替えの利く消耗品」という露骨な態度を取り、或人と真っ向から対立した。


そんな中、作業中にアシスタントヒューマギアの1体がダウン。更にビカリアマギアに変貌したジーペンにより、所有するヒューマギア全てをマギア化され失ってしまう。

石墨はすぐさま代替品を注文するが、「情熱を持って仕事しているすべての人々を助ける」という飛電是之助の理念に基づきイズが新規ヒューマギアの発送を独断でキャンセル。「情熱を失った人間は、AIの勤勉さに勝てない」と言う或人と2人で情熱を取り戻すよう説得されるが、石墨は自分には漫画を描く情熱がなくなったと本音を口にする。


そんな中で再びビカリアマギアからの襲撃を受け、咄嗟に机の上のペンだけを取ってその場を逃げるが、真っ先にペンを取った行為こそ漫画への情熱がまだ失われていない事の表れであると或人に指摘される。そのままビカリアマギアとの戦いに突入したゼロワンバルカンの戦いの現場に向かい、これに創作意欲を刺激され、戦いを傍観しながら件のペンを使ってゼロワンのスケッチを完成させた。


その後は、1体だけ新たに導入したジーペンと同型のヒューマギアに背景を任せ、再び自身の手で漫画を描き始めている。

その際「背景を任せたおかげで新しいキャラクターを考える余裕ができた」と言いながら、バルカンのパンチングコングをモデルにした『パフューマン剣』の新たなキャラクター「ゴリカン」を或人に披露している。


或人「俺じゃないの…!?」

イズ「アルトじゃないと…」

或人「いやその使い方ァ!」

石墨「ハハハ」


第31話にて再登場。飛電インテリジェンスを買収した天津垓がヒューマギア事業を中断したために、停止してしまったジーペンを動けるようにしてほしいと、飛電製作所に頼み込んできた。その際、「俺の大切な相棒を戻してくれ」と懇願しており、以前とはすっかり心を入れ替えて、ジーペンを大事に思っていることが窺える。


前回の事件の時、或人の必死の訴えで漫画に対する情熱を思い出した彼は、それ以来ジーペンを道具ではなく、対等の相手として接するようになり、ジーペンもそれに応えて新しいアイデアを生み出したりするようになった。そしてジーペンをアシスタントではなく、漫画家として独り立ちさせるという『夢』を持つようになったのである。

再起動したジーペンは当初、通信衛星ゼアからの命令がなくては何もできない状態だったが、或人から聞かされたその石墨の思いを受け止めて、「自分で考えた漫画を考えてみたい」というシンギュラリティに目覚めた。その姿は唯阿の胸を揺さぶることになる。


物語上の役割編集

仮面ライダーゼロワンにおける人間側のゲストキャラクターの1人である石墨超一郎だが、彼は今までのゲストとは違い、人間とヒューマギアが単なるWIN-WINの関係にはないことを明示したキャラクターとなっている。


彼のヒューマギアに対する態度は、ラーニングと言う名目でヒューマギアを酷使し、漫画の絵を描くどころか作劇さえも一方的にヒューマギアに押し付け、過重労働によって不調になったヒューマギアは使い捨ての消耗品の様に交換を申し出るという、視聴者から見れば好感度の低い物であり、更にはヒューマギアの価値を、ラーニングのコストとリターンのみで考えるという、いわば悪い主人の典型例の様なキャラクターとして描写されている。


しかしその一方で、彼のヒューマギアに対する過剰ともいえる依存ぶりは、同時に自分の仕事に対する自信の無さ割と深刻なスランプとなっていた表れでもある。

彼が自身で作画をしていた連載初期の絵は、或人に下手(悪い意味で言った評価ではなく、或人はすぐに『勢いがある』と言い換えている)と評される画風であり、ヒューマギアが作画する現在の絵は線も整った美麗なものになっている。

更には15年分のラーニングの末にアシスタントを担当していたヒューマギアは、ストーリー構成までもを彼に変わって担当できるようになってしまっていた。


自分よりも評価の高い絵を描き、面白いストーリーも考えられるロボットが、売れる漫画を勝手に描いていく。

このような状況こそが”漫画家『石墨超一郎』”が、自分の仕事を見出せず、仕事に対する情熱を失ってしまった理由であり、そのような状況下で彼が全ての仕事をヒューマギアに丸投げしてしまったのも無理はないと言えるだろう。


言うなれば彼は、第1話の或人と同じく、ヒューマギアによって仕事を奪われた人間でもあり、ヒューマギアを道具として酷使するという加害者としてだけでなく、ヒューマギアによって自分の存在意義を奪われてスランプに陥った被害者でもあるという事をわかりやすく改めて示した人間でもあり、ヒューマギアと人類の共存の難しさを最も体現した人間でもある。


ただし第31話で再登場した際はスランプを脱した末にそんな態度も改まっており、天津垓によって社会から追放されたヒューマギアが、人間と同じように夢を持つことにより居場所を取り戻してゆくという、物語後半の幕開けのキーパーソンとなった。


余談編集

作中で石墨超一郎が描いているとされる漫画『パフューマン剣』のイラストを実際に描いたのは、同期のスーパー戦隊シリーズ騎士竜戦隊リュウソウジャー』ほか多数の作品で敵怪人等のキャラクターデザインを担当している、漫画家・久正人氏。

超一郎がヒューマギアを導入する前に描いていた絵の方も担当している。

また、『パフューマン剣』をテーマにしたTシャツやストラップ、ぬいぐるみなどがプレミアムバンダイで発売が決定している。


石墨を演じた勝矢氏は『仮面ライダーカブト』で田所修一の弟を、『仮面ライダーW』でビースト・ドーパントこと有馬丸男を演じた。

また、その容姿は「かつて仮面ライダー作品のコミカライズに関わったことがありながら諸々の理由で黒歴史扱いされているあの漫画家」に似通っており、作中見せていた漫画作りへの態度が痛烈な皮肉に感じられた視聴者が相当数いたようである


名前の由来は仮面ライダーシリーズの原作者である『石ノ森章太郎』氏、『ONEPIECE』の原作者『尾田栄一郎』氏、両者のもじりで命名されたのではと推測される。敵怪人が絶滅動物なので苗字は石炭紀にも掛けたのだろうか。また、石墨単体の意味は黒鉛またはグラファイトの事を指し、鉛筆の素材にもなる鉱物。

また漫画家の名前に「墨」と「一」を入れたのは石ノ森章太郎先生が若い頃に出した同人誌「墨汁一滴」のオマージュともいわれる。


彼が初登場して1年半である『仮面ライダーセイバー』にてはたまたも自宅の近くを襲撃されてしまっている。理由は不明。


2022年8月末に登場したAI「mimic(ミミック)」の技術の高さと悪用されないか、の賛否の声の流れから、仮面ライダーゼロワンがトレンド入りする程話題になるが、ミミックが扱う物が「絵」の為、彼の話を連想する人も。


そして同年秋に登場したNovelAIは実際にプロのイラストレーターの絵も再現可能な高度な技術なのだが、同時にPixiv内にも大量にAIイラストが連投される問題が発生し、中には以前は普通に絵を投稿していた人が完全にAIイラストをメインに投稿する路線に変わる等も起こり、石墨超一郎の一件が現実的になったと考える人も。


関連タグ編集

仮面ライダーゼロワン 森筆ジーペン


ひかわ博一描きおろし漫画が「AIが絵やストーリー構成を考える」という内容で、本編の内容をまるで予言していたかの様な現象が起きている。また、彼も途中でやる気がなくなりアシスタントに丸投げしていたという点も共通している。詳しくは本人の項目を参照のこと。


仮面ライダーセイバー小説家が主人公を務める次回作。例年通り年末映画が共演作となっていれば、ジャンル違いでこそあれ物語を綴り本にする職業という共通点からクロスオーバーしていたことだろう。今後の劇場作品の展開に期待したいところ。

なお本編では年末ごろから登場したライダー漫画(ただしアメコミ)に興味を持った結果新たな形態を得るという展開がなされており、もしかしたら年末映画が共演作になる場合のものを翻案したのかもしれない…。

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