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遊星より愛をこめて

ゆうせいよりあいをこめて

『遊星より愛をこめて』とは『ウルトラセブン』幻の第12話サブタイトルである。
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欠番までの経緯

本放送及び数年間の再放送が行われた当時は特に取り沙汰されることはなかった。
しかし、1970年10月に小学館の学年誌の付録として怪獣決戦カードが付けられた際にこの回に登場する異星人・スペル星人の説明文に『ひばくせいじん』というストレートすぎる肩書きが付けられていた事をきっかけに一連の騒動が始まる。
これを見た女子中学生が、フリージャーナリストで原爆被害者団体協議会委員であった父親(中島竜美氏)に話し、父親は編集部に抗議文を送った。
『被爆者を怪獣にするなんて!』と解釈され、新聞など各報道によってこれが瞬く間に全国に広がり、広島・長崎の被爆者団体を経て抗議運動も全国的規模となった。
その結果、円谷プロは12話を封印せざるを得なくなった。

時系列を日付入りでまとめると次のようになる。

10月4日 女子中学生が問題のカードについて父親(中島竜美氏)に相談 → 10月6日 最初の抗議文を送付→
10月10日 新聞報道で問題が広く知られる → 10月21日 円谷プロが12話の再放送を中止 → 半年後にウルトラファイトにスペル星人を使ったことで再度謝罪、作品の欠番(封印)を決定。

円谷プロと小学館は、自らの非を認めて謝罪し、作品を封印するという「全面降伏」を選択した。この対応が迅速に行われたため、抗議や報道は1~2ヶ月程度(1970年内と半年後の極一時期)で沈静化した。

この問題が勃発したのは、『ウルトラファイト』の放送開始直後であり、かつ円谷プロとTBSの間で『帰ってきたウルトラマン』の企画が本格化していた時期だった。もし円谷プロが対応を誤り、ウルトラシリーズという同社の看板作品に傷が付いてしまえば、再放送やウルトラファイトの打ち切り・放送見合わせ→「帰マン」の企画中止、という負の連鎖が起こっていた可能性がある。

念の為に記述しておくが、現存する公式設定上のスペル星人の正式な肩書は『吸血宇宙人』である。ただし事件以前には各出版社で肩書は一定していなかった。問題の直前に円谷の営業担当者が親交のあった中学3年生の少年(後に円谷社員を経て特撮映画研究家)に設定資料作製を依頼し、一部文献(付録ではなく独立した一冊の書籍であり、もっとも資料価値が高かった)にあったスペル星人の別名「被爆星人」を選択した。これがそのまま円谷公認の設定案として採用され、各出版社に配布されるというチェックミスがあった。

作品の評価

本エピソードは、脚本を佐々木守氏、監督を実相寺昭雄氏が手がけ、前作『ウルトラマン』のフジ・アキコ隊員役の桜井浩子がゲスト出演(しかも、現役ヒロインのアンヌ隊員の友人役という“新旧ヒロインそろい踏み”)するなど、ウルトラシリーズでもなじみの深いスタッフ、キャストが顔を揃えた、注目に値する回だった。
その一方、内容については賛否両論となっており、本作を(非合法な手段も含めて)視聴した者からは、『良作』『駄作』と評価がまっぷたつに分かれている。
大きくまとめると、スペル星人の造形に魅力が乏しい点(子供向け番組にケロイドのある「怪獣」を登場させることにデザイン担当者が激しく抵抗したとされる)や、脚本(とスペル星人のやや稚拙な作戦)の破綻といった難を挙げる声がある一方、先述の「嬉しいゲスト出演」や、ウルトラ警備隊の珍しい私服姿での活動、「切羽詰まった背景」を持つ侵略者の描写、凝った映像・音響演出(いわゆる“実相寺演出”)などの見所を評価する声に分かれている。
いずれにせよ特撮オタクに人気のある実相寺昭雄監督の“欠番”という扱いが、「埋もれた名作」「騒がれているほどではない」という正・負のバイアスをかけている所が、本作の評価を難しくしている要因だろう。

当事者からの声としては、監督・実相寺昭雄らは本作を原爆反対を訴えたものであると反論している。
元広島平和記念資料館長・高橋昭博氏は本作を視聴した際に「31年前に見ても差別だとは感じなかったはずで、平和を願う気持ちが伝わる」というコメントを残している。

当時“抗議側”にいた人物・中島竜美氏は「私の投書が結果的に第12話を封印させてしまった。表現の自由を潰してしまったという思いがある。簡単に存在をなくすことは怖いことだ。」と語っている。また、抗議については「(怪獣カードがなければ)しなかったと思う。私の投書から問題が広がったが、放送したTBSには抗議していない。二次使用のカードを問題にしたが番組自体の内容評価はしなかった。」「番組を見ずに抗議したのは大きな問題だった。」とも語っている。
原水爆禁止日本国民会議は「当時の抗議の経緯はわからない。いま実際の番組を見てもとくに問題があるとは思わないが、被爆者自身が見てどう思うかが重要。今後、経緯を説明したうえで(第12話を)公開することは可能だと思う。」と答えている。
(光文社 FLASH 2005年11月22日号 p.82~83より引用)


書籍等での扱い

近年の円谷プロ監修の書籍においては、欠番であることを断ったうえで放映リストにタイトルが記載されたり、スタッフやキャストが紹介されたりする程度であり、ストーリーや封印に至った経緯、本編の映像やスペル星人の写真等が掲載されることはまずない。

…しかし、漫画『ウルトラマン超闘士激伝』ではスペル星人がモブとして登場している
さらに、2012年9月に講談社から発売された「ウルトラ怪獣DVDコレクション6 メトロン星人」において、「セブン」放送当時の雑誌記事の再録という形でひっそりとスペル星人が復活を果たしている

みんなのスペル星人から一言



円谷プロの姿勢の変化・・・?

安藤健二の著書『封印作品の謎』(2004年・太田出版)では、同じく欠番の『怪奇大作戦』第24話「狂鬼人間」の取材において、タブーである封印作品の取材にかかわることで、円谷プロの逆鱗に触れることを恐れる特撮ライターの発言や、円谷プロの取材拒否について記している。かつての円谷プロは封印作品を取り上げられることに非常に慎重な姿勢であったことがうかがえる。
(“下衆の勘ぐり”をすれば、この時期-2000年代-の円谷プロは経営難に内紛、海外企業との著作権紛争など、正に“内憂外患”の状態で、対外的にナーバスになっていたとも考えられる)

しかし、『ウルトラセブン研究読本』(2012年・洋泉社)では、執筆者に同人サークル「12話会」が名を連ねている。12話会は、12話を極めて詳細に扱った同人誌「1/49計画」(当然円谷プロ非公認)を発行しているサークルである。また、本の中でも12話について僅かに触れられ、読者が12話について知識があることを前提にしているような記述もある。円谷プロ公式監修の書籍においてこうした執筆方針が取られたことは、2004年当時の同社の姿勢からの変化をうかがわせる。前記の「ウルトラ怪獣DVDコレクション」での再録の例もあり、出版物上では12話の封印を解放するという流れが進んでいるのかも知れない・・・?

視聴手段

一般人が合法的に視聴する手段は極めて限定的である。
欠番時期が1970年。当時の録画環境であるカラー8ミリやビデオテープ(当時はオープンリール式、ほぼモノクロ)は高価だったため、テープ録画された例があるのかすら不明である(大河ドラマでは発掘された例があるが)。

唯一合法的に観る手段は「12話(の一部)が例外として収録されたレーザーディスク」なのだが、絶版品の為入手は困難とされている。




では、グレーゾーン~非合法ではどうなのか。

日本では1980年代に海賊版のビデオが流通。流出経緯は不明だが、円谷に出入りできる特撮オタクが流したなどという説がある。
詳細

さらに1990年代に『ULTRA7』としてアメリカで放映された際、第12話が英語吹き替えで放送された。(ハワイで放映されたものは原作そのものだが、アメリカ本土版では被爆に関する表現は完全に消去された)

このアメリカでの放送が録画され、それが数々の動画サイトに違法アップロードされている。こちらは一部シーンをカットしたアメリカ本土版との事。

動画サイトにハワイ版の映像、日本版のOP映像と海賊版やレコード版の本編音源を繋ぎ合わせて丸々24分の1話分に編集された12話本編がアップロードされている。
検索すれば普通に出てくるが、作品の性質上グレーな視聴手段である。

関連タグ

スペル星人 メトロン星人 ウルトラセブン

怪獣死体置場(モルグ) - ウルトラファイトにて本エピソードの映像を使用した「遊星の悪魔スペル星人」が再放送できなくなったため、急遽本数合わせとして撮影された。

宇宙家族カールビンソン - あさりよしとお氏の漫画で、本エピソードをパロディ化した回がある(話数・エピソード名も同じであらすじも大体同じ展開)。また、単行本収録時には本来収録される2巻では欠番としており、3巻にわざわざ幻の12話として収録している。

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