「それも私だ」
概要
スーパーロボット大戦シリーズ、スーパーヒーロー作戦などに登場する人物。初出はスーパーヒーロー作戦。
基本的にどの作品でも世界の運命を自らの手で操るという野望を持ったラスボス格として登場する。
登場作品においてそのバックグラウンドが大きく異なるが、仮面を被った異星人の天才科学者である事と、自らが開発した「クロスゲート・パラダイム・システム」を完成させる為に暗躍している事が共通し、結果として登場作品では必ず物語の黒幕として位置づけられている。
また、リュウセイ・ダテ、イングラム・プリスケンとは浅からぬ因縁がある。
スーパーヒーロー作戦におけるユーゼス
ギャバンと同じバード星人と地球人のハーフであり、銀河連邦警察の科学アカデミーの科学者。
ギャバンと共に地球へ訪れ、地球で頻発する超常現象と深刻な大気汚染の調査の任に就いていたが、超常現象の原因を大気汚染と推測し、次第に調査だけでは飽き足らず、事態の解決を狙って周辺の反対を押し切り「大気浄化弾」を使用するが失敗に終わり、発生した電磁波の雲で地球のレーダーを使用不能にしてしまい宇宙人の侵略から無防備な状態にしてしまう。その結果、極東基地で独房入りを余儀なくされてしまい、その後のETFによる侵略作戦によって基地が破壊されるが、ザラブ星人に助け出され生き残る。
その際に顔に傷を負ってしまった為、新しく顔(イングラムと同じ顔)を与えられるが、彼はその顔を嫌い仮面を被るようになった。
その後はETFに身を寄せ、40年の歳月をかけて因果律を操作する「クロスゲート・パラダイム・システム」を開発。そこにウルトラマンの力、デビルガンダムの力を加えて完全なものとし、全ての因果律を操作し時間と空間を自分の思うまま支配できる存在となるべく、巨大組織バディム、そしてネオバディムを操って新西暦155年と195年の2つの世界を股にかけて暗躍を続けた。その過程で自身のクローンであるイングラム・プリスケンを生み出すが、与えられた目的を達する事なく記憶を失い、脱走して敵対する事になる。
そして、カラータイマーの力とデビルガンダムの力双方を手に入れたユーゼスは現世に自身を縛る因果の鎖を次々と断ち、最後にガイアセイバーズを消し去るべく超神ゼストとなり、彼らの前に立ちふさがったが、SRXの天上天下一撃必殺砲の前に敗れ去った。
死の間際、絶対者のごとく振る舞った彼も地球人としての善と悪との葛藤で苦しんでいた事が明らかとなり、完全な悪人となりきれていたわけではないようであった。
スーパーロボット大戦αシリーズにおけるユーゼス
ゼ・バルマリィ帝国出身の純然たるバルマー星人で、十二支族の中でも科学分野に秀でるゴッツォ家の一員。
その目的は自身が絶対者となる事、そして自らを縛るバルマー(とその支配者である霊帝)へ反旗を翻す事である。
その為に帝国観察軍第7艦隊の副指令という立場で地球へ赴き、自らの計画に必要なサイコドライバーの力を求めて暗躍し、また地球人の潜在能力を引き出すことでバルマーに対抗できる力を身につけさせるべく、第7艦隊侵攻以前から様々な「仕掛け」を余念なく地球に施していた。
そして、バルマーの地球侵攻が開始された後には、予め地球に潜入させていたイングラム・プリスケンに行動を起こさせ、サイコドライバー能力者を誘拐、その能力の覚醒を促した。
また、事前に第7艦隊司令のラオデキヤ・ジュデッカ・ゴッツォを謀殺して自らの目的に有利な行動を取るよう調整されたクローンを据え置いた(もともと艦隊司令はゴッツォ家が生み出したハイブリッド・ヒューマンであり、挿げ替えは容易であった)。
しかし、最後には予想以上の力を身につけたロンド・ベル隊とSDFによって自らの野望を打ち砕かれ、敗北した。
また、ケイサル・エフェスが姿を現す以前からその存在に気づいていた数少ない人物であり、クロスゲート・パラダイム・システムは彼に対抗する為に開発していた物であった。
しかし、ユーゼスの行動はケイサルにとって想定内であり、αにおいて全能者の如く振舞った彼も、より大きな存在の掌の上で踊らされていたに過ぎなかった。
ドリームキャスト版αの追加ルートでは、前述のラオデキヤは影武者で真のラオデキヤに倒されるという展開になっている。
なお、スーパーヒーロー作戦、スーパーロボット大戦OGと違い全編通して素顔を現していないが、同じゴッツォ家の一員であるシヴァーやハザル、エイスは「スーパーヒーロー作戦」における彼の素顔(=整形前の本来の顔)と似た顔を持っている。
スーパーロボット大戦OGシリーズにおけるユーゼス
OGSの序盤、ネビーイームで目覚めたイングラムの前に現れ彼の意識を乗っ取り、地球へメテオ3(=セプタギン)とネビーイームを送り込みL5戦役を引き起こした張本人である(アニメ「ディバイン・ウォーズ」においても登場)。
また、イングラムの前に現れた際には霊帝への反逆を目論んでいることを口に出し、個人の野心よりもゴッツォ家への忠誠を優先させているかのような言動も取っている。
第2次スーパーロボット大戦OGにおいて、「アルテウル・シュタインベック」という偽名を用い、地球人として暗躍(ちなみに素顔は、(多分だが)イングラムを壮年にした感じの顔つき)。全能なる調停者となり、己の運命を変えることを目論み、その為にツェントル・プロジェクト等の兵器開発計画に出資し、大統領直轄部隊「ガイアセイバーズ」を設立。その司令官の座に就き、腹心のカーリー・ナウマンやアーマラ・バートンと共に地球圏を守護する剣として地球圏へ襲来したゲストを迎撃するが、後に大統領グライエン・グラスマンを鋼龍戦隊の仕業と見せかけて暗殺する。
そして、激闘の末にバラルの園で鋼龍戦隊に敗れたナシム・ガンエデンを奪取し、AI1とクロス・ゲート、イーグレット・イングを取り込み異形の存在「アダマトロン」へと変貌を遂げるが、自身が切り捨てた部下からの攻撃によってイングは脱出。最期は神の力を手に入れるも敗因も自身で作り出していたことに気づきながら敗北した。
断末魔の「それも私だぁぁぁぁっ!!」は過去作をプレイしたユーザーから哀れみと笑いを誘った。
OG世界のユーゼスは、αやスーパーヒーロー作戦のユーゼスの記憶を受け継いでいる事が示唆されているが、イングラムが自身のコピーである事や、因果の鎖を断ち切らない限り自身の運命を変えられない事を知らないなど、知識の欠損が目立つ。
と言うより、ユーゼス本来の器量が『中身』であるアルテウルによってスポイルされているかの様にも取れる。実はこれと似た事がOG1のイングラムにも起こっていて、同作での彼は念動力を持たないバルマーの人造人間『バルシェム』の身体に魂を宿していたが、いざエアロゲイターのスパイである事を明かして敵に回った以降、性格が悪役に在り来たりの冷徹な物へと変化した。そして最終的に完全敗北して肉体を失う直前に、本来の性格の一端を出していた。
イングラムがOG世界に漂着した直後、魂の器となったバルシェムの身体に仕掛けられた『枷』の影響を受け始めた彼へある人物が「“奴ら”に力を利用されるぞ」とテレパシーを送るが、数少ない状況証拠から推察するとアルテウルは“奴ら”がユーゼスに『枷』を嵌める為の手駒だった可能性がある。何故ならアルテウルの原型は、青臭い傲慢さ故に一人で大失敗を演じて全てを失った整形前のユーゼスであり、挫折より再起して例の仮面を被り、イングラムのオリジナルとなった整形後のユーゼスとは経験・精神面で大きな差がある。
つまり、アルテウルを器として現れたユーゼスが情けない黒幕に成り下がったのは、整形前の青二才時代(アルテウル)の精神が、整形後以降(ユーゼス)で手にした力に付いて行けずズレを起こしていた(※)からだと推測される。そしてこのユーゼスの手で、彼の因果の鎖を断てる可能性を持ったイングラムはOG世界より排除された。
※スパロボの周回要素に例えるなら、クリアデータのみをスパロボ初心者時代の自分へ送った様な物。資金やPP等、強くなる資産は潤沢だけれども、ゲームの詳しい内容を知らないので与えられた資産を有効活用するのが難しい。
そしてその後、『ムーン・デュエラーズ』においてエアロゲイターの本隊、ゼ・バルマリィ帝国の先遣隊が遂にOG世界の地球に来襲。その内の人造人間兵士部隊に『アイン・バルシェム』の姿があった。……しかしこの彼へ大きな変化を与えただろう、イングラムとユーゼスの存在は既にこの世界から消えており……。
そっくりさん?
「されど、記憶の断片を繋ぎ合わせ、惨めなる仮初めの名を……あえて名乗ろう。名こそは存在の始まりなれば。……ゼス。ウー……ゼス……。ウーゼス・ガッツォ……それが、『ここ』に在る『私』の名……」
アイドルマスターシンデレラガールズのスーパーロボット大戦OGコラボイベント『スーパーロボット大戦CG チューン・デュエラーズ』のステージ7隠しボス、ラストステージ8ボスとしてダークブレインの中から『ウーゼス・ガッツォ』なる人物が登場した。
グラフィックや台詞回しはユーゼスそのもので搭乗ユニットはアダマトロン、ウーゼス・ガッツォの名も断片的な記憶を繋ぎ合わせて名乗ったものだが詳細については明かされていない。それも私だ?
その後生スパロボチャンネルでこっそり語られたところではシンデレラガールズのスタッフから「ユーゼスとイングラムのその後を書きたい」と切り出されたが流石にそれは難しいという事で「ユーゼスの名前を使わなければ可」と寺田Pが命名したのがこの『ウーゼス・ガッツォ』なのだという。
他にもガンレオンをグラフィックは自分たちで描き下ろすので出させてほしいと頼み込むなどシンデレラガールズチームの熱量は相当なものでスパロボ側も圧倒されるほどだったとの事。
ウルトラマンモチーフが多いのも私だ
前述の「スーパーヒーロー作戦」にてウルトラマンの持つ超常的な力に固執し「私はウルトラマンになりたかった」とまで言い放った彼であるが、ユーゼスとその一族にはその後も何故かウルトラマンを彷彿とするモチーフがこれでもかと組み込まれている。
あまりに多いため一部だが列挙する。なお一部除き公式でそうだと言及された訳ではないので注意。
- 「超神ゼスト」自体がそもそもウルトラマンモチーフである。前述の通りカラータイマーを手に入れたことでウルトラマンの力を手にしたというもので、使う技もスペシウム光線などウルトラマンの技によく似たものである。
- シヴァー・ゴッツォの戦闘BGM「ZEST SEVEN」は「ゼストセブン」と読める。上記の通りゼスト=ウルトラマンとすると……。また、第3次αのあるシーンにて、彼が斬撃を行う際のSEがとある必殺技に極めて酷似している。
- シヴァーの息子であるハザル・ゴッツォの「ハザル」とはヘブライ語で「帰る」の意味がある。彼自身にはストーリー上そういう要素はなく、むしろユーゼスとの関連で帰ってきた方を彷彿とさせる。
- シヴァー、ハザルと強い因縁を持つ「エイス」という人物。エイスとはギリシャ語で1を意味し、彼の出自を考えるとそういう意味で名付けられたと思われるが、別の意味にも聞こえてしまう。
- ユーゼスのクローンであるイングラムやイングラムと強い因縁を持つクォヴレー・ゴードンが乗る機体の名前は「アストラナガン」。ちなみに寺田プロデューサーは知人から「レオの弟かよ」とツッコまれたとかなんとか。
- 厳密にはユーゼスの一族ではないのだが、ユーゼスの元ネタと思われるギリアム・イェーガーはゾフィーやハヤタ・シンと中の人が同じ。いろんな意味でゼストゼロである。
- コミカライズ作品Record of ATXにてユーゼスに洗脳されそうになっているイングラムをクォヴレーが警告する際、最初はクォヴレーの姿はシルエットで描かれていたが胸のクリスタルがやたらと強調されている。
- 第2次OGにおけるユーゼスの偽名「アルテウル」の由来は「アルティメット+ウルトラ」。これのみ公式から言及されているのだが、一方でアルテウルはウルトラのアナグラムにもなっている(意図してか偶然かは不明)
- 第2次OGにてユーゼスが結成したガイアセイバーズの制服はウルトラ警備隊の制服と似ている。
- アダマトロンの胸部には取り込んだAI1が埋め込まれているが、配置といい色合いといいカラータイマーである。また、AI1の周囲の意匠の元ネタはゾフィーのスターマークではないかとも。
- アダマトロンの必殺技「エルヨウン・イェダ・ドーマー」では前述したユーゼスが持つ他の世界の記憶から導き出したと思われる5体のロボットのシルエットが出てくるが、その出方がウルトラマンのOPのパロディ。
- そしてアダマトロンの戦闘BGMは「ULTRA ONE」。真面目に読めばウルトラ ワンだがここまで見た人は十中八九そう読まない…というか、そもそもウルトラでワンという言葉自体何を意味しているのかはこれかこれしか考えられない。
そんなわけで、一部スパロボ・スーパーヒーロー作戦ファンからは「ウルトラマンになって平和を守りたい』という少年の頃の夢を追い続け、曲がりなりにも夢を叶えた」ウルトラマン大好きおじさんと呼ばれる事も。
こんな風になりたかったんだろうか...?
超余談
本当に些細な話だがウルトラマンデッカーの総集編③「立ち上がれデッカー」にて、地球平和同盟TPUの技術部・特務3課の主任であるホッタ・マサミチがウルトラマンやマルチバースの事をあまりに知りすぎてしまったがために「黒幕的な存在に消されるかもしれない」と怯えていた時、その黒幕的存在が言いそうな一言として「それも私だ」と明らかにユーゼスを意識したようなセリフを口にしている。
ほんの一言とはいえ、総集編とはいえ、ユーゼスが本家ウルトラマンに関われた記念すべき出来事と言えるだろう。
視聴していた寺田氏も「感無量なのも私だとツイートしている。
関連項目
イングラム・プリスケン リュウセイ・ダテ ウルトラマン 宇宙刑事ギャバン
ギリアム・イェーガー:上記の通り元ネタと見られるキャラ。中の人がウルトラシリーズと関係が深いという点の他にも、奇しくもウルトラセブンの戦友であり、OGシリーズで唯一ウルトラマンという存在を把握している人物であるため、第2次OGはギリアム視点で見るとウルトラ警備隊みたいな制服を着た者達と戦うというトラウマを抉られた挙句、全ての黒幕がウルトラマンの力だけを注目するウルトラファンの厄介勢だったというキツイ構図になるので、この点に関してはギリアムがユーゼスを全力でブン殴りに行ったとしても誰も文句は言えないだろう。なお、実は彼が一番リスペクトしているのはウルトラマンではなく仮面ライダー。その点はユーゼスと対照的と言える。
ウルトラマンベリアル:円谷公式で登場した悪に墜ちたM78星雲のウルトラ戦士。「ザラブ星人に救われる」、「自身のクローンを作る」等共通点が多い。
ウルトラマントレギア:こちらは仮面をつけた悪のウルトラ戦士。どちらも悪に墜ちる要因として「光の戦士へのコンプレックス」が深く関わっている。
チェレーザ:円谷公式による「厄介なウルトラマンオタク」