「この世界で、私に命令できるのは……私だけなのです」
CV:子安武人
概要
名前の漢字表記は「白河愁」。マサキ・アンドーのライバル的存在であり、彼と並ぶスパロボオリジナルキャラの最古参。
数々の博士号をもつ天才科学者で、魔装機神とも互角の力をもつ高性能ロボット・グランゾンを開発し、それを自ら駆る。また魔術や錬金術にも精通しており、それを活用して超常的な力を披露することも。
物腰は丁寧ながらも、その性格は尊大で不遜、かつ途方もない自信家。誰に対しても慇懃無礼な態度を崩さないが、それを裏打ちするだけの頭脳と実力の持ち主でもある。また、己の自由意思を他者に縛られることを極端に嫌っており、それを侵す者には誰であろうと容赦しない。
ただし、大局を見据えて本当の脅威に立ち向かう意思を示した場合は時に協力を惜しまない面もある。
『第2次スーパーロボット大戦』以降、複数の作品に出演。当初は破壊神サーヴァ=ヴォルクルスの復活を目論み暗躍を続けていたが、その後紆余曲折を経て、異なる目的のために行動するようになる。
劇中では主に、マサキやプレイヤー部隊と時に敵対し、時に加勢しながら意味深な言葉を残して去るという、トリックスター的なポジションを担うことが多い。
(※ただ、ここ最近は概ねマサキ達の味方として描かれている。理由については後述。)
「チカ」という、ローシェン(ラングランに生息する鳥)の姿を模したファミリア(使い魔)を所持。シュウ自身の無意識を切り取って作られた存在なのだが、こちらは彼本人とは真逆に非常にお喋りでがめつい性格。メタ発言も多く、作中におけるコメディリリーフ的な存在となっている。
『スーパーロボット大戦EX』以降行動を共にすることの多いサフィーネ・グレイス、モニカ・グラニア・ビルセイアからは、随従の意のみならず明確な恋愛感情を向けられている(『魔装機神F』以降は、更にアーマラ・バートンまでこれに加わった)……が、本人は幼少期のとあるトラウマ(※後述)から女性に対して根源的な不信感を抱いてしまっており、そのせいもあってか今のところ色恋沙汰とは無縁の様子である。なお、魔装機神Fでの援護ではシュウは割とフレンドリーな発言が多い(逆にシュウへの援護セリフの内容は因縁から否定的であったり、「グランゾンだけでいいんじゃないか」と余計な手出しと取られている…ドンマイ)。
ゲーム中での性能
参戦作品によって若干のばらつきはあるものの、概ねその尊大な言動に恥じぬ高いパイロット能力を有しており、敵として登場した際は乗機グランゾンの能力とも相まって、プレイヤーを苦しめる難敵として立ち塞がる。特に一部のマップにおいてのみ対峙可能なグランゾンの真の姿・ネオ・グランゾンの性能は、初出の『第●次』シリーズ当時においては反則級の数値を誇っており、多くのプレイヤーにトラウマを植え付けた。
その後『α』シリーズ・『OGシリーズ』シリーズ・『魔装機神LOE』シリーズにも出演。さすがに乗機共々性能が下方修正され、当時ほどのチート性能は見られなくなっているが、それでもゲーム中屈指の性能を誇る強敵としての地位は保っている。
(※だが『OG外伝』にてラスボスを務めた際は、これが災い(?)してその前座のダークブレインよりも低い性能となってしまい、プレイヤーから「ラスボス(笑)」の烙印を押されてしまう事に…。)
味方として登場する際は一転して心強い戦力となってくれる。が、特定のマップでしか使用できなかったり、あるいは自軍に加わっても最終盤のため強化改造を施せる余裕が無かったりと、作品によっては中々プレイヤーの満足のいく形で彼の力を借りられる機会に恵まれなかったりする。
『スーパーロボット大戦EX』やそのリメイクである『スーパーロボット大戦OGダークプリズン』ではシュウが主役なので思う存分その力を振るうことができる。
グランゾンでも十分過ぎる強さなのだが、条件を満たして隠しコマンドを入力することでネオ・グランゾンを使うこともできる。特に『EX』では味方機としては反則も良いところな機体性能と圧倒的な攻撃力により、狙って行動しないと撃墜されることは無く、ラスボスですら数発の攻撃で撃破可能という無敵振りを見せてくれる。
では、ネタバレに参りましょうか
本名はクリストフ・グラン・マクゾート。
第287代神聖ラングラン王国国王アルザールの弟カイオン・グラン・マクゾートの息子であり、母親は地上の日本人であるミサキ・シラカワ(白河美咲)。フェイルロード・セニア・モニカ・テリウスとはいとこ及び幼馴染みの関係にあたる。
「シュウ・シラカワ」という名前は母ミサキの付けたプライベートネームであるが、本人はこちらの名を好んで用いている。
王位継承候補者の一人だったが、幼少期のとある事件(※後述)を機に破壊神ヴォルクルスに付け込まれ、ヴォルクルス教団の信徒に。その後は地上とラ・ギアスを行き来しながら暗躍を続け、ついには破壊神復活の妨げとなっいたラングラン王都を(間接的にではあるが)破壊、かねてよりラングランと敵対していたシュテドニアス連合の侵攻とも相まってラ・ギアス全土を大混乱に陥れる。
なお、その過程でマサキの養父的存在であった剣皇ゼオルートも手にかけ、マサキとの長きにわたる因縁を生むこととなった。
だが一方で、信徒となって以降己の精神が徐々にヴォルクルスに侵食・支配されつつあることも自覚していた彼は、やがて「意図的にマサキやプレイヤー部隊と敵対し、自分を討たせることでその精神支配から解放してもらう」という破滅的行動に移り、彼等との死闘の果てに死亡。
その後、同じくヴォルクルス復活を企む大司教ルオゾールの手で蘇生されるも、その際の蘇生術が不完全であったことで一時的に記憶喪失に陥る。だが、奇しくもそのおかげで破壊神の精神支配から脱したシュウは、かつて自分を操り貶めたヴォルクルスに復讐をするため、記憶が完全であるフリを続けながらわざとその復活に協力。引き続き忠実な信徒を演じながら復活の手筈を整えるも、儀式発動の土壇場でルオゾールを殺害、それを依り代として復活したヴォルクルスを逆に討ち果たした。
(※この時討伐したのはあくまでヴォルクルスの思念体に過ぎず、以後彼は教団から「背教者クリストフ」と呼ばれ追われる身となってしまう。シュウが教団およびヴォルクルス本体との全ての因縁に決着を付けるのには、その後『魔装機神F』まで長い期間を要することとなる。)
これ以降、彼もマサキ達と同様に地上およびラ・ギアスの危機を救うため独自に行動するようになり、ゾヴォークを始めとする異星人の侵略を阻止するため彼等に力を貸すなどの活躍を見せている。が、ヴォルクルスの精神支配下にあった頃に犯した数々の罪業により、長い間マサキはもちろん、彼を知る者達からは根強い不信感を抱かれていた(上記『魔装機神F』に至るまでの一連の事件を経て以降、その不信感も大分払拭されたようであるが)。
なお精神支配から脱して以降の彼は、それまでのような邪悪さ・冷酷さは鳴りを潜め、傲岸不遜だった性格も幾分か柔らかくなっている(第4次においてはテュッティいわく「これが本来の彼」だという)。ただ、自信過剰かつ他者からの束縛を嫌う性格は相変わらずのようであり、それが鼻につくマサキとは今なお口論が絶えない模様。
ただしマサキとは互いに認め合う間柄であり、『魔装機神F』の最終局面ではマサキが盛大にデレ、それに対するシュウもかなり嬉しそうである。
第4次で条件を満たすと最終話で彼と戦う選択も可能であるが、本当に倒すべき相手を見据えて「シュウとは戦わない」を選ぶと潔く本来の敵を倒して地球の未来を掴む役目を譲り、その上で「力に溺れる事への警句」を贈り去っていく。かつて強大な力に侵食された果てに破壊の権化と化した自分の過ちを顧みながら…。
この時のシュウと戦う事を選ぶと…力に溺れた故に取り返しのつかない終わりなき泥沼の戦乱が繰り返される愚かな未来が待つ事になる。
OGシリーズではファンキーな老科学者エリック・ワンに「シーちゃん」と呼ばれており、彼に対しては科学者としての技量は評価しているものの、シュウはエリックのその人を食ったようなファンキーすぎる性格が苦手である様子。珍しくシュウがタジタジになる場面である。
では、もうちょっとネタバレしましょうか
彼の過去についてゲーム中で直接明言される機会は無いのだが、後に魔装機神の脚本を担当した阪田雅彦氏によって製作された同人誌にて、シュウの幼少期に関する詳細が語られている。それによると、彼が道を踏み外したのは、
―――王族の子として生まれたものの、フェイル達と違い地上人とのハーフであるシュウは、母親のミサキと共に酷い迫害を受け続け、愛人を囲っていた父カイオンもそれに対しほとんど関心を払わなかった。
この結果精神を病んでしまったミサキは、やがてヴォルクルス教団の邪教に傾倒、ついに地上への望郷から幼いシュウを生贄にして地上送還の儀式を行おうと我が子に刃を突き立てる。
だがその時、絶望から力を求めたシュウの想いが破壊神ヴォルクルスに付け込まれてしまう事になり、以降シュウは力と新たな命を得た代償としてヴォルクルスに自由を奪われる事になってしまった。
現在も彼の胸には、その儀式の際にミサキに切り裂かれた傷跡が残っている。―――
……という経緯によるものとされている。
作品の生みの親である阪田氏の手によるものとはいえ、上記はあくまで同人誌にて語られた内容であって公式設定ではない。……が、実際のゲーム中におけるシュウの自由を何よりも愛し束縛を嫌う性格、女性に対する根源的な不信感を裏付ける設定としては非常に説得力があり、これが正史であると考えるファンも少なくない模様(彼が「クリストフ」ではなく「シュウ」を名乗ることに拘る理由、そしてヴォルクルスの支配下にあったとはいえラングラン王都を容赦なく壊滅させてみせたのも、かつて自分達母子を蔑ろにした父や王族達への憎悪が下地にあると考えれば辻褄が合う)。
実際、その後発売された『魔装機神Ⅱ』以降の魔装機神LOEシリーズではこの設定をベースにしたと思わしき描写が散見されており、現在は半公式設定と化している感もある。
なお、このミサキおよびシュウにまつわる一連の悲劇を教訓として、その後ラングランでは「地上世界に未練の無い者」に限定にする形で地上人の召喚が行われるようになったとされている。しかし、当事者であるシュウはこの召喚式に関して「本人の意思を無視して勝手に異世界に送り込む」、「一方的な召喚が双方の世界に影響を及ばす事を考慮していない」等と否定的な意見を述べている。
実際問題、事前確認もせず召喚するのは、召喚された者からしてみれば「ラ・ギアスの人間達に生殺与奪を握られた」と認識し、恐怖心から協力要請を断ろうにも断れない可能性だってあるし、ルビッカ・ハッキネンの様な凶悪犯罪者を呼んでしまった事で余計な事件が起きた前例もある為、シュウの主張が決して間違っているとは言えない。
OGシリーズでの動向
概ね旧シリーズを踏襲しており、経歴は上述したとおり。
DC戦争ではビアンの思想に心服しており、アイドネウス島でのハガネ隊との決戦にも参加したが、ビアンの指示により戦場を立ち去っている(ちなみにこの時シュウは言われてから「そうですね……」と思案する様子を見せており、ビアンが何も言わなければ最後の最後まで付き合うつもりだった模様)。
その後は地上に留まり、「混乱をもたらす」というヴォルクルスの洗脳に抗いつつも鋼龍戦隊(この当時にはこの呼称はなかった)を陰ながら支援、地球圏に余計な争いを持ち込もうとする勢力を牽制して回っていた。
そして修羅の乱ではソーディアンに乗り込んだ戦隊を援護に現れ、デュミナス一派、そしてダークブレインとの決戦にも参加したが、全ての脅威がひとまず払拭されたのを確認すると、ダークブレイン消滅に伴い広がった別空間にてネオ・グランゾンを応現させ、戦隊に刃を向けた。
この時のシュウは既にヴォルクルスの洗脳に抗い切れず自我を飲み込まれつつあり、地球圏最強の戦力たる鋼龍戦隊に自分を殺してもらうことで、命と引き換えに自由を取り戻すことを選択したのである。
結果的に死闘の末、マサキにとどめを刺されネオ・グランゾンは爆発四散。シュウも力尽きたかに思われたが、瀕死の状態でグランゾンともどもラ・ギアスに飛ばされており、ルオゾールの蘇生術によって復活。
蘇生術自体が不完全だったため、蘇生する以前の記憶がところどころ欠けた状態であり、鋼龍戦隊やマサキたちのことを覚えていなかったが、これによってヴォルクルスとの契約の記憶もなくなったことで邪神の戒めを逃れることに成功した。
その後は「LOE」のシュウの章同様にヴォルクルスをあえて復活させて倒すという意趣返しのために動き始めるが、こちらの世界ではチーム・ジェルバのアルバーダ・バイラリンとセレーナ・レシタール、連邦軍人のヨン・ジェバナと遭遇し、行動を共にすることになる。
ヴォルクルスの撃破後は地上に戻るが、そこで鋼龍戦隊がアルテウル・シュタインベックの陰謀により大統領暗殺の嫌疑をかけられ追われる身となっていること、ゲストが地球に襲来していることを知る。
そこでシュウは、地球圏最強の防衛力たる戦隊の嫌疑を晴らしつつ、グランゾンの心臓部に特異点を仕込み、自身の謀略に利用したテイニクェット・ゼゼーナンへの落とし前をつけるべく一計を案じた。
ゼゼーナンに特異点のフェイズシフト理論の解析図を送り付け、アルテウルにはゲスト側の情報を送り付けつつ、マサキたち魔装機神の担い手たちも同じ宙域に呼び出すことで全てを一堂に会させる(ちなみにマサキはこの道中で「OE」の世界に迷い込んでいる)。そして、ゼゼーナン、アルテウルと回線を通じて会話をすることで二人の姿と声をサンプリング、サフィーネにこれを解析させて「アルテウルとゼゼーナンの秘密取引の映像」「その中で鋼龍戦隊に濡れ衣を着せたことを明言するアルテウル」という偽の映像を作らせ、ネットに流すことでガイアセイバーズの対抗勢力に反撃材料を与えて鋼龍戦隊を政治的に援護する手を打った。
同時にゼゼーナンの目の前でグランゾンの特異点を崩壊させ、彼が目論んでいた「偶然の多発」を阻止。
大芝居の後はいったんアルバーダ達と合流したが、その後ルイーナ撃滅のためオペレーション・スターゲイザーを敢行する鋼龍戦隊に協力し、ユーゼス・ゴッツォ撃破まで同行。そして、直後に姿を現したゴライクンルの傭兵・クェパロク・ナーモ一派を粉砕し、封印戦争に決着をつけた。
そして、ラ・ギアスに戻るに当たり、アルバーダがシュウの命を狙っていた節を見せていたこと、その理由を聞かされる。
チーム・ジェルバは修羅の乱で死んだと思われていたシュウの死の真偽を確かめること、そして生きていればその動向を確かめ、脅威となるようなら排除するという「ミッション・デビル」を命じられていた。だが、アルバーダはそれとは別に、任務の中でシュウを殺すチャンスをうかがっていた。
アルバーダには恋人がいた。しかし、彼女はあの南極事件において、シュウが撃沈させたシロガネに乗っていた。
その復讐のために、アルバーダはシュウを狙っていたのだ。だが、これまでの戦いの中で、アルバーダは自身の心に整理をつけていた。一個人としてはまだ、復讐を諦めてはいない。だが、彼はあくまでも軍人として、シュウ一派は敵ではないと結論付け、彼らをこの場で見逃すことを選んだのだ。
アルバーダ「いいか、こいつは貸しだ。また地球圏で今回みてえな戦乱が起きたら……その時に返してもらうからな」
シュウ「……覚えておきましょう」
地上での騒動が終わった後はマサキたちと共にラ・ギアスに戻り、ヴォルクルス教団との戦い、そしてその果てに待ち受けていたカドゥム・ハーカームとの決戦を制し戦乱に終止符を打つ。
それから程なく、クロスゲートの調査をするべくマサキ、リューネ、アーマラと共に地上に出向くが、地上では封印戦争からいくらも経っておらず、またも新たな戦乱が起きていた。
その中でシュウは、チーム・ジェルバがゴラー・ゴレム隊との戦いで壊滅したこと、アルバーダが戦死したことを知り、彼への「借り」を返すために戦隊への合流を決断。
新たな戦いへと身を投じ、戦後にはクロスゲートとカドゥム・ハーカームについて調査すべく地上に留まっている。
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マサキ・アンドー サフィーネ・グレイス モニカ・グラニア・ビルセイア
ビアン・ゾルダーク:自らの自由意志を何よりも尊ぶシュウが、ヴォルクルスの洗脳を受けた状態で心の底から敬服した唯一の男。OGシリーズにおけるシュウは自身の復讐以外では、徹頭徹尾彼の意志=地球圏防衛を達成するために行動している。
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