概要
シュウ・シラカワが設計・開発を行い、自ら操縦する戦闘ロボット。同じく『スーパーロボット大戦』(以下「スパロボ」)オリジナルキャラクターであるマサキ・アンドーの愛機「魔装機神サイバスター」のライバルに位置する機体である。
青い機体色に、いかにも『悪役です』といった感の厳つい外見をした重量級メカ。流線型の装甲を持つサイバスターとは好対照を成している。
「対消滅エンジン」と呼ばれる動力機関を装備し、「ブラックホールクラスター」なる武装を持つなど、重力に関する能力を持った超高性能機。開発にあたっては最高級の技術や素材が惜しみなく詰め込まれている他、シュウの出身地である地底世界ラ・ギアス由来の魔術や「練金学」(※「“錬金”学」ではない)、更には異星人由来のテクノロジーまでもが用いられており、その戦力は通常の地球製のロボット兵器とは別格。開発協力者であるエリック・ワン博士曰く「搭乗者が人知を超えた能力の持ち主ならば、1日で世界を壊滅に追い込むこともできる」らしい。
さらに、「カバラ・プログラム」と呼ばれる特殊なシステムがシュウの手によって組み込まれており、それを発動させることにより真の姿を現すという。
ラ・ギアスでは「生けるもの全てに災厄を振りまく『魔神』」として、かねてよりその出現が予言されていた。
スパロボシリーズ初期から様々な作品に登場しているが、作品によっては「上述の異星人の技術を提供された際、彼等によってそこに『ある仕掛け』が極秘裏に施されていた」という設定が加わっており、物語展開の根幹に関わる存在となることも。
ゲーム中での活躍
スパロボ各作品はシリーズによって異なる設定・世界観を有し、グランゾンの設定や立ち位置もシリーズによって多少異なる。
そのいかにもライバル的なイメージとは裏腹に、物語のトリックスター的存在でもあるシュウの立場上、実際にプレイヤーが交戦する機会は意外と少なめ。交戦する際も、設定で謳われているほど極端な強さで襲い掛かってくる「本気の闘い」は少なく、腕前次第では十分撃破を狙える範囲。
ただし、一部の作品で特定条件を満たした後に登場するネオ・グランゾンは別。
「ネオ」状態は、(総ターン数を一定以下に抑えてのゲーム進行など)激戦をくぐり抜けてきた優れたプレイヤーへガチ勝負を挑むためのいわば「本気モード」で、一切のゲームバランス的な容赦を省いた一種の「挑戦状」であり、その強さに生半可な気持ちで挑んでトラウマを植え付けられたプレイヤーは数多い。とはいえ『α外伝』序盤や『OG外伝』最終面のような、条件を満たさずとも戦う場合はその限りではない。
旧『第●次』シリーズ
初出作『第2次スーパーロボット大戦』では、ラスボスである究極ロボ「ヴァルシオン」と共に敵として登場。その強さはファンから「(後述のネオ・グランゾンを含めてもなお)歴代で一番手強い」と言わしめるほどだが、本作では必ずしも倒す必要は無く、ヴァルシオンを倒せばゲームクリア自体は可能なので、グランゾンは相手にせず放置するプレイヤーが多かった(なお、この時はまだ後続シリーズ展開の構想が練られていなかったためか、ここでグランゾンを撃破するとシュウが死亡する描写がある)。
続く『第3次』では逆に自軍と共闘、ただし最終話で条件を満たすと真の姿であるネオ・グランゾンへと変貌、隠しラスボスとして立ちはだかる。
地底世界ラ・ギアスを舞台にした『EX』では、シュウの視点から物語が進む「シュウの章」の主役機としてプレイヤーが操作することに。
シリーズ最終作『第4次』では物語上の謎を解く重要な仕掛けとしての役割を果たす。基本的にNPCだが一定条件を満たすと終盤に自軍に加わる(一方、別の条件を満たした上でプレイヤーが「シュウと戦う」選択肢を選ぶと、ここでもネオ・グランゾンとなり自軍と敵対する)。『第4次』のパラレル的作品である『F』(正確には『F完結編』)では終盤に無条件で自軍に加わる。
『α』シリーズ
旧シリーズ以上に「とてつもない力を秘めた謎のロボット」としての描写が強調されており、当シリーズから生まれたもう一つのライバル的ポジションの機体である「アストラナガン」同様、超常的な力を駆使し物語をかき乱す存在として暗躍する。ただし、時としてその描写があまりにご都合主義的であったため、一部のファンから不評も買う事にもなった。
シリーズ第一作『スーパーロボット大戦α』では終盤に自軍に加入するも、続く『α外伝』では序盤にネオ・グランゾンとして登場しプレイヤーと敵対。条件を満たして高難易度ルートに進んだ最終話ではラスボスとして再戦する事になる。
後発のリメイク的存在であるDC版『α』では、追加分岐シナリオの条件を満たすことで(時系列上ではα外伝に先駆けて)ラスボスとしてネオ・グランゾン化。PS版同様にライバル的ポジションであるアストラナガンが条件次第で加入することもあって、この二機の直接対決が実現する唯一の機会にもなっている。……が、バグによってアストラナガンはたとえ改造しても無改造状態に戻される上にシュウが何度も精神コマンドを連発するため、何も考えずに戦わせるとシュウによる魂込みの一撃でアストラナガンがワンパンされてしまうことが大半。
その後の『第2次α』~『第3次α』ではサイバスター共々に全く登場しないままシリーズは完結してしまう。
ちなみに当シリーズ上では、新たに「"R-0"というコードネームを持つSRXの試作機」という設定が与えられている。ただ物語上でその設定を活かした描写などは特に無く、またこの設定もファンから不評だったのか、『OG』シリーズ等の以降作品に引き継がれることは無かった。
『OG』シリーズ
設定の大枠は旧『第●次』シリーズと同様。操者のシュウ共々、自軍のみならず様々な敵勢力からも恐れられ、警戒される存在として描かれている。
シリーズ初期は基本的に敵対する立場として登場する一方、様々な成り行きから一時的に共闘することも多い。敵対する場合はそれなりに強敵だが、ゲームバランス面の見直しから旧『第2次』の頃のような理不尽な強さではないため、歴戦のスパロボプレイヤーは大抵撃墜を狙う。
シュウが破壊神ヴォルクルスの呪縛から解き放たれた『OGDP』『第2次OG』以降は明確に味方として魔装機神(アンティラス隊)と鋼龍戦隊に協力してくれるようになるが、自軍への正式加入は遅めである事が多い。
ちなみにOGでのグランゾンは分類上、アーマードモジュールであるという扱いになっている。これはDC系の機動兵器群が共通して「AM」を含む型式番号を採用していた事によるもので、ヴァルシオンやDGGも同様。実際にはAMという分類はリオンシリーズを指して呼ばれる事が大半で、OG世界での人型機動兵器開発史におけるDCの立ち位置を表現する設定としての意味合いが濃い。
スペック
分類 | アーマードモジュール・武装機甲士(初期設定) |
---|---|
全高 | 27.3m |
重量 | 42.8t |
動力 | ブラックホールエンジン→対消滅エンジン(α以降) |
エネルギー | ブラックホール、アストラルエネルギー |
MMI(マン・マシン・インターフェース) | カバラ・プログラム(αシリーズ以降) |
推進機能 | ネオ・ドライブ |
装甲材質 | 超抗力チタニウム |
開発者 | シュウ・シラカワ、エリック・ワン |
主なパイロット | シュウ・シラカワ |
武装
グランビーム/ネオグランビーム
額から発射するビーム。
グランワームソード
格闘戦用の大剣。連続で切り付けてからワームホールを利用してワープし回り込んだ上でとどめの一撃を浴びせる。
旧シリーズや現行のOGシリーズで使われているシンプルなものと、αシリーズやGBA版OG1で使われた禍々しいものとの2種類のデザインが存在する。
ワームスマッシャー
目標の周囲と自機の正面を繋ぐワームホールを発生させた後、胸部を解放してエネルギービームを放つ。目標は周囲に開いたワームホールから集中砲火を浴びることになる。複数の目標も攻撃可能で、最大65535の目標を同時に攻撃可能と言われている。
設定的には後述のディストリオンブレイクやブラックホールクラスターよりも複数攻撃武器に相応しいように見えるが、OGシリーズでは単体攻撃武器となっている。
ディストリオンブレイク
魔装機神IIに登場した新武装。原理はワームスマッシャーと同じで、目標と自機の間にワームホールを複数発生させ、そこに破壊光線を撃ち込み増幅させる。
グラビトロンカノン
自機の周囲に高重力を発生させ圧殺するMAP兵器。
ブラックホールクラスター
胸部を解放してマイクロブラックホールを相手に放つ、グランゾン最大の武器。原理的にはヒュッケバインのブラックホール・キャノンと同様の兵装だが、関連性は不明。
試作型縮退砲/ブラックホールディスラプター
αに登場する武装。縮退砲の説明についてはネオ・グランゾンの記事を参照。
ネオ・グランゾンの能力を一部解放して、威力が劣る縮退砲を放つ。しかし、威力が劣るとは言ってもそれはネオ・グランゾンのものと比較しての話であり、単体で見れば十分過ぎるだけの威力を持つ。
ネオ・グランゾンの特徴的な武装を通常のグランゾンの状態で使う事に当時の魔装機神ファンからの反発が強く、再登場はDDまで待つ事となった。
DDで再登場した際に阪田雅彦氏の監修の下、魔装機神シリーズに合わせて設定回りが整理された結果、名称がブラックホールディスラプターへと変更された。また、アビリティ名がカラバ・プログラムだったり、コスモノヴァの様な魔法陣が出現したり、目とレンズ状のパーツの色が変化したりと、部分的にネオ化している事がはっきりと分かる演出がされている。
関連イラスト
関連タグ
SRX…αシリーズでは"R-0"というコードネームを持つSRXの試作機という設定もあった。
天のゼオライマー…冥王計画ゼオライマーにおけるご同類。超天才科学者が開発し自ら操縦する、一度死んで蘇る、主役にしてラスボスでもある、ただでさえ強いのに更なる強化形態が存在する……等、多くの共通点を持つ。
グラヴァリン…スーパーロボット大戦30のオリジナル機体。グランゾンをデザインのモチーフにしており、武装の演出などにもグランゾンの意匠が垣間見える。