「平和とは、尊いものだ。だが、それは誰かに与えられるものじゃない。常に、護り抜くものなんだ、と」
CV:置鮎龍太郎
概要
初出はスーパーロボット大戦EX。
神聖ラングラン王国の第287代国王、アルザール・グラン・ビルセイアの長男にして治安局次長。25歳。
長髪に整った顔立ちの美青年。衣装は青い服。
王位継承順第1位。後に第288代神聖ラングラン王国国王。
セニア・グラニア・ビルセイア、モニカ・グラニア・ビルセイアの双子姉妹とテリウス・グラン・ビルセイアの兄であり、シュウ・シラカワことクリストフ・グラン・マクソードとは従兄弟関係にある。
便宜上、魔装機操者の直属の上司にあたる。
王族ではあるが形式的な堅苦しさを苦手とし、誰にでも気さく態度を崩さないため、マサキ・アンドーとは召喚以来の格式を超えた友人同士であった。
対立することになってしまったものの、元はマサキ達魔装機操者の司令官的な存在であり、絶対の信頼を集めていた。
テュッティ・ノールバックから想いを寄せられていたが、両想いだったのかは不明。
劇中の動向
生い立ち
神聖ラングラン王国にて、国王であったアルザール・グラン・ビルセイアの長男として生まれたフェイルは、真面目で心優しい人物として妹や弟達、多くの軍人や臣民からの信頼を集め、父・アルザールからも将来を期待されていた。
自身もそれに応えようと、王族の身でありながら軍人の道を選び、やがては父から国王の座を引き継いで、ラングランのみならずラ・ギアス全体の平和を実現させる事を目指そうとしていた。
だが……そんなフェイルにとって最大の挫折が訪れる。
それは、王位継承権の獲得のために必須となる高い魔力が自身に無かったことであった。
新暦4948年頃(LOE第一章の約10年前)、15歳の誕生日を迎えた際に魔力テストの試験に挑んだが、力及ばず不合格となってしまい、それを恥とした彼は血の滲むような修行を重ねた末、最後には薬物の助けまで借りて何とか再テストをクリア。
見事継承権を勝ち取る事に成功するも……その代償は大きく、結果としてその身体を薬の副作用という名の病魔に蝕まれ、自らの寿命を大きく縮めてしまうことになってしまった。
魔装機神LOE第一章
治安局次長という国土防衛上の要職を務め、マサキたち魔装機操者の上司として国土防衛の指揮を執っている(魔装機神操者には独立行動権が与えられているが、名目上は彼が上司にあたる)。
「隠行の術」を行使してラングランの展開する都市結界を難なく素通りして暗躍する「ヴォルクルス教団」の対応に苦慮している。
また、他の分野では、国の内外に潜む憂患とかつて服用した魔力強化薬の後遺症に苦しんでいたが、召喚されたマサキ達多くの地上人と重ねる親睦の中で一種の安らぎに近い労りを得ていた。
本章の終盤、教団の執行者達と共謀した『シュテドニアス連合国』特殊部隊の襲撃で起きたテロ(「魔力弾事件」)で父王を失い、自身も深い傷を負ってしまう事になり、この傷が彼の命を余命約1年まで更に縮めてしまう事態となった。
王都と王宮を覆い尽くす戦火の中に愛する弟妹(モニカとテリウス)を見失い、唯一傍にいたセニアを伴ってエオルド大陸の東方へ落ちのびる道を選択した。
逃亡の日々の中、責任感の塊のような彼が感じていたであろう焦燥は察するに余りあるものだった……。
スーパーロボット大戦EX/第2次スーパーロボット大戦OG
「魔力弾事件」が終結した直後、シュテドニアスの宣戦布告のもと「春秋戦争」が勃発する。
病床の中にあったフェイルは防衛線で確たる指揮を取ることも出来ず、ようやく義勇軍を旗揚げした頃には、ラングラン東部にてかつて推薦した将軍であるカークスが、独立勢力を率いて蟠踞していた。
しかし、この頃のカークスは野心に目覚め始めた上にラングラン上層部への不信感を募らせていた結果、思う様に協力を取り付けられず、エオルド大陸西部の強国『バゴニア共和国』が参戦を見送り静観したことで、カークス軍を抱き込む為の決定的な手段を欠いてしまう。
この絶望的な事態を打開すべく、新たな「地上人召喚計画」を試みるが、焦った行いが災いしたのか、自らが行使した大規模な召喚魔法は何らかの要因で暴走を起こし、ラ・ギアス全土に大量の地上人と戦闘兵器が迷い込む異例の混乱…地上世界で後に言われる「ラ・ギアス事件」が発生してしまうことになった(OGシリーズでは地上のみだったが、旧シリーズでは地球とバイストン・ウェルの双方を巻き込んだ)。
そんな中、地上世界から帰還したマサキや彼と協力関係にあった地上世界の人間達の力を借りた結果、何とかシュテドニアス連合の侵攻を抑えることに成功するのだが、おそらく自らの地上人召喚計画の失敗に気付いていたと思われるカークスには弱味を握られてしまい、自分達とカークス軍の同盟を結ぶ条件として、弟であるテリウスの王位継承を承諾せざるを得なくなる。
これは、テリウスを傀儡にしようと目論んでいたカークスによって実質的にラングランの覇権を握られてしまうのを意味していたが、当のテリウス本人が逃走し、苦肉の策として用意したテリウスの偽者についての発覚、更には本物のテリウスがシュウに連れられて姿を消すことになり、同盟の締結は御破算で終わってしまう。
その後、焦ったカークスによる王都への軍事侵攻が行われるも、これも自身の派閥の総力によって撃退に成功する。
その後、ヴォルクルス教団の暗躍によって、破壊神サーヴァ・ヴォルクルスの分身体による混乱が巻き起こるが、自らの専用機としてセニアが完成させた超魔装機であるデュラクシールに搭乗し、これの撃退に成功。
しかし、分身とは言えヴォルクルスをも難無く圧倒したデュラクシールの強大過ぎる力に魅入られ、自らの余命幾許も無い身からの焦り、更にはこのまま地上人達の助力を得てシュテドニアスの撃退に成功しても戦後処理で自分の犯した失態が暴かれてしまうことでラングランがラ・ギアス全国家の糾弾を免れないと考えた結果、国土回復運動成功後も戦端の拡大を考えるようになってしまう。
そして、独断で簡易的に国王の即位を行ったのと同時に、シュテドニアス側に宣戦布告。
デュラクシールを中心とする自国の軍の威力に訴え、シュテドニアスを屈服させるという、残り少ない命で自ら実行可能な解決手段へと走った。
結局、フェイルの早まった行動は、ラングラン以外の全ての国家を敵に回しかねない愚行としてマサキ達魔装機神操者により食い止められ、彼らに討たれた。
「終わった……な……すべてが……これで……よかったのかもしれん」
「……セニア……モニカ……わかってくれとは言わない……ただ、許して欲しい……」
「……私も、君達と同じ時を……歩みたかった……さぞ楽しかったろうなあ……」
最期の時にフェイルが感じていたのは、重過ぎる責任と不運な宿命の中で味わうことの出来なかった穏やかな時間への憧れであった……。
彼の悲壮な決意にはマサキ達を始めとする多くの人物が同情しており、その悲しき結末を残念に思う者も多かった……。
皮肉にも、魔装機計画のパトロンとも言えたフェイルの死により、ラングラン政府の腐敗が一気に表面化してしまう事態となり、魔装機神操者達はラングランからの支援が受けにくくなってしまう。
更に、フェイルを崇拝していたファング・ザン・ビシアスがマサキを一方的に憎悪する一因にもなってしまうこととなった。
搭乗機
関連タグ
セニア・グラニア・ビルセイア モニカ・グラニア・ビルセイア テリウス・グラン・ビルセイア