概要
ウルトラシリーズのヴィラン(悪役)を中心としたプロジェクト『DARKNESS HEELS』を題材にした漫画。
ファンからの通称は「ダクヒリ」若しくは「ダクヒリリ」。
著者は『ジンキ』シリーズや『人狼機ウィンヴルガ』等で有名な綱島志朗氏が担当。2021年4月23日よりComicWalkerにて月刊連載を開始(一部を除き、毎月30日に更新)、ストーリーは第1話を除いて基本的に前後編形式で構成され、それぞれのエピソードは第2話以降は2ヶ月間限定での公開となっている。
キャラクターや世界観の設定は舞台『DARKNESS HEELS THE LIVE』『DARKNESS HEELS THE LIVE SHINKA』から引き継がれており、舞台版の続編とも言える。
なお、本編との時間軸の繋がりは不明だが、第3話の回想シーンでウルトラマンゼットやウルトラメダルのシルエットが登場していることから、時系列上は『ウルトラマンZ』と同時期かそれより後であることが推測される(少なくとも『大いなる陰謀』より後であることは確かである)。
著者が著者なだけに、他のウルトラシリーズの漫画作品と比べるとバイオレンス描写やセクシャルな描写が多い傾向にある(それでも原作が全年齢作品であるウルトラシリーズであるためか、綱島氏の他の作品と比べると大分自重して描かれている)。
戦闘シーンに関しては、主人公を含む本作のメインキャラクター達は、いずれも諸事情により巨大化などの能力の行使が制限されている状況に置かれていることもあってか、全体的な比重としてはやや少なめな印象(ただ、描く時はきっちり描く上、戦闘描写のクオリティ自体は非常に高い)。
一方で、コアなウルトラシリーズファンが思わずニヤリとするような小ネタやオマージュなどもそこかしこに散りばめられており、それらを探すのも本作の大きなお楽しみの1つとなっている。
特に、展開が終了して久しい『大怪獣バトル』シリーズのキーアイテムであったバトルナイザーが本作においても重要なアイテムとして登場することが判明した際には、古参のファンの間で驚きの声が上がった。ある意味では『大怪獣バトル』シリーズの後日談としての側面も持った作品とも言えるかもしれない。
第1巻は同年3月2日に発売予定。
なお、こんなタイトルではあるが、主人公はあくまでもベリアルであるらしい。
あらすじ
惑星フースでは、上級市民と下層民とで国家が分断された状態が永らく続いていたが、ここ数年バトルナイザーという武器の出現により、その抗争はさらに激化していた。
上級市民のリリ・アーカイヴは暴徒鎮圧部隊として、その任務に疑問を感じながら、下層民と対峙している少女。彼女は任務中、バトルナイザーから呼び出された怪獣から幼い少女を救うため、無謀にも単身で飛び込んでいく。
その時、戦場に乱入した謎の黒い男が怪獣を撃破した。
おかげで少女を救えたため恩義を感じるリリだが、男の知人らしき謎の美女カミーラは「本当はあの男、お前を殺そうとしたのかもしれないぞ?」と問いかける。
男の名はウルトラマンベリアル。かつて光に抗い、敗れた闇の巨人だった。
登場キャラクター
ダークネスヒールズ
惑星テリオ
舞台版からの続投キャラクター。
惑星テリオの科学者で、ダークネスヒールズを人間の姿で蘇らせた張本人。
本作でも何かを企んでいるようだが…?
- ハルカ、ヤスカ
舞台版からの続投キャラクター。
ヒュースの秘書を務める2人組の女性。
オリジナルキャラクター
本作のヒロイン。
惑星フースに住む上級市民(ルークス)であり、「暴徒鎮圧部隊」の隊員を務める少女。
- ロロ
第2話に登場したリリの幼馴染で、街でパン屋を営んでいる少女。
カミーラはこの店の常連客らしい。
父の残した多額の借金を抱えており、その返済に苦労している様子。
- メイス
第2話に登場したロロの恋人。
ロロの借金の返済を手助けしようと1週間の出稼ぎに出ており、かなり纏まった額を稼いで帰ってきたものの、店を訪れていたカミーラから1週間もの間恋人の傍を離れていたことを非難され、困惑する。
同エピソードの後半にて、実は出稼ぎに出ていたというのは嘘で、実際には闇ファイトの大会「バトルインフェルニア」に出場して賞金を稼いでいたということが判明。ブイレスを使った変身により順当に勝ち星を重ね、遂にカミーラと対決することになるが、闇の巨人としての本来の姿と力を取り戻した彼女に敵わず敗北する(カミーラが闘技場を破壊したため、他のファイター達とは異なり命だけは助けられた)。
ちなみにだが、彼の変身体はどことなくこの人を思わせる外見で描かれている(特に顔)。
リリの母。現在は行方不明になっているが…
- サイロ
リリの上官にあたる鎮圧部隊の隊長。
しかし、裏でヒュースとコンタクトを取るなど不可解な行動を見せる。
第4話で意外な正体が判明する。
コミックス2巻の描き下ろしエピソードに登場した。
赤い盗賊団に属する少女。
他にもシルエットだけではあるが、あのレイオニクスやスペースペンドラゴンのクルー達、ダーラム、ヒュドラ、ウルトラマンティガ、果てはティガと共にピラミッドに安置されていた名称不明の巨人なども登場している。そして、第3話ではさらに意外なキャラクター達が登場している。
登場怪獣
現時点では、登場している怪獣は全てTDG三部作(『ティガ』&『ダイナ』『ガイア』)出身の怪獣達で占められており、逆に比較的メジャーなM78ワールド出身の怪獣は回想以外では一切登場していない。ウルトラシリーズの漫画作品に登場する怪獣は(知名度の関係もあってか)大抵M78ワールドの者が採用される傾向にあるため、これは非常に珍しいことと言える。
こうしたチョイスが何かしらの意図があって行われているものなのか、はたまた作者の個人的な拘りなのかは現時点では不明である(一応、本作の連載が開始された2021年は、TDG三部作の第1作目『ティガ』が放送開始25周年を迎えるアニバーサリーイヤーでもある)。
ダークネスヒールズの欄に関しては、本来の姿での登場のみ記載する。
太字は本作オリジナルのキャラクター。
話数 | ダークネスヒールズ | 登場怪獣・宇宙人 |
---|---|---|
1 | ウルトラマンベリアル | 地中鮫ゲオザーク、超古代怪獣ガルラ、バリヤー怪獣ガギ、甲獣ジョバリエ |
2 | カミーラ | 誘拐宇宙人レイビーク星人ルカルゴン、肉食地底怪獣ダイゲルン |
3 | ウルトラマンベリアル、イーヴィルティガ | 巨大機械人形ゴブニュ(ギガ)、剛腕怪地底獣ゴメノス、蜃気楼怪獣ファルドン、古代怪獣アルゴナ、超高熱怪獣ソドム、破壊獣モンスアーガー、超古代竜メルバ |
4 | ダークザギ、ジャグラスジャグラー | 破壊獣モンスアーガー、剛腕怪地底獣ゴメノス、蜃気楼怪獣ファルドン、巨大機械人形ゴブニュ、炎魔戦士キリエロイド、超古代怪獣ゴルザ、超古代竜メルバ |
5 | ウルトラマンベリアル、カミーラ、イーヴィルティガ、ダークザギ、ジャグラスジャグラー | 炎魔戦士キリエロイドⅡ、巨大機械人形ゴブニュ、破壊獣モンスアーガー、蜃気楼怪獣ファルドン、超高熱怪獣ソドム、剛腕怪地底獣ゴメノス、ホーリーデモンズ、???(ネタバレ注意!) |
6 | ダークザギ、ジャグラスジャグラー | 極悪ハンター宇宙人ムザン星人 |
こちらは回想シーンで登場したキャラクター。
話数 | 登場怪獣・宇宙人・ウルトラ戦士 |
---|---|
2 | 剛力戦士ダーラム、俊敏戦士ヒュドラ、ウルトラマンティガ |
3 | ウルトラセブン、カプセル怪獣ウインダム、カプセル怪獣ミクラス、カプセル怪獣アギラ、ウルトラマンオーブ・バーンマイト、ウルトラマンジード・プリミティブ/ロイヤルメガマスター、ウルトラマンゼット・アルファエッジ、ウルティメイトフォースゼロ、ウルトラの父、ゾフィー、ウルトラマンタロウ、ウルトラマンダイナ、レイモン |
5 | ウルトラマンケン、暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人 |
用語
- 惑星フース
本作の舞台。
地球人とよく似た姿と文化を持つ知的生命体が住んでおり、本作の主人公であるリリもその一人。星には“光の巨人”に関するおとぎ話が伝えられている。
惑星テリオの支配下に置かれており、テリオの支配に従った上級市民(ルークス)と、従わなかった下層民(インフェルニア)とに国家が分断され、100年以上にも渡って星が内戦状態に陥っている。ただし、完全に二分されているわけではなく、その境界(グレーゾーン)に住む者もいる。
後述するブイレスを始めとした、テリオから供与されたと思われる様々なオーバーテクノロジーを保持しているが、街の雰囲気自体は中世ヨーロッパを思わせるレトロなものになっている。
- 惑星テリオ
舞台版でも大きな存在感を示した惑星国家で、作中では惑星フースを事実上の支配下に置いている。
ダークネスヒールズの面々を復活させたのも、元はと言えばこの星の指導者ヒュース・アーディである。
バトルナイザー(模造品)やルークスの所持する変身アイテム「ブイレス」を開発する等優れたテクノロジーを持つが、一方でそうした装備品を戦乱の巻き起こっている星々に売りつけて利益を上げる死の商人としての側面も持つ。フースの内戦が一向に収束しないのも、テリオが上級市民・下層民双方に武器や装備品を売りつけているからという事情がある模様。
- ブイレス
フースの上級市民に授けられるブレスレット型の変身アイテム。開発者はヒュース・アーディ。
幼い頃から支給されるものらしく、これを使ってウルトラマンのような巨人へと変身し、怪獣と闘うことができる。しかし、巨大化には制限時間があり、巨大化するサイズが大きくなるほど命を削るリスクが大きくなるという。
メイスはこれを使って後述するバトルインフェルニアに参加して賞金を稼いでいた。
なお、フースの住人は成人するとこのブイレスを授けられ、傭兵として各地の戦線に赴くことになっているらしいが、その大半は命を落としてしまい、生還できるのはほんの一握りだと言われている。
かつてレイブラッド星人の後継者を決めるためのレイオニクスバトルで使われた、怪獣召喚用のアイテム。
テリオによって複製された簡易型のバトルナイザーがフースに多数出回っており、戦闘や、バトルインフェルニアでの決闘などに使われるが、小型の怪獣を一体しか扱うことができない等、オリジナルと比べると性能は落ちる模様。
しかし、イーヴィルティガはどこかでオリジナルのバトルナイザーを入手し、これを使って暗躍している(ただし、ある目的のために改造を施している)。また、本作では『大怪獣バトル』では語られなかったバトルナイザーの秘密も明らかとなる。
- バトルインフェルニア
惑星フースで行われている闇ファイト(賭けファイト)。
戦闘ができれば怪獣を使役しても、生身で戦っても、変身しても問題はない。また、ファイターへの妨害は基本的に禁止されているようだが、観客が盛り上がった場合は黙認されるなど、存外にルールは適当である。
勝利したファイターには報酬として賞金が与えられるが、逆に敗れたファイターは地下に連行されて臓器レベルまで解体されて売買されるという非人道的な掟が設けられている。しかし、そんなリスクを背負ってでも、多額の賞金を目当てに参加する者が多かった模様(メイス曰く、ここにはそういった「もう後がない」者たちが多数参加していたとのこと)。
観戦席も設けられており、そこでは市民の他、フースに武器を売りつけて富を築いた富裕層達も大勢訪れて、文字通りの高みの見物をしていた。
最終的に、第2話でカミーラが闘技場を完全に破壊したために、開催が不可能になった(と思われる)。また、ある人物も一枚噛んでいたらしいが…?
関連項目
大怪獣バトル、TDG三部作:本作に多大な影響を与えたシリーズ。
ウルトラマンクロニクルZヒーローズオデッセイ:連載開始時にテレビ放送されていた再編集番組。『ティガ』・『Z』・『ゼロ』シリーズの内容が主に扱われたため、ダークザギを除くメンバーと大きく関わりのあるエピソードがチョイスされることとなった。