概要
「究極生命体」を自称し、様々な次元・時間軸で暗躍する知的生命体の種族。
主に『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズに登場する、ウルトラヒーロー達の新たな敵対勢力となる。
初めてその存在が明るみに出たのは『大いなる陰謀』からで、「アブソリューティアンの戦士」を名乗るアブソリュートタルタロスが登場した。
当初は詳しい説明が無かったため、ファンの間ではアブソリューティアンについて様々な憶測を呼んだが、同作最終話でタルタロスが「我ら究極生命体・アブソリューティアン」と言っていることから同族が存在することが明らかになり、後に『ウルトラマントリガー』にてアブソリュートディアボロ、『大いなる陰謀』の続編である『運命の衝突』でアブソリュートティターンが登場した。
種族共通の特徴として、銀色の体を持つウルトラ戦士とは対照的に、黄金に輝く鎧を纏ったような体を持つ。
また、一部の者は青白い楕円形の目を持った仏頂面のような顔立ちで、胸の中央(ウルトラマンで言うところのカラータイマーがあるべき位置)には円形の赤い紋章が刻まれている。
全体的には銀をベースにアルカイックスマイルのような表情のウルトラ戦士達を反転させつつも、どこか共通点も幾つか見出せる姿をしている。
能力
「アブソリューティアンの力」という概念があり、それを他人に譲渡することも可能である様子。この力を授かった者は戦闘能力が大幅に底上げされる効果があり、力を発揮する際にアブソリューティアンと同じ金色のオーラが発生するようになる。
『トリガー』に登場した際には、イグニスが提供データにタルタロス、ディアボロ共に「ABSOLUTE PARTICLE(アブソリュート粒子)」なるものが存在し、相当なエネルギー量を持っていることが判明している(このエネルギーが後にナースデッセイ号のバトルモードの運用に一役買うこととなる)。このアブソリュート粒子の付与は『運命の衝突』では専用設備で行われており、劇中の台詞を考慮するとそれ以外での譲渡は限定される様子。
『ギャラクシーファイト』シリーズ監督の坂本浩一氏曰く、「アブソリューティアンはそれぞれ固有の特殊能力を持つ」とのことで、タルタロスの時空間移動、ディアボロのアブソリュートハートなどがそれに該当するとのこと。
後述する産物と合わせて考慮しても、戦闘能力と科学技術面の両面において、宇宙最高峰にも位置付けられているウルトラ一族と比肩すると言っても過言ではない。
構成員
アブソリュートタルタロス
初登場作品 | 『大いなる陰謀』 |
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日本語版CV | 諏訪部順一 |
英語版CV | ウォルター・ロバーツ |
初めて公の場に姿を現したアブソリューティアン。
「ナラク」と呼ばれる特殊空間を応用したワープ能力や、歴戦のウルトラマン達を相手に一歩も引けを取らない圧倒的な戦闘力を持つ。
また、本人も戦況の分が悪い場面では即座に撤退したり、巧みに話術や武力で他勢力を味方に付けたりと狡猾な部分も見受けられ、アブソリューティアン達のリーダー格兼作戦参謀として、宇宙警備隊からも要注意人物と警戒される存在である。
アブソリュートディアボロ
初登場作品 | 『ウルトラマントリガー』 |
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日本語版CV | 小川輝晃 |
英語版CV | デニス・フォルト |
大柄な体格と巨大な2本角が印象的なアブソリューティアン。
「コスモ幻獣拳」と呼ばれる強力無比な拳法を武器に戦う、パワー系の狂戦士。
タルタロスやティターンと比べるとやや思慮の浅い短絡的な人物ではあるが、必要とあればスパイ活動も完璧にこなしてみせる上に、騙し討ち等の卑劣な所業を平然とやってのける外道ぶりで、「剛力破牛拳」を始めとする強さも決して侮れない。
「アブソリュートハート」と呼ばれる特殊な心臓を持ち、倒されても何度でも復活する能力を持っている。
アブソリュートティターン
頭部のブーメランや剣を愛用する、孤高の暗殺者。
上記の二人と比べると細身で華奢なビジュアルではあるが、鍛え抜かれた体術と格闘能力から繰り出される実力は本物。
暗殺者という役職ではあるものの騎士道精神を重んじる高潔な人物で、実力のある相手には素直に称賛を送る、たとえ敵相手にも状況次第では一時的に共闘を組むなど、柔軟な対応力も持つ。
4人目
(画像右の人物)
初登場作品 | 未登場 |
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日本語版CV | 不明 |
英語版CV | 不明 |
2021年1月に公式Twitterで『運命の衝突』の制作告知が行われた際、タルタロスと似た胸部の意匠を持つ複数のアブソリューティアンのシルエットが写し出されたイラストが掲載され、そこでディアボロ(赤)とティターン(青)と共に4人目(紫)の存在が示唆されている。
タルタロス含む3人のアブソリューティアンと比べてしなやかな肉付きをしており、くびれた腰に膨らんだ胸があることから女性のアブソリューティアンだと思われる。
彼女が後述のあのお方の可能性もあるが、タルタロス達と同等に描かれている事から、その可能性は低いと思われる。
タルタロス役の諏訪部氏からは、「自分が演じたタルタロスを含めて、名前が明らかになっている幹部3人は全員低音の男性声であることから、次のアブソリューティアンは声が高い女性なのでは?」と言われている。
シルエットの3人の内、ディアボロとティターンは告知から1年以内に映像作品で登場を果たすが、この4人目のみが3年以上経った現在に至っても未だに詳細不明のままである。
あのお方
初登場作品 | 未登場 |
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日本語版CV | 不明 |
英語版CV | 不明 |
タルタロスの口から言及された、アブソリューティアンの指導者と思われる存在。
現在は何らかの形で眠りに付いているらしく、その正体は一切不明だが、あのウルトラマンキングとほぼ同等の存在であることが示唆されている。
タルタロスは「我らを導いてくれるお方」と絶対の忠誠心を抱いており、この人物のためならば己の身を捨てることも厭わない。
しかしその一方で、光の国のみならず別次元のウルトラ戦士達やその上位に位置する存在まで敵に回し、さらに光の国もまだ認識していなかった『トリガー』世界への侵攻など、ウルトラマンの属するあらゆる宇宙に戦火を撒き散らしており、本当にアブソリューティアンの未来を考えているのか疑問符が付く側面がある(単にタルタロス達の個人的な暴走かもしれないが)。
アブソリューティアン兵士
初登場作品 | 『運命の衝突』 |
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アブソリューティアンの下級兵士達。
全員全く同じ外見で、古代ローマの兵士を思わせる黄金の鎧を纏っている。
彼らもアブソリューティアンの一員ではあるが、タルタロス達程戦闘力は高くなく、手から光弾を放つ以外の特殊能力も持っていない。
個々の能力も(ウルトラ戦士に比べて)低いためか、基本的には十数人単位による集団戦術で戦う。
ウルトラシリーズでは珍しい「悪の組織の戦闘員」タイプの敵キャラである(光の国で言うところのモブトラマンにも該当するか)。
上述の面々以外にも、坂本監督はインタビューで「今後のシリーズ展開でウルトラ一族の宿敵として描くことを見越した設定となっている」と語っていることから、まだまだアブソリューティアンの同胞達が登場してくる可能性は残されている。
正体と目的
その正体は、ウルトラ一族がディファレーター光線で超生命体に進化したのと同様に、「カスケード光線」と呼ばれるエネルギーで究極生命体に進化した、謂わばウルトラ一族のifとも言える種族。
彼らの故郷は「ザ・キングダム」と呼ばれる、建造物が全て体色と同じ黄金色に染まった惑星で、その中央にある巨大な塔「エルドラタワー」からは、アブソリュート粒子を大量に含んだカスケード光線が絶えず降り注いでおり、その力を以てアブソリューティアンは今のような姿へと進化したという。
しかしカスケード光線のエネルギーはあまりにも強力過ぎるため、エルドラタワーでも制御できずに母星の寿命を削っており、そのせいでアブソリューティアンという種族そのものが存亡の危機に立たされている。
そんな現状を打開すべく、光の国を侵略し新たな母星として開拓するために、先住民たるウルトラ一族を排除しようとしている。
また、『運命の衝突』では宇宙を意のままに作り変える力を持つエタニティコアを手に入れるべく、『トリガー』世界の地球への侵攻も目論んでおり、どうやらそれを用いて事態を収拾することも視野に入れていた模様。
その後意図せず『トリガー』本編で訪れることになるが、この時は状況的にあまり余裕が無かったこともあり、コアの調査等の必要最低限の目的を果たした後、最優先すべき相手である光の国との戦いのために早々に撤退した。
ただし、あくまで後回しにしたに過ぎず、いずれ再び侵攻する腹積もりでいると思われる。
ウルトラマンキングやマスターアルーデ、イグニスなど、光の国のウルトラマン以外にもアブソリューティアンの目的までは行かなくとも、これまで行ってきた暗躍などを知る者は複数存在するようである。
余談
「アブソリュート(absolute)」とは英語で「絶対」を意味する言葉であり、『運命の衝突』のPVでは「究極」に由来する「ウルトラ(ultra)」の名を持つウルトラマンと対比する形で、「究極vs絶対」という表現が使われていた。
冥界の神や悪魔など、何かしら死後の世界に関連する存在が名前のモチーフとなっているようである。
これまでのファイトシリーズで敵キャラを構成する際にグア軍団やウルトラダークキラー等、マイナー所や設定にはあるが本編で使われてこなかった敵キャラ、没になって使われてこなかった敵キャラを出してきたが、大いなる陰謀の製作段階でほとんどのネタが使われてきたためそろそろ新しいヴィランを出したいとなり、ギャラクシーファイトならではの強いヴィランとして、時空を越えれてそれでいて強いヴィランとしてアブソリューティアンが設定された。
劇中では、タルタロスを始めとするいずれの個体も「究極生命体・アブソリューティアンの戦士」を自称していることが多い。
恐らく、自身の種族に対して絶対の誇りと愛着を持っているためなのだろうと思われるが、初対面の相手に対してはこの二つ名を含めた名乗りをほぼ毎回行っているため、視聴者だけでなく、タルタロス役の諏訪部氏からも「妙な所で律儀」「意外に礼儀正しい」「伝統芸能」などとネタにされている。
ただし、タルタロスはウルトラ戦士達に対しては一貫して「我は~」からの名乗りで大仰さが出ていたが、闇の三巨人に対しては「私は~」と若干控えめな名乗りを行っていた一方で、バット星人やギナ・スペクターに対しては素性を問われても名乗ろうとしなかったなど、相手によってやや態度を変えている模様。
ディアボロ役の小川輝晃氏はインタビューにて「アブソリューティアン自体が寄せ集め感が凄い」と語っている。
タルタロス役の諏訪部順一氏は、ウルトラマンリブット役の駒田航氏とギャラファイシリーズ監督の坂本浩一監督とのラジオにて、「アブソリューティアンの色合いが同じ金色でウルトラマンの宿敵キャラのエースキラーに親近感がある」と語り、A、レオ世代の坂本監督は、「僕のルーツはAにあったのかもしれない」と返している。
アブソリューティアン達のスーツに使われてる金色は、落ちにくい新素材のペンキが使われている(従来の金色の塗装はアクションしただけで色が落ちて褪せたりするため、ウルトラ怪獣や星人に頻繁に使用されていなかった)。
関連タグ
ウルトラシリーズ ウルトラギャラクシーファイト ウルトラ怪獣
- レイブラッド星人:同じく「究極生命体」の異名を持つ宇宙人。『ウルトラマンレグロス ファーストミッション』では、(ある者から抜け出た精神体だが)タルタロスとの接触があったことが示唆されている。
- エンペラ星人:太陽の光を失ったことで母星が滅び、故郷を失うという、アブソリューティアンとは別の意味でウルトラ一族のifとも言える存在。同時に、この先故郷が滅んだ場合のアブソリューティアン達に待ち受ける未来の可能性の一つとも言える。
- バルタン星人:ウルトラ戦士達と長きに渡って戦ってきた、シリーズを代表する宇宙人。母星を失ったため、新たな住処とするために別の星を侵略しようとするという、アブソリューティアンと似たようなことをした先駆者。ちなみに、『運命の衝突』では彼らの同胞がアブソリューティアンの手下となっている。
- ウルトラマントレギア:光の国を裏切って悪に堕ちたウルトラ戦士。当初は「ベリアルに変わって今後のウルトラマンの宿敵となるキャラクター」と宣伝され、『ギャラクシーファイト』シリーズの一作目となる『ニュージェネレーションヒーローズ』でも黒幕を担当していた。アブソリューティアンは、ある意味彼のポジションを引き継ぐ形となったと言える。
- ダークネスファイブ:ウルトラマンゼロと因縁深い、強豪宇宙人達の連合チーム。こちらも幹部の一人の声を、ティターン役の安元氏が演じている。さらに、こちらも「あのお方」と呼ばれる軍団のボスが存在していたが、その正体は…。