「恨みはないが、お前が『封印の文字』を使えるようになっては困るらしいんでな……お前にはここで死んでもらう!」(第十一幕)
データ
概要
第十一幕「三巴大騒動」、第十二幕「史上初超侍合体」に登場する牙を剥いた化け物の顔のような、鎧武者のような姿を持つアヤカシで、『おとろし』という妖怪の伝承のルーツとされている。
上記の姿をより詳細に説明すると、胴体は血のように赤い甲冑を装備しているが、頭部は銀色の兜であり、遠目から見ると巨大な両目に見える。銀の装飾は他にも背中と首周りと腰周りにも見られ、それぞれ翼と上顎の大きく鋭い牙、そして同じく鋭い牙と共に舌を出した下顎でにも見え、鬼の形相をした顔と相まって、まさしく牙を剥いた化け物の顔を模った鎧武者と呼ぶに相応しい。武器は先端が鬼の顔となっている「鬼首楔形刀(おにこうべせっけいとう)」という太刀。
見る者を威圧するその凶悪な外見に違わず剣の腕が立ち、相手を倒す事に至上の喜びを感じる戦闘狂で、同じアヤカシの中でも恐れられる程の実力者である。
当然ながらその戦闘能力は高く、戦闘では上記の「鬼首楔形刀」で対戦相手の刀を弾き飛ばし、無防備になった所へ「鬼刀二段斬り」という必殺剣で倒す戦法を得意としている。
この技は瞳のような頭部から発せられる強力な衝撃波と、それを追い掛ける太刀筋の二段構えの攻撃だが、その威力の高さ故に理屈が分かっていても簡単には打ち返す事ができない。
本人はざっくばらんな性格でドウコクと同様に酒好きな面もあるが、それでも上記の通り戦いに愉悦を感じる殺し屋であることに変わりは無く、劇中ではシタリから封印の文字を物にする前に丈瑠を亡き者にする刺客として送り込まれた。
これまで三途の川の増水のために悪行の限りを尽くしていた他のアヤカシと違い、明確にシンケンレッドの抹殺を請け負った時点でこのウシロブシが他と一線を画す強敵である事が分かる。また、本編において初めて2週に亘って登場した怪人である点も、彼が序盤の強敵だった事を如実に物語っている。
劇中での活躍
第十一幕「三巴大騒動(みつどもえおおそうどう)」
前回登場した腑破十臓の言葉を受け、怒り心頭のドウコク。その怒号に応じてナナシ連中が現世に溢れ出したため、シンケンジャー達はこれの対処に追われていた。
ドウコクの怒りの原因は、先代のシンケンレッドから不覚にも受けた封印の文字のことを蒸し返されたからであったが、先代が満足に使いこなせず、不完全な封印だったためにこうしてドウコクは復活した。そして現当主の丈瑠はどうかと言いう問いに薄皮太夫が「使えないね」とにべも無く返したことを受け、シタリは今の内に丈瑠を亡き者にしようとウシロブシを刺客に送り込んだ。
命を受けたウシロブシは、アヤカシの出現に反応するスキマセンサーを呼び鈴代わりに使い、そのまま5人を誘き出すと、不敵に笑ってレッドに名指しで勝負を挑む。
封印の文字のことを聞き、俄然レッドを守ろうとするブルー達だったが、レッドはこれを拒んで単身ウシロブシと切り結び、残る4人は加勢しようにも湧いて出たナナシ連中に阻まれる。そんな彼等の様子を十臓が遠くから窺っていた。
冷静さを欠いたレッドはウシロブシに押されて行き、そのままシンケンマルを弾き飛ばされた所へ必殺の「鬼刀二段斬り」を喰らって倒れてしまう。辛うじて変身を維持できる程度には抑えられたものの、満足に戦う事ができないレッドに再び鬼刀二段斬りを放とうとするウシロブシ。
絶体絶命と思われた瞬間だったが、其処へブルーとイエローが躊躇いも無くレッドの前に飛び出し、身を挺して守る。
だが、鬼刀二段斬りの直撃を喰らった2人は変身が解け、ボロボロになって崩れ落ちる。なおも攻撃を仕掛けるウシロブシから二人を守ろうと、覆い被さる様にレッドはその身を投げ出し、更に駆け付けたピンクとグリーンが3人を庇い防戦一方になるばかり。
このまま全滅かと思われた時、十臓が現れてウシロブシを妨害する。
「お前、何をしに来た?」と問うウシロブシに対して「このシンケンレッドは俺が戦う相手でな…悪いが、ここは手を引いてもらう もし……できないと言うのであれば…」と返す十臓だったが、そこへレッドが立ち上がってシンケンマルの二刀流で三つ巴の戦いに発展。激しい斬り合いの末、水切れを起こした為にウシロブシは「十臓…ドウコクが怒るぞ?」と言い残してその場を撤退するのだった。
第十二幕「史上初超侍合体(しじょうはつちょうさむらいがったい)」
水切れから回復すると、ウシロブシはナナシ連中を率いて街で破壊活動を行っていた。そこへ屋敷を出奔した丈瑠と遭遇。「家臣を戦いに巻き込むまい」と単身で立ち向かう丈瑠に対して「無駄な足掻きだシンケンレッド!」と襲い掛かろうとする。
だが、丈瑠に命を預ける事を誓った流ノ介達4人が駆け付け、丈瑠は家臣の命を改めて預かる事を決意。「俺の命、お前達に預ける!!」と言う丈瑠に対し、千明は「任せろ!」と快く返す。それは今まで家臣達に辛辣に接して距離を置いていた丈瑠だったが、本当の意味で5人が1つになった瞬間であった。
「天下御免の侍戦隊!シンケンジャー!参るッ!!」
そう高らかに名乗って変身する5人に対し、ウシロブシは「心中したいならそれでも良い…仲良く死ぬがいい!」とナナシ連中を嗾けるも、5人の技の前にあっさり全滅させられる。「テメェら、絶対許せねぇ!」と攻撃するも、自身も息の合った5人の連携の前に次第に追い詰められて行く。
「オレの技を喰らえ!!」と叫んで鬼刀二段斬りを繰り出すウシロブシだったが、先の戦いで技の特性が最初に衝撃波、次に太刀と見切ったレッドの指示の下、ブルー達4人の奮戦によって自慢の必殺技を破られた末、烈火大斬刀・大筒モードに虎ディスクをメインにセットして放った虎五輪弾を喰らい敗北。
その直後、二の目となって巨大化すると、今度はシンケンオーと交戦。
「所詮、折神の寄せ集め!大空ナナシ連中!!」 と叫んで大空ナナシ連中を呼び出し、空と陸の両方からの攻撃でシンケンオーを追い詰めるが、ブルーの考案した「超侍合体」によってテンクウシンケンオーが誕生した為に形勢が逆転(※この時レッドは「初めてお前に感心したぞ!」と称賛している)。大空ナナシ連中を一掃されると、為す術も無く止めのダイシンケン天空唐竹割りを受け、「無念…!」と叫んで爆散した。
余談
モチーフは化け物の顔と鎧武者。名前の由来はそのまま後ろ+武士。
現代の伝承で語られる『おとろし』と言う妖怪は長い牙を剥いた世にも恐ろしい顔の化け物らしく、ウシロブシの全身が恐ろしい顔の様に見え、その鬼神の如き強さが相俟った事がそのルーツになったと思われる。
声を演じた諏訪部氏はスーパー戦隊シリーズへの出演はこれが初だが、特撮への出演経験自体は既にあり、13年前の1996年に放送された『ビーファイターカブト』の登場怪人である灼風獣ザーストの声を当てていた。
それから3年後のスパンを経て『特命戦隊ゴーバスターズ』にてチューバロイド、続いて2年後の『烈車戦隊トッキュウジャー』でもランプシャドーの声をそれぞれ当てているが、何れも2週に亘って登場した強敵の怪人である。特に後者のランプシャドーはウシロブシ同様、第11~12話に登場する共通点がある。
海外版での名前はロブティッシュ。
関連タグ
侍戦隊シンケンジャー 外道衆 アヤカシ(シンケンジャー) おとろし
オトロシ(魔化魍):『仮面ライダー響鬼』に登場するおとろし繋がりのライダー怪人。
妖怪オトロシ:『手裏剣戦隊ニンニンジャー』に登場する後輩。