海賊鬼
かいぞくき
漫画家志望の男・大井成樹の「漫画家になりたい」と言う欲望を叶えるために誕生した、海賊モデルのヒトツ鬼。
シソツ鬼が、海賊の三角帽を被って派手なカラーリングの右半身とモノクロの左半身で構成されたスキン・“海賊版パイレーツ”を身にまとった姿。イカやタコのような顔を持った海の悪霊、あるいはクトゥルフに似た顔は良く見ると、眼帯を付けた2人の長髪長髭の海賊が左右を向いた状態で接合した格好で構成される。
そして右側の海賊は海洋生物のような青と赤紫の毒々しいカラーリング、左側の海賊は亡霊を彷彿とさせるモノクロのカラーリングとなっていて、それに合わせて胸鎧の装飾は変化し、左右非対称の形状となっている。
変貌の際に「豬キ雉頑姶髫」(海賊戦隊)の文字化けと、海賊戦隊ゴーカイジャーのクレストが浮かび上がる。
宿主の欲望を手っ取り早く叶えるため、大いなる才能を認められ派手に大成した漫画家を狙って吸収する事でその才能を奪うことを目論む。具体的には狙いを付けた漫画家に大井の姿で接近、隙を見せたところに顔周りから伸ばした赤紫と黒の触腕で捕縛して原稿のように変え、体内へ豪快に吸収して行く。
行動手順からも分かるように、欲望に突き動かされてはいるが思考意識は理性的かつ狡猾。任意で宿主とヒトツ鬼の姿を切り替えることも当然可能なため、自らのエゴのために素性を偽りながら他者を襲うことを、自由意志の元で選んだ小悪党でもあるとも言えよう。
思考面の冷静さもあってか、戦闘ではカットラス型鬼険棒を振り回し宿主が素人であるのを差し引いてもそこそこ善戦できるレベル。
只やはり、触腕以外の特殊能力は無いので戦いが長引くとボロを出して追い込まれ易い。
既に大井に憑依した状態で、人を超えた略奪の鬼となって漫画家を強襲し、これまで5人の漫画家を次々と吸収して行った。
そして、次のターゲットとして漫画家・一平に接触し、手の甲にサインを描いてもらうことで油断を誘い、場を立ち去ると見せ掛け背後から近寄って難無く吸収。彼が落とした『失恋ヒーロー』をふと拾い上げ、キビ・ポイントの使用によってドンブラザーズを脱退、漫画家としての栄光を取り戻していたはるかを次のターゲットを定めた。
「ふふ…漫画家の鬼頭はるかだな。マサカオ前ノ方カラ近付イテ来ルトハ」
はるか「ゲーッ!超展開!」
その後、ストーキングからかばう形ではるかに接触。物陰で変貌して襲い掛かり、はるかが転倒したところに触腕を伸ばして吸収しようとするも、そこで新たなオニシスター/前田真利菜の妨害が入る。直後、残りのドンブラザーズも到着し圧倒されるも、直ぐ近くにあったジャンプポイント(マンホール)で高く跳び、上空の脳人レイヤーのドアを破りながらワープして逃走した。
それからしばらくして、河原沿いの公園で再度はるかを狙い出現。
はるかに目的を問い質され、「漫画家になれないから漫画家から才能を奪う」と身勝手過ぎる暴論を言い放つと、「ふざけんなボケ! 才能は奪うもんじゃない、自分の手で磨き育てるもんよ!!」と反論され、続けて護衛役として同行していた真利菜がチェンジして向かって来たので、増援として呼んだアノーニと共に襲い掛かる。
直後にまた参上したドンブラザーズとの乱戦に発展するもその時、獣人の登場に困惑気味でも自分の使命を果たすべく、怪人態に変身したソノニが出現。コンドルアローを放つが、以前の過ちを繰り返させないと思ったドンモモタロウがコンドルアローを斬り払い迎撃に移る一方、盗作疑惑のトラウマにより真利菜は発作的な手の震えを発症、ドンブラスターを落としてしまいその場に立ち尽くす。
この痛ましい姿を見たはるかは、心の中で葛藤と逡巡をした後、編集者のネーム打合せの連絡を断る形で迷いを振り切って喫茶どんぶらへ急行。介人に頼み込んで叶った願いを無効化し、オニシスターとして戦う道を再度選んだ。
…そして願いの無効化の手続きが終わった瞬間、はるかはついさっきまで傍観していたはずの戦場内でオニシスターとして戦っていた。そして遠方でイヌブラザー・キジブラザーと戦っていた海賊鬼を見付けるや、フルコンボウを手に飛び掛かって武器を取り落とさせた。
そしてその勢いから、シスターはロボタロウギアを使ってオニシスターロボタロウにアバターチェンジ。フルコンボウのミサイルで海賊鬼を爆撃し、それへ触発された他の4人もそれぞれロボタロウにチェンジしてソノニを追い払い、アノーニ達を一掃した。
こうしてあっと言う間に勝ち目を失った海賊鬼は、そのままシスターロボのフルスイングで近くの街灯に殴り飛ばされてバウンド、地面に叩き付けられダウン。
最期はそこを、ロボタロウになったドンブラザーズの必殺奥義「前人未桃・打ち上げロボタロウ」を浴びて敗北・爆散し、宿主と吸収されていた漫画家達は無事解放された。
漫画家を志望している男性。本名は東映公式サイトにて判明(竹内助監督命名)。
漫画家を志望する意志こそ強いのだが、一方で努力が苦手で己の才能を見付けたり磨くことをしないまま燻っている、目標のスタートラインにすら立っていない身上でもあった事から、得てしまったヒトツ鬼の力で他人の才能を横取りする短絡的な行動を起こした(※そもそも、幾ら他人の才能を手に入れた所で、それらを組み合わせて自分の漫画を描けなければ全くの無意味である)。
海賊鬼が倒された直後、開放された漫画家達の傍らで意識を取り戻す。そして漫画家達を見つつ、以前一平に手の甲へ描いてもらったサインを隠しながら複雑そうな顔を浮かべていた。
- モデルとして使われた戦隊は『海賊戦隊ゴーカイジャー』。
- ベースがシソツ鬼なのはゴーカイシルバー/伊狩鎧、半身が別カラーであることから彼の力で生まれた形態ゴーカイクリスマスと1人ゴーオンウイングスのイメージと思われ、クトゥルフの様な外見はゴーカイジャーの敵組織『宇宙帝国ザンギャック』のボス「皇帝アクドス・ギル」のモデルがダイオウイカであることに加えて、ザンギャック所属怪人「行動隊長」のほとんどが海洋生物モデルなのが由来と考えられる。これに加えて海賊繋がりでデイヴィ・ジョーンズとも類似している。
- なお、ヒトツ鬼の素体とスキンの大まかな構成はゴールドモードを彷彿とさせる。
- 海賊鬼が漫画に関わるヒトツ鬼となったのは、漫画の違法アップロード版を示す「海賊版」からの連想から。なお、ゴーカイジャーの劇場版には海賊版発言に開き直った敵とその海賊版の元凶、「海賊版」の名を冠するロボット戦士が登場している。
- また、ゴーカイジャーの力を使う前作のゾックス・ゴールドツイカーは漫画好きである。
- ゴーカイジャーは「夢を掴む」や「欲しいものを手に入れる」をモットーとしているが、海賊鬼の場合はそれを最悪の形(むしろ現実世界の海賊に近い形)で皮肉った物となっており、他人の力を奪って自分の私利私欲の為に使うという性質からゴーカイジャーに登場する最強の敵の要素を持っているとも解釈出来る。
- はるかが辞退したドンブラザーズの力が別人に譲渡される表現が、レジェンド大戦をスーパー戦隊が力を犠牲した代わりに終わらせ、失ったカはレンジャーキーとしてゴーカイジャーに受け継がれるの形のオマージュになっている。その他、同作におけるオニシスターと同色の戦士に関しても、本来の変身者ではない別の人物が一度だけ変身したエピソードもある(しかも、この出来事が起きたのはそのレッドとグリーンの合体戦士が登場した回でもある)。
- ゴーカイジャーがアニバーサリー戦隊と言う特別感のある扱いから、ラスボスとは行かないまでも重要回、若しくはセンパイジャーモチーフのヒトツ鬼の最後を飾る登場と思われていたが、いざ蓋を開けると至って普通の回での登場となった。
- 他のアニバーサリー戦隊モチーフのヒトツ鬼や脚本家が同じ戦隊モチーフのヒトツ鬼やレジェンド中のレジェンド戦隊モチーフのヒトツ鬼などの扱いを見た辺りだと、ここではアニバーサリー戦隊も一つの戦隊に過ぎないというカウントだろうか。
- 「完全読本」によると上記の鏡合わせのデザインは「本物と海賊版」の他に、「写実と印象」「カラーとモノクロ」と言った対称性も含まれているとの事。
- Pixivでは海賊鬼ングがオリジナル怪人として投稿されている。
- ボディは後にドン32話に登場する轟轟鬼のものにリペイントされた。
- 武器は『炎神戦隊ゴーオンジャー』に登場したキレイズキーの「ハタキブレード」を流用している。
- また井上氏はゴーカイジャー第28話の脚本を書いている。
海賊旗:同音異義語
超力鬼、侍鬼、未来鬼:ツーカイザーモチーフの戦隊のヒトツ鬼。
秘密鬼、恐竜鬼、百獣鬼、魔法鬼、轟轟鬼、機界鬼:こちらはゼンカイジャーメインメンバーモチーフの戦隊のヒトツ鬼繋がり。
爆竜鬼、特捜鬼、魔進鬼:原典のメインライター繋がりのヒトツ鬼。
海賊仮面、イナズマギンガー、バラカッカ、バングレイ:歴代海賊モチーフの戦隊怪人。
ツーカイザー:前作に登場したゴーカイジャーモチーフの戦士。
ムジナ(カクレンジャー)、マンガワルド:漫画繋がりの怪人。後者は前作に登場していた。
宇宙海賊バルバン:海賊モチーフの敵組織。
骨のシタリ:ゴーカイジャーの先行登場シーンで倒したイカモチーフの敵幹部。
ダイオウイカ・デッドマン:30分前の世界にあるイカモチーフのライダー怪人。こちらは幹部格。