「♪好~きです好~きです心から~ 愛してい~ま~す~よと~・・・」(第1話)
「ムムッ、その構え赤龍拳と見たッ! 6,000年の眠りから覚め、久しぶりに紐が鳴るッ!」(同上)
CV/演:野本礼三/藤田豪
登場話数:第1話「転身だァァッ」、第2話「気力だァァッ!!」、劇場版
概要
作中に登場した最初のゴーマ怪人で、「紐拳」なる拳法の使い手でもある。
金色の紐が複雑に絡まり結ばったような上半身が特徴で、首元から垂れ下がっている片方の先端には一つ目が、もう片方の先端に当たる左手の先には鋭い牙の生えた口が備わっている。この左手は自在に伸縮・変形することも可能で、一度相手を捉えたが最後、どこまでもこれを追尾し逃さない他、作中では未遂に終わったものの、上半身から伸ばした無数の触手で複数の相手を拘束し、槍のように鋭く尖らせた左手でこれを貫くといった攻撃も見せた。
前述した怪人態の異様な風体も目を引くが、人間態もまた瓶底眼鏡に学生服と半ズボンという、かなりアナログなかつ個性的な出で立ちの少年の姿を取っている。ヨーヨーに興じながら「巡恋歌(※)」(長渕剛)の一節を口ずさむという、正しく「怪人」としか言いようのない奇行は、見る者に強烈なインパクトを与える。
後述の通り、子供たちを攫っては自らの体内に封じており、作中でこの行動の理由が明かされることは特になかったが、恐らくは紐男爵の後に活動を開始したガマグチ法師と同様に、ゴーマの復活を祝した「ニードロブードロ」の儀式に必要な生贄を集めていたのではないかと考察する向きもある。
(※いわゆる「ヒモの男」をテーマにした曲で、制作サイドの遊び心による選曲と思われる)
作中での動向
TVシリーズ
6,000年の時を経て、ゴーマ族が再び地球侵略に乗り出す中、その尖兵として活動を開始。
通学途中であった少女・由美を、地中から左手の紐を伸ばして攫い、さらに彼女の知り合いでその場に居合わせていた亮にも矛先を向け、逃げる亮を執拗に追い回した末に拘束せしめるが、そこに飛来した龍星王の放つ大火炎に阻まれ、一旦退却を余儀なくされた。
その後、道士・嘉挧の招聘で来日した直後のリンを、(恐らくはシャダムたちの命令により)配下のコットポトロの一団に襲わせ、亮たち4人の加勢でこれが失敗に終わると今度は自ら姿を現し、身体から伸ばした紐で縛り上げ「五目そば」にしようとする。しかし精神を統一した亮に攻撃を回避された上、5人がオーラチェンジャーで転身を遂げたことで拘束を振りほどかれてしまい、そのまま戦闘に突入することとなる。
配下のコットポトロ達がシシレンジャー達4人と乱戦を繰り広げる一方、紐男爵はリュウレンジャーと一騎打ちに及び、得意の紐拳を駆使して巧みに翻弄するが、一度は左手の紐でリュウレンジャーを拘束しながらも、気力でスターソードを引き寄せた彼にこれを断ち切られると、その流れで「天火星・稲妻炎上破」を喰らって深手を負い、体内に閉じ込めていた由美や他の攫われていた子供達までも吐き出す結果となった。
しかし完全にやられてはおらず、巨大化爆弾を炸裂させ巨大化に及ぶと、圧倒的な体格差をもってダイレンジャーに反撃を仕掛けるが、対するリュウレンジャーもまた龍星王を呼び出し、戦いは気伝武人・龍星王との巨大戦へともつれ込む。
一時はやられた振りからの不意打ちで龍星王を窮地に追い込むも、気伝飛龍棍によってまたしても拘束を破られ、龍星風車蹴りで手痛い反撃を被った末、「飛龍棍・大風車」に続けての「大風車斬り」で止めを刺されたのであった。
劇場版
物語のクライマックスにて、トランプ公爵がダイレンジャーに対抗するため、ゴーマ怪人の絵柄が描かれたトランプの中から出現した内の一体として登場。
ここではキリンレンジャーと交戦に及び、彼が投げつけてきたダイレンロッドをキャッチして反撃してみせるも、「天時星・時間返し」で無効化された末にダイバスターによる銃撃をおみまいされてしまう。
他の怪人達と共に巨大化した後も、気伝武人・龍星王の龍星風車蹴りでまとめて弾き飛ばされたり、上空の天空気殿を攻撃しようとしてかわされたりと良いところなしだったものの、オジャル大王へと妖力合体を遂げると紐を伸ばして大連王を捕らえ、紐電撃で一矢報いてみせた。が、反撃もここまでが限界で、大王剣・疾風怒濤によって再び最期を迎えたのであった。
新紐男爵
ダイレンジャーとゴーマ族の決戦から50年後に出現したゴーマ怪人。紐男爵とよく似た姿を持ち、資料によっては「新ゴーマ怪人」と呼称される場合もある。
詳細は当該記事を参照。
マイティ・モーフィン・パワーレンジャー
第2シーズンの第74話にて、キングトロフィー(Pipebrain)の名で登場。その名の通り空手大会の優勝トロフィーが、ロード・ゼッドの魔法でモンスター化した存在である。
レッドレンジャー・ジェイソンと戦うも、大人の事情で早々に巨大化。後は原典通りの最期を迎えた。
『パワーレンジャー』にダイレンジャーの要素が取り入れられ始めた第2シーズン(第61話以降)において、最初に登場したゴーマ怪人でもある。
それまではパワーレンジャーオリジナルのモンスターが登場していたため、巨大戦ではサンダーメガゾード(大連王)と巨大化モンスターが直接同じ画面に映ることはなく、原典での戦闘シーンを切り貼りしてつなげる形で対応されていたが、以降の話数では原典での巨大戦のシーンをそのまま活用していくことになる。一方で、ヒーローのデザインに関しては第1シーズンと同様に『ジュウレンジャー』のものが引き続き踏襲されたため、その都合上等身大の戦闘シーンは実際に現地で撮影された一部のゴーマ怪人を除き、大幅に激減することとなる。
備考
デザインは篠原保が担当。番組企画時に最初に提示された4体のうちの一体であり、当初はゴーマ怪人の大半に共通する「一つ目」もなく、取り付く島がない、どこをどう捉えていいのか分からないような感じで描かれたという。
一つ目やマントについては、他の3体が出揃ってきたところでキャラクター性を付加するために追加されたものであるといい、このうちマントについては普通だったら自分では考えつかないと前置きしつつ、作品の企画自体の方向性として「『ゴレンジャー』の頃に回帰しよう」といった意識があった流れの中で出てきたものであろうと、後年のインタビューにおいて振り返っている。
演者のうち、声を担当した野本はスーパー戦隊シリーズへの参加は本作が唯一であり、本作では紐男爵の他にも万華鏡伯爵、そして前述の新紐男爵の声も担当している。また、人間態の演者である子役の藤田は、前年の『うたう!大龍宮城』(マサヒコ役)に続いての東映特撮への参加となった。
関連イラスト
関連タグ
サクラ子爵 万華鏡伯爵 トランプ公爵:紐男爵と同様に、爵位が名前に含まれるゴーマ怪人達
鉄面男爵 獣男爵コボルダ ヨゴシュタイン ネロ男爵:スーパー戦隊シリーズにおける、男爵の肩書を持つ戦隊怪人。いずれも紐男爵とは異なり幹部格でもある