「ムヒョヒョヒョヒョ! 暴れろ暴れろ、私のかわいい人形達よ!」(第4話)
「春~になれ~ば~、ドジョっ子だぁの鍵っ子だぁの♪ アー、美味いんだなコレが」(同上)
データ
概要
全身に鍵穴や南京錠を思わせる意匠を有し、頭部から伸びる鍵状の角はハサミのように自在に開閉することもできる。人間態も同様に、多数の鍵をアクセサリーのようにあしらった黒ずくめの男性の姿を取っており、記事冒頭に示した台詞の数々にも含まれる「ムヒョヒョ」といった口癖からも窺えるように、道化師を名乗るが故の奇矯な立ち居振舞いが目立つ。
固有の能力として「あらゆる鍵を開ける」というものがあり、その範囲は物理的なそれに留まらず、人間の「心の鍵」という概念的なものにまで及ぶ。
この能力を駆使し、人間の閉ざされた心を文字通り開けることにより、その中にある魂を抜き取ることも可能で、作中ではその抜き取った魂を人形に宿し、「自我を持った人形達に人々を襲わせ社会を混乱に陥れる」という作戦を展開した。
前述した通り奇矯な振る舞いが目を引く一方、戦闘能力も高い方であり、前述した鍵状の角で相手を挟み込む「鍵ジョッキン」や、胸部から鍵を射出する「万能鍵地獄」といった技、それに鍵型の剣での接近戦も得意とする。
作中での動向
TVシリーズ
前述した作戦の第一段階として、夜な夜な子供達の魂を抜き取っていた鍵道化師であったが、作戦の第二段階である「自我を持った人形達による騒動」を独断で展開したため、シャダム達からダイレンジャーの背後に道士・嘉挧がついていること、そしてゴーマも怒っていることを告げられ、その警告を受けて指示通りの作戦進行に徹することを約束する。
が、シャダム達の危惧した通り、魂を奪われた子供達の一人である正夫の姉・かおりが、紆余曲折を経て大五と接触し事の真相を探ろうと行動を開始。彼らにアジトとしていた廃工場を突き止められた鍵道化師は、2人の魂も奪おうと襲いかかり、前述した技の数々で孤軍奮闘するシシレンジャーを圧倒。結果、他の4人の来援も間に合わぬまま、シシレンジャーの眼前でかおりの魂を抜き取ってその場から悠々と引き上げ、大五たちに深い敗北感を残すに至った。
その後、ダイレンジャーがその未熟さ故に各々苦悩するのを尻目に、作戦の第二段階に移行した鍵道化師は人形達を遊園地や町中で暴れさせ、目論見通り社会を混乱に陥れた。
一方、ダイレンジャーが嘉挧の導きを受け、決意も新たに人形たちによる狼藉を止めようとする中、海岸にてくつろいでいた鍵道化師は人形の一体を使って巧みに大五を誘き出し、人間態のままでこれを打ちのめしてみせる。そこに龍星王に乗って大五の行方を追っていた亮や他の面々も合流、怪人態に戻った鍵道化師やコットポトロの一団との戦闘が展開されることとなる。
三度シシレンジャーと干戈を交えた鍵道化師であるが、今度は彼の棒術や「天幻星・霧隠れ」で散々に翻弄され、さらに「幻ドア」を出現させたシシレンジャーに、
「そのドア・・・お前に開けることができるかな?」
と挑発されてしまい、所持していた多数の鍵を用いてこれを開錠しようと試みる。結果、見事にドアを開けることには成功したものの、同時にそのドアが爆発し、自らの習性をまんまと逆用されてダメージを負うという失態を演じてしまう。そして反撃や逃走の暇も与えられぬまま、5人の放つ気力ボンバーにより撃破された。
鍵道化師が倒されたことで、暴れ回っていた人形達も活動を停止し、これらに宿っていた魂もまた、かおりや正夫を始めとする子供たちの元に無事戻ったのである。
劇場版
物語のクライマックスにて、トランプ公爵がダイレンジャーに対抗するため、ゴーマ怪人の絵柄が描かれたトランプの中から出現したうちの一体として登場。TVシリーズと同様に大五と対峙するも、生前に痛い目に遭った天幻星・霧隠れによって、またしても散々に翻弄されてしまう。
その後の巨大戦でも、他の怪人たちとともに龍星風車蹴りで文字通り一蹴され、オジャル大王への合体後は自らの頭部を活かした「鍵剣」で大連王を攻め立てるも大したダメージを与えられず、大王剣・疾風怒濤を喰らって再び敗れ去った。
備考
デザインは篠原保が担当。番組企画時に最初に提示された4体のうちの一体であり、ガマグチ法師と同様に篠原の机の上にあった鍵から着想を得たものである。デザイン段階では「胸の鍵穴に鍵を差し込むのに連動し、両肩の錠が外れて角が持ち上がる」というギミックも考案されており、そのまま採用はされなかったものの前述の通り攻撃技として活かされた。このギミックについて、篠原は自分の頭の中にはなかったもので、企画にも深く関与していた小林義明からそういった話が出て描いたものであろうと後に振り返っている。
当初の段階では、まだ「一つ目」という要素がゴーマ怪人の共通項として確定を見ていなかったが、最初にガマグチ法師を描いてその後に鍵道化師のデザイン作業に当たった際、どうしても目が付けられなかったためにこちらもガマグチ法師に準じて「一つ目」とし、一つ目の怪人が連続したことで次も一つ目にするしかないという流れとなってしまい、結果としてこれがゴーマ怪人の方向性を決定づける一因ともなった。
演者である日下は、ガードノイド・ガッシュ(『超獣戦隊ライブマン』)やグレイ(『鳥人戦隊ジェットマン』)などに代表される、寡黙にして渋カッコいい敵役に定評がある一方、この鍵道化師では奇矯さや良い意味で変態じみた演技にも長けているところを遺憾なく示しており、以降のシリーズ作品でもザムザ星人シェイク(『特捜戦隊デカレンジャー』)にて、同系統のキャラクターを演じることとなる。
マイティ・モーフィン・パワーレンジャー
第2シーズンの第81話にて、キーモンスター(Key Monster)として登場。ホワイトレンジャー・トミーを暗黒空間に封じ込めたが、それ以降は出番がなく、生死についても言及されていない。
このシーンは、原典でのシシレンジャーとの一騎討ちを流用したものでもある。
関連タグ
ゴーマ四天王:鍵道化師より後に登場したゴーマ怪人の集団で、そのうちの一人である南方天を、鍵道化師に引き続いて日下が演じている
他作品の関連怪人
コナキジジイ(カクレンジャー):『忍者戦隊カクレンジャー』に登場する敵怪人の一体。鍵道化師と同様に、人間から抜き取った魂を人形に宿すという能力を有する
キーロイド:『特命戦隊ゴーバスターズ』に登場する、鍵がモチーフの戦隊怪人の後輩。