ゴーマ十五世
ごーまじゅうごせい
6,000年前よりゴーマ族を統治する、白面白衣の怪人物。額に備わる第3の目は、身体から分離させ銀色の球体(※)として様々な場所へと出現させることも可能で、これを通して世界の全てを見ることができる。
普段はゴーマ宮の内部、無数の赤い柱が立ち並ぶ「天上の間」に座し、囲碁などの遊びに興じている。ゴーマの幹部達が彼と対面する際には素顔を見せることは固く禁じられており、仮面で顔を隠すのが義務づけられている。
些か子供っぽい奇矯な言行が目立つものの、大神龍来襲時の混乱に乗じて世界征服をより本格化させようとしていたところからも分かるように、本質的な性格は冷酷にして残忍である。一方で、阿古丸のことは寵臣として溺愛しており、余程の事情がない限りは彼の独断専行を容認したり、一度不慮の死を遂げた際には早口旅ガラスの遺した釣り竿を使い、霊界から引き揚げ蘇らせてもいる。
もっとも、平時の政務を元老院に丸投げし、前述した大神龍来襲前後を通して取った場当たり的な対応と、それによる失策で醜態を晒したことからも窺えるように、統治者としての才覚と器量には疑問符の付く部分も少なからず散見される。またそれを抜きにしても戦いが進むにつれ、溺愛していたはずの阿古丸を突如排除するようになるなど、不可解な命令や言動が増えていったのも事実であり、それらは何故かシャダム中佐にとって都合の良い物ばかりでもあった。
そして物語最終盤において、その不可解の「原因」の一端を目の当たりにした田豊将軍が粛清され、このことからゴーマに帰参した参謀長嘉挧もまた、十五世に対して不審の目を向けるようになったのだが・・・。
(※ シャダム達が前線に出る際に上空に浮かんでいたものや、ゴーマ宮の周囲に浮かんでいたものと同形状である)
その嘉挧とシャダムとの皇位継承を巡る決闘の後、十五世は勝者であるシャダムから、ゴーマ皇帝の証たる「大地動転の玉」と共に即時の譲位を迫られた。あくまでも自分の目の黒いうちは譲位はせぬとその要求を突っぱね、大地動転の玉の力を示してシャダムを圧倒する十五世だったが、ここで業を煮やしたシャダムが、
「ゴーマ十五世!元の土に帰れ!」
と口にしたのをきっかけに、十五世は自らの身体が突如として土へと変わり、見る間に崩れ出すという異変に見舞われた。
それも当然のことで、十五世は6,000年前のゴーマ族とダイ族との戦いの中で既に死亡しており、その場にいた現在の十五世はシャダムがゴーマ族を裏から操るために用意した泥人形、言ってしまえば文字通りの傀儡に過ぎなかったのである。前述した不可解な言行の数々は、シャダムの意図せぬ行動に出る度に彼が十五世に「調整」を施したが故のものであり、田豊将軍が粛清に遭ったのもその様子を偶然目にしたためであった。
当然のことながら、「調整」の事実はおろか自身の正体にすらまるで気付かずにいた十五世は、自分の身体が崩れていくという事態を前にしてもただ驚愕することしかできぬまま、ゴーマ宮に乗り込んできたダイレンジャーに無残な姿を晒しながら助けを求めるが、それも空しく彼らの目前で完全な自壊を迎え、混乱と絶望の中、ただの土塊に還ってしまうのであった。
「わ、ワシが人形だったなんて・・・シャダムの・・・・・・を、おぉおぉぉ・・・・・・!!」