「気力と妖力は光と影だ。光ある所、必ず影が生まれる。2つ備えてこそ、真の力といえるのだ」(第7話)
「これで良い・・・亮・・・。私の、愛する息子よ・・・」(第8話)
登場話数:第7話「裏切り者ォッ!」、第8話「おやじぃぃッ!!」
概要
大僧正リジュの弟子にして、打倒ダイレンジャーのために送り込まれたゴーマの凄腕の戦士。ほぼ黒一色の甲冑に身を固め、顔を面頬で覆った出で立ちが特徴で、ダイレンジャーはおろか道士・嘉挧すら圧倒する実力者でもある。
元はダイ族の戦士のリーダーを務めるほどの実力者であったが、6,000年前の戦いにおいて慢心と力への渇望から「真の力」、即ち気力だけでなく妖力をも会得すべくゴーマに身を投じ、仲間達を死に追いやってリジュの弟子となった。
このような経緯から、気力と妖力の両方に精通し戦闘においても「爆裂大地震」等、この二つの力を合わせた強力な技を駆使するが、一方でシャダム中佐等三幹部からは、その人柄を信用できないとして終始警戒と侮蔑の眼差しを向けられていた。
作中での動向
前述の通りリジュに従って登場した後、嘉挧の抹殺という目的を果たすべく、まずは亮を除く4人のダイレンジャーを強襲しこれを圧倒。将児を除く3人を捕らえて人質とし、嘉挧を対決の場に引きずり出すことに成功する。
その嘉挧との直接対決では、気力と妖力を駆使して戦局を優位に進め、さらに亮の乱入もあって隙が生じた嘉挧を後一歩のところまで追い詰めるが、亮までも手に掛けようとしたところで嘉挧からの、
「やめろ!その子は・・・亮は・・・お前の息子だ!」
との叫びに思うところがあったのか、止めを刺さずにその場を後にした。
その後、衝撃の事実を知らされ動揺する亮の前に、今度は「父親」としての立場で再度現れ、ダイレンジャーから手を引くよう告げるも拒絶されており、その亮からは「本物の親父ならなぜお袋と結婚したのか?」と問われるが、その問いに答えず次会う時は敵同士と警告して去って行った。
こうした行動を、師であるリジュからは厳しい制裁で咎められるも、一方でリジュがダイレンジャーと対峙した際には「お前か!張遼を惑わしたのは」と亮をなじり、さらに「儂と張遼は、固い絆で結ばれておる」と自負する等、その後も全幅の信頼を置かれていたようである。
しかしリジュことノコギリ大僧正に圧倒され、眼前で止めを刺されようとしていた亮の助けを求める声を耳にするに至って、張遼は再び「裏切り」に及ぶ事を決意。リジュからの反撃で深手を負いながらもこれを退け、愛する息子の命を救った。
最早死を待つばかりであった張遼の、面頬の下にあった顔は紛れもない亮の父親のものであった。張遼は亮に対し、裏切り者であることを自認しながらも心中では愛を捨て切れず、結果として20年前にある人間の女性――即ち亮の母親と結婚し2人の子供を設けるに至った経緯を明かし、これまでの過ちを詫びた。そしてその場にかつての仲間達である4人の戦士の霊魂も現れ、張遼のかつての過ちを許したのであった。
張遼は最後の力を振り絞り、亮の持つ天宝来来の玉に自らの気力を注ぎ込んで真の力を引き出すと、自分たちがなし得なかった大いなる力の発現を託し、同じく次代の戦士達に力を託した4人の戦士等に誘われて天に登っていった。
実の父親が「裏切り者」であったという事実は、その後も亮の心に少なからず爪痕を残すものだったようで、物語終盤で嘉挧までもが張遼と同様にゴーマに復した際には、リンに対し張遼の件を引き合いに出しつつ、複雑な胸中を吐露していた。
また、上述にある通り、シャダム中佐とは不仲であったが、ある意味では似た者同士であった事が物語終盤で判明していた。
備考
名前の由来となっているのは『三国志』にも登場する、後漢末期から三国時代にかけての武将・張遼。こちらの張遼も(その時々の主君を失っての引き抜きという形ではあるとはいえ)董卓や呂布、そして曹操と度々主君を変えている。
黒ずくめの鎧に身を包んだ敵の剣士が実は父親であり、最期は改心の末に敵から主人公をかばい、息子の顔をその目で見たいとマスクを外し、傷ついた素顔のまま死亡するという展開は、SF映画「STARWARS」シリーズのダース・ベイダーのそれとほぼ被るものでもあり、今に至るまでファンの間でも度々指摘されている。
関連タグ
戦隊レッドの実父がその正体である敵幹部の系譜
魔導騎士ウルザード:『魔法戦隊マジレンジャー』の登場人物の一人。敵組織に身を投じた甲冑の戦士にして、主人公達の実父という点で張遼と共通している
幻獣キメラ拳スウグ:『獣拳戦隊ゲキレンジャー』の登場人物の一人。こちらは正体が主人公の実父であるという共通項を持つ
桐生ダンテツ:『獣電戦隊キョウリュウジャー』の登場人物の一人。主人公の実父であり、彼もまた物語終盤にてとある事情から敵組織に身を投じた
ドン・アスラン:『宇宙戦隊キュウレンジャー』の登場人物の一人。こちらは敵組織に洗脳された甲冑の戦士で、主人公の実父という点でも共通している
ハカイザー:『機界戦隊ゼンカイジャー』の登場人物の一人。上記のドン・アスランと同じく敵組織に洗脳された甲冑の戦士で、主人公の実父だが、その結末は張遼とは対照的なものであった