概要
並行世界「キカイトピア」に存在する軍事国家。
シンボルマークは「閉」の漢字を盾状に図案化した物で、キカイトピアにそびえる無数の巨大な歯車が絡み合った様な形状の宮殿「トジテンドパレス」を本拠地としている。
この「トジテンド」と言う組織は、あくまで並行世界キカイトピアの中の1国家の名称に過ぎないのだが、物語開始の時点で既に実質的にキカイトピア全体を実効支配している。
因みに作中で登場するトジテンドの構成員達や、主要メンバーを含めた彼等に支配されていたキカイノイド達は全員日本語で会話をしている事から、ゾックス達と同じく彼等はキカイトピアにおける日本人に相当する者達であり、トジテンドが存在するのは日本にあたる国だと思われる。
因みにこの国の特徴としては色々あるが、使用されているデータディスクの基本的な構造は人間界と同じだが、形は歯車型となっている。これはキカイトピアの文化だと思われる。
歴史自体はかなり古く、ジュランの曽祖父であるサンジョの時代からキカイトピアを実効支配していた。何時頃に創設された国家なのかは不明だが、少なくとも作中のボッコワウスの先々代大王まで居た事は判明しており、大王の座はボッコワウスの一族が代々世襲している模様。
国家を統べる王とその直属の配下を含めた者達は、俗に言う特権階級で占められており、加えて主要幹部達は悉く自分達支配層を中心とした選民思想に染まっており、他の世界とそこに住む生命体はおろか、同じキカイノイドに対してすら下の者達の存在意義を「自分達支配階級に奉仕するだけのスクラップ(早い話が奴隷か家畜)」と定義している。
キカイトピアの支配成功に続いて、この世に数多存在する「並行世界」を全て自分達支配階級の支配下に置こうと企み、機械歯車「トジルギア」を開発して並行世界を次々と閉じ込め(封印する)と言う流れで、無血で侵略を行って来た。但し、トジルギアが完成するまでは普通に武力による侵略も行っていたらしく、カイゾクトピア等が実際に武力侵攻を受けている。
また、閉じ込めた並行世界には歴代のスーパー戦隊の世界も含まれているが、作中の直接描写ではゴレンジャー、ジュウレンジャー、今作の直近であるキラメイジャー等が確認出来、どの戦隊も明らかに敵組織との戦いが続いている時期に閉じ込められている。因みに閉じ込めた並行世界については、構成員達は揃って「侵略に利用価値がある」、「面白い」等と単なる侵略の為の道具としか思っていない為に、閉じ込めた並行世界その物に興味や関心を持ってはいない。
しかし、遂に最後の並行世界となった本作の人間界は、何故か発生したトジルギアの不具合で閉じ込められず、逆にキカイトピアの一部が一時的に人間界と融合してしまい、多数の庶民キカイノイドが人間界側に転送されてしまう結果となった。それ以降は組織の目論見が進まなくなってしまった為に、ゲゲの提案を受けたボッコワウスの決定で、武力による制圧に切り替えて人間界侵略を開始する。
殆どが専軍政策に偏っている為か、正規軍人や兵器に携わるエンジニアが幅を利かせ、逆に一般市民(職務に関わらない軍属も含む)に対する扱いがかなり過酷な模様。
時には無辜の市民を嗜虐目的でスクラップにしようとする程で、上記の変事を知った下働きの質問も有無を言わさず暴力で黙らせている。そればかりか時には恐らく上の者達による嗜虐によって身内が行方不明になる事態すら、キカイノイドの庶民には珍しく無いとされる。
その一方で正規のキカイノイド兵であっても、末端の兵士達は上の者達からは道具の様に扱われており、一方で上層部の者達は自らの地位と権力を守りながらそれをより向上させる為に、自分達の派閥を作ってボッコワウスのご機嫌取りをしながら権力闘争に明け暮れている。
この様に上の幹部らの歪んだ選民思想によって、極めて閉鎖的かつ抑圧的な方向性に腐敗しきっている組織がトジテンドであり、これには下々の庶民だけでなく組織に所属する末端の構成員すらも、自覚・無自覚を問わずに毒され苦しめられている(詳細は下記する)。
人間界に来てからの自由な生活を謳歌していたジュランとガオーンは、トジテンドの支配階級について「腐ったお偉方」、「あのクズ共」と毒を吐いており、更には後に「ボッコワウス大王と腐ったお偉方が居る限り、キカイノイドに幸せは無い」とまで断言している。
加えてその差別主義を象徴する大きな例の1つとして、スーパー戦隊シリーズでは珍しく構成員やワルドを含めて女性が存在しない(それどころか、女性CVのキャラすらいない)。この理由としては、これだけ上から下まで選民思想に染まっている組織なので、バラシタラを筆頭に男尊女卑も激しいからだと思われる。
出撃、撤退等の移動手段は当初は不明だったが(巨大戦力であるクダイテストでさえ何処からとも無く現れていた)、第5カイ!にて世界を自由に行き来出来る並行世界間ゲートを製造・運用している事実が明らかになった。但し、五色田介人がバラシタラにしがみついて同行しようとした際には、介人のみゲートから弾き出された。しかしその後、サカサマワルドによってステイシーと介人が魂を入れ替えられた際には、ステイシーの身体になった介人がゲートを使用でき、逆に介人の身体になったステイシーが弾き出された事から、生体認証でゲートの通過を許可している可能性が高くなった(キカイノイドは機械生命体なので、当然ながら個々の生体反応は存在する)。
しかし、ブルーンやコールドスリープから目覚めた五色田美都子博士が、ゲートを使って他の世界へ逃亡した事から、セキリュティはあくまで外部からの侵入を阻む物で、トジテンド内から転移するのであれば、トジテンドの構成員でなくともゲートを使う事は可能な模様。
ゼンカイジャー側はこれまでの作品と違い「敵を探知する能力や手段」一辺倒では出動せず(セッちゃんが反応を探知出来るが、これもあくまでネットの情報等を経由しての物であるらしく、劇中ではこれだけに頼る事はない)、基本的に「トジテンド側が起こした騒ぎを直接聞いて駆け付ける」か、若しくは「ゼンカイジャー達自身が騒ぎに巻き込まれる」のが本作のお約束パターンとなっている。後にツーカイザーが登場してからは、母船の独自技術で宇宙から地上を調べられる彼等がトジテンドを先に発見して戦いを始めたのを聞き付けたり、彼等経由で情報が送られて来るケースも多くなった。
中盤では、ゼンカイジャーとゴールドツイカー一家の結束が深まったのとは逆に、構成員のボッコワウスへの不満や、バラシタラとイジルデの手柄を巡っての対立や権力闘争が激化し始め、結束力が弱まりつつあり、不穏な空気になって来ている。
また、軍事的な独裁王朝の割には、現在の構成員達が生まれた段階で既にキカイトピアを実効支配しており、抵抗勢力等が碌に居なかった事や、トジルギアの性能に頼り切って戦わずして侵略を完了して来た為に、構成員達は実際に武力を以て相手を攻めて侵略を進めるノウハウや実戦経験には乏しいらしく、トジテンドの構成員は幹部陣を除いて、殆どが市民上がりのゼンカイジャーに敗北していたりする等、組織としての成果と実態としての戦力には差があるのも特徴となっている。
一応は前述通り、トジルギア完成前はカイゾクトピア等を武力侵攻していた様だが、結果は返り討ちにされており、そればかりか逆にゾックス達にトジテンドパレスに潜入されてイジルデが保有していたデータ等を盗まれている。
加えて、「下の兵士は何も知らずに只命令通りに戦えば良い」とのスタンスなので、情報の管理も杜撰であり、当初はゼンカイジャーのメンバーの情報すら共有されていなかった。
さらに、キカイトピア内のまともな抵抗勢力が消えて久しい事に加えて、前述したゲートのセキリュティで外部の干渉を完全にシャットアウトできる事から、トジテンドパレス自体の警備やデータの管理等はざるそのものであり、パレスを守る警備兵はまともに仕事もしておらず、幹部兼研究者のイジルデは重要なデータをそのまま放置して平気で席を外すような有様である。
そもそも「外部から何者かに侵入される」「データを外部の者に盗まれる」といった事態が発生する事自体を、まともに想定していないのだと思われる。
また行使する力の規模に反して、幹部陣の構成がボスとエンジニア、現場で戦う武闘派、ナビゲーターの鳥ロボット(と追加の幹部が数名)最小限の構成になっているが、これは作劇上の理由では「分かり易さ」に主軸を置いて設定された為だとされている。
資料によっては「トジテンド王朝」とも表記される(例・てれびくん2021年3月号)。
構成員
上層部
ボッコワウス(声:中田譲治) |
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トジテンドを治める恐怖の大王。あらゆる並行世界を我が物にしようと目論む。巨体を有しているが、それは王族の力が宿る「グレイブモノリス」と一体化しているからである。第48カイ!でゼンカイジャーに倒された。 |
ゲゲ(声:鈴木達央→福西勝也) |
ボッコワウスのペットである巨大なキカイ怪鳥。ボッコワウスに溺愛されている。組織内では実質的な参謀格の地位にいる。第48カイ!で癇癪を起こしたボッコワウスに破壊され、断片を取り込まれた。 |
幹部
バラシタラ(声:乃村健次) |
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トジテンドの軍隊長。他の並行世界を蹂躙する「機械バラシ」が好きな凶悪な武闘派。ステイシーの実父でもあるが、親子関係は劣悪。第48カイ!でステイシーザーとツーカイザーに倒された。 |
イジルデ(声:竹田雅則) |
トジテンドの最高技官。キカイノイド兵の改造や新兵器開発に代表される「機械イジリ」を請け負う技術屋。並行世界を閉じ込めるトジルギアを作り出した張本人。バラシタラとは犬猿の仲。第47カイ!でゼンカイオーに倒された。 |
新幹部及び実験兵士
ステイシー / ステイシーザー(演:世古口凌) |
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バラシタラの893人目の妻との息子である、人間とキカイノイドのハーフの青年。イジルデが開発したギアトジンガーとダークセンタイギアを実戦運用する為の実験兵士として選出され、ギアでスーパー戦隊の偽物を作り出し戦わせられる。第48カイ!でトジテンドと決別し、住民たちと再建に尽力してる。 |
ハカイザー(CV:川岡大次郎) |
第29話から登場。イジルデがワルドをガードする為に作り出した機械兵士。元はゼンカイザーのプロトタイプとも言える存在で、正体は介人の父親である五色田功。第40カイ!でついにトジテンドから解放される。 |
キカイノイド兵(戦闘員)
クダック |
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トジテンドの一般戦闘員。強化改造によってクダイターやワルドに変化する。 |
クダイター(CV:石川英郎他) |
クダックを強化改造したトジテンドの上級戦闘員。 |
クダイテスト |
巨大戦力兼巨大化担当の怪獣の様な姿をした、トジテンドの最上級戦闘員。クダイターを更に強化改造した存在であり、暴走したトジルギアのパワーを受けると下記のダイワルドに変化する。 |
ニュークダイテスト |
第31カイ!から登場した、五色田功の知識を基に、より戦闘向きに強化改造を施した新型クダイテスト。クダイテストより上の立場にあるのかは不明。こちらもトジルギアのパワーを受けてより強力なダイワルドへ変化出来るが、量産性が無いのが欠点。 |
怪人
ワルド |
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クダックに並行世界を閉じ込めた「トジルギア」を組み込んで誕生させる怪人。トジルギアに秘められた世界のパワーを悪用して、人間界を制圧する為に送り込まれる。 |
ダイワルド |
クダイテスト及びニュークダイテストが、暴走したワルドのトジルギアのパワーを受け変化する巨大戦闘兵。 |
ロボ
バトルシーザーロボ |
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イジルデが開発したステイシーザー専用暗黒巨大ロボ。 |
バトルシーザーロボ2世 |
第14カイ!で破壊されたバトルシーザーロボを強化新造した2号機。性能が格段に強化されている他、頭部の形状がかなり初代とは異なるのが特徴。 |
バトルシーザーロボ3世 |
第39カイ!で登場したバトルシーザーロボ2世を更に強化新造した3号機。外見は初代と全く同じだが、シールドがステイシールドと同じカラーリングになっている。 |
ゼンカイオーブラックジュラガオーン |
強化されたステイシーザーが召喚可能になったジュラガオーンを模した暗黒巨大ロボ。 |
ハカイジュウオー |
ハカイザーをトジテンド王族の力で巨大強化改造した破壊メカ怪獣。頭部にハカイザー改自身が埋め込まれており、様々な情報を処理しながら破壊衝動の赴くままに破壊を続ける。 |
イジルデストロイヤー4世 |
これまでのバトルシーザーロボシリーズのデータを基に、イジルデが自身の専用機として建造した最終兵器巨大ロボ。イジルデがコックピットに直接コネクトして操縦する。 |
元構成員及び関係者
元宮殿の掃除係。過去に知識欲から自らトジテンドに従軍するも、長い間劣悪な待遇を強いられていた。
立場不相応な情報を知ったとして処刑されそうになった事で逃亡して、叛逆者の一員となる。
リセ |
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バラシタラの元妻で、ステイシーの実母。 |
実態
上述の様に独裁国家としての側面が目立つ一方、ゼンカイジャー達が自分達の目の前でメンバーに変身方法を説明しだすのを「ん?」と首を傾げながらわざわざ待っていたり、クダイテストが偶然ダイキノコワルドになった時には、ゼンカイジャー達と一緒にイジルデが酷く驚いたりと、何処か人間臭くて間抜けな部分も描かれている。美的感覚についても人間と同様であり、侵略作戦の一環であっても支配地域である地球を汚染する作戦には、抵抗を感じる様な側面もある。
また、ゼンカイジャー以外のスーパー戦隊を戦わずして世界諸とも閉じ込めているので、宇宙帝国ザンギャック以上の快挙と、宇宙幕府ジャークマターよりも大規模な征服を成し遂げているのだが、間抜けな描写のせいで「ザンギャックやジャークマター以上の事をやってのけたが、やっている事はボーゾックレベル」等とも評されている。これには上記した実戦経験の乏しさも影響している。
但し、一見すると間抜けな様にも見えるが、世界その物を閉じ込めたギアを使っているだけあって、実際の各ワルド(怪人)の能力や作戦は、人間社会や文明世界を根本から崩壊させる様なとんでもない物が多い上に、中には例年の戦隊所か他のシリーズでもラスボスが持っていても可笑しくない様な能力の怪人も居る。実際に、センタイギアによる多彩な能力を持つゼンカイジャーで無ければ、到底対処し切れない様な怪人も少なくは無く、一見間抜けなビジュアルに反して、実際は凶悪極まりない能力を持った怪人によって、これまた凶悪な作戦が実行されるのも本作のお約束となっている。
上記の通り、幹部陣の構成が極端な程に無駄無く絞られているが、これについては先鋭化した選民思想の過程で、ボッコワウス達王族が自分達の意にそぐわない者達等を容赦無く粛清し、切り捨てて行った結果で完成したものだと考えられる。
当然ボッコワウスに追従して、意にそぐわぬ者を排除して来たと思しきバラシタラとイジルデも、同時に「何か大きな失態をしたら切り捨てられる」と言うプレッシャーを暗に掛けられているらしく、主君のご機嫌取りをしながら、現在の地位にしがみ付いて権力闘争に終始している。
※事実2人とも侵略作戦の進捗状況よりも、ボッコワウスのご機嫌取りの方を最優先していると思わしき節があり、そこがゼンカイジャーの逆転勝ちの遠因になったケースが幾つもある。
この様に下々と判断した者達には身勝手で横暴な一方で、階級が上となる程に周りを気にしなければならない、個々の自由が極端に抑圧・閉鎖された人間関係しか存在しない組織がトジテンドの実態である。当然こんな組織に長く所属していれば、精神面が無意識下から著しく淀むのは必至であり、その鬱憤晴らしが所属する者達が下の戦闘員に至るまで、更に下々扱いされる庶民への嗜虐で成され、そこから更に選民思想へ深く染まると、最低なサイクルも形成されている様子である。
これに加えて、大した苦労も無しに並行世界を封印可能で、そこの住民達を世界諸共使役出来る≒下々の者として扱えるトジルギアの開発により、この歪みと狂気を内包した組織の魔の手は無数の並行世界に波及。数多の世界が封印されてトジテンドの支配下に落ちる事態が発生した。
更に組織の腐敗っぷりは、軍隊の形にすら悪影響を及ぼしており、前述通り只でさえトジルギアに頼った実績に実力が伴っていない組織であるのに、長らくまともな抵抗勢力が現れずに安全なキカイトピアの中でぬくぬくと自分達の権威を一方的に振りかざしてきた事から、キカイノイド兵のモラルも崩壊しており、中には他の世界での任務中にその世界の住民に勝手に暴行を働いたり、勤務中にもかかわらず飲酒をしている者までおり、最早個々の兵士達の制御・統率もまともに行き届いておらず、末端に至るまで完全に腐敗しきっている。
当然ながら、この様な組織である為に特に庶民のキカイノイド達からの評価は最悪で、レトロワルドに「古き良き過去の記憶」を回顧させられた際には、ジュラン達メインメンバーはおろか一般のキカイノイド達、しかも大人ばかりか子供のキカイノイドまでもが「キカイトピアにいた頃に良い思い出など1つも無い」と断言して、レトロワルドの術に掛からなかった程である。
この様に、仮にも嘗てそこに所属していた者達からの評価すら、ここまで一律してボロクソな組織は歴代の戦隊の悪の組織でも中々無く、悪役である以前にそもそも1組織として手遅れなレベルで腐敗し切っている事実が窺える。
そしてこの手遅れ状態の組織が、まがりなりにも今まで内部崩壊を起こさなかったのは、並行世界間ゲートのセキュリティを強化して、別世界からのあらゆる干渉をシャットアウトしているのが大きい。
後述の推測で述べている様に、末端の兵士達はそもそもまともな軍隊としては最早機能しておらず、上層部の圧力が無ければ庶民を弾圧するのを止めて融和の流れに移る者も一定数以上いる可能性が高い上、上層部の方は派閥争いと保身に終始する結果お互いに己のエゴに凝り固まっており、各々が孤立して上から目線で実力行使でしか他者を動かせない、腐り切った貴族主義の外道しか居なくなっている。
結局、力のある反抗勢力が外部からトジテンドに乗り込んで上層部を排除すれば、短時間で組織が独裁体制諸共崩れ去ってしまいかねないと言う前段階へ、物語の序盤で既になってしまっており、トジルギアで他の並行世界を閉じ込める=自国領地への外部からの介入を物理的に遮断すると言う侵略行為はその実、瀕死状態な組織に対する焼け石に水な延命策にもなっていたのだった。
結成以降、ワルドの世界改変を乗り越えながらトジテンドの侵略を何度も阻止したゼンカイジャーらは互いの結束力と力を充分に高めており、トジテンド上層部と互角以上に戦い打ち倒せる可能性を持ち続けているが、現状の彼等では並行世界間ゲートのセキュリティを突破出来ない為に、トジテンド上層部側は本国領地に陣取ってワルドを製造⇒出撃させるというローテーションを崩さず続けられるので、双方とも千日手の膠着状態を約1年にも渡って繰り返し続けていた。
余談
- 名前の由来は恐らく「閉じた」と「END(エンド)」を組み合わせた物と思われる。
- 本作はスーパー戦隊シリーズでもとても珍しく、主要人外メンバーとの「同郷の者同士」の争いになっている。更に、ボッコワウス達の徹底した軍事に偏重・腐敗した独裁政治ぶりから、見方によっては「特権階級VS市民」との様相もあり、ともすれば「革命闘争」にも見える。
- 上記に書かれた通り、女性の幹部や怪人が一切登場していないのも、歴代では非常に珍しい点である(尤も、トジルギアの影響で口調に若干おネエ疑惑があるワルドは出ている訳だが。
- 但し、バカンスワルド回では女性用水着を着用したクダイテストも登場しており、一応はそれが女性型なのかもしれない(ただし、前述の抑圧から一時ながらも解放されて、ハジけただけの男性の可能性も大いにあるが)。
- また、最終回では改心してキカイトピアの一市民として暮らすクダックの中で、女性型と思われる個体が確認できる。
- 上述の通りトジテンド王朝のある地域は人間界=ゼンカイトピアの日本に位置する土地と考えられるが、作中で度々東京スカイツリーとトジテンドパレスが対比されるような描写があることから、具体的には日本の東京に対応する場所であると考えられる。
- 『完全読本』によると、ボッコワウス以外の幹部格や戦闘員、初期のワルドにはゼンカイジャーのキカイノイドメンバー同様過去の戦隊のキャラクターを裏モチーフとして取り入られている。
推測
- 前述した様な見えざる抑圧が蔓延するトジテンドにおいて、手間と時間が掛かる武力を用いた侵略は、本国滞在時よりも心が解放される、無意識の娯楽代わりになっている風にも見える。
- つまり、侵略現場での構成員達の妙な人間臭さや間抜けさの正体は、自由を見失い選民思想にすがる以外を知らない彼等の心の奥底に沈んでいた人間性が、トジテンド以外の世界との接触によって滲み出た物とも考えられるのである。
- 上記した通り、本来なら単騎の世界侵略さえも充分可能な程に凶悪なワルドの能力を、より効率良く使う方法を考えないのも、それで作戦が失敗すれば侵略行動(=お楽しみの時間)が延長される可能性を、無意識下の考えている可能性がある。
- 例えばバラシタラの作るワルドがイロモノ揃いなのは、彼がワルド作成から始まって、侵略活動の内容や失敗して倒されるまでの過程を楽しんでいる面があると推測される。その一例として第8カイ!にて息子のステイシーの行動よりも、送り込んだドアワルドが展開する作戦で発生した騒乱の観察を優先している(これはバラシタラがステイシーの事を、ナチュラルに重視していないのもあったが)。
- 第27カイ!では、五色田美都子1人を探す目的で解放された各並行世界に出動した捜索部隊が、程無くして「捜索活動」の名目で各並行世界に横暴を働き荒らし回る事態が発生。
- これを憂慮したゼンカイジャーは探している人物の偽物を立て、その人物を保護して人間界に連れ帰った芝居を行い、第2次捜索部隊の出動を予防する策を打つ羽目になっている。
- 第24カイ!で発生した事態はこの事実に深く切り込んだ証左であり、侵略を完遂しての安堵からバカンスを満喫するバカンスワルドの姿を見た他のキカイノイド兵達が、一斉に軍務を放り出して庶民キカイノイドや人間達と共に遊び惚け、それを知って物凄い剣幕で怒鳴るバラシタラの言葉すら呑気に流してしまう展開から、トジテンドの暴政はあくまで「自分達に従わない者達を力づくで虐げる事で、維持されて来ただけの代物である事実」を暗に物語っている。
- 詰まる所、彼等が掲げている様な腐敗しきった選民思想は、そもそも虐げる対象があるから成立するのであって、庶民キカイノイドがトジテンドに根絶されずに存在を許されていたのは、奴隷や労働力として利用する為に加えて、そうした裏の事情もあるからだと思われる。しかし、それ故に侵略が完遂されて虐げる対象が居なくなれば、今度は味方内で力がある者が、ほんの僅かでも気に入らない者を新たな弾圧対象にすると言う、負の連鎖が発生するのが想像に難く無く、先程の事態に癇癪を起こしたバラシタラが「下っ端が自分達幹部より先にバカンスを楽しんでいるのが気に食わない」との言い掛かりでバカンスワルドを一方的に処刑して、自分で自分が指示した作戦を破綻させた顛末は、その未来を端的に示している。
- しかし、同時に末端のキカイノイド兵達は、上記の通りバラシタラが来るまでは庶民のキカイノイド・人間問わず対等にバカンスを楽しんでいた。
- これは即ち、彼等はあくまでも上の者達の選民思想が生み出した抑圧的な環境のせいで横暴な軍隊となっているだけで、抑圧される必要が無くなれば特に下の者達を虐げる必要はなくなる訳である。事実組織壊滅後には改心してステイシー側に下る下級兵士が続出した。
- トジテンドの敗因に関しては、ロクに準備もしていない状態で、万全な状態であるゼンカイジャーが奇襲して来た事による最終決戦と言う、戦隊側には一切のハンデが無く、むしろ悪役側が不利というスーパー戦隊シリーズ全体で見てもかなり珍しい最終決戦故だと言える。
- 一方でトジテンド側が最初から不利だった要因は、ここまで記述してきた通り全てトジテンドという組織の体制の問題である。また戦いそのものが黒幕によって仕組まれた物だと考えると、戦力格差の頃合いを見計らった上での最終決戦という要因も大きく、様々な理由でトジテンドが負けた事は納得がいく展開だと言える。
関連タグ
王朝 機械生命体 独裁国家 軍事組織 貴族 腐敗 権力闘争 閉じる
スーパー戦隊の敵陣営 |
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マシン帝国バラノイア:シリーズ19作目に登場するロボットの国家。表向きは愛等の理解の感情を否定・唾棄しているも、それは独裁国家としての規律を守る方便の意味が強く、支配者一家は情愛に溢れた家族の絆で繋がっている等、あらゆる意味でトジテンドとは真逆の組織である。最終的に組織は壊滅するも、支配者一家の絆が残した命は戦隊側も消せず、後見人を立てつつ助命する結果になった。加えてキカイノイドは肉体が無機物で誕生した生物なのに対して、彼等はあくまでロボット=人工物なので似て非なる存在である。 こちらには女性幹部が2名在籍している。
蛮機族ガイアーク:シリーズ32作目に登場する、並行世界から襲来した機械生命体群。こちらもある程度の階級がある社会の様だが、努力によって最下層の身分から幹部の側近まで抜擢される可能性があったり、作戦失敗した配下へのフォローを真剣に考える上司達が居たり、その結果幹部同士や幹部と部下達の距離感が近く、互いに固い絆で結ばれていたりと、こちらもトジテンドとは真逆で非常に風通しが良い組織であり、未だにスーパー戦隊シリーズの悪の組織の中でも「ぶっちぎりのホワイト組織」として名が挙がる程である。
また、トジテンド構成員の多くが「破壊」がらみのネーミングであるのに対し、こちらは大半が「汚染」絡みの物。因みにトジテンドは侵略する世界が汚染されるのを嫌っている。
宇宙暴走族ボーゾック:ゼンカイジャーと同じくシリーズの節目となった戦隊の敵役で、歴代でもぶっちぎりのバカ連中なのが、侵略者としての頭の悪さが目立つトジテンドと比較されネタになっている。しかしこちらは「社会からのはみ出し者が徒党を組み、後先考えない刹那的な快楽目的で悪事を働いていた」とそもそもの基盤が真逆であり、構成員達も悪事の裏で悲喜こもごもな人間関係を築いていて、トジテンドの様な閉鎖的では無い良い意味での人間臭さを醸し出している。
デスガリアン:こちらもまたシリーズの節目となった戦隊の相手を務めて、脚本家繋がりでもある組織。こちらも首領と幹部達の屈折した内面に構成員達が毒されており、如何に生命を面白く虐殺するかを行動指針にした最悪の外道集団と化していた。因みに幹部メンバーの構成も似ている。
地底帝国チューブ:独裁国家の戦隊敵組織繫がり。クーデターにより権力を掌握しても飽く無き侵略・征服欲に滾る首領と、それへ加担・貢献した事での報酬で自らの目的を叶えようとする者達を中心とする幹部で特権階級が構成されており、『報酬を餌に首領が幹部を牽制してコントロールする』手段が通用する為、基本反抗的な者も従わせられる事から人事面は意外と多彩かつ柔軟。
こちらも最後に特権階級が戦隊との全面抗争で滅び、代わりに穏健派が統治者となった事で平和を取り戻した。
宇宙幕府ジャークマター:同じく独裁国家の戦隊敵組織繋がり。支配領地が“宇宙のほぼ全て”である都合、それをカバーする為の戦力やその管理を行う階級の人員規模こそ膨大であるが、組織中枢部は蘇生兵士の側面を持つ武力担当班に戦力開発を一手に担って来たエンジニア、甘言を吹き込まれて行動する組織トップと、トジテンド首脳部とほぼ同じ構成になっている。
また、首領が最終的に得た力はトジルギアとワルドの性質を併せ持った物で、ここからもトジルギアとワルドが歴代の敵戦力と比べても、頭1つ抜けた存在である事実を証明している。
組織としての体制は、トジテンドとは違って功績さえ上げれば戦闘員であっても幹部クラスへの昇格が充分に可能な体制である為、中間の上司と末端の部下達の距離感も意外に近く、所属している構成員達の士気は高いが、一方で首領を上回る力を持とうとすると途端に冷遇、或いは敵対者との潰し合いを強制される立場に落とされるので、トップの最終目的を除いても極めてブラックな実態を持つ。
そしてこちらも、トップに甘言を吹き込んでいた者の都合で組織システムを自壊させられ、あっと言う間に組織が崩壊する末路を辿っている。
宇宙帝国ザンギャック:『海賊戦隊ゴーカイジャー』の敵組織。「皇帝のバカ息子」ワルズ・ギルの存在など、トジテンド王朝とは別方向に問題のあった帝国であった。VSシリーズで首領の血族(こちらは皇帝の甥)が残党として現れる所も同じ。
ウォースター、幽魔獣、マトリンティス:『天装戦隊ゴセイジャー』に登場した、最終回を待たずして壊滅したスーパー戦隊の敵組織繋がり。ただし、こちらはある人物が自身の野望のために姿を変え各組織を渡り歩いていたため、各組織とも生存者がいる形となっている。また、マトリンティスは機械国家繋がりだが、首魁は元々は人間である。
バルドー帝国:魔族国家。バラバラに散った並行世界を強引に1つの世界にした。
バリオース6騎士:同じく並行世界を壊し1つにせんとする。
ボアザン星人:こちらも貴族階級が庶民達を苦しめていた独裁国家。
管理国家ラビリンス:同じく機械の独裁者が国民を苦しめていた国家繋がり。
機械化帝国:地球を侵略せんとした機械種族の組織。
王朝の末路とその後(最終章のネタバレ注意!)
第45カイ!にて、“とある存在”の手引きによって並行世界間ゲートのセキュリティが解除され、それまでの膠着状態からキカイトピアへゼンカイジャーが乗り込んでの決戦が唐突に幕を開けた。
上記の考察通り、上層部の数名は戦隊達の全力奮闘を前に呆気なく討滅され、トジテンドはその選民思想諸共崩壊し滅亡。
王であるボッコワウスが倒された事で、キカイトピアを長らく覆っていた雷雲は晴れ、主の居なくなったパレスは青天の下に晒された。
しかしその実トジテンドは、物語開始の時点でかの存在の手の上で踊らされていたに過ぎず、実態としてはどちらの陣営も一人の掌で踊らされているに過ぎなかった。
詳細は「神」の項目を参照とするが、上層部はその愚かさでより上位の存在の怒りと興味を買い、飼い殺しにされた事にも最後まで気付かなかったという、横暴な巨悪から滑稽な道化連中になり下がってしまったとも言えるだろう。
ただし、誤解の無いように言うがトジテンドが現在の独裁体制になったのも、他の世界への侵略を開始したのも、トジルギアを開発したのもあくまで彼等自身が自分で選択した事であり、そこに関しては「神」の介入は一切無い。むしろ過剰な貴族主義からそういった分不相応な行動を起こした事で、「神」の怒りと興味を買ってしまい介入されたという流れなので、彼等の滅亡は最初から最後まで自業自得でしかない。
最終的に介人に思惑を覆された上で、介人という人間を認めて自身の負けを受け入れ、互いに和解に至った「神」はトジルギア装置の場所を教え、それを介人が破壊した事で改めて全並行世界は開放。これを持ってトジテンドとその負の遺産は完全に消滅した。
元より上層部の者達が、自分達だけで全ての権力を独占しようとした結果、完全に全ての権力と運営の要が上層部三人に一極集中し過ぎていた体制であり、加えて彼等は権力の独占の為に血族や側近といった後継になりうる人材も徹底して排していたので、彼等が全滅した後はその解体も極めてスムーズであった。
最終的に生き残った構成員達は、改心した者達は市民として労働や勉学に勤しみながら生活し、それ以外の者達(クダイターなど一定の地位にいた者達)は戦犯として復活した警察機構によって逮捕・投獄された。
最も上層部に近い場所へ居たステイシーも、新しい王に祭り上げられるのを断り、他の人々と協力して新しい世界を作る事を宣言、王朝の消え去ったキカイトピアは新しく明るい歴史を刻み始めるのだった。
ゼンキラセンパイにて
そして後日談の『機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメキジャーVSセンパイジャー』では、ボッコワウスの隠し子を自称するポットデウスが登場する。
キツネトピアの科学者・Dr.イオカル協力の元、パワーのみ再現した新型トジルギアを用いてカルビワルドを生み出し、ゼンカイジャーへ襲いかかる事になる。