「ね〜え、ボッコワウス?……このしぶとい世界はトジルギアにせずにストレートに侵略したらどう?領地も増やせると思うんだ」
「君達はこれからも、自分のやりたい事を試してごらんよ?また僕が機嫌を取ってあげるからさぁ」
CV:鈴木達央(~第21カイ!まで)→福西勝也(第25カイ!以降)
データ
身長/345cm
体重/518kg
世界/キカイトピア
概要
トジテンドの支配者たる恐怖の大王・ボッコワウスの側近たる巨大キカイ怪鳥。
立場としては彼のペットにあたり、ペット好きのボッコワウスのお気に入りである。普段はグレイブモノリスに一体化したボッコワウスの左肩に相当する、巨大な菱形の穴に鎮座している。
紫に近い色相をした機械生命体の鳥であり、恐らくキカイトピアに生息する動物の一種だと思われる(キカイトピアは機械生命体しか生物が存在しない世界である)。
大まかなシルエットはセッちゃんに似ているが、両者に繋がりは全くない(作中でも「ゲゲとセッちゃんが似ている」とするような台詞や描写は一切ない)。
下記する通り、デザインそのものも大きさもセッちゃんとは全く異なっており、制作側としても「ゲゲとセッちゃんについては、互いにデザインが被らないように色々と試行錯誤を重ねた」と答えている。
普段はボッコワウスが圧倒的に巨大なので目立たないものの、その大きさは上記の通り3.5m近い巨体であり、ステイシー等と向き合って会話する場面を見れば、その大きさが分かり易い。
この手のマスコット的な敵幹部にしては非常に珍しいタイプである。
鳥型の点はセッちゃんと同じだが、頭部の形状は鳥よりはプテラノドン等の翼竜に似ている為に印象は全く異なり、加えて背中にはもう一対の羽があるのが確認できる(羽ばたく際には使用はされない)。またセッちゃんがロボットなのに対して、こちらは前述通り機械生命体なので本質は全く異なる。
人物像
大王の威を借る胡乱な怪鳥
彼のポジションとしては側近やペットよりも、最早孫等の肉親の様な存在に近く、幹部内では唯一ボッコワウスからの無条件の寵愛を受けており、作中では唯一ボッコワウスに対してタメ口かつ呼び捨てで接しているが、それでも一切怒られないばかりか、寧ろボッコワウスは怒っている最中でも、ゲゲに話しかけられると一転してご機嫌になる程に溺愛している。
本来の性格はクールで、ドスの効いた低く不気味な声をしており、一人称は「俺」。
イジルデに代表される幹部達を総じて見下しており、ボッコワウス同様に幹部達の前では威圧的に接している。その為に、彼等からは疎ましい存在と思われており、内心では「所詮はボッコワウスのペット」として見下されているのだが、ゲゲの方は自分の立場を理解してもあり、そんな彼等の態度はどこ吹く風で、虎の威を借る狐の如くあくまで高圧的に接するので、彼等からは無茶苦茶嫌われている。
一方で脈絡なく態度が変わり、一人称が「僕」に変わると共に非常にねっとりとした、不気味な声と口調で喋るようになる。主にボッコワウスの前でこのキャラに代わる場面が多く猫撫で声で甘えながら、彼にさり気無く様々な事案を吹き込んで作戦を誘導する場面もあり、その甘い声と相まってボッコワウスに悪事を吹き込む姿は、まるで家族に欲しい物をねだる子供か、相手の耳元で甘言を吹き込む悪魔の様でもある。こうした事情から、トジテンドにおける実質的な参謀格にあたる存在でもある模様(他の面子が様々な理由から「指揮官」としてはアレな人材ばかりなので、必然的にそうなる)。
ちなみに公式サイトによると、ゲゲは『ボッコワウスのペット』の立場だが、ゲゲの方は寧ろボッコワウスをペットの様な物と認識しているらしい。この辺りからもゲゲの本性が窺える(もっとも後述のゲゲの最期を見るに、前述の主従逆転めいた認識はこちらの方かも知れないが)。
初期はボッコワウスの威光で、幹部達に高圧的な物言いをするだけだったが、戦いが進むにつれて自身もトジルギアでワルドを生み出す様になる。そのチョイスも「レトロ」や「磁石」等、自身に甘いボッコワウスの色眼鏡を抜きにしても、イジルデの作る純粋に殺傷力の高いワルドと、バラシタラの作る精神攻撃等搦め手に長けたワルドの中間、或いはその複合の様な極めて戦略的なものであり、実行された作戦も何れも、不測の事態さえなければゼンカイジャーが全滅していたのは確定的な物ばかりである(特に磁石に関してはゾックスがステイシーを脅迫して、無理矢理協力させていなければ確実に詰んでいた)。
イジルデの様な詰めの甘さも無く、バラシタラの様に感情や権力争いに引きずられて、自分で作戦を破綻させる指揮官としての致命的な欠点も無く、実際に参謀と呼ぶに相応しい高い能力があると評価出来る。この点に関しては、戦略眼で劣るボッコワウスのそれを彼が補っているのだろう。
しかしその一方で、トジテンド内では『人間とのハーフ』の身の上もあって被差別対象として冷遇されているステイシーを、何故かトジテンド側のキャラの中では唯一気に掛けており、ステイシーが行っている背信行為を知っていながら黙認したり、重傷を負った彼をわざわざトジテンドパレスから出向して助け出したり、陰でこっそりと情報を与えてアドバイスをしたりまでしている。
加えてトジテンド内に潜入してきた介人を助ける等、明らかにトジテンドに対する背信行動までしている。まさに本作のトリックスターとして物語を掻き回しており、その本心は全く読めない。
その様子は、ステイシーは勿論だがバラシタラも不信感を抱くようになり、トジテンド側に混乱を齎している。
ところが、ゲゲ自身も己の言動に覚えがないかのような発言をしているが果たして……。
各話の動向
第1カイ!
「しかも、その最後の世界にキカイトピアの一部を持って行かれたらしいな?」
トジテンドパレスの謁見の間にてイジルデから近況報告を受けるが、一向に最後の並行世界となった人間界をトジルギアに閉じ込められない上に、何故かキカイトピアの一部と融合してしまった事態を責め立てる。
すると、機嫌を損ねたボッコワウスに甘い声で「人間界はトジルギアにせずに領地を増やす為に武力で制圧すべき」と吹き込み、それを直ぐに了承したボッコワウスによってトジテンドの人間界制圧が開始される。つまり本作の戦いはゲゲが甘い声で行った提案から始まったのである。
第2カイ!
「“スーパー戦隊”……トジルギアに閉じ込めた他の並行世界にも居た、世界を守るヒーローだな」
ゼンカイジャーと交戦したバラシタラからの報告を聞き、ゼンカイジャーが何者か訝しむボッコワウスの横で、彼らがこれまでトジルギアに閉じ込めて来た他の並行世界にも存在した、スーパー戦隊と呼ばれる世界を守るヒーローである事実に気付く。
第3カイ!
初めてトジルギアを実戦使用、コオリワルドのコオリパワーを用いた人間界制圧から一時的に帰還し、「あの様な物が無くとも、小生の力があれば十分」と豪語するバラシタラに対して、「じっくり見極めるんだな。ゲッゲゲ……」と小馬鹿にした様に上から目線で宣う。そんな不遜な態度にバラシタラから「ペットの分際で……!」と苛立たしげに呟かれた。
第9カイ!
イジルデがギアトジンガーの実験体となったバラシタラの息子であるステイシー/ステイシーザーの前に現れたゾックス・ゴールドツイカー/ツーカイザーについて、嘗て武力侵攻を行った海賊の世界・カイゾクトピアにて、トジテンドパレスに潜入してイジルデが保管していたデータを強奪する事件を引き起こしたゴールドツイカー一家だと確信、それについて言及する。
第10カイ!
後日、双子の弟達を元に戻す為に人間界に留まるゴールドツイカー一家に癇癪を起こすボッコワウスに、ゲゲは「落ち着きなよボッコワウス。そう簡単には行かないものさ。イジルデもまた何か考えてるみたいだし、少し様子を見よう」とボッコワウスを宥めてその機嫌も持ち直した。
第15カイ!
「僕も試して見たかったんだ。トジルギアとゼンカイジャーの力をさ」
ゼンカイジャーの実力とトジルギアも力を再度測るべく、無断でトジルギアを使ってレトロワルドを誕生。人間界を昔懐かしいレトロの世界へと変え、順応した頃を見計らって人々を昔の楽しい過去に浸れさせて思考を停止、世界をそのまま滅ぼそうと目論む。
案の定、ボッコワウスは例によって咎めず、終始ゲゲの作戦をベタ褒めしていた。
作戦は実際、ゲゲの指揮下でバラシタラやイジルデが余計な介入をせず、レトロワルドに作戦の全権を任せたお陰でゼンカイジャーを含めた、人間やキカイノイド達をノスタルジックな思いに浸れさせる状況に陥れるのに成功。
そのまま人間界を滅ぼす手前ま出来たのだが、トジテンドの圧政・迫害からマトモな生活を送れなかったり、辛い境遇に遭って来た過去等、思い出したくも無い嫌な思い出だけが浮かんだジュラン達4人を初めとした、キカイノイド達には洗脳が効かず、レトロワルドを撃破され作戦は破綻してしまった。
第16カイ!
ボッコワウス「どうだ、ワシの可愛いゲゲ? トジルギアを使ってみて楽しかったか? ん~?」
「面白かったよ、ボッコワウス。鳥の僕にも使えるなんて、とても良い発明だねぇ」
イジルデやバラシタラと同じ様に作戦に失敗したにもかかわらず、当然ながら無罪放免。更に「ねえ~ボッコワウス~。もう一回、別のトジルギアを試してみても良いかな~?」と、再び甘い声でトジルギアの使用を懇願して、ボッコワウスも勿論二つ返事で快諾する始末だった。
イジルデが選んだトジルギアからジシャクワルドを誕生、ジシャクパワーで民間人を人間磁石へと変え、金属をくっ付かせて行動を制限しようとする。
侵略作戦はゼンカイジャーの動きを封じ、更に磁力が強くなり易いジュラン達キカイノイド達が次々とダウン、ゼンカイジャーをスクラップにする後一歩の所まで行ったのだが、ゾックスに弱みを握られたステイシーが「ゼンカイジャーが能力を破った」と嘘を吐いて再出撃を命じ、ジシャクワルドがそれに従ってゼンカイジャーとツーカイザーによって倒されてしまう。
イジルデ「ゲゲ、お前の作戦も失敗した様だな」
バラシタラ「ペットの分際で、余り偉そうな口を利かん事である」
作戦が失敗した事で、ここぞとばかりにバラシタラとイジルデに揃って嫌味を言われるも、余裕な態度を一切崩さず逆に「でも僕が(トジルギアの使用に)手を出した事で、ボッコワウスの機嫌が直ったと思わない?」とアッサリと論破した挙句、更に記事冒頭2番目の台詞で2人に対して更なるマウントを取って、2人を纏めて黙らせる。
加えてステイシーが邪魔をした事実にも、ゲゲは既に気付いており「“今は”、黙っておいてあげるよ」と牽制する。
そして、何も反論出来ず黙るしかない幹部2人とステイシーの目の前で「トジテンドが回っているのは自分のおかげ」と勝ち誇るかの様に、大きく高笑いしながら王宮を飛び回るのだった。
第17カイ!
バラシタラが新たに生み出したトウメイワルドが展開する侵略作戦に、ボッコワウスがイライラして気を損ねそうになった所で、ゲゲが機嫌を取って持ち直させている。
「今度のギアも面白そうだねぇ。折角の侵略だもん、楽しまなくちゃ」
ボッコワウス「おぉ、そうだなゲゲ!。ワシもお前を見習わんと……と言う事だ、バラシタラ。楽しみにしているぞ」
イジルデ「本当にボッコワウス様の機嫌が持ち直したな」
幹部陣が自由に活動出来る場をゲゲが維持している状況に、バラシタラは「気に食わん鳥だが、こうなればこちらも上手い事利用するまでである」とほくそ笑んでいた。
第18カイ!
ゲゲが作戦指揮を執って機嫌が直ったボッコワウスから水を向けられたが、レンアイワルドのレンアイパワーの効果が自分の予想を超えていたのか、レンアイワルドが引き起こしたカオス展開にドン引き。
何時もの猫なで声では無く素で「あっ……そ、そうかもな……」と困惑していた
……こんな風に当時の視聴者からは認識されていたが、実態は全く違った(詳しくは後述)。
第23カイ!
イジルデから新たにバトルシーザーロボ2世を授けられ、今度こそ介人/ゼンカイザーの決着を付けようとするも、仲間に助けられた介人に大敗したステイシーをわざわざ人間界に赴いて捜索。瀕死の重傷を負って何処かの川のほとりで倒れていたステイシーを回収して、そのままトジテンドパレスに連れ帰ると、イジルデにステイシーを治療して助ける様に要請する。
ボッコワウスの命令かとイジルデに問われるも、笑いながらその場を去って行き、そのまま「ボッコワウスの命令」だと勘違いしたイジルデは渋々ながらステイシーの治療を始めた。
第30カイ!
新たに製作した実験兵士「ハカイザー」を伴い、ボッコワウスに謁見したイジルデが、ハカイザーについて「小生が1から作り上げた機械の兵士」と答えたが、ゲゲは「……1からねぇ?」と怪しんでいた(そしてゲゲの読み通りイジルデのそれは虚言だった)。
第32カイ!
バラシタラが新たに送り込んだサカサマワルドが展開する作戦と共に、トジテンドパレスに何者かが侵入したとの報告をボッコワウスと共にバラシタラから受けるが、その能力の影響でステイシーの身体と入れ替わった介人が謁見の間に現れた際には、目の前の彼こそが件の侵入者であると瞬時に見破って厳しく追及する。
その後、並行世界間ゲートを探して逃走するステイシー(in介人)の前に突然現れるや、今度は何故か「自分の現れた奥にゲートが有る」と教えて、笑いながら去って行った。
この態度の変化は介人も不信に思い、トジテンドから帰還後には元トジテンドの構成員だったブルーンに「あのゲゲって鳥は双子だったりしない?」と尋ねて、ブルーンからも困惑されていた。
第38~第39カイ!
第38カイ!終了の間際、何時も通りボッコワウスの肩に留まって、彼とイジルデのやり取りを聞いていた。
その後の第39カイ!では「ハカイザーが姿を見せない」事態に戸惑うステイシーと、イジルデが何かボッコワウス自身の作戦を直々に任せられた事態を気にするバラシタラの前に、ボッコワウスと共に現れて「余計な詮索をするな」「お前達は何時も通り働いていれば良い」等と高圧的に命令し、それ以上は応じなかった。
しかし、その後イジルデのラボに向かおうとするステイシーの前に現れるや否や「(ハカイザーは)格納庫に居るよ」「これからトジテンドでどうなりたいか、よ〜く考えてからにしなよ?」と、先程とは正反対にハカイザーの動向を教えて飛び去った。
これにはステイシー自身は勿論、イジルデがボッコワウス肝煎りの作戦任せられたのが気に入らず、影から話を聞いていたバラシタラも「あの鳥、先程とは真逆の事を……」と不審に思っていた。
その言い回しは「知ってしまった以上、後戻りは赦されない」空気を醸し出しており、その様は正しく悪魔との取り引きの様であった。
第40カイ!
物語前半はボッコワウスと共に、ハカイジュウオーが世界を蹂躙して行く様を面白そうに観戦していた。
しかし、物語後半でハカイジュウオーが破壊された上、更にハカイザー=五色田功まで奪還される事態に至り、怒りに震えるボッコワウスを横目にゲゲは「“ここ”もそろそろ潮時かな?」と不気味に笑いながら漏らすのだった。
第41カイ!
前回の件の怒りがまだ冷めず、ひたすらトジテンドパレス全体を揺るがす程の床ドンをしているボッコワウスに代わって、謁見の間でバラシタラから「メンワルドの作戦によって人間達を対立させられた」報告を受ける。ボッコワウスの怒りがまだ収まらない事態を危惧するバラシタラに対して「苦情なら、ハカイジュウオーを敗北させたイジルデに言うんだな」「まあ、奴には既に責任を取らせているが……」と告げる。
奇怪な怪鳥 怪奇な展開!?(以下ネタバレ)
第42カイ!
前回の話でボッコワウスの粛清を受け、反逆者として投獄されたステイシーの前に現れ、世間話でもするかの様な軽い調子で話し掛ける。それに対してステイシーからは「笑いに来たのか?」自嘲気味に返されるが、その直後にゲゲの目がステイシーと同期するかの様に輝く。
次の瞬間、ボロボロだったステイシーが立ち上がり、「うん、この体も悪くないねぇ」と甘い声でのゲゲそのものの口調で呟くのだった。
第43カイ!
前回のラストでステイシーの身体を乗っ取ったゲゲだが、何故かゲゲ本体の方は引き続きトジテンドパレスにて何食わぬ顔で、ボッコワウスの許で活動している(誰が言ったか「すっとぼゲゲ」)。
幹部陣やムカイカゼワルドから「ステイシーが脱走し、作戦を妨害した」の報告を聞き、激怒するボッコワウスに対し「あの状態から1人で脱獄出来るとは思えん。誰か手引きをした者が居るんじゃないか」と、わざわざ吹き込んでボッコワウスを更に怒らせ、トジテンド内での内部分裂や互いの不信を煽っており、トジテンド側に大きな混乱を齎し続けている。
しかし、第39カイ!の件でゲゲとステイシーのやり取りを目撃して以降、ゲゲに対して不信感を抱いていたバラシタラは、内通者の存在を示唆されるや、1人ゲゲに対して疑いの目を向けていた。
ゲゲに身体を乗っ取られたステイシーの動向はゲゲイシーを参照。
第44カイ!
自身が操っているステイシーを使って独自の動向を続けている中、トジテンドパレスにて人間界侵略を開始してからずっと平行線な状況が続き、遂に怒るのも億劫になって来たボッコワウスと対話。
ボッコワウス「はぁ〜あ……。征服は進まん、反逆する者まで現れる……。怒りを通り越して萎えてしまうわ……」
「確かにな……」
ボッコワウス「お前も、最近は甘えてくれんし……」
とボッコワウスが以前よりもゲゲが甘えなくなり、それを渇望しているのを聞いたゲゲは「ゲ……そうか?」と、まるで覚えが無いかの様な返しをする。
だが次の瞬間、ゲゲの目がまるでステイシーに乗り移った時の様に輝く。
そして同時に甘い言葉で呟き、ボッコワウスにおねだりする。
「ねぇ、ボッコワウス。じゃあ、甘えても良いかなぁ?」
ボッコワウス「おっ? おお……!何だ? 何だ?」
「えっとねえ……」
ボッコワウス「何でも言ってみろ?」
「僕、使ってみたいトジルギアがあるんだぁ」
こうして前回で「ゴールドツイカー一家がトジルギアを探している」事情を改めて利用せんと目論んでいたゲゲは、早速この状況を活用する。
案の定、問題無くボッコワウスから承諾を得たゲゲは、ゴールドツイカー一家が兄弟の呪いを解くのに探し求めるSDトピアを閉じ込めたSDトジルギアを確保、SDワルドを生み出して人間界へと送り込んだ。
第45カイ!
トジテンドパレス内の場面で、秘かに並行世界間ゲートの設定を弄っている様子が確認され、それを陰から目撃していたバラシタラは、改めて「裏切り者はゲゲである」疑いを強くする。
そのゲートの設定変更によってゲートのセキリュティが解除され、ゲートの使用権を得たゲゲイシーは、ゼンカイジャーの世界側にいるキカイノイドを次々とキカイトピアに送り返す謎の暗躍を始めた上、この時点でゼンカイジャー側がいつでもトジテンドパレスに乗り込める土壌が整ってしまった。
……だがしかし、この一連の策略の実態は、ゲゲ自身の本意では無かった。
第46カイ!
前回のエピソードで、イジルデが送り出したダイオミクジワルドが突然オミクジパワーを失う謎の敗退をし、その件について謁見の間にてイジルデから、オミクジパワーの力の大元であるオミクジトピア自体が消滅したとの報告を受ける。
これにはボッコワウスも混乱してイジルデを質問攻めにするが、そこで遂にゲゲへの不審と疑いにほぼ確信を抱いたバラシタラから「ゲゲが何か知っているのではないか?」と切り込まれるも、ゲゲの方は「俺が……?」と、またしても何も覚えがないかのような戸惑った反応をする。
更にバラシタラは追及しようとするも、その前にボッコワウスが激怒して「その言い方、ワシの可愛いゲゲが何かやったとでも言うのか!?」とバラシタラを威圧して無理矢理黙らせ、この話題は曖昧なまま流れてしまう。すると再びゲゲの目が赤く輝き、ゲゲは先程送り込んだニンジンワルドに続き、またワルドを作りたいとねだる。これを当然ながら2つ返事で了承したボッコワウスの許可の下で、ゲゲは続いてサファイアワルド、コウモリワルドを生み出して出撃させた。
※以下ネタバレ注意
そしてこのカイ!にて、ゼンカイジャー側と視聴者には遂に驚くべき真相が明かされる。
ステイシー同様にゲゲもまた、乗り移られて何も知らない内に操られていたに過ぎず、彼等を操っていたのは実は、キカイトピアを含めた並行世界の創造主たる神だったのだ。
つまり、これまでの高圧的な姿とボッコワウスに甘える姿の2つの顔を持っているかに思われていたが、実態は前者がゲゲ本来の人格・後者は表層化した神の人格の二重人格(に近似した状態)だったのだ。
そしてステイシーの様子から、神に乗り移られた者はその間の記憶が無い事実が判明し、ボッコワウスに甘えていた時の事を覚えていないのはそのせいであるとも判明した。ステイシーにせよゲゲにせよ、記憶はその後神の都合の良い形で補完されて違和感は消されるのだが、神が表層化していた期間が長ければ長い程、記憶の空白は大きくなる模様。
つまりレンアイワルド回で、ボッコワウスに褒められた時に困惑していたのは、ゲゲ本人の記憶に褒められる心当たりが本当に無かったせいである(実際に、この直前までゲゲは実に3話にも渡って、肉体が神の人格の方に乗っ取られており、その後の覚醒だったので記憶の空白が大きくなったと思われる)。
同時にサカサマワルド回での態度の豹変も、最初にステイシー(in介人)の正体を見抜いて追及したのは素のゲゲであり、その後登場して介人を逃がしたのは神の人格の方のゲゲである。第39カイ!を初めとした様々な言動の矛盾も、素のゲゲ自身は自分の中の神の存在や思惑や行動等を、本当に何も知らずに純粋にボッコワウスの側近として行動していたからである。
前述したトジテンド内の内通者を疑う発言も、何も知らないゲゲとしては当然の考えであり、それによって齎された不信と混乱も、ゲゲ自身もむしろ不信と混乱を持たされた当事者側だったのである。
作中最大のトリックスターとして、多くのキャラを翻弄してきたゲゲ自身がその実、最も翻弄・利用され続けてきた作中最大のピエロなのが実態だった。
ちなみにゲゲ自身については前述通り、クールで高圧的な性格で神のようにボッコワウスに露骨に甘える事こそないものの、作戦失敗に怒り狂う彼を宥めたり、オイル圧の高さを気遣ったりするなど、神と違って本心からボッコワウスを慕っている事が随所から窺える。このような高い忠誠心もあって彼にはペットであると同時に参謀格としても重宝されていた模様。サカサマワルド回でステイシー(in介人)の正体を瞬時に見破った様からも分かる通り、動物である故か洞察力や勘等も非常に鋭い。
神がゲゲに取り憑いたのも、ゲゲがいる限りボッコワウス等の他の者に取り憑いたとしても正体を見抜かれる可能性が高く、危険分子を封じつつゲゲの立場と頭脳を手に入れる為だったと思われる。
当然、そんな事情を知る術もないゲゲは前述通りまたもや神に体を操られ、彼の予言を実現するべく再びボッコワウスにトジルギアの使用をねだる為に、その体は利用されるのだった……。
体を奪われ、周囲を惑わし続けた怪鳥の最期(第48カイ!)
「そうはさせん! ボッコワウスは、俺が守る!」
自身から抜けた神の手引きによって、遂にトジテントパレスまで乗り込んできたゼンカイジャーに対し、ゲゲもゲゲなりの忠誠心でマジーヌを妨害する等、真剣にボッコワウスを援護。
そこでシンケンジャーギアのモヂカラパワーによって、巨大化したセッちゃんと互角の戦いを繰り広げる。
しかし、苦戦するゼンカイジャーを見て「もう少し助けが必要かな」と判断した神に再び体を奪われたゲゲは、ボッコワウスの前で彼の弱点を暴露する明確な裏切りを演じさせられてしまう。
それにショックを受け、思わず癇癪を起こしたボッコワウスに初めて手を挙げられるが、その一撃で背後の歯車に巻き込まれ呆気無く爆発四散。我に帰った主の許には飛んできた左翼の残骸しか残らなかった。
自分で葬った事実を棚に上げ嘆き悲しんだボッコワウスは、その残骸を形見代わりに取り込みながら、戦闘形態へと変身するのだった。
結果的に「得体の知れない存在に体を乗っ取られ、散々トリックスターの役目を演じさせられた挙げ句、最後は慕っていた主人の敵に仕立て上げられ殺される」と、悪役ながら悲惨そのものの最期を迎え、流石に同情する視聴者も多かった。
だが、ゲゲも所詮はボッコワウスに追従し、他の世界を侵略する状況を良しとしていた腐敗した上層部の一員に過ぎないので、自業自得の結末でもある。
余談
- 声を担当する鈴木氏は『特命戦隊ゴーバスターズ』にてウサダ・レタスの声を担当しており、前作のガルザに引き続き、バディロイドの声優が演じる敵キャラクターとなる(鈴木氏は過去作のドラマCDでチュウネンシャチューを演じている)。
- 戦隊における悪のマスコットキャラクターは『獣拳戦隊ゲキレンジャー』のバエ以来約14年ぶりの登場になる。但し、完全な悪の一員であるこちらとは違い、あちらは厳密には捕虜になった戦隊側のキャラクターである。
- また、この手の悪のマスコットキャラクターは、大抵は組織内での立場もあくまでマスコット程度であり、ゲゲの様に首領に取り入って、幹部以上の地位にまで就く者はかなり珍しい。
- 名前の由来は「下の下」を捩ったと思われる他、ボディの色合いから蓮華の古い呼び方の「ゲンゲ」を捩ったのも有り得るかも知れない。
- 『機界戦隊ゼンカイジャー公式完全読本』p.105によるとモチーフは神の依代として利用された事からゴクラクチョウとしている。ただ、現実のゴクラクチョウではなくフェニックスの様なイメージで連想した物に加え、『宇宙戦隊キュウレンジャー』の鳳ツルギの衣装を裏モチーフに取り入れている。
- 黄色の脚はツルギのブーツ、翼はツルギの着ていたコートの赤と黒の色分けを連想したもの。
声優関連の影響
- 上記の通り、自分以外の幹部を挑発・愚弄する、首魁であるボッコワウスさえも甘言で手玉に取る等、本編の動向が最も気になるキャラクターであるが、演じる鈴木達央氏が体調不良を理由に休業を発表。
- そして、休業発表の後に放送された第22カイ!ではゲゲが登場していたものの、台詞を一言も喋らずに不自然にクチバシをパクパク動かしていただけだった(キャスト欄にもゲゲは不在)。
- 続く第23カイ!でもキャスト欄に不在であったが、画面内では「ゲッゲッゲッ」等の笑い声のみを発していた(事の次第はイジルデに話していた為、作品内ではちゃんと会話をしていた模様)。鈴木氏の声かどうかは検証不能だが、普段の声とは違って聞こえており、流石に今回は無声でごまかせない程に長く、目立つ場面だった故と思われる
- いずれも鈴木氏が休業で収録が不可能になったか、使用を差し止めたかした為の措置と想定される。
- そして2021年8月20日未明、鈴木氏のゼンカイジャー降板を伝える記事がネットニュースから発信され、第25カイ!以降は福西氏に変更された。尚、同話では違和感が出るどころか「ヒドケイワルドの歴史改変(?)によって声変わりした(若しくはそれによって最初から福西氏の声にした)のでは?」と視聴者から評される事態になった。
- 尚、2代目に就いた福西氏はスーパー戦隊での起用はこれが初となる。
- そして、懸念されていた後続の福西氏は声質が鈴木氏とかなり近く、実際に聞き比べても違和感は殆ど無い為にファンからはかなり好評である。寧ろ福西氏の声の方が若干低い為に「ドスを効かせた時の声が鈴木氏より迫力がある」と評価しているファンもいる。
- 尚、2代目に就いた福西氏はスーパー戦隊での起用はこれが初となる。
- 尚、上記の笑い声のみ演出については「ゲゲの不気味さが際立って寧ろ良い」「このまま喋らなくても問題無い」と、意外にも好意的に捉えるファンも少なくなかった。
ゲゲの正体と伏線
- 公式によると神は企画の初期段階から構想されていた存在であり、それに伴ってゲゲのキャラクターにも初期から入念に伏線が張られていた。鈴木氏・福西氏両担当声優に渡された脚本にはゲゲの台詞の前に必ず「甘く演じる」「クールに演じる」等と細かく指示出しがされていたらしく、ここからもゲゲが二重人格であるのは当初から強く意識されていた事が窺える。
- その為に勘の良い人は、序盤の時点から『ゲゲ二重人格説』を唱えていた。
- 声優交代後もこの演じ分けは一貫して行われており、前述の通り福西氏の声の違和感の少なさもあって、演じ分けの方の違和感も少ない。
- 実際に結末を知った上で第1カイ!から見直してみると、同じ声でもそれぞれのキャラクターが最初から分かり易く差別化されているので、それぞれどのエピソードのどのシーンのゲゲが素のゲゲか神かははっきりと分かる。それに伴って神がどの場面で表層化して、どんな思惑で行動しているのかも非常に分かり易く見えてくるので、気になる人は是非ゼンカイジャーのゲゲのシーンを第1カイ!から見直してみる事をお勧めする。1周目だけでは分からなかった事実が色々と見えてくるだろう。
- 前述した喋らない期間のゲゲは、ステイシーを助ける等の行動から神であると分かる。
- 更に後半で描写が増えるに連れて、一人称も変わるのでより分かり易くなる。
関連タグ
ナリア:ゼンカイジャーと同じ、香村純子先生がメインライターである動物戦隊ジュウオウジャーに登場する敵幹部。首領に対して「寵愛を受け、心の底からボスへの愛情や忠誠心を持っている」「最終決戦で粛清される」と共通点が多い。
ゴーシュ・ル・メドゥ:同じくメインライターの香村純子先生である快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャーに登場する敵幹部。首領に対して「勝手な行動を比較的許されている」「最終決戦で見限られる」とこちらも共通している点がある。
龍宮寺堅:初代と2代目のCVが同じ。因み新祐樹氏や逢坂良太氏、野津山幸宏氏と言った具合に同作の出演者がワルドの声を演じていたりする。