「ならばこの私が教えてやる…レンアイ?」
「“恋”とは全てを投げ打つ物。貴様らはこの世界で、恋愛を楽しむが良いレンアイ!」
登場話:第18カイ!「いのち短し、恋せよゼンカイ!」
データだレンアイ
身長/190cm
体重/279kg
世界/レンアイトピア
名物/一輪のバラ
名産/アイシアロー、だーい突き、長い休暇
概要だレンアイ
トジテンドが人間界侵略の為に、恋愛の世界「レンアイトピア」を閉じ込めたレンアイトジルギアをクダックに組み込んで、ときめいて誕生したワルド。
頭部がとにかく特徴的で、射抜いた者を恋に落とす弓矢を構えるキューピッドを右横から見た物がそのままデザインされている。キューピッドの横顔と引き絞られた弓の弦の間より覗く左目で双眸が構成されていて、目の下はピンク色で彩られ紅潮した頬を表現している。また、弓の弦の下部分がガタガタした歯のようになっており、この部分が口に当たると思われる。
更に、各所にハートの意匠をあしらったファンシーな弓矢「アイシアロー」を携行。この内矢の方は羽側を持ち手にして刺突剣にする事が可能で、これを用いた刺突技「だーい突き」も繰り出せる。
尚、武器では無いが、普通の“一輪のバラ”を携える事もある。
レンアイトピアの力を悪用する事で、アイシアローにセットした矢でレンアイパワーを拡散し、パワーの影響を受けた人々の恋愛のハードルを引き下げて些細な切っ掛けでキュンと恋に落ちる、トレンディな世界に変える能力を行使する。
影響を受けた対象は普段の生活を疎かにして恋愛関係に発展した対象しか目に入らない、幸せな「長い休暇」に現を抜かした腑抜けになってしまう。
しかも、愛する対象は性別、種族どころか相手が意志ある生命体か否かすら問わないという問答無用っぷりで、これでも充分に侵略先の世界の住人の動きを大幅に制限できるが、レンアイワルドの力の真価が発揮されるのはこの次。
それは、人々が恋に焦がれている状態からレンアイパワーのレベルを上げる事で、今度は人々の恋心を暴走させ、痴情の縺れによる憎しみに反転させる事ができる事。
こうなれば些細な事でも仲違いさせて愛憎渦巻く不和と争いを起こすよう誘導出来、上手く使えば侵略先の住人を自滅に追いやれる。
但しキューピッドの様に特定の対象同士を惚れさせる訳では無い為、誰が誰と恋仲になるかは本人にも全く予想出来ない。加えて発生した修羅場の矛先が回り巡ってレンアイワルド自身に向かう危険性もあり、万が一そうなれば結局全力の攻撃に晒されてしまう。
上のリスクも含めて、能力発動後は身を隠し安全圏に潜んでいた方が安泰かつ合理的だったワルドだが、当人は「〜レンアイ」と言いつつキザな愛の伝道師を気取って人々が愛憎に振り回される光景を身近で観察するのを好む、以前にも例のあった無駄な愉快犯気質の持ち主でもある。
また、「恋愛」に関するセオリーも豊富である。
活躍だレンアイ
バラシタラの手で誕生後街中に出動、介人の昔の知人である初森花恋と出会ったのを切っ掛けに恋愛話を始めた介人とジュラン・ブルーンの目前に現れる。直後アイシアローを上空に放って祝いの花火にも見えるハート型のエフェクトを発生、それと同時にレンアイトジルギアの力を発動する。
世界改変へ巻き込まれる前に3人はチェンジして仕留めようとするも凌がれ、「私曰く、恋とは突然落ちる物!」と恋のセオリーを語りながらゼンカイジュランを蹴飛ばし、加勢に来たゼンカイガオーンへと激突させた。
すると、それが切っ掛けでふと見つめてしまった2人は薔薇の香りが漂う空気に包まれ、お互いが好きで堪らなくなってしまう。
更に遅れて現れたゾックスも変身中の間に、ゾックスの歌に惚れてしまった通りすがりのキカイノイドの女性シンガー・メロリアにトライされて押し倒され、「お願い! 私の曲を歌って!」と自分の歌声を気に入った彼女を見染めてしまい、「……おもしれぇ女。良いぜ、幾らでも歌ってやる…」と甘い言葉を吐きつつレンアイワルドそっちのけで何処かへ行ってしまう。
こうして世界改変が上手く行き始めた事を確認するや、一輪のバラを残してその場を一目散に逃走する。
その後もレンアイパワーは人間界に影響を及ぼし、些細な事でキュンと恋愛関係に発展する者が増え続け、更にすっかり腑抜けてしまった兄の姿に凹むフリントが自分を励ましてくれたマジーヌに惚れてしまう、図書館でブルーンのポップ看板を見た花恋が一目惚れしてブルーンをデートに誘う、まさかのヤツデ……ではなくヤツデが持ってきた新作のカラフルサンデーに介人が見惚れてしまうと言った事態も瞬く間に発生。
結果ゼンカイジャーもゴールドツイカー一家も見事に恋愛に溢れた世界改変の影響を諸に受け、実質的に戦隊達の行動を封じることに成功する。
この状況をバラシタラに報告されて知ったボッコワウスは満足、ゲゲが侵略作戦に加わった事が上層部に良い刺激へなったと喜ぶが、当のゲゲはパワーの効き目が想定外で、自分の行動が遠因でこんなカオスが生まれた事実に困惑していた(と言うか、実はその行動自体がゲゲ自身の本意ではなかった事が後のエピソードで発覚する。それは困惑して当然だ)。
「でもぉ~、恋は楽しいだけでは無いレンアイ!レンアイパワー……レベルアーップ!!」
そんなカオスを高所から見物しつつ、作戦の本番としてレンアイパワーのレベルを強化。街中に溢れた恋愛感情を拗らせ、一昔前の昼ドラよろしく今度は恋愛関係に陥った人々をこれまた些細な切っ掛けで仲違いさせ( 女性のカップル同士で自分のパートナーに色目を使ったと喧嘩になる、男女カップルのパン派とご飯派で喧嘩になる等)、憎しみに突き動かされるままいがみ合い争う殺伐とした世界に変えてしまう。
案の定、戦隊たちも恋愛の縺れによって揉め始め、ブルーンは花恋の過去の恋愛が気になって彼女を責めてしまい、初めて知った「恋」の苦しみに大きなダメージを負ってしまうが、彼の携帯から「結婚行進曲」の着信音が…。
ブルーン「……こんな時に…はい!!」
セッちゃん「あっ、もしもし?敵の居場所を、見付けたチュン!!」
ブルーン「えっ…!おのれぇぇぇぇ〜〜っ!!!」
直後セッちゃんが突き止めたレンアイワルドの居場所を教えた事で、痛みと悲しみの矛先はそれを教えたレンアイワルドへの激しい怒りに変化。ブルーンはレンアイワルドの居場所へひた走り、揉めに揉める残りのメンバーはセッちゃんに突かれながら駆け付ける。
自身の陣取るビルの屋上で愛憎の諍い・混乱を引き起こす民間人の様子を引き続き見物していたが、辿り着いた一同と対峙。
介人「お前に振り回されて…皆切なさ全開だあぁぁぁ~っ!」
(ビンタされた)ゾックス「プライドまで、傷つけやがって…」
ブルーン「私は学びました…。恋愛なんて苦しい事は、する物では無いと。レンアイワルド……貴方は必ず倒します!!」
ゼンカイジャー達が失恋して心身共々ボロボロなのを悟るや「フラれてるの~~っ!?ホッホホホホ~www」と爆笑。しかし相手は心の痛みを滲ませながら淡々とチェンジ(ツーカイザーはいつもの踊りも省略)、
ゾックス「ブロークンハートのパワー…!ツーカイザー…!」
介人「片思いのパワー…ゼンカイザー…!」
ジュラン「ああぁ…擦れ違いパワー…ゼンカイジュラン…」
ガオーン「どいて!(※ジュランを跳ね除け)嫉妬パワー!ゼンカイガオーン…あぁ、もう絶対許さないんだから!」
マジーヌ「(フリントと一緒に)破局パワー!ゼンカイマジーヌ!」
ブルーン「もう恋なんてしないパワー…(幻を掻き消して)ゼンカイブルーン…」
介人「5人!…と、君(※すっかり溶けちゃったパフェ)も揃って…」
5人「失恋戦隊…ゼンカイジャー……(泣)」
LOVE IS OVER
…と言う風に、失恋の悲しみと絶望感溢れる名乗りを決めた。
既に戦う前からメンタルがボロボロな戦隊達にすぐさまクダック部隊を仕向けるも、ゼンカイブルーンが怒りと悲しみに任せての抗議と猛攻を仕掛けて来る。
ブルーン「レンアイワルドォオオオ!!貴方が私に、「恋」なんてものを教えなければ、胸の痛みを知らずに済んだものをォオッ!!」
「私曰く、押すだけの恋はNGレンアイ!だ~い突き♡」
そんなブルーンの激しい攻撃と抗議で余裕でかわし、隙を突いて「だーい突き」で吹き飛ばして追い詰める。
セッちゃん「介人! 何と無くだけど……鳥人戦隊ジェットマンのギアを使うと良い気がするチュ~ン!」
カッタナー「いや、そんな感じで大丈夫!?」
すると、セッちゃんのアバウトなアドバイスでゼンカイザーがジェットマンギアを使用した所、何故かレンアイワルドまでギアの影響を受けてしまい、結果本家戦うトレンディドラマ最終回のパロディを総出で演じると言うこれまたカオスな絵面が展開(それも単純な再現では無く「ジェットマン本放送当時の「4:3の画面比」、「ノイズが乗った画質」に至るまで再現」すると言う徹底ぶりである)。
とある式場で(天堂竜役の)ゼンカイザーと(鹿鳴館香役の)マジーヌの結婚式が執り行われ、(大石雷太役の)ジュラン、(雷太の妻サツキ役の)フリント、(早坂アコ役の)ガオーンが祝福する中、
「何でバラ?……そうだ!今日は親友の結婚式レンアイ!」
(被害者役の)ゾックス「いや~!泥棒~!!」
「待ちやがレンアイ!こら、こら!…ったく、めでたい日にケチつけやがって。下らない真似するんじゃねぇレンアイ」
(ひったくり犯役の)ブルーン「…ブルーンミニピッカー!トサカに来ましたよ……!えぇい、でっかくなっちゃったー! どりゃあー!!」
「うっ!……くっ……ぐわぁぁ〜…!!」
案の定、レンアイワルドは結城凱の役回りになり、ひったくり犯の役回りになったブルーンから盗品を奪い返すも、彼のブルーンピッカーの一撃を脇腹に受けた所で現実に帰還。何時の間にか白いベンチに座って、脇腹にダメージを負い動けない状態になっていた。
「……はっ!?何だ、今の幻覚…。何で白いベンチが!?後、幻覚なのにお腹が痛い…グフ……」
介人「何だろう?」 セッちゃん「何だろうチュンね?」
ゾックス「何故、俺があんなに出番少ないんだ……」
そして、そこに現れたゼンカイザーの「ゼンカイフィニッシュバスター」とツーカイザーの「ゴールドスクランブル」の同時必殺技を叩き込まれて敗北。
「空が…目に沁みやがる……レン……アイ……」と、正に伝説のラストシーンを再現する様に凱の今際の台詞を口にしつつタバコ代わりにしたバラを手にして崩れ落ち、ベンチ諸共爆散した。
同時に世界に蔓延していた異常な恋愛感情も消え失せ、漸く人々は元の対人(物含む)関係を取り戻したのだった。ゾックスは自身を振ったメロリアに未練があるようだが…
その後、残ったレンアイトジルギアは「一つの恋が終わり、また次の恋へ!」と言いながら現れたクダイテストがベンチの残骸毎踏み、ダイレンアイワルドを誕生させた。
…までは良かったのだが……。
余談だレンアイ
- 人々に恋を起こさせてパニック状態に陥れる怪人は何人かいたがストレートに「恋愛」と言う感情をモチーフにした怪人はこのレンアイワルドが初。
- また、機械に求愛を持たせて騒ぎを起こしたと言う点で集約すれば超力戦隊オーレンジャーのバラプリンター以来となる。
- 声を演じた逢坂氏はスーパー戦隊シリーズで初の声の出演となった。尚、逢坂氏は去年のニチアサ枠で黄色の兄役で出ており2年連続のニチアサ出演となった。
- 因みに、リッキー・ゴールドツイカー役の松田颯水女史とは同じ作品で主要キャラの2人それぞれの兄弟(レンアイワルドの場合は兄だが、彼女の場合は弟)を演じた共通点を持つ。
- 爆散シーンにてゼンカイジャーが放った「クリティカルヒット!」は、当時ピルクルのCMに出演していたお笑いコンビ「Everybody」が元ネタ。当人もTwitterにて反応している。
- 名物の一つである「長い休暇」は90年代に放送された木村拓哉主演のトレンディドラマ「ロングバケーション」に由来する。
- この回の終了直後、徹底比較としてジェットマンギアの元ネタであるジェットマン最終回「はばたけ!鳥人よ」がYouTubeで配信されるというまさかの事態が起きた。
- 尚ジェットマンギアの力で攻撃を受けたレンアイワルドだが、このシーンをよく見返してみると、ジェットマンの力を得た4人は結婚式の再現に専念しており、攻撃を行ったブルーンはひったくり犯役、つまり肝心の攻撃の部分にジェットマンの力が全く介在していない…と思いきや、実は原典でひったくり犯を演じていたのは、凱が変身するブラックコンドルのスーツアクター「大藤直樹」氏である。そう言った意味では「ジェットマンの力」と呼べるのかもしれない。
- 評判が良くて嬉しい反面、無形モチーフなので難しかった為、デザイン担当のK-SuKe氏曰く苦し紛れで生み出したパターンとの事。恋愛から連想されるハートマークだけでは物足りないため、弓を引くキューピッドを顔にしてデザインした他、アイシアローの矢をつがえる部分がキス顔になっている(『機界戦隊ゼンカイジャー公式完全読本』p.114)。
関連タグだレンアイ
惚れ薬:パワーアップ前のレンアイパワーは性及び種族関係無く惚れさせる為、無差別惚れ薬と言っても過言では無い。
オリヒメワルド:同じくカップルの仲を引き裂いたワルド。但しこちらは男女間限定で同性愛カップルはいなかった。
公式が病気:話の内容が東映不思議コメディーシリーズに出しても違和感無いレベルのカオス(特に介人は浦沢義雄作品に居そうなキャラになっていた)。
ソウジキジゲン:『鳥人戦隊ジェットマン』の第20話で登場した怪人。こちらも恋愛に関連した作戦を行なっており(但し、女性から恋愛感情を奪う逆のベクトル)、奇しくも凱の主役回であった。
EEムスビノフ、恋煩い忍者チューピッド:恋愛関係の能力を有した戦隊怪人の先輩枠。両者共無機物を恋に落とした、後者はキューピッドをデザインモチーフに使ったロボット怪人である他、手に持った弓(ボウガン)から放った矢で相手を恋に陥れる能力を行使している。
ドーラピクシー:こちらも似た様な作戦を展開した。
鳥人鬼:次回作に登場した恋愛絡みの怪人。この怪人もジェットマンと関係がある。