概要
「世界海賊(略して「界賊」)」を名乗る、海賊トピア出身の実の兄妹達で構成された海賊団。
モットーは「面白そうな事には、頭から突っ込め」。
並行世界間ゲートの技術を保有し、それを搭載した母船にして拠点でもある戦艦クロコダイオーを駆って、海賊稼業(「お宝」目当ての盗みと略奪)を繰り返すならず者で、海賊トピアでも並行世界を行き来できるのは彼等のみであり、文字通り世界唯一の存在である。
かつて海賊トピアもトジテンドに侵攻された世界の一つだが、何と彼等はその侵攻の際に自分達からトジテンドパレスに乗り込み、そこでイジルデが保有していたセンタイギアを始めとした各種アイテムのデータを強奪し、そのデータを使ってツーカイザーの変身システムや武装を独自開発した。並行世界間ゲートの技術もこの時に盗んだものである。
長男と長女は人間に近い容姿なのに対し、下の双子は小型ロボットの様な外見と姿形が異なっているが、これはかつて訪れたSDの世界「SDトピア」の呪いを受けて存在を変えられてしまった為である。その後ゾックス達は呪いを解こうとしたが、肝心のSDトピアがトジテンドによってトジルギアに閉じ込められてしまい、SDトピアに行けなくなってしまった。
その為、トジテンドがトジルギアに閉じ込めたSDトピアを解放し、双子を人間に戻すべくトジテンドが最後に侵攻するもトジルギアに閉じ込められず、キカイトピアの一部と融合したゼンカイジャーの世界を訪れ、トジルギアで強化されたワルドや構成員を襲撃する(キカイトピアに直接乗り込むのは、ゲートに設けられたセキュリティのせいで不可能だった)。
先輩の盗賊戦隊としては、それこそ海賊戦隊のゴーカイジャーやルパンレンジャーがいたが、彼等は根本的には義賊でカタギには手を出さない様にしており、そもそもゴーカイジャーに関しては、厳密にはザンギャックから一方的に海賊呼ばわりされているのを、本人達が誇りとして自ら名乗っているだけである。
それに対して、ゴールドツイカー一家は登場初期の頃のみとはいえ、興味を惹かれさえすれば民間人からでも掠奪をしたり、目的の為なら戦闘の巻き添えにする事にも一切の抵抗が無かった。幼い兄弟2人も既に海賊の価値観に染まっており、目的の為ならば兄や姉と共にワルドを誘拐して監禁し拷問をする程であり、彼等はある意味どこまでも正しく海賊なのである。
ゴーカイジャーがワンピース的な海賊であるならば、彼等はカリビアン的な海賊だと言えるだろう。
あるいはより分かりやすく例えるなら、どっかの通りすがりの泥棒ライダーを若干マイルドにしたスーパー戦隊版だと言えば通じやすいかもしれない。
前述した目的を見ても分かるが、トジテンドと戦う理由もあくまで自分達の都合であり、決して人々や世界を守る為に戦っている訳ではなく、そもそもそういうヒーローらしい動機に対する興味も当初は皆無だった。
当初は、この考え方の違いや仮にもヒーローとは思えない程のアウトローぶりから、当然ながらゼンカイジャーとは真っ向から対立し、意見の相違から何度か争う事にもなった(ジュランとマジーヌは「やってる事はトジテンドと変わらない」とまで苦言を呈した程である)。
そもそも「姿を変えられた弟達を取り戻す為に戦っている」…と言えば聞こえはいいが、元を辿れば彼等の悪行が招いた結果であり、それ自体は「因果応報」「自業自得」以外の何物でもない(この点については劇中でもしっかりと言及されている)。
当然ながら、最初は公然とゼンカイジャー世界でも海賊行為をしようとしていた彼等だが、五色田介人が提案したカシワモチワルドを巡る勝負でゾックスが負けた事により、ゼンカイジャー世界での海賊行為は一切行わないという約束を取り交わす事となる。
加えて、最初は民間人への被害もお構い無しでトジテンドと戦闘をしていた彼等だが、介人が「ゾックス達が暴れたら自分達が勝手に周りの人を守る」と、強引に協調路線に持っていった事により、事実上対トジテンドの共同戦線が両者の間で引かれる流れとなった。
ただし、これは別に彼等が特別な悪党という訳ではなく、彼等が生まれ育った海賊トピアではこれらの海賊行為も含めてこれがごく普通の価値観である事は留意する必要がある。後にボンワルドの能力で復活した彼等の先祖の言動を見るに、これでも海賊トピアは昔よりはマイルドになったらしい。
当然ながらゾックス達は生まれた時から海賊であり、幼い頃に海賊同士の縄張り争いで父を亡くしている。それ以来ずっと一緒に戦ってきた故に兄弟の絆は非常に深い。
また、彼らのアウトローぷりは、彼らの出身世界である海賊トピアがあまりにも殺伐とした世界であったがために、悪事をはたらかなければ生き残れない過酷な環境で育ったという事情が大きく、決して根っからの悪人ではない。事実、ゼンカイジャーやゼンカイトピアの人々との交流を通して、優しさや正義感といったヒーローらしさも徐々に見せるようになる。
一方で、逆に気が向かなかったり払うべきだと本人らが思った時の金払いは良い。宇宙戦隊キュウレンジャーの世界にも行っていた様で、宇宙幕府ジャークマターの共通通貨「ポンギ」を使おうとして、代金として渡されたカラフルの面々を困惑させていた。
また、勝負事に関しては義理堅く律儀であり、一度勝負で決まった結果や交わした約束は何があっても履行しようとする。これは長兄のゾックスは勿論だが妹や弟達も同様であり、上記のゼンカイジャーとの勝負でゼンカイジャー世界での海賊行為が禁じられても、勝負に負けたゾックスに不満こそ言うものの、約束を破ったりゼンカイジャー側に文句を言う事は一切なかった。
こういった側面や前述した家族を助けたいという目的への共感、何よりも長兄で船長のゾックスが個人的に介人を気に入って接近を始めた事などをきっかけに、徐々に彼等とゼンカイジャーは互いに交流と相互理解を深めていき、やがてゾックス達の方から積極的にゼンカイジャー側のスタンスに合わせるようになる。
そして、ゾックス達はいつしか介人達の事を「初めての血縁以外の仲間」として認めるようになり、口では面倒と言いつつも積極的に介人達の作戦や目的にも手を貸すようになる。
物語終盤にSDワルドが倒された事でSDトピアが解放され、カッタナーとリッキーの呪いを解くべく介人達と別れゼンカイジャー世界を後にするも、突然自分達の目当てのワルドが出現した事への不審と、キカイトピアのゲートのセキュリティが解けた事に気付いた為に、双子の呪いを解くというそれまでの目的を一旦後回しにし、介人達を助けるべくトジテンドに乗り込んだ。
最終カイでは、カッタナーとリッキーは無事に人間に戻ったが、「SDの姿も慣れると楽しい」という二人の要望とツーカイザーの戦力維持も兼ねて、フリントにより(おそらくスーパーツーカイザーSDヘの変身技術の応用で)ツーカイザー変身前にギアダリンガーでカッタナー、リッキーのギアを使う事でSD形態と人間の姿を行き来出来る様になった。
また、介人達との交流を経ての心境の変化から「弱い者イジメはつまらない」と感じるようになったとの事で、その結果立場の弱い者に海賊行為を働くのは止め、強い者に対してのみ海賊行為を行うという半義賊に近いスタンスに路線変更した(ただし、海賊行為の目的はあくまで自分達がお宝を手に入れる事なので、完全な義賊とはやはり言い難いスタンスではある)。
実際に『ゼンカイジャーvsキラメイジャー』では、トジテンド復活を目論むDr.イオカルから独自にカナエマストーンを強奪していた。ただし、イオカルから守る為にカナエマストーンを奪おうとしたルパンレッドとは違って、ゾックス達はあくまで純粋にお宝目当てで強奪しただけであり、ラストではどさくさに紛れてカナエマストーンを持ち逃げしようとしていた。
家族構成
- 長男:ゾックス・ゴールドツイカー/ツーカイザー
- 長女:フリント・ゴールドツイカー
- 次男:カッタナー・ゴールドツイカー(双子)
- 三男:リッキー・ゴールドツイカー(双子)
クロコダイオー
ゴールドツイカー一家の母船にして拠点である巨大戦艦。
金と銀をベースカラーとしており、後にフリントの改造で巨大化したカッタナーやリッキーと合体し、ツーカイザー専用ロボであるツーカイオーにも変形できるようになった。
また、宇宙船として宇宙空間を航行できる上に、並行世界を渡り歩くゲートシステムも搭載しており、普段は地球の周りで活動している為、地球で起きた異変に巻き込まれる事は無い。
余談
- 劇中におけるカッタナーとリッキーの双子はパペット操演、リアルタイムCGによるLIVE合成、そして後処理のCG合成の3つの手法を織り交ぜて表現している。尚、双子の外見を見てSDガンダムを連想した視聴者もいる事だろうが、それもその筈で某SDゲームシリーズのCGを手掛けたスタッフがモデリングを手掛けた。
- 因みにこの表現手法を実現するべく、東映スタッフは各関係者に「いつもよりはるかに短い準備期間で仕上げてほしい」と、無茶気味の注文をふっかけた事をHPの『ゼンカイ備忘録』で明かしている。
関連リンク
宇宙海賊バルバン、海賊戦隊ゴーカイジャー:過去のスーパー戦隊における海賊でこれらは宇宙からやってきた海賊。またツーカイザーは後者をモデルにしている。
海東大樹/仮面ライダーディエンド:同じくお宝を手に入れる事を目的に活動している盗賊ヒーロー。2号ライダーでありながら危険性が消えない第三勢力ポジである事も同じで、基本的にゴールドツイカー一家は彼のスーパー戦隊版だと考えれば分かりやすい。
タイムファイヤー、アバレキラー:同じく追加戦士枠でありながら、危険性が消えない第三勢力ポジションであった者達。公式も共通点を自覚しており、強化形態には前者の力が使われている。
地球戦隊ファイブマン、救急戦隊ゴーゴーファイブ、魔法戦隊マジレンジャー:過去のスーパー戦隊における2人以上出てくる兄弟関係者で、特にカッタナーとリッキーは双子という設定はファイブマンにも共通点がある。
バロッサ星人:前年の円谷特撮に登場する海賊キャラ繋がり。イメージカラーが金な事や、一家総出で海賊稼業に手を染めている点も共通する(さらに言えば2代目の声を演じていたのは変身ツールの声である)。
エドワード・エルリック、竈門炭治郎:異形の姿になってしまった弟や妹を元の身体に戻す為に、冒険している点が共通している。
神代凌牙(仮面ライダーセイバー)、神代玲花:30分前の番組に登場する兄妹。途中から参戦、主人公らと対立した、と言う共通点を持っており、後にゾックスと対面・交戦した。
ボーン一家:悪役ではあるが根っからの悪人では無い空賊。リーダー格の長男、メカニックの長女、ロボット的な風貌の末弟と、家族構成を含めたキャラクター性もよく似ている(但しこちらは三兄妹であり、末弟の容姿も生まれつきである)。