「私はDr.イオカル。トジテンド王朝にお仕えしたく馳せ参じたキツネトピアの科学者だ!」
データ
身長/186cm
体重/93kg
世界/キツネトピア
概要
キツネ型の住人が住む並行世界「キツネトピア」出身の科学者。一人称は「私」。
グレーの軍服を着て、その上から全身を覆う程に長い銀色のローブを羽織った男性で、顔に黄金の狐面を付けているのが特徴。更に白い狐面を付けた忍者の様な風貌の戦闘員達を引き連れている。屈辱を受ける等すると「コーンッ!」と叫んで激昂する癖を持つ。
「ボッコワウスの息子」を自称するポットデウスに与して、彼と共に『“新生トジテンド”の復興』を目論んでおり、かつてのボッコワウスが擁したイジルデのポジションで彼を補佐する。科学者としての才能と能力は本物であり、そのイジルデが開発したトジルギアを参考にして、ワルド制作用の疑似トジルギアを開発した他、トジテンドに残されていたデータを基に新たなニュークダイテストを生み出している。
更には、本来1度使用すれば一時的に力を喪失するカナエマストーンから、少しずつ力を抽出して部分的ながらも、カナエマストーンの力を繰り返し利用可能にする装置まで開発し、歴代敵組織の戦闘員の偽物を大量に作りだしたりしている。
生成した複製戦闘員
- ゴーミン(宇宙帝国ザンギャック)
- バグラー(ヴァグラス)
- ゾーリ魔(デーボス軍)
- クローズ(シャドーライン)
- ジュッカラゲ(牙鬼軍団)
- メーバ(デスガリアン)
- ポーダマン(異世界犯罪者集団ギャングラー)
- ドルン兵(ドルイドン族)
- ベチャット(ヨドンヘイム)
- クダック(トジテンド)
タコメーターの付いた長い刀身の長剣で武装して、そこから強力なエネルギー刃を飛ばせるが、所詮は科学者に過ぎない為にかつてのイジルデ同様に戦闘力は余り高くなく、ステイシーザー/ステイシー1人で容易に制圧出来る程度である(それでもイジルデよりは戦えるが)。
一方、その知能で実質ポットデウス一味の司令官や、作戦立案者等を兼任する頭脳役なのだが、結局は技術屋な為に自分達の拠点としたトジテンドパレスの警備セキュリティがおざなり、変装が僅かにでもバレかけたらリスクを負うよりも自分から本性を明かして暴れる等、科学以外の知識や危機察知にハッタリ・駆け引き力などの心理的なスキルへは乏しい部分が散見される。
予告ではギアトジンガーを構えている描写があったが?……
劇中での活躍
以下、映画のネタバレにつき閲覧注意
何所で知ったのかは不明だが、カナエマストーンの情報を掴んでおり、既にイリュージョアとリバーシアを手中に収めて(※デストリアも手に入れていたが、界賊に盗まれて別口で捜索していた様子)、密かにマブシーナを捕えつつ同時にキカイトピアに潜入し、トジテンドパレスに幽閉。イリュージョアの力でマブシーナの姿に化けて、ステイシーに世界間条約の話を持ち掛けて彼を騙して利用し、残るカナエマストーンを手中に収めんとしていた。しかし、その企みを知ったルパンレッド/魁利へ介入される事態に(当人曰く「異世界に詳しい自分の仲間に教えてもらった」らしい)。
やがて、並行世界の旅を終えてゼンカイトピアに帰還したゼンカイジャーと接触した際、彼等が探していたエネルギアを持っているのを知る。その時は素直に渡されたのでそのまま持ち去ろうとしたが、ここで魁利の介入に遭って取り上げられた為、止む無くカルビワルドをゼンカイジャーへ差し向ける。
直後に、本性と正体を現してステイシーと交戦、戦闘力では到底及ばす一度は彼に追い詰められるも、事前にステイシーの仲間のキカイノイド達を捕らえて人質にしており、それを盾にして恫喝し無抵抗になったステイシーザーに斬撃を浴びせて変身解除させて補縛。そしてトジテンドパレスに連行した上で謁見の間でポットデウスと対面させ、その後はマブシーナやキカイノイド達共に地下牢獄へ幽閉する。だが、先程の魁利の介入時に密かに身体へ盗聴器を付けられており、ここまでの経緯は魁利や彼の言葉を信じた宝路に筒抜けとなっていた。
表面上は新たな王であるポットデウスに従順であり、トジテンド崩壊後に戦犯として拘束されていたクダイター達も解放して彼の配下にする等、彼を中心にしたトジテンド再興に意欲的だが……
「フッハハハハッ! 貴様などただの御輿だ。本当は隠し子でもなんでもない。ボッコワウスに似てたから連れてきただけだ!!」
実は物語の全ての黒幕はコイツであり、ポットデウスがボッコワウスの隠し子とするのも、全ては彼を利用する為に吹き込んだただの真っ赤な嘘に過ぎなかった。
イオカルの真の目的は、自分が全ての並行世界を支配することであり、それを達成する手段としてトジテンドに残された技術とカナエマストーンの力に目を付け、それらを得る為にトジテンドの復興を目論んだ。
しかしながら、キツネトピア出身の彼がキカイトピアの王朝であるトジテンドを何の足がかりも無く復興するのは難しい。そこでボッコワウスに偶然外見が似ていたポットデウスに目を付けて、彼の孤独心に付け込んでボッコワウスの息子とする身の上話を信じさせ、ポットデウスをトジテンド復興の為の御輿として担ぎ上げたのである。
その本性は、自分の目的の為なら平然と他人を弄び利用する冷酷で独善的な人物であり、当然ながらポットデウスをも駒としか思っておらず、自身が追い詰められると上記の台詞と共に本性を表して容赦なく彼を切り捨てた。
ちなみにカルビワルドとは協力関係であり、カルビワルドはイオカルがポットデウスの正体を暴露しても全く動じていなかった様子から、ポットデウスが偽物である実態も知っていた模様。
他のクダイター達等が、ポットデウスが偽物である事実を知っていたのかは不明だが、いずれにせよ彼等としても「トジテンドの威光の下で再び美味い汁を吸えるのなら……」として、王など誰でも良かったのだろう。
ちなみにステイシーを捕らえた際には、彼からギアトジンガーを没収。後に宝路に助けられてステイシーらが牢獄を脱走した際に立ちはだかってその銃口を向けるも(彼はキカイノイドではないので変身は不可能)、直後に魁利の不意討ちで取り落としてしまい、ステイシーの手元に戻ってしまった。更に魁利の手で人質にしていたキカイノイド達も解放されて形勢は一気に逆転。
同じ頃、ゼンカイジャーとキラメイジャーを世界改変で釘付けにしていたカルビワルドは能力を突破され、ポットデウスも玉座に乗り込んで来たゾックスとマーべラスに成す術無く追い立てられ逃走。結局一味は2大戦隊とその仲間より一所へ追い込まれて直接対決に持ち込まれる。しかし、ゼンカイジャーとキラメイジャーの共闘によって、せっかくかき集めたトジテンド兵達を殲滅されてしまい戦力の大半を失う。
形勢を逆転すべくイリュージョアの力で生み出した、歴代戦隊と戦った戦闘員達の幻影で戦力を増強(部分的なイリュージョアの力だけでは戦闘員の召喚が限界だった模様)、自分も直属の戦闘員を率いてステイシーザー・ツーカイザー・キラメイシルバーと交戦するも、幻影の戦闘員達は魁利/ルパンレッドとマーべラス/ゴーカイレッドを含むセンパイジャーに蹴散らされた上、正体を知って手加減は無用と判断したステイシー達に圧倒された上に戦闘員らを一掃されてしまう。
そして、ステイシーはポットデウスの孤独感やそれを利用された背景を自身の境遇と重ね、更にそれを平然と嘲り利用するイオカルの態度は、ステイシーのかつての苦しみを知るゼンカイザー/介人の逆鱗にも触れてしまい、「卑怯ゼンカイ」と怒りをあらわにした彼のチェンジしたキラメキゼンカイザーを中心にしたゼンカイジャー、キラメキツーカイザー、ステイシーザー、キラメイジャー達から総攻撃を受ける。自分達の確保していたイリュージョアとリバーシアも、トドメを刺すのを躊躇させようと迂闊に取りだした瞬間に「お宝は金庫にしまっとかないと」とルパンレッドに掠め取られてしまい、キラメイシルバーへ投げ渡されてしまった。
こうして完全に打つ手が無くなり、最期はカルビワルドと互いの身を自分の身を守る盾にしようと醜く争った結果、纏めて2大戦隊の必殺技を受けてしまい、「私の野望がぁぁぁっ!!」と月並みな辞世の句を残して爆死。正に自業自得の形で引導を渡され、後に残ったカルビ疑似トジルギアで誕生したダイカルビワルドもキラメキゼンリョクゼンカイオーに倒され、その分不相応な野望もあえなく潰えた。
その最期は、所詮は自分達の私欲の為に互いに利用し合っていただけの者達の姿を体現したものであり、最終的には贖罪と引き換えに本当の仲間を得たポットデウスとは対照的な末路だった。
余談
- 名前の由来は「虎の威を借る狐」から。VSシリーズには彼の様なメインの敵組織由来じゃない敵の登場もあり、その殆どが最後まで手を組むよりも互いに利用し利用し合う関係の方が多い為に、彼も例の如くポッドデウスを切り捨てた訳だが、名前の由来からしてこの様な展開を予想した人も少なくないと思われる。
- 黄金の顔は『手裏剣戦隊ニンニンジャー』に登場したスッパラゲのリペイント(直属の戦闘員はまんまスッパラゲのマスクを流用)、武器は『宇宙戦隊キュウレンジャー』のマーダッコの武装の1つである「タコメーター付きテンタクレイモア」を流用した物。
- 声を演じる立花氏は『動物戦隊ジュウオウジャー』のガッカリゼの声を演じて以来、7年ぶりの特撮出演となる。ちなみにボッコワウスを演じた中田譲治氏はガッカリゼのリーダーを演じている。マブシーナ役の水瀬いのり氏とは事務所の元後輩。『仮面ライダーオーズ/OOO 10th 復活のコアメダル』のラスボスであるゴーダ役の日野聡氏ともその事務所の元同僚にして声優ユニット『ERφ』のコンビであり、東映特撮のVシネマから2作連続でラスボスがERφから起用された流れになる。
- 本作の黒幕でありながら、仲間のゲスト怪人よりも先に完全に倒された珍しい人物でもある(仲間のダイカルビワルドもその後直ぐに後を追う形になったが)。
- 後に『暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャー』では彼の一派の残党がいた事実が判明している。
関連タグ
ヨドン皇帝:『魔進戦隊キラメイジャー』のラスボスでポットデウスをガルザに置き換えた場合、作中でやってた行動が全く同じ。キラメイレッドも、この事実に気づいたような様子を見せている。
ドン・アルマゲ:こちらもクエルボ相手に同じ行動を行ったが、同時にそれを持って自分も御輿として担いでもらい、宇宙一つを支配する独裁者になった経緯を持つ。しかし物語終盤でこの共依存を自ら破棄、ワルドとトジルギアに似た特性を持つ存在へ進化しようとした。
十六夜九衛門:デザインが虎の威を借る狐繋がりな『手裏剣戦隊ニンニンジャー』の敵幹部。上述のスッパラゲの主人でもあるが、その正体は首領より重大な使命を与えられ暗躍した、本物の虎の子でもあった。
宇宙暴走族ヘルメドー:こちらも2大戦隊の敵組織に属していない第三者に加え、味方キャラに変身して願い事を叶える力を狙った共通点のあるVSシリーズの悪役であるが、彼の場合は利用した組織に最後の最後で利用された。
巴衛:立花氏が声を演じた狐のキャラクター繋がり。
くろミン:彼と同様ある者達に嘘を吹き込む形で誑かして、自分の目的の為に利用していた黒幕繋がり。協力者がいるのも共通している。
仮面ライダーギーツ:同年の仮面ライダーに登場する狐モチーフのヒーロー。
釘宮リヒト:イオカルと同じように独りぼっちの魔法使いのケミーをそそのかして、孤独に付け込む形で悪事を働いた人物。
戦隊VSシリーズ敵キャラリンク