概要
『超力戦隊オーレンジャー オーレVSカクレンジャー』から始まったスーパー戦隊のクロスオーバー作品。文字通りその年に放送されている(もしくは放送されていた)戦隊とその前の年に放送されていた戦隊が出会う。場合によってはそれより前の年の戦隊が登場したり、別作品の東映ヒーローが登場する場合もある。
基本的に新戦隊の作品に前戦隊がゲスト出演しているという形式の為、新戦隊(『○○VS○○』の最初につく方)が主軸となって物語が進んでいくシステムとなっている。その為に活動基地やED曲も大体の作品で新戦隊の方が起用されている。
2008年の『ゲキレンジャーVSボウケンジャー』まではVシネマとして制作され、以降の『ゴーオンジャーVSゲキレンジャー』から『ジュウオウジャーVSニンニンジャー』までは新春公開の劇場版作品となり、スーパー戦隊祭と呼ばれた。
その後、2018年の『キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』以降はVシネクストとして制作され、初夏に劇場公開、夏にDVD・BD発売という形式が主流となっている(2020年の『リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』のみ、スーパー戦隊MOVIEパーティー枠で劇場版作品として製作)。
ちなみに『救急戦隊ゴーゴーファイブ』の単独作品である「激突!新たなる超戦士」もVシネマで発売された関係でこのシリーズに含まれるが、クロスオーバー作品ではない。
ストーリー展開
「VS」とタイトルにあるが、戦隊同士が直接対決する事は少ない。これは往年の作品『マジンガーZ対デビルマン』等と同じようなものである(原作者の永井豪氏は「対(たい)ではなく、対(つい)=並び立つ」と述べている)。敵の策略にはまる、または誤解などから戦闘となる、そこまで行かずとも意見の相違や確執から対立し分裂するという展開も多いが、最後は協力してオリジナルの敵を倒し、お互いが健闘を称え合うというのが恒例の流れとなっている。
2023年の暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャーにおいては「スーパー戦隊のVSはビクトリ-スーパーだ」とも語られていた。
世界観としては、最初からコラボする戦隊同士が地続きであるように描かれる事が多い。TV本編の敵組織の残党が黒幕として登場するパターンも多く、中には公式でTV本編との時系列関係等が書かれる事もあるのだが、基本的にはVSシリーズの出来事がTV本編やそれに準ずる単独作品で言及されたり繋がりが明示される事は少なく、あくまで独立した作品として扱われる事が多い。
特に他の戦隊作品との繋がりの部分に関しては、各作品の本編や単独作や他のVS作品内等で言及される事もほぼなく、あくまで個々のVS作品内限定のクロスオーバーとして扱われている。
ここに関しては、TV本編と話が地続きである事や作品を跨いで言及される事も多い、仮面ライダーシリーズのクロスオーバーであるMOVIE大戦シリーズとは対照的である。
そもそも、戦隊は基本的にどの作品も独立した世界観と設定で本編は構成されている為、繋げようとした場合は矛盾や無理が生じる事も多く、その擦り合わせの為にTV本編の設定が一種のお約束的に無視される場合も多々ある。この辺はゴーカイジャーのように、最初からクロスオーバー作品として作られた作品でもなければ難しいところだと言える。
近年では、VSシリーズやゴーカイジャーなどのクロスオーバー作品については、複数の戦隊が同一世界上に存在する固有の世界の話とされており、要は戦隊には各戦隊がそれぞれバラバラに独立した世界群と、複数の戦隊が同一世界内に共存している世界群の、大きく分けて2種類の世界が設定されている。
特に、ゼンカイジャー以降のVSシリーズは、明確にこれら異なる世界同士のコラボとして展開されており、各戦隊世界がバラバラに描写される一方で、ゴーカイジャー世界は複数戦隊の世界として描かれている。その他ニンニンジャーやジュウオウジャー、キラメイジャー等、最低1チーム過去戦隊や他系列のヒーローが存在、もしくは存在が示唆されている世界もあり、TVシリーズに戦士本人や協力者が登場している。
発売メディア
当初はVHSとレーザーディスクを中心にリリースされていたが、2000年の『ゴーゴーファイブVSギンガマン』でレーザーディスクでの、2005年の『デカレンジャーVSアバレンジャー』でVHSでのリリースをそれぞれ終了。2001年にはそれまでの全作品をDVDで再リリースした。DVDで再リリースされたVSシリーズのうち、Vシネマとして制作された作品のパッケージでは、背表紙の部分に「東映VCINEMA」の表記があり、東映Vシネマのシリーズという扱いとなっている。ただし『メガレンジャーVSカーレンジャー』までは「スーパー戦隊OVシリーズ」という表記になっている。
また2004年にはこれらの全作品がレンタル解禁され、スーパー戦隊Vシネマは全作品のDVDがレンタル可能となった。この他、2006年の『マジレンジャーVSデカレンジャー』ではDVD以外にUMDメディアでのリリースも行われた。
Blu-ray Disc(BD)としては『天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー』からリリース開始。それ以前の作品に関しても、BD化されていない『ガオレンジャー』~『シンケンジャー』までの劇場版とともに2016年3月・4月に2つのBOXに分割収録した「スーパー戦隊 V CINEMA & THE MOVIE Blu-ray BOX」がリリースされた(『オーレVSカクレンジャー』~『ゴーゴーファイブVSギンガマン』まではネガスキャンHDリマスター。『タイムレンジャーVSゴーゴーファイブ』~『ゲキレンジャーVSボウケンジャー』はSD素材をHD画質にアップコンバートしたものを収録)。
シリーズ一覧
事実上の戦隊VSシリーズ
※最低でも両戦隊の初期メンバーが全員そろっているエピソードのみ記載
現役と前作の共演
- ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー
- 1978年公開の劇場版。カウントはされていないが、ジャッカー電撃隊VS秘密戦隊ゴレンジャーというVSシリーズの原型ともいえる作品。
- ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦
- 2011年公開のスーパー戦隊シリーズ35作記念の劇場版。ゴーカイジャーVSゴセイジャーと略されることもある。
二年以上のスパンが空いている
- 海賊戦隊ゴーカイジャー 第25話【海賊とニンジャ】&第26話【シュシュッとTHE_SPECIAL】
- ゴーカイジャーVSハリケンジャー。初期メンバー全員が登場かつ変身するという他のレジェンド客演回と比べても豪華な仕様となっている。
- 動物戦隊ジュウオウジャー 第28話【帰ってきた宇宙海賊】&第29話【王者の中の王者】
- ジュウオウジャーVSゴーカイジャー(スーパー戦隊シリーズ通算2000回達成記念。後姿でこどもトッキュウジャーも登場)
- 王様戦隊キングオージャー 第32話【遭遇!キョウリュウ!】&第33話【シューゴー!キングとキョウリュウ!!】
- キングオージャーVSキョウリュウジャー。後にVシネクストとして正式なVSシリーズが実現する事となる。
同じ作品同士
- 帰ってきた特命戦隊ゴーバスターズVS動物戦隊ゴーバスターズ
- Vシネマ。本来のゴーバスターズと、歴史の異なるパラレルワールドのゴーバスターズが共演。
- 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー
- ただしどちらも42作目のスーパー戦隊シリーズの作品である。
- 暴太郎戦隊ドンブラザーズVS暴太郎戦隊ドンブリーズ
- 『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』と、その制作発表会見の偽企画の1つである『暴太郎戦隊ドンブリーズ』のコラボスピンオフ作品。
余談
諸事情により以下のVS作品は制作されていない。
- 『百獣戦隊ガオレンジャー』と『未来戦隊タイムレンジャー』
- 後にパワーレンジャー・ワイルドフォースにおいて、ワイルドフォース・レンジャー(ガオレンジャー)とタイムフォース・レンジャー(タイムレンジャー)の共闘が実現。
- 『轟轟戦隊ボウケンジャー』と『魔法戦隊マジレンジャー』
- 『宇宙戦隊キュウレンジャー』と『動物戦隊ジュウオウジャー』
- 但し『超スーパーヒーロー大戦』で両戦隊の共演は実現しており、キュウレンジャーは初期9人(ショウ・ロンポーも登場しているが、この時はまだリュウコマンダーへの変身能力を有していないため除外)が、ジュウオウジャーはアムのみ顔出しで他の5人が声のみ出演している。
- また、『ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー』では門藤操がゲスト出演、『スーパー戦隊最強バトル!!』では風切大和とスティンガーが共演している。
関連タグ
スーパー戦隊ワールド:地球戦隊ファイブマンから忍者戦隊カクレンジャーまでの5戦隊の共演を描いた作品。
スーパー戦隊最強バトル!!:複数の戦隊からドリームチームを結成して活躍した特番。
戦隊シリーズ以外の類似作品
サクラ大戦3:第七話「光は東方より」は「巴里華撃団VS帝国華撃団」といっても過言ではない話になっている。