「嫌よ!今はリンを倒さない限り、気が収まらない」(第5話)
「ふん、4体の気伝獣とやらも絶対に蘇らせたりしないわ!その可愛い顔もぎたぎたよ!」(第6話)
登場話:第5話「あっタマきたッ」、第6話「風よブッちぎれ」、劇場版
概要
ガラ中佐配下のゴーマ怪人で、本作における最初の女怪人でもある。
その名の通り、口紅を模した頭部と肩部分が特徴。またゴーマ怪人の大半に共通する「一つ目」の要素を持たない数少ない例外でもあり、コットポトロとも共通する目のない唇のみの顔面となっている。
また、TVシリーズにおいて人間態が登場しなかった最初のケースでもある。後に劇場版で復活した際に披露した人間態はアラビア風の美女の姿で、フェイスベールの下に隠された分厚い唇は、歌唱の際に露わにされる。
所持しているルージュは、これを人間の唇に塗ることでその相手を意のままに操る効果を持ち、これを利用して人間の女性達を殺人音波を放つ「悪魔聖歌隊」に仕立て上げ、自らの配下として使役した。悪魔聖歌隊だけでなく、自身の歌声も同様に強烈な破壊力を有しており、これを活かしての「ソプラノ攻撃」はダイレンジャーを苦しめ、悪魔聖歌隊の歌声との相乗効果でその行動を阻害する。
この他にも「歌唱拳・歌姫爆裂破」と呼ばれる口からの破壊光線、それに唇を模した形状の剣(※)を駆使した攻撃も非常に強力で、直後に登場したノコギリ大僧正には及ばないながらも、物語序盤におけるダイレンジャーにとっての強敵として、強い存在感を示した。
自らの美貌に絶対の自信を持つ一方、それを台無しにされた際の反応からも窺えるように、その性格はヒステリックにして偏執的なものであり、その原因であるリンに対しても復讐心を剥き出しにして度々襲いかかった。
(※ 劇場版では「鍵剣」(鍵道化師の頭部)との二刀流で攻める際、「口紅剣」と呼称)
作中での動向
TVシリーズ
「ルージュを塗った女達を使って悪魔聖歌隊を組織し、その歌声で人間たちに地獄の苦しみを与える」という作戦に従事し、初登場の時点までに4人の女性を悪魔聖歌隊に仕立て上げると、さらにリンと友達になろうとしていた天野恵に襲いかかり、彼女も悪魔聖歌隊の一員に加えた。
そこに駆けつけたリンと亮に対しては、合唱隊に扮したコットポトロを差し向け、さらに転身を妨害されたリンを助けた隙を突く形でリュウレンジャーを負傷させるが、飛びかかってきたホウオウレンジャーを歌姫爆裂破で撃ち落とした際、その弾みで彼女の手元から離れたダイレンロッドによって右頬を傷つけられるという、屈辱的な事態に見舞われてしまう。
これに激昂した口紅歌姫は巨大化爆弾による巨大化に及び、迎え撃った気伝武人・龍星王を悪魔聖歌隊の歌声で苦しめ、自らの剣撃やシャダム達の妖力攻撃と合わせて窮地に追い込んだ。リュウレンジャーの負傷もあって十分に実力を発揮できない龍星王は、起死回生を狙って大風車斬りを炸裂させるも、口紅歌姫もこれを剣で受け止め、鍔迫り合いにもつれ込んだ末に両者は相打ちとなって撤退を余儀なくされてしまう。
ダイレンジャーに手痛い打撃を与えこそしたものの、自らの美貌を台無しにされた口紅歌姫の怒りは収まるところを知らず、ガラからの忠告も突っぱねてリンへの復讐心を募らせ、彼女を誘き出すかのように再度行動を開始すると、先んじて駆けつけたリュウレンジャーたち4人をソプラノ攻撃で翻弄。
そこに駆けつけたリンもまた、謎のヴィジョンによって動きが止まってしまい、これを好機と見た口紅歌姫は一気に止めを刺そうとするが、その一撃が炸裂しようという瞬間にホウオウレンジャーは忽然とその場から姿を消し、後一歩のところで目的を果たせずに終わった。
その後、リンが気伝獣の導きにより中国の奥地に飛ばされたことをゴーマも知ると、彼女に気伝獣復活の鍵たる天宝来来の玉を渡すまいと妨害を開始。口紅歌姫もまたその実行役として、そしてリンへの復讐を遂げるため荒れ地にてこれを急襲、配下のコットポトロをも巻き込んでの攻撃で転身を解除させ、恵を始めとする悪魔聖歌隊もけしかけて追い詰めてみせるが、ここでもわずかな隙を突かれて逃走を許してしまう。
やがてリンがダオス文明の遺跡の奥深くで、傷を癒やしていた龍星王と天宝来来の玉を発見する中、口紅歌姫は巨大化した状態で遺跡もろともリンを抹殺しようと暴れまわり、遅れて駆けつけた亮達4人がリンと合流した後も、自らは龍星王と相対してこれを圧倒しつつ、崩壊した遺跡から天宝来来の玉を探し出そうとするホウオウレンジャー達を、悪魔聖歌隊の殺人音波で妨害・抹殺しようとする。
しかし、苦境の中で風の声を聞き取ったホウオウレンジャーが一文字竜巻を放ったことで、悪魔聖歌隊が吹き飛ばされるのみならず瓦礫の中から天宝来来の玉が姿を現すという、ゴーマが恐れていた事態が発生してしまう。
かくして天宝来来の玉を手にしたダイレンジャーにより、4体の気伝獣が復活を遂げると形勢は一気に逆転。気伝獣たちの波状攻撃に今度は口紅歌姫が圧倒され、そして合体を遂げた天空気殿と龍星王の連携により繰り出された「超必殺・天空大風車」を喰らい、
「美人薄命よ~!!」
と断末魔を残して敢え無く爆散。恵達悪魔聖歌隊も、その死によって洗脳が解けて事なきを得たのであった。
劇場版
物語のクライマックスにて、トランプ公爵がダイレンジャーに対抗するため、ゴーマ怪人の絵柄が描かれたトランプの中から出現したうちの一体として登場。
顔の傷こそ消えているものの、TVシリーズと同様にリンと対峙し、人間態の姿で殺人音波を放ってこれを苦しめるも、投げつけられたヤイバーで口を塞がれる形で歌声を止められ、さらに気力による竜巻攻撃を受けてコットポトロもろとも吹き飛ばされてしまう。
トランプ公爵が亮との一騎打ちに敗れると、他の怪人たちとともに合流して巨大化し、気伝武人・龍星王と干戈を交えるも龍星風車蹴りで文字通り一蹴されてしまう。その後5体の気伝獣が大連王に合体すると、これに対抗してトランプ公爵たちもオジャル大王へと妖力合体を遂げるが、合体したところで大連王の敵ではなく、大王剣・疾風怒濤によって他の怪人達もろとも再び引導を渡されたのであった。
備考
デザインは篠原保が担当。番組企画時に最初に提示された4体のうちの一体であり、これらは当初「一つ目」を付ける前提ではなかったことから、口紅歌姫もコットポトロに通じる目がないキャラクターとして、早い段階で成立していたという。
その後、「一つ目」がゴーマ怪人の共通項となった後に目を付けたバージョンも描かれたものの、これは違うなということでボツとされており、結果「もう唇があるから女(怪人)は唇にしよう」という方向性となったという。
得物にまで唇の模様が入っている点については、「考えつくことを全部やるパターン」であると語っている。
余談
アニメ版『GS美神』第25話にて物語とは特に関係なく一瞬だけその姿が場面に挿入されている。