概要
呪術高専東京校1年の担任と生徒という関係であり、五条が高専5年生、伏黒が小学1年生からの10年近い付き合いである。
伏黒恵は幼い頃に実母が他界し、父親とその再婚相手、再婚相手の連れ子であり義姉にあたる伏黒津美紀と暮らしていた。実は父親は呪術界御三家のひとつ・禪院家を出奔した身であり、伏黒は禪院家固有の相伝術式・十種影法術を持っている。
伏黒が小学1年生の時に両親が共に蒸発し、そのまま強い術式持ちである呪術師を求めていた禪院家に大金で売られる手筈であったが、同じく御三家・五条家の出身であり、呪術界において発言力を持つ五条悟がそれを阻止し、将来伏黒が呪術師になることを担保として、高専からの資金援助を融通した。(禪院家との取引は16巻で触れるが、詳しい経緯は不明)
このときの伏黒の売買価格は禪院家当主禪院直毘人の「相伝なら10やろう」という発言から、10億ではないかと推察される。(呪術界では価値のある呪具は5億つくこともある)
以降、五条は実質的に伏黒の後見人のような立場になっており、呪術師になる為に稽古をつけたり任務に連れ出すなど目をかけていた。本誌第78話のアオリでは「師弟」と書かれていたことも。
<師弟、会う!!>
伏黒は普段から五条の奔放な言動や行動に振り回され気味で、五条本人に「ぶん殴りますよ」と発言したり「今度マジで殴ろう」などと思ったりしているが(実際に殴ったことはない)、一方で五条に救われた事実から素直に言えないものの、五条を己の恩人としている。(10巻おまけページにて)
「一応恩人です……一応」
また高専に来たばかりの虎杖悠仁が五条に勝手に制服をカスタムされていたときには「気をつけろ五条先生こういう所あるぞ」と伏黒はアドバイスしたり、五条のシャツが25万円という高額であることが判明したときも1年生3人の中で1人だけ動揺しないなど、付き合いの長さをうかがわせる発言が多い。
危険に陥った状況では五条を頼ることが多く、あまり態度には出さないが内心かなり五条を頼りにしているようだ。
五条はボロボロの伏黒を見て写真を撮ったり、ハートをつけて話すなど、伏黒に対しては無遠慮で砕けた態度を取っている。物語の序盤では本来なら死刑になるべき虎杖を死なせたくないという伏黒の願いを五条は引き受け、虎杖の死刑に自身の権限で執行猶予を付けた。
五条「…私情?」
伏黒「私情です なんとかしてください」
五条「可愛い生徒の頼みだ 任せなさい」
一方で伏黒のポテンシャルを評価しつつも自他を過小評価した材料でしか戦術の組み立てが出来ず、自身の「奥の手」のせいで最悪自分が死ねば何とかなると思ってしまっている伏黒にもどかしさを感じており、「死んで勝つと死んでも勝つは全然違うよ恵」「本気でやれ、もっと欲張れ」など厳しい言葉で発破をかける場面も。(7巻にて)
8・9巻に収録されている五条の過去編は五条と親友の夏油傑の青春と夏油が離反に至るまでの思い出がメインだが、過去編の最後は幼い伏黒との出会いで締め括られる。
五条は初対面の幼い伏黒に対し、「強くなってよ、僕においていかれないくらい」と、夏油のような過ちを二度と繰り返すまいとした切実な願いを込めた言葉をかけた。
伏黒の声で過去の夢の眠りから覚めた五条は、夢の最後の幼い伏黒と目の前の成長した伏黒を見て笑った。
伏黒「何 笑ってんスか」
五条「別に♡」
五条と伏黒の2人の出会いが描かれた回のタイトルは『これからの話』である。
8・9巻の「懐玉編」(五条の過去編)において、実は伏黒の父は五条が殺しており、伏黒はそれを知らないまま五条に呪術師になる為の指導と支援を受け、五条を恩人としていることが判明した。
当時高専生であった五条は、高専からの依頼により天内理子の護衛任務につく。対して伏黒の父・禪院甚爾(伏黒甚爾)は天内の暗殺を依頼されていた。2人は激闘し、戦いの末に甚爾は死亡する。
甚爾は死の間際、五条に対して「2、3年もしたら俺の子供が禪院家に売られる、好きにしろ」と言い残し、息を引き取る。五条はそれを受け、高専5年生の時に当時小学1年生の伏黒に会いに行った。
初対面の際、五条は自分が甚爾を殺したことを伏黒に伝えようとしたが、伏黒が小学生らしからぬ諦観を含んだ言葉で五条の説明を遮ったため、結局告げることはないまま、今に至る。
そのため伏黒は五条が父親を殺したことを知らず、父親は今も何処かでのうのうと生きていると思っている。
(テレビ番組漫道コバヤシにて作者は甚爾の件は五条から伝えるべきだと思う、その辺は後々と答えた)
14巻では五条家と禪院家は昔から仲が悪く、その理由はかつて五条と同じ術式を持つ五条家当主と伏黒と同じ術式を持つ禪院家当主が相討ちして死亡した事実に起因することが明らかになった。
五条によると江戸時代 慶長の御前試合で、当時の当主同士が相討ち死亡した。そのときの術式が現在の五条の持つ六眼持ち無下限呪術使いと伏黒が持つ十種影法術であった。
(当時の五条家当主が、五条悟と同様に無下限の術式と反転術式を同時に使用出来ていたかは不明)
その御前試合で使用した呪術界御三家相伝の術式が、五条悟と伏黒恵という同時代に生きる者に約400年振りに共に発現しており、なんとも過去の因果を感じるものとなっている。
(ファンブックによれば、六眼と無下限の抱き合わせは当時の当主から悟まで1人も現れておらず、悟が400年振りの同時発現者。十種影法術の発現率については不明)
これに関連した五伏の作品は慶長五伏と呼ばれる。
五条「僕と同じ六眼持ちの無下限呪術使い ちなみに相手の術式は恵と同じ十種影法術」
伏黒「!!」
五条「僕の言いたいこと分かる?」
16巻では伏黒の立場をめぐる禪院家との取引が明かされた。禪院家と五条悟の間でどのようなやり取りがあったかは具体的には不明だが、禪院家当主である直毘人の遺言状の中には
「なんらかの理由で五条悟が死亡、または意思能力を喪失した場合、伏黒恵を禪院家に迎える」(要約)
とする記述があり、実際のところ禪院家と甚爾が結んだ伏黒恵の売買誓約は無効となっておらず、五条悟の存在が担保となることで一時凍結していたに過ぎなかったことが明らかとなった。(誓約凍結の条件を五条自身が提案したのか、直毘人の独断によるものかは不明)
伏黒自身は「俺にもう禪院家との繋がりはない」と口にしていたが、前述の通り禪院家は伏黒を引き抜くことを諦めておらず、そのような中で9年もの間、「伏黒恵」としての立場は五条悟の存在によって守られ続けていたのである。
17巻では伏黒が禪院真希と当主問題について話し合った際には、真希から禪院の当主になるよう求められ、「相伝の術式を継いでいること!領域を会得していること!更に悟に目をかけられていたドラが乗った恵でギリだ!」という発言があり、恵が五条に目をかけられていたことは禪院家では周知の事実であったことがわかる。
また禪院家内部では伏黒が五条家と良好な関係を築いていることを理由に、伏黒恵を当主にすることが五条家との関係修復の契機となると考え伏黒を当主に推す声もあった。
210話の来栖華の回想にて、呪霊に育てられている子供達を救出する任務で、高専の頃の五条とまだ小さい時の伏黒が共にその任務に付き、玉犬白で呪霊に育てられていた来栖を外に誘導し、呪霊から救出していた事が明かされた。その時に五条は任務をこなせた伏黒に褒めてるつもりでちょっかいを出したが、無視されたので拗ねて伏黒の頭をガシガシする描写が描かれる。このシーンのもたらした衝撃は凄まじく、多くの五伏オタクによる集中アクセスにより『ジャンプ+』のTシャツショップが暫く鯖落ちする自体にまで発展した。
221話では五条が復活したのだが、伏黒の肉体を奪った宿儺と遭遇した際に五条の反応にしては非常に珍しく汗を流しながら「しばらく見ないうちに変わったね…恵」と直前の怒りの籠った発言とは全く違う優しい口調で伏黒に語りかけている。
今までも上層部の陰謀など明確に怒りを表す事が多かった五条だが、その反面明らかに汗をかいて焦った表情や悲しそうな表情をするのは珍しく221話以外だと0の時の夏油傑を殺害する時と90話の夏油傑の死体を羂索に使われて封印された時以来である。
224話では宿儺と相対した際、宿儺が伏黒の姿から元の姿に変えない事に言及しているのだが、その内容が伏黒が第三者から見た際に五条の弱点になりうる事を認めたうえでそれでも伏黒ならば殴れると私情(伏黒の顔が父親と似ているから)と信頼が混ざった言葉で語っている。
また、この情報が出たことで伏黒の顔を複雑な思いで見ていながらも9年もの期間、ちょっかいをかけながら担当のように付いて周っていた事が逆に五条が伏黒に対し愛情を持って育てていたという裏付けにもなっている。
「じゃあなんでその面のままなんだよ、僕に手加減して欲しかったんだろ?残念ながら僕は特殊な訓練を受けててね、恵なら本気で殴れる」と因縁深き伏黒甚爾の顔を思い出す。
228話では摩虚羅を宿儺が出さない事について考察する際「恵と僕の会話の記憶」という言葉が出てきたのだが、五条の性格からして普通は"僕と恵"の順番になる、もしくは"僕との会話"でも通じるのにもかかわらず、恵を最初に置く所に愛情を感じ、普段から伏黒と摩虚羅達式神の事を話していた状況がわかり、五伏界隈を沸かせた。
229話五条の奮闘により宿儺を追い詰める事に成功しあとは首を切れば宿儺を倒せる状況になったのだが伏黒の救出を諦めていなかった五条は首を切らず心臓や肝臓といった臓器を狙った。
伏黒を大切に思っており死なせたくないが故の行動であったがそれが仇となり、まるで400年前の御前試合の再現の様に禪院家当主伏黒恵の姿をした宿儺の使う十種影法術にて五条家当主五条悟の領域"無量空所"に適応した摩虚羅を呼び出されてしまう……
以上を踏まえると2人の関係は
・先生と生徒。
・師弟関係。
・五条は9年間経済的な支援をしながら、伏黒姉弟の面倒を見ていたため、親子のような関係。伏黒にとって五条は父親のような存在であり恩人である。そして同時に父親の仇といった複雑な関係でもある。
・伏黒が大金で禪院家に売られそうになるのを五条が阻止する。
・五条にとって伏黒は初めて敗北を味わされ、夏油傑の離反のきっかけとなった因縁深き男の子供であり、自分を殺せるポテンシャルを持つ術式が刻まれた運命的な子である。
・確執ある両家の関係修復の契機になりえる間柄。
・互いに先祖の因縁を継いだ術式持ち。
といった運命を感じられる要素が多い。
アニメじゅじゅさんぽ
全24話のアニメでは、3話から23話まで本編の最後に作者が描いたネームを元にした「アニメじゅじゅさんぽ」が放映された。登場キャラクターの日常小ネタ話といった形で、五条と伏黒も登場する。
3話では、皆で寿司を食べようという会話で何処の店に行くか虎杖と釘崎で意見が割れる中、伏黒は「俺もどうせなら美味い方が、五条先生の金だし」と発言。五条と伏黒の遠慮のない仲が現れている。
4話では、電話についての話題の中で虎杖が「伏黒は電話の時よくイライラしてるよなー」と発言。それを受けた伏黒は「それは電話じゃなくて五条先生のせいだ」と返す。普段からよく五条と電話し苦労させられているようだ。
23話では、なんと伏黒が逆ナンされるのを五条達がフォーメーションを組んで阻止する回が放送された。(実際には道を聞かれていただけで逆ナンは虎杖の勘違い)
伏黒が逆ナンされていると誤解した虎杖が五条と釘崎にそれを報告。すると五条の「フォーメーションB!」という掛け声と共に3人は現場に走る。まず虎杖と釘崎が先に伏黒に抱きついて詰め寄っていると、後から先程まで着ていた上着を脱ぎ、胸元を開けて目隠しを外したサングラス姿の五条がキラキラとしたエフェクトと共に登場。
「(伏黒に)気安く触らないでもらえるかしらぁん 泥棒猫ちゃん達ぃ!!」
「恵ちゃんはこれから私とヴァイオッリーン!!のお・稽古なのよ!!」
「帰るわよ恵ちゃん!!今日こそ「キラキラ星」をマスターしてもらうわ!!」
泥棒猫ちゃん”達”には道を聞いてきた女性だけでなくなぜか虎杖と釘崎も含まれていた。
誤解が解けた後に伏黒が五条に「説明!」と怒ると再びキラキラとしたエフェクトを纏い伏黒をつんつんとつついて顔面の良さで全てを誤魔化そうとする五条。
若人の青春は何人たりとも邪魔してはならないと標榜する五条が率先して逆ナンを邪魔しにかかるという色々な意味で衝撃的な回であった。
ファンブック
2021年3月発売のファンブックでは、伏黒の初任務は「(五条に)いじわるされてそう」との記載がある。また体術などは五条と真希から教わったこと、高専入学前にも「担当みたいについていた五条」が「ちょいちょいちょっかい出しに行ったり任務に連れ」出していたりしたこと、五条が伏黒と禪院家の件で動いていた際には伏黒を連れて禪院家に訪れたことなどが書かれており、五条が伏黒に目をかけていたことが窺える。
ファンブックにて伏黒は「ネガティブで基本人を信用してない」と書かれているが、五条に対して「なんとかしてください」(1巻)、「来週には五条先生も帰ってくる」(7巻)などの台詞から、9年の歳月の中で五条のことを信頼していることが窺える。
公式ノベライズ
小説逝く夏と還る秋では、日曜日の朝に五条がテーマパーク パルケエスパーニャに伏黒を突然誘ったことが触れられる。
小説夜明けのいばら道では、伏黒の脳内で五条の言葉がフラッシュバックし、「伏黒の脳裏でイマジナリー五条が止まらない」と書かれた。
ファントムパレード
呪術廻戦のアプリゲームである『呪術廻戦ファントムパレード』で五条と伏黒の合わせ技の際に、五条が「恵〜♡」とハートマークをつけているような猫撫で声で伏黒の名前を呼ぶため、ファンをざわつかせた。