「ハートは血の色…スペードは悪魔…ダイヤは病気…クラブは絶望!君はダイヤの8でおじゃる!君はスペードの10!君はクラブの4!」
「ヒャハハハハ!ワタシの可愛いトランプ子供達、ゲームの時間でおじゃる~!」
「せっかく作ったトランプを、燃やしてしまうのは忍びないでおじゃるが、!ゴーマは最初からそのつもりでおじゃった!子供達は焼け死ぬ~!」
CV/演: 石井愃一
登場話数:劇場版『五星戦隊ダイレンジャー』(1993年の東映スーパーヒーローフェアで上映)
概要
扇型にトランプ広げる様をそのまま象った、特異な出で立ちの上半身が特徴で、その中のジョーカーの絵柄の顔が、こちらも当人の顔としてそのまま浮かび上がっている。
人間態もキングの絵札の王様を思わせる、手品師風の男の姿を取っており、この姿で子供達に手品を披露して興味を惹かせつつ、彼等を「トランプ子ども」に仕立て上げてみせた。具体的な理由こそ明かされなかったものの、記事冒頭に示した台詞からも明らかなようにこのトランプ子どもを焼却に及ぶのを最終的な目的としているが、自身も無類のトランプ遊び好きであるがゆえに、彼等を使って神経衰弱に興じてもいる。
戦闘においては、自らの持つ「魔法のトランプ」を駆使し、これを巨大化させることでスケボーや大団扇としたり、手裏剣のように飛ばしての攻撃を得意とする。これ以外にも杖や目からの光線を攻撃手段とする他、相手の身体を縮小化させてシルクハットの中へ閉じ込めたり、ゴーマ怪人の描かれた絵札から、その再生怪人達を召喚するといった術までも駆使することができる。
作中での動向
手品に興味を惹かれた子供達の額に、シルクハットの中から飛び出したトランプを貼り付けることで、作戦実行に向けた下準備を整えたトランプ公爵は、ゴーマの巨大球体を介して子供達を誘導し、集まった彼等をトランプ子どもへと変えてみせた。
作戦実行までの間、トランプ公爵は彼等トランプ子どもを使って神経衰弱に興じ、思い通りに行かないと八つ当たりに及んでいたのだが、その中の一人である周一を追って妹のまどか、そして大五・将児・知にアジトへ乗り込まれると、「私の遊びは誰にも邪魔させーん!」と正体を現して応戦。当初こそ劣勢に立たされながらも彼等を行川アイランドへとワープさせ、前述した術の数々でこれを圧倒すると、シャダムら三幹部に促される形で大五達をシルクハットに閉じ込め吹き飛ばしてしまう。
一方、まどかによって逃された周一らトランプ子ども達であったが、トランプ公爵はそんな彼等を「トランプトルネード」「スペードA大うちわ」で吹き飛ばし、さらに時間経過で完全にトランプに転じてしまった彼等を、本来の予定通り火の中へ投げ込もうとするのみならず、止めに入ろうとしたまどかまでもトランプに変えてしまおうとする。
が、土壇場で飛来した龍星王にこれを阻まれ、トランプを吹き飛ばされた上にシルクハットから脱出した大五達も合流したことで、5人揃ったダイレンジャーと干戈を交えることを余儀なくされてしまう。そんな彼等に対し、
「何を生意気な!私の本当の力を見せてやるでおじゃる!」
と、取り出した絵札から紐男爵、ガマグチ法師、鍵道化師、口紅歌姫の4体を召喚しけしかけてみせると、自身もリュウレンジャーと対峙し激闘を展開するも、天火星・稲妻炎上波によって敗北を喫し、再生怪人達ともども追い詰められるに至る。
進退窮まったトランプ公爵達は一斉に巨大化し、気伝武人・龍星王や天空気殿を相手に猛攻を仕掛けるもまるで歯が立たず、さらに大連王までも出てきたことで、
「ズルい!カッコよすぎる!!こっちがその気ならこっちだって…妖力合体!!おじゃるおじゃる~!!」
と、これに対抗すべく最後の「切り札」を持ち出すこととなるのである・・・。
オジャル大王
「どうです、素晴らしい合体でおじゃろう?人呼んで、オジャル大王~!!」
トランプ公爵を中心に、4体の再生ゴーマ怪人が「妖力合体」し誕生した合体怪人。
再生怪人達の能力をほぼそのまま行使することが可能で、左腕の鍵道化師が変形した「鍵剣」、右腕のガマグチ法師が銜え込んだ「口紅剣」(※2)による二刀流を駆使する他、腹部の紐男爵が繰り出す「紐電撃」やガマダンクにより、遠距離の敵にも対応できるようになっている。
もっとも、合体したところでその優位性を発揮できたのはわずかな間のみであり、ダイジャベリンによって紐による拘束を破られてしまうと、その後は大連王・大旋風によって巻き上げられた無数の岩石をぶつけられた末に、大王剣・疾風怒濤であっという間に斬って捨てられてしまった。
トランプ公爵の死により、トランプにされていた子供達も無事に元の姿へと戻り、子供達を狙った非道な作戦もここに頓挫を迎えたのであった。
(※2 本来の持ち主である口紅歌姫は背面に合体し、長く延びた足が尻尾となっている)
備考
デザインはマイケル原腸が担当。デザイン自体は気に入っていると語っているものの、いつ頃描いたかなど、詳しいところまでは記憶にはないともコメントしている。実際の造形物は頭部と肩周りがやや大きめとされ、より迫力を増す形でアレンジされた。
オジャル大王のデザインは篠原保によるもので、こちらはトランプ公爵と再生怪人達の合体を前提に、制作サイドから「合体とは言っても馴染むんじゃなくて、合体した部分がよく分かるようにしてくれ」「極端に言えばトランプ公爵の顔も変えなくていい」といった注文があったことから、所謂ブロック合体のように原型をそのまま残す形で、どのようにパーツとして配置するかしか考えていないと述懐している。こうしたアプローチは、後に篠原が手掛けた合体戦闘員(『海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE 空飛ぶ幽霊船』)などとも共通するものである。
演者の石井は、大五役の能見達也も所属していた「劇団東京ボードヴィルショー」の主要メンバーの一人でもあり、東映特撮にも同年放送の『有言実行三姉妹シュシュトリアン』を始めとする、東映不思議コメディーシリーズに多数出演経験を持つ。
スーパー戦隊シリーズへは本作が初参加であり、以降も『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(2007年)にて、吉良上野介役としてゲスト出演している。
関連タグ
紐男爵 サクラ子爵 万華鏡伯爵:いずれもトランプ公爵と同じく、爵位を肩書に持つゴーマ怪人達
吉田仁美:日本の女優、声優、歌手の一人。トランプ公爵が登場した劇場版に、子役時代の吉田がまどか役として出演している
天国と地獄:オッフェンバックの作曲によるオペレッタの一つ。この内の第3部が、トランプ公爵が神経衰弱に興じる際のBGMとして使用されている