「美味しゅうございました。メルシー・バク~♪」
データ
生息地:藪の中
特技:ヒトの夢(眠り)を食べる→ヒト共の夢(希望)を食べる
作戦:ヒト共の夢を食べ、「絶望の根」で地球を腐らせる
趣味:惰眠を貪る事
概要
夢を食べることで有名な怪獣「獏」の正体とされる幽魔獣。一般枠の幽魔獣では最後に登場した。
金色のジャケットを着たゾウの獣人のような姿で、ボディは紫、鼻は金色。ただしこの「鼻」は額から垂れ下がるようについており、本当の鼻は人間と同じで目と口の間にある。
またヨーロッパ訛りのキザな口調も特徴で、美食家のイメージか大きなナイフとフォークを武器とする。
地球を汚染する幽魔獣でありながらその能力は至って無害で、当初は眠った人間の夢を食べるだけであったが、膜イン達によってエルレイの匣のエネルギーを受ける事でパワーアップすると、人間が希望を持って願う夢(将来の夢、願望の夢)までも食べられるようになった。
パワーアップした時にこれで役に立てると喜んでいた事から、幽魔獣として自身の能力の無害さを気にしていたのだろう。
ちなみにパワーアップ後はベルトの周囲に煙を象ったような装飾が増えている。
パワーアップした能力により、彼に夢を食べられた者は抜け殻状態になってしまい、その身体から「絶望の根」が生える。これは絶望のエネルギーを養分として地球を腐らせる毒素を生み出す物騒な代物で、幽魔獣らしい凶悪な能力に進化した。
劇中ではその力で人々から夢と希望を奪い、それによって生える絶望の根で地球を腐敗させるべく行動を開始したが、同時に膜イン達がエルレイの匣の力を引き出す役目も担った。
劇中での活躍
「う~ん…今の夢、あまり美味しくなかったですねェ~……」
登場と共に食べた人間の夢の味に対して述べていると、膜インが「やぁ、捜していたよ」と話し掛けてくる。
卑屈になって「寝ているヒト共の夢を喰らうしか能の無いワタクシ~にど~んな御用でございましょう?」と尋ねると、膜インと筋グゴンのツートップはエルレイの匣に秘められた力の使い道を研究中であり、エルムガイ夢にはその実験台になってもらおうと答えるのであった。
斯くしてエルレイの匣の力でパワーアップしたエルムガイ夢は「これで仲間の役に立てマ~ス!」と歓喜、起きている人間からもフォークで夢見る魂を次々に奪っては食べまくる。
更に夢を食べられた犠牲者達の身体からは絶望の根が伸び始め、異変を察知したゴセイジャーが駆け付けて何を企んでいると詰られると、エルムガイ夢は不意に自己紹介をし始めた。
「ワタク~シ"獏のエルムガイ夢"と申しマス~が、獏といったら普通、寝ている時~に見る夢を食べる物でしょう? それがワタク~シ、夢は夢で~もいわゆるヒト共の希望を夢見る魂を食べられる位に進化したのデ~ス!エルレイの匣の力で!!」
エルレイの匣に幽魔獣を進化させる力がある事に驚きを隠せないゴセイジャー達だが、エルムガイ夢は気にする事無くマイペースに説明を続け。
「しか~も!魂を食べられたヒト共の体は絶望の根を生や~し…な、な、なんと地球を腐らせるのデ~ス!これからは存分に同胞の幽魔獣の為に働けるのデ~ス!」
「デスから邪魔しないで頂けませんでしょうか~!?」
エルレイの匣の力によってエルムガイ夢は特殊能力どころか身体能力まで強化されており、それに戦闘力を発揮、ナイフを武器にゴセイジャーを押して見せる。そこへゴセイナイトが駆け付け、5人から幽魔獣ではなく夢を奪われた人間達が地球を腐らせている状況の説明を受けて「夢とは何だ?」と真顔で質問。これに対してピンクが「例えば私だったらケーキをお腹いーっぱい食べたいとか!」などと答えるその隙を突き、エルムガイ夢はピンクの魂を捕食。再び上記の台詞を発して撤退した。
次々と人間達から夢を奪い、絶望の根を生やす事で地球を徐々に腐敗させていくエルムガイ夢。不意に鼻に飛び込んで来る甘い夢の香りに誘われて公園に着くと、そこにあるのは白い羽根。
どうやらこれが匂いの元らしいのだが、手に取ろうとすると弾けて消えてしまう。
羽根に宿った夢を食べようと必死で追い掛けるが、一向に手に入らず「キーッ!いつになった~ら食べられるのデス~!?」と叫ぶと其処に響く「お前に食べさせる夢なんか無い!」という声。この羽根はエルムガイ夢を誘き寄せる為に残りのゴセイジャー4人が張った罠だったのだ。
天装チェンジで変身して再戦に臨むゴセイジャー達に「今更あがいても遅いのデス~ヨ! ヒト共の絶望の根によって地球は腐り果てるのデスか~ら!」と言い放つエルムガイ夢だったが、取り込んだピンクの魂が体内で他の人間達の魂に語り掛け、その夢を思い出させた為にエルムガイ夢の体内の夢は急速に膨張。信じられない事態に「ノ~ン!そんなハズ~はありませ~ん!彼らの夢~はワタクシ~が美味しく頂いたハズ~!」と戸惑うエルムガイ夢だったが、レッドは「いや、夢は自分で諦めない限り、何度だって蘇る!!」と強く言い放つ。
その言葉に呼応するかの様に人々の夢は膨張を続け、遂にエルムガイ夢の支配から解き放たれた。
混乱するエルムガイ夢目掛けて4人が襲い掛かり、更にそこへグランディオンヘッダーに乗ってゴセイピンクが颯爽と登場。スーパーピンクトリックに怯んだ所へスーパースカイダイナミックとナイトダイナミックを同時に叩き込まれて敗北した。
だが、直後に筋グゴンが持った巣から放たれたビービ虫に噛み付かれ、「ボンジュ~ル!またお会いしました~ネ~」と巨大化。
「ホホホ… アナタ方の夢、まとめてイタダキマ~ス!」と叫び、ゴセイジャーとゴセイナイトの夢を食べようとフォークで立ち向かうが、彼らから夢を奪うことができない。
それは、夢とは人が今を生きる為の力であり、それを奪う事は誰にもできないこと、そして夢を守る為に自分達がいるという使命を知っていたからであった。
そしてスカイックゴセイグレートからのキックの2連撃から続くスカイックソニックブーム、そしてゴセイグランドのミサイル攻撃の連撃を受け、グランドゴセイグレートのグランドグレートストライクを叩き込まれた事で完全に敗北した。
「ぐっ!あぁっ、ぐわあぁぁッ!アデュゥゥーーーーッ!!」
筋グゴンは「フン!所詮奴は捨て石だったって事だな」と評する一方、膜インは「でも、エルレイの匣の力はやっぱり計り知れないねェ~」と返す。匣のポテンシャルを知った両者はゴセイジャーの打倒及び地球の腐敗の為の最終作戦へ向け、本格的に動き出そうとしていた―――――。
余談
好きな場所「藪の中」というのはリアルの獏が生息する環境。
メインモチーフは獏とカギムシで、最大の特徴である鼻にその意匠がみられる。またデザインには闘牛士も含まれており、ゴセイジャーが仕掛けたトラップにかかる様子はまさに闘牛士に向かっていく牛のよう。
一応未確認生物に含まれる河童や天狗、人魚と違い、バクは完全に妖怪(というか幻獣?)であり、UMAというにはかなりこじつけ気味。この辺りは遮光器土偶のピカリ眼やブロッケン妖怪のセマッタ霊、ミイラのゼイ腐辺りと同じタイプと言えるか。
名前の由来
『エルム街の悪夢』
この映画には夢の中で人々を襲う怪人(殺人鬼)が登場する。
幽魔獣の作戦・行動は名前の元ネタになった作品のワンシーンにちなんだものが多いが、生憎「夢の中で人を襲う」のも「相手を眠らせる」能力も前作でユメバクラがやっているため、「夢=希望→それを奪い絶望させる」という作戦になったと思われる。
なおロボットアニメには『重戦機エルガイム』というこれまた似たネーミングの作品があるが、幽魔獣の名前はホラー映画(もしくはモンスター映画)にちなんだものなので間違いなく無関係だろう。
中の人繋がり
声を演じた伊岡丸氏は放送時期の近かった仮面ライダーOOOでもウニアルマジロヤミーというこれまた眠りに関係する怪人の声を当てている。
関連タグ
バクシンカ:昭和の偉大なる先輩。
バクキ、夢幻サイマ獣バハムー、悪夢忍者ユメバクー師:過去作品の先輩達。
ユメバクラ:前年に登場した夢に関する戦隊怪人。。ちなみに中の人はマトリンティスのボスと同じである。
妖怪バク、ユメパックン(キュウレンジャー)、ネロー・キルナー:後のシリーズの後輩。