「来たな、不確定要素!我が名は研究のアバウタ。私の研究によってこの星は近い将来滅ぼされることになるだろう」
データ
出身星:ズテラメドロプ星
特技:研究によって相手の弱点や効果的な作戦を発見する
任務:地球人の殲滅(研究の結果、植物消滅作戦を選択)
趣味:研究
概要
モンス・ドレイク率いる宇宙虐滅軍団ウォースターの一員のズテラメドロプ星人。8つの目を持ったヘビトンボに似た姿をしており、さながら研究者が身に纏う白衣を思わせる意匠が目立つ。
荒くれ者が多いウォースターの構成員としては珍しく、二つ名に恥じぬ頭脳派で、研究対象を多角的に観察するのに適した6つの主眼と2つの研究眼を持ち、8つの眼で採取したデータを持ち帰り、これまでに集めた膨大なデータと照らし合わせて研究し尽くす事で最適な作戦を立案。更に戦闘において相手の弱点を研究して突く戦法を得意としている。
それにより本編では地球上の植物を全て消し去り、酸素の供給を止めれば生命を自動で滅ぼせると結論付け、植物の撲滅作戦を実行した。
ただ、何事も綿密な研究を重ねた上で対処するという慎重な性格の持ち主でもある為、この手の頭脳派タイプにありがちな想定外の事象には対処出来ないと言う致命的な弱点を抱えており、劇中でも自身の計画と戦略と研究の穴を突かれてまんまと敗北すると言う顛末を辿ってしまう。
主な攻撃手段は剣による斬撃と手から発射する手裏剣状の光弾で、背中の羽根による飛行能力を併せ持つ。
劇中での活躍
epic7 「大地を護れ! 」に登場。
地球侵略を目論むドレイクは、その役目をアバウタに一任。彼は既にその為の作業に入っており、自室でデータを解析しながら「全てを研究し尽くすのも時間の問題だ」と不敵な笑みを浮かべていた。
作戦の一環として街で人々を襲っていると、計算通りにゴセイジャーの5人が出現。交戦となるがアバウタは反撃らしい反撃をせず、ただ5人の攻撃を続け様に受けるだけであった。
だが、これもアバウタの狙いであり、そうする事でゴセイジャーのデータを採集していたのである。やがて5人のデータを一通り採集し終えるや、アバウタは「護星天使達よ、このデータを元に私が研究を重ねたならば、次に会う時が貴様らの最期の時となる!」と告げ、空気に溶ける様に消えて退散する。
その後、本拠地であるインデベーダーに戻ると、6つの主眼でゴセイジャー5人のデータの分析作業に入っていた。そこへドレイクが現れて「研究は終わったか?」と尋ねると、自信有りげに「はい、私の研究の成果にご期待下さい」と二つ返事で答え再度出陣。
「研究のアバウタ、どこまでやれるか見せて貰おう……」
その様子を物陰からデレプタが遠目から眺めながらそう呟いていた――――。
一方その頃、地球でエリとアグリの2人が農家の畑仕事に勤しんでいると、羽音を立ててアバウタが再び地球に飛来。
口から発射する光線を眼下の森に放つと、一瞬で森を粒子レベルで分解して砂漠に変えてしまう。
「ハハハハッ!実験成功!本格的に作戦を開始しよう!」
地上に降り立ち、自身の行った実験が上手く行った事を喜んでいると、そこへエリとアグリ、そして遅れて残りの3人が現れる。エリが森を壊して何をする心算だと尋ねるとアバウタは淡々と答える。
「私の研究によれば、この星の植物を消滅させるだけで任務は完了する」
「酸素か?」とハイドが問うや、アバウタは「そうだ」と返し、続け様に説明する。
「酸素の供給源が無くなれば地球上の生物は勝手に滅んでくれる。効率的だろ?」
確かに地球の生物の殆どは呼吸で酸素を取り入れて生活している為、その供給源である植物が地上から無くなれば地球は生物の存在を許さない死の星となる。地球侵略の見地から見て、アバウタの研究は一見的を射ている様に見える。
ブラック「残念だがその研究って奴には致命的なミスがある様だな」
だが、それに対して反論したのはアグリだった。
「何?」
ブラック「んな事しようすれば俺達が黙っちゃいねぇって事だ!」
そう、アバウタの研究による作戦の成功は、邪魔者であるゴセイジャーと言う存在がいない場合に限っての話であり、彼等が障害として立ち塞がるとなれば話は違う。
ゴセイチェンジした5人は再びアバウタに立ち向かっていく。然し、その事態を想定していない程アバウタも馬鹿ではない。
「私の研究の成果、その目に焼き付けろ!」
向かって来る5人に対して啖呵を切るや、アバウタは先ず、連携の要であるブルーを先制攻撃で叩き、次にスピード自慢のレッドとピンクに剣で斬り掛かって機動力を奪う。そして最後に力任せに向かって来るブラックとイエローの兄妹を翻弄して嬲る等、先程の戦闘で得たデータを元に的確に5人を圧倒。研究し尽くしたゴセイジャーなど、最早脅威ではないと断じ、最後に手から手裏剣状の光弾を連射して蹂躙すると言う、『研究』の二つ名に恥じぬ強さを見せ付けた。
「ハッハッハ!目障りなお前達がいない所で、作戦を続けるとしよう!」
5人を嘲笑いながらそう勝ち誇るや、アバウタは再び新たな植物を枯らすべく、エリとアグリが厄介になっていたキャベツの農家の方面へと飛んで行こうとする。
これを阻止すべく、ブラックはスネークバレットで飛んで行くアバウタを拘束、地面に叩き落として妨害する。
ブラック「言ったはずだ。黙っちゃいねぇってな!」
「良いだろう。先ずはお前を片付けてやる!」
啖呵の切り合いもそこそこに、ランディックアックスを片手に向かって来るブラック。対するアバウタも負けじと光弾を連射するも、全て弾き飛ばされる。
するとブラックは、そのままアックスを上空へ放り投げてアバウタの足元に掴み掛かるや、そのまま大根を抜く時の要領で彼を転がし、マウントポジションを取るとさらに大根を洗う時の様に弄ぶ。
くすぐったくてのた打ち回るアバウタ目掛け、ブラックは最後に落ちて来たランディックアックスをキャッチしてそれを思いっ切り振り下ろし、渾身の一撃を叩き込んだ。
「何故だ……?私の研究は完璧の筈だ!」
アバウタの誤算は、アグリが農作業を通して更なる強さを手にしていた事だったが、自身の研究の穴を認められない当人は激昂。そのままビービ虫に自らを噛み付かせて巨大化する。
対するゴセイジャーはゴセイグレートで応戦すべくゴセイマシンを召喚するも、この事態を想定していたアバウタは足の部分を担うスネークを狙ってエネルギー弾をぶち込み、踏み付ける事で合体を阻止する。だが、この状況を受けたアグリは即座にランディックブラザーを召喚。
「何っ!?こ、これは研究してなかった!」
想定外の援軍の攻撃に怯んだ隙にスネークを解放してしまい、そのままランディックゴセイグレートへの合体を許してしまう。
負けじと応戦するアバウタだったが、剣を頭部のクワガヘッダーで防がれ、両足のサイヘッダー、ティラノヘッダーによるキックをお見舞いされてよろめいた隙を突かれた所へ、止めのランディックストライクを受けて爆散するのだった。
余談
名前の由来はヘビトンボの学名の『プロトヘルメス』と映画『アバター』。他にも研究の英語名「about」との語呂合わせにもなっている。
緑を消滅させると言う作戦行動も、名前の由来となった映画の中に地球側が別の惑星の自然を破壊して侵略を行う展開が有った事が元ネタと考えられる。
全体的に人体模型と骸骨模型の意匠が入っており、ヘビトンボの羽根を白衣に見立てているが、彼は「研究者」という訳ではなく、単なる研究熱心な宇宙人に過ぎない。
デザイナー・酉澤安施氏によれば、「科学を連想させる為に理科室の人体模型を取り入れ、身体を筋肉と骨の半々で構成し、『相手の動きをサーチする』という事で頭部に6つの単眼を付けた」らしい(『百化繚乱[下之巻]』より)。
声を演じる野島氏は『秘密戦隊ゴレンジャー』のダイヤモンド仮面や鳥牙仮面以来、実に34年振りにスーパー戦隊シリーズの怪人の声を演じる事となった。
彼の息子の長男と次男もまた声優であり、長男の野島裕史氏は翌年の『海賊戦隊ゴーカイジャー』のワルズ・ギル役、次男の野島健児氏も2年前の『炎神戦隊ゴーオンジャー』の害水王子ニゴール・ゾ・アレルンブラ役でそれぞれスーパー戦隊シリーズに出演している。
前話に登場した韋駄天のヒドウ役の高木渉氏とは某推理アニメで親子役として共演しており、「息子の敵討ち」とネタにされることも。
また、農家の役でゲスト出演した渡辺哲氏は後に仮面ライダーゼロワンの第3話に出演した。
関連タグ
天装戦隊ゴセイジャー ウォースター 悪しき魂 avatar ヘビトンボ
イミテイションのサロゲDT:同作品に登場した、ゴセイジャー達の戦力データを分析した上で苦戦させたものの、想定外の戦い方に敗れた怪人つながり。
ノームマイナソー:『騎士竜戦隊リュウソウジャー』に登場する白衣を着た虫のデザイン繋がりの戦隊怪人。
策士サイマ獣スパイダラス:『救急戦隊ゴーゴーファイブ』に登場した戦隊怪人で、同じく戦う前に敵の分析を事前に行う策士タイプ。
SSパマーン:『激走戦隊カーレンジャー』に登場した研究家繋がりの戦隊怪人。