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「私の城に入るのに、裏口から入らねばならぬ理由があるのかね?」

概要

CV:柴田秀勝木内秀信(青年期)
演:舘ひろし(実写映画版)

アメストリス国軍の最高指導者であり、軍事独裁政権の国家元首にして独裁者
戦場での数々の功績から44歳の若さで大総統となり、現在の軍部中心の中央集権的な国家体制への移行や、「国家錬金術師制度」含めた各軍拡政策の導入と、軍事力増強と周辺国への侵略や戦線拡大と併合、それによる急速な領土拡大とそれに伴う民族弾圧・民族浄化などを押し進めた人物。
即ち現在の「軍事国家アメストリス」を築き上げた張本人である。

黒髪のオールバックと口髭、左目のアイパッチ(眼帯)が特徴の男性。
年齢は60歳だが、日頃の厳しい鍛錬のおかげで若々しい肉体美を維持し、戦いではサーベルを愛用する。表向きは軍人として厳格な態度を示しつつ、ジョークも交えるお茶目なナイスダンディとしての姿を見せているが、実際はその強硬な軍拡政策の数々と、イシュヴァ―ル殲滅戦を初めとした容赦ない民族弾圧や侵略戦争の数々で、国内外から広く恐れられている人物である。

家族構成としては妻のブラッドレイ夫人と養子のセリム・ブラッドレイがいる。
軍属である国家錬金術師、主人公のエルリック兄弟にとっては、上司(?)という事になる。

国家錬金術師とは、「人間兵器」「軍の狗(いぬ)」などとあだ名され、平時には国家予算を受領する引き換えに様々な研究に協力し、戦時においては錬金術の知識を応用して戦場に投入される。
物語の冒頭以前に起こったイシュヴァール殲滅戦と呼ばれる大規模な内乱では、初めて彼等が実戦投入されて大きな戦果を挙げ、国内外にその存在を知らしめる事となった。

イシュヴァール殲滅戦は、軍と少数民族イシュヴァール人の宗教的な衝突から始まり、隣国からのイシュヴァール人への武器提供で戦線は一気に拡大した。それに対してブラッドレイは大統領令を発令して殲滅戦開始を指示し、同時に自らが直接陣頭に立って指揮を行った。
また、この当時軍部に所属していたイシュヴァール人全員の軍籍を剥奪した上で、軍によって拘束させた後に全員処刑する(処刑執行の理由については、彼等が“イシュヴァール人だから”というその一点のみである)など、ブラッドレイは敵味方・老若男女問わず、一民族を完全に根絶やしにするまで徹底した掃討戦と大粛清を行い、その苛烈極まりない姿勢を広く知らしめた。
加えて内乱の半ば、イシュヴァールの宗教的な最高指導者が和睦を求めて投降したが、これら降伏の声もブラッドレイの命令で一切聞き入れられずに、彼等交渉団も全員拘束され処刑された。
さらには火傷による人体の致死レベルを探る軍事実験や、ホムンクルス達による「賢者の石」錬成実験など、裏では様々な非人道的な人体実験の数々を主導しており、それらの実験の実験体や素材として、拘束した捕虜や元イシュヴァール系の軍人達を利用する事を指示していた。

その後もイシュヴァール人への殺戮は続き、周辺国もイシュヴァール人の亡命を拒絶した為に、物語開始時点ではアメストリス国内で僅かな生き残りが隠れて細々と暮らしている。
この戦いを経て、イシュヴァール戦に参加した一部の軍人、特にロイ・マスタングらは、“イシュヴァールの英雄”とされながらも、現在の国家体制やブラッドレイのやり方に疑問を抱き始める。

彼が独裁者となって以来、アメストリスは常に周辺国との散発的な戦争状態にあり、内乱やテロも後を絶たず、軍人だけでなく民間人でも腕や足を無くした人々が大勢おり、それに比例して人工の手足=機械鎧(オートメイル)という技術を初め、医療技術なども飛躍的に進歩している。

云わば漫画『鋼の錬金術師』の重々しい世界観は、この独裁者によって生み出されたのである。

初登場時は、軍事国家の独裁者という恐ろし気な前触れにも関わらず、公務をサボってエドのお見舞いに現れる。エルリック兄弟に対しては好意的であり、国家錬金術師の査定をあっさり通過させたり、兄弟の生き急いだ危険な行動に警告したりする。
エドの後をこっそり尾行した際は、アロハシャツにソフト帽というラフな姿で変装するなどお茶目な一面も見せる。

しかし、エドが国家錬金術師試験に挑んだ時に素早い抜刀を見せたり、デビルズネストのキメラ達を難なく斬り伏せ、最強の盾を持つグリードすらも圧倒したりなど、ただならぬ気配を見せつけている。また上記の通り、現在のアメストリスを築いた張本人である為に、軍や国家の改革を目指しているマスタング派の人間からは、気を許されてはおらず、内心ではいずれ打倒すべき相手として見られている(国家錬金術師試験でエドが彼に刃を向けた際にも、マスタングだけは全く動揺しておらず、むしろ「エドが彼を殺してくれれば上の席が1つ空いた」と発言している)。

鋼の錬金術師の軍部の登場人物は、兵器の名前から付けられているが、彼の場合、M2/M3ブラッドレー歩兵戦車

正体

「私はね……君のように全てを弾く最強の盾を持っているわけでもなければ、全てを貫く矛を持っているわけでもない」
「そんな私が、どうやって弾丸飛び交う戦場を生き抜き、功績を立てて今の地位にいるのか」

「君に最強の盾があるように、私には最強の眼があるのだよ」

不撓不屈六十年史


その正体は、7番目に造られた“憤怒”のホムンクルスラース」である。

ただし、ラストら他のホムンクルスとは作成方法が異なり、普通の人間の体に賢者の石を注入されて適合した事によりホムンクルスとなった。左目のウロボロスの紋章は、賢者の石を流し込まれた時に現れた。元は「お父様」の計画により、幼少期からアメストリスの独裁者という役を演じさせる為に、あらゆる教育を施された大総統候補生の一人であり、十二番目の被験体(ちなみに若い頃の外見は、どことなくマスタングに似ている)。
この紋章は普段は眼帯で隠し、怪我で失ったかのように偽装している。

この際、賢者の石の魂やエネルギーと肉体を奪い合って反発し合い、その結果魂が一つだけ残ってホムンクルスとして完成した。元が人間である為に、他のホムンクルスとは違い黒い服と幾何学模様の入った肉体はなく、魂が一つしかない為に、ホムンクルスの再生能力も持っていない。それに伴って老いる事のない他のホムンクルスとは違い、加齢によって老化するという特徴もある。
これは彼に与えられた役割の関係上、どうしても必要不可欠な要素であったが、ブラッドレイ自身は身体が思う様に動かなくなっている事を不便がっている。しかし魂が一つしかない為に、リン・ヤオを初めとした、魂の気でホムンクルスを見分けられるシンの人間すら、当初は彼を人間だと認識していた。

現在の「キング・ブラッドレイ」という名も、生き残った時に彼の人体実験を担当した医師からその場で与えられたもので、本当の名前は不明。そもそも賢者の石を体内に注入された結果、元々の肉体にあった魂と注入された賢者の石の魂が激しく争い合い、その結果現在の「キング・ブラッドレイ」の人格を司る魂だけが残ったのだが、この「キング・ブラッドレイ」の魂が元々「彼」の肉体に宿っていた魂なのか、注入されたホムンクルス・ラースの魂なのか、それともそれを構成する賢者の石の無数の魂の誰かのものなのか、あるいはそれら全てが交じったものなのか、彼自身にも分かってはいない。つまり現在の「キング・ブラッドレイ」と名付けられた人格が、どこから来た誰なのかは誰にも分からないのである。そういう意味でも彼は正しく「名無し」である。

アメストリスは建国の段階からホムンクルス達の支配下にあり、彼はホムンクルスの計画に沿って国を作り替える最後の舵取り役として生み出された。そしてそれ以降は計画に従い友人や部下、功績を与えられ、命じられるままに己の役をこなしていた。
上記したアメストリスの急速な軍国化や、それによる領土拡大を推し進めたのも、全ては「国土錬成陣」完成に必要な領土を確保しそれを保持する為であり、各地での戦線の拡大や民族弾圧も、国土錬成陣の各ポイントに錬成陣完成に必要な「血の紋」を刻む為である。「国家錬金術師制度」も人柱やそれに成り得る錬金術師を効率よくピックアップし、それらの人材を軍の管理下に置く為の政策だった。

戦闘スタイルと能力

大総統候補として培った教育により、あらゆる戦闘術に精通している。
作中では特にサーベル(剣術)を使用。60歳の現在も実力は健在で、エドの国家錬金術師試験において目にも留まらぬ速さで剣を抜き、彼の突き出した槍をエドに覚らせずに切断している。

また、状況に応じて二刀流やナイフなど、とにかく刃物を好んで使っている。
グリード一味によるアル誘拐事件の際は、手に一本のサーベルと、腰に四本のサーベルを差せる専用の鞘を装備した姿で登場しており、作中では複数のサーベルを虫ピンのようにグリードの全身の各部位に刺して、彼を拘束する為に使っていた(この鞘はこれ以降は一度も使われておらず、作中での用途からも、ホムンクルスであるグリードを捕獲する為の装備だったと思われる)。全身にサーベルを刺して動きを封じるという拘束方法は、旧アニメ版でもラストに対して行っていた。
ちなみにコミックスの表紙裏では、「ブラッドレイ式五刀流」と称して、両手・耳の穴・尻の穴にそれぞれサーベルを装備したネタ絵が描かれている。

ホムンクルスとしての能力は「最強の眼(め)」。銃の弾道すら見切る常人離れした動体視力を持ち、ホムンクルスの身体能力と合わせて、素早い動作による高速近接戦闘術で相手を圧倒する。
ただし上記のように、魂のストックが最初から一つしかない為に再生能力はなく、人間同様に老化する為に、本人も寄る年波による自身の身体能力に衰えを感じている発言をしている(ただし、ホムンクルスとしての能力である「最強の眼」は、老化による視力の衰えはないらしい)。

上記のように体質自体は普通の人間と大差がないが、その戦闘能力はプライドと並んでホムンクルス内でも上位クラス。その踏み込みの速さは同じホムンクルスで「最強の盾」を持つグリードでも皮膚の硬化が間に合わないであり、満身創痍の状態でも、マスタングの焔よりも速いスピードで彼に詰め寄り、作中でも近接戦においては最強格の実力を持つ傷の男(スカー)ですら、満身創痍のブラッドレイを相手にして、ほぼ相討ち寸前まで追いつめられていた。
戦闘スタイルは怒りのホムンクルスらしく、常に相手に対する苛立ちや怒りを露わにしながら、その性格や在り方を体現したような、極めて苛烈に激しく相手を攻め立てる戦い方をする。

ホムンクルスとしての能力だけで言えば、シンプルに眼が良いと言うだけであるにも関わらず、広範囲に対する攻撃能力を持つプライド、グラトニー、エンヴィーや、身体能力に特化したラスト、グリード、スロウスよりも遥かに長気に渡って主要キャラ達を苦しめた存在である。
しかし上記の事実からも分かる通り、彼の強さは40年近く戦場を駆け巡って来た実戦経験と厳しい鍛錬によるものであり、賢者の石とは直接の関係は殆どない。リンがベースとなった二代目グリードからも分かるように、ホムンクルスのベースとなる人間はその能力を存分に使える強靭な肉体と精神力が必要となるが、彼の場合はむしろ人間としての能力がホムンクルスの能力を最大限に引き出した上で、それを上回った存在だと言える(それに対してリンは、注入されたホムンクルス・グリードと数多の魂達を全て受け入れて共生する事で、人間ベースでありながら複数の魂とそれによる再生能力を有しており、ある意味ブラッドレイすら超えて完成された新しいホムンクルスと言える存在である)。

実際、スカー戦では最強の眼を使えなくなっていたにも関わらず、恐ろしい程の強さを存分に見せつけており、死後にアームストロング少将に、スカー自身が自分が勝てたのは誰かが致命傷を負わせていたからだと述懐しており、その状況でもなおスカーを殺す一歩手前まで追い詰めていた。
アニメ版「FA」での彼の戦闘シーンは作画の良さも相まってどれも気合の入った作りになっており、その強さを眼と言うよりも肌で感じる事のできる必見のシーンとなっている。

実際の人物像

当初は前述の通り、好々爺としてのイメージが強く描かれ、兄弟やマスタングに対し、何かしらの助力こそするものの物語に大きく関与する事はなかった。

しかし、アルフォンスがホムンクルスのグリードにさらわれ、デビルズネストに突入した際、その正体が明らかとなる。
大総統自らが陣頭で戦うという異常さも、自分達から離反したホムンクルスがいる事を予め知っていた上での行動であり、これまでのエド達の味方であるかのような振る舞いも、全て偽りだった事が明かされる。


  • エドとマスタングの対決を軽いノリで許可する→人柱であるエドと、人柱候補であり同時にホムンクルス側からもその錬金術の力を危険視されているマスタングの実力を、改めて再確認する為。
  • 第5研究所の事件の後にエドのお見舞いに現れる→第5研究所で自分達が行っていた賢者の石の精製まで辿り着いてしまったエド達に、これ以上首を突っ込まない様に暗に釘を刺す為。
  • 国家錬金術師試験で自分に刃を向けたエドを気にせず合格にする→エドが手合わせ錬成を行った事から、彼が真理の扉をその身に宿している=人柱だと確定した為。
  • 中央に来ていたウィンリィと他愛もない話をする→ウィンリィのエルリック兄弟にとっての重要性を確かめ、有事の際は彼等を脅迫して縛り付ける人質にする為。
  • 列車の中でエドがでっち上げた国家錬金術師査定の資料を、碌に確認もせずに軽いノリで合格にする→既に人柱である事が確定していたエドを、国家錬金術師として軍の管理下に置くのが目的なので、最初から査定の内容など本当にどうでも良かった為。
  • エド達の後を追って旅行感覚でダブリスを訪れる→人柱であるエドの師匠のイズミ・カーティスが人柱と成り得る人材であるかを確認し、成り得る場合は国家錬金術師に勧誘する為。
  • デビルズネストで自ら指揮してエド達を救出する→人柱のエドを救出した上で、逃亡したホムンクルス・グリードの身柄を密かに確保する為。ついでに軍で行っていたキメラ研究と人体実験の産物であるキメラ兵士達を片付けて、事態を隠蔽するのも目的だった。
  • アルが空っぽの鎧である件を見逃し、エドにアルを大事にするよう声をかける→アルもまた真理の扉を開けて肉体を持っていかれている=人柱だと確定した為にあえて2人を見逃した。アルを大事にしろというのも、言葉通り人柱確定のアルを大事にしろという意味である。
  • アニメ第一話のオリジナルエピソードで、エド達が戦っていた元国家錬金術師のテロリストのアイザックを、自らが直接前線に出て来て倒す→軍が行おうとしている計画をある程度掴んでおり、同時に賢者の石の被検体でもあった彼が、エドやマスタング達に捕まる前に口封じをする為。この際に「息子に良い土産話ができた」と語っていたが、これは言葉通り事の顛末をプライドに報告するという意味であり、さらに事件の真相を隠蔽する為に、あえて事件解決はマスタングの手柄であるとした。
このように、序盤の一見軽くて何気ない言動の数々も、改めて見直すと全て「ホムンクルス」としての活動である事が分かる。実際にヒューズは、これらの今までのブラッドレイの言動から、自身が突き止めた情報を大総統府のブラッドレイに報告する直前に、彼がクロである事に勘付いた。

上記の好々爺然とした軽いノリのキャラは、全て政治的に対外へ向けて作った表向きの人物像に過ぎず(マスタングやグラマンが作っていた「女好きの遊び人キャラ」などと同じである)、実際は敵対する者に対しては一切の情け容赦も話し合いの余地もなく、徹底的に殲滅する苛烈極まりない冷酷非情な独裁者にして、冷淡なまでに現実のみを重視するリアリストである。その姿勢はイシュヴァール殲滅戦の際の容赦のなさなどにも表れており、その本性を知る者達からは非常に恐れられている。

デビルズネスト戦でも、交渉も降伏の機会すらもなく容赦なく相手を殺戮し、そのブラッドレイの冷酷な所業に意気を挫かれた部下のアームストロング少佐に対しても、「敵に情けをかけるな、だからお前は出世できんのだ」と、容赦なく突き放す言葉を投げかけるなど、これまでとは全く異なる素顔を見せている。同時に軍関係者の間でも、彼のそういった容赦のなさは恐れられており、彼が動くという事は、即ち敵対勢力は徹底的に殲滅される事を意味するものだと、広く知られている事も明かされた(実際に元軍属だったデビルズネストの面子も、ブラッドレイが来ていると聞いただけで、ここにいる者を一人残さず皆殺しにするつもりだと理解していた)。そういう意味では最早歩く死亡フラグとすら言える人物である。
またアームストロング少佐の方も、それまではブラッドレイとは親し気で忠誠心の高い様子を見せていたが、後に本当はマスタングが軍のトップとなって、現在の国家を改革する事を望んでいるマスタング派の1人である事が明かされ、実際は反ブラッドレイ側の人間だった事が判明した。

ホムンクルスとして
ホムンクルス・ラースとしては、基本的には他のホムンクルスと同様に、ホムンクルスである事に強い矜持と優越感を持っており、自らを「人間より優れた優良種」と称して、お父様に対しても高い忠誠心を持っている。その為に、ホムンクルスとしての使命や計画を遂行する事自体には一切の迷いも躊躇いもない(マスタングから「元人間なら人間として生きられるのではないか」と問われた際にも、きっぱりとそれを否定し拒絶している)。
しかし一方で、単純に人間を軽蔑している訳ではなく、リンオリヴィエ目的への執念を気に入る様子を見せる等、度々語られる人生観や信条には他のホムンクルスのそれとは違った面も多々見られる。またマスタングには、実はイシュヴァール殲滅戦の後に、周囲の喧騒にも浮かれずに大総統である自身やその先を見据えていた姿から、その時点で興味を抱き目を付けていた。

また人生の全てを用意され、盤石だが不自由な計画通りの人生をこれまで送ってきた事に、多少の不満を抱いており、唯一自らの選択で得た自身の妻には特別な愛情を持っており、口では彼女との関係を「家族ごっこ」と称しながらも、彼女と家族で過ごす時や彼女について話す時には、好々爺然とした表面上のキャラでも、冷酷な独裁者やホムンクルスとしての素顔とも違う、穏やかな言動を見せている。
また、エドやマスタングの反逆といった強い信念と意思を持つ人間達の起こす、様々なイレギャラーや計画の障害に対して面白みを感じるといった一面もあり、内心ではそういった人間達と、大総統の地位も立場も一切関係なく、ただ純粋に戦う事を心のどこかで期待していた。

加えて同じホムンクルスの中でも、同じく「家族ごっこ」を演じ、特に長く接して来たリーダー格のプライドに対しては、上記の人間の起こすイレギュラーを楽しんでいるという本音を話し、やはり好々爺や冷徹な軍人ではなく、穏やかな言動で接している様子を見せていた。
こういった彼の振る舞いについては、プライドの方は「君は人間に接し過ぎた」と異論を表しているものの、ともすれば反逆ともとられかねないその発言をお父様には報告せず、またブラッドレイがホムンクルスとしての己の使命を忠実に全うするであろう事には、聊かの疑いも抱いていないようであり、その点については彼の事を全面的に信頼している事が窺える(むしろ内心では「人間の家族」というものに惹かれ、心のどこかでお父様に従う事に疑問が生じていたのはプライドの方である)。

しかし、人間の強さを是としてそれを楽しんでいる一方で、逆に情などに流されてブレてしまう人間の「弱さ」については怒りすらも抱きながら嫌悪している。特に神にすがる人間の事は徹底的に見下しており、彼自身は徹底した無神論者にして、ただひたすら目の前の現実のみを重視するリアリストである。神の力を求めるお父様に仕えていながら、彼自身は神などこの世のどこにもいないと言い切っており、同時に「自らを打ち倒しにくる者は神ではなく人間だろう」と発言しているなど、その無神論者ぶりと現実主義と人間の強さへの期待は一貫している。
宗教家に対する冷酷さの例としては、イシュヴァラ教の最高指導者ローグ=ロウが自らの命と引き換えにイシュヴァール人の助命と戦争に終結の交渉に来た際には、「一人の命は一人分の価値しかない」と一蹴して、彼等を交渉の席でそのまま拘束した挙句、見せしめとして他のイシュヴァール人捕虜と同様の扱いをした上で処刑するなど、非道としか言いようのない扱いをしている。
ヒューズの葬式においては、部下を無くした悲しみからなどではなく「ヒューズの娘の泣き声がうるさくて不愉快だったから」「たかが軍人が一人死んだだけで誰もが騒ぎすぎだ」などと言う理由から、手の震えを抑えきれない程に苛立っていたらしく、最早冷酷なまでに人の「弱さ」に対しては不寛容である。
さらに自身は無神論者でありながら、イシュヴァラの教義やそれまでの信念に背いて再構築の錬成陣を手にしたスカーに対しては、「神を捨てたか!」と激昂するなど、ある種の「潔癖」であるとすら言える(この辺りはキンブリーにも近いものがあり、実際にヒューズの死については「自分の意思で軍服を着た時点で、それが死装束に成り得る事くらい分かっていただろう」と、イシュヴァール戦時のキンブリーと同じような趣旨の発言で切り捨てている)。

このような人物である為に、当然ながら彼自身は目的を遂げる為なら一切の手段を選ばず、それがブレる事もない。自らの目的の為ならば敵は勿論だが、味方や仲間はおろか、必要ならば内心では深い愛情を抱いている妻すらも、躊躇なく切り捨てる事ができる一貫した冷徹さを持っている(本人曰く、「そうやって(仲間を切り捨てて)生きてきた」らしく、そこについては何の躊躇いもないと言い切っており、同時に妻が自分の弱点にはならない事も断言している)。逆にマスタングやリンやグリード達のような、仲間への深い情を持ち決して見捨てない事を信条としている者達の姿勢は、「下らん」と一蹴しつつ、逆にその情を利用して彼等を縛り付けてコントロールしようとしていた。

人の弱さや自らのレールに敷かれた人生にも内心では怒りを抱き、戦闘の際でも常に何かと相手に対する苛立ちを身に纏い、だからこそそれらを狂わせる人の強さと彼等が起こすイレギュラーにこそ期待し、それとただ純粋に戦う事を望んでいた、まさに「怒りのホムンクルス」である。
マスタングやリンやグリードとの因縁は深く、特にマスタングやリンからは現在の軍事国家アメストリスを築き、国民や国家を最終的に犠牲にしようとしている張本人である事から、「自らが打ち砕くべき国家の体制の象徴」や「自らがなってはならない暗君の姿」等、己が乗り越えるべき対象として強く敵視されていた。

作中での動向

上記の通り、デビルズネストの時点で読者側には正体を明かしたものの、この段階ではまだエドやマスタング達作中のキャラ達は、誰もブラッドレイの正体を知らずにいた。しかし、これ以降は好々爺としての面は無くなり、いよいよ冷酷な独裁者としての素顔が強く際立つようになる。さらに軍の層部の多くの者達は既に彼がホムンクルスである事を認知した上で、彼らの提唱する永遠の命を渇望し、ブラッドレイを支持している事も明らかになる(というより、永遠の命への渇望からホムンクルスの計画に賛同するような者だけを中央に集めて、純粋に国を想って改革を成し遂げようと考えるマスタングやアームストロング少将やグラマン中将のような改革派を地方に追いやったのが、現在のアメストリス軍と中央の軍部上層部である)。

物語中盤にて、リンによって正体を知られ、遂にエドやマスタングらにも正体を明かす。
これまで軍で行われた数々の人体実験やホムンクルス、ヒューズの死などは、ブラッドレイとは関わりのない事だと思っていたエドとマスタングにとっては、驚きのカミングアウトとなった(マスタングは、「これで大総統の席から引きずり下ろしやすくなった」とほくそ笑んでいたが)。

マスタングには、前述の通りイシュヴァール殲滅戦の時点で既に注目していたが、ホムンクルス・ラストがマスタングに倒された以降は、彼を人柱として完成させるべく、お父様に「自分をマスタングの担当にする」ように進言し、マスタングへの圧力を本格的に強めていく。
特にグラトニーが捕まってからは、マスタング直属の部下達を各地方へバラバラに左遷し、彼の補佐役だったホークアイ中尉を自身の直属の秘書官(事実上の人質)にするなど、その圧力をいっそう強めていった。同時に国家錬金術師を辞めようとしたエドに対しても、ラッシュヴァレーのウィンリィを人質として脅迫する事で、エルリック兄弟を本格的に軍に縛り付けようとする。

お父様の計画の最終段階の「約束の日」の手前、東方司令部で行われる北方司令部との合同演習に怪しいものを感じ取って急遽視察に訪れるも、グラマン中将が仕掛けた二重の罠にはまり、列車に乗って中央へ急いで戻る最中に列車諸共橋を爆破されてしまい、行方不明となる。

しかし……

「ただいま諸君」

クーデター軍による大総統府の制圧完了とほぼ同時に大総統府に帰参する。
何と列車ごと橋が落とされる瞬間に、崩落する瓦礫の中をどう移動すれば生存できるのか目で見て瞬時に把握し、瓦礫を次々と跳び移って脱出していたのである。本人曰く、それでも全盛期に比べれば衰えているらしく、「視力に対して昔ほど体が追い付かない」との事。

その後は、中央(セントラル)の大総統府に舞い戻り、大総統府を占拠していたバッカニア率いる戦車を含むブリッグズ兵をたった一人で、尚且つ軽装(サーベル一振と手榴弾のみ)で圧倒する。
合流したグリードとフーらの猛攻をものともしない、まさに一騎当千と言える実力を発揮したのだが、死を覚悟したバッカニアとフーの捨て身の奇襲で腹部を、それに続いたグリードの一撃で最強の左目を負傷し、さらにブリッグズ兵の銃弾を肩に受けて水堀に転落した。

重傷を追いながらも、そのまま水路を通り地下へ潜入し、先に地下に潜入していたエド一行と対峙する。
この際には、ホークアイが重傷を負いながらも、その直前のエンヴィー戦を経て精神的に成長した事で、ホークアイの事は見捨てず、さりとて決して情だけには流されず、人体錬成に手を染めなかったマスタングの“想定外”の姿を見て、「思い通りにならなくて腹が立つ」と言いながら、楽しそうに笑っていた。
そしてマスタングを拘束し、合流したプライドによってマスタングの扉を強制的に開けさせてお父様の下に転送する。その後は、お父様の部屋へと向かおうとする一行を援護しつつ、「逆転の錬成陣」発動の為に、中心へ行こうとするスカーと「名無し」同士で死闘を演じる。

かつてイシュヴァール殲滅戦を指示し、彼等を弾圧したアメストリス軍最高指導者と、彼等によって弾圧されたイシュヴァールの元復讐者という因縁の対決を繰り広げ、その戦いの中で生まれて初めて、地位も名誉も名前も関係なく、誰に命令された訳でも誰の為でもないただ純粋な戦いを行える事に喜びを見い出す。そしてそんなスカーが、それまで信奉していたイシュヴァラの教義を捨てて「再構築の左腕」を自ら手にした事に、「あがきよるわ人間め」と楽しそうに笑ったり、かと思えば「神を捨てたか!」と激怒したりと、あらゆる感情を爆発させながら人生最後の死闘を演じる。

ただし、この時点でスカーは既に復讐の道を捨てており、再構築の左腕も戦闘ではなくあくまでこの後の「逆転の錬成陣」発動のキーとして手に入れたものだった。己の生涯最後の戦いとして戦っていたブラッドレイに対して、スカーはその後の自身の本当の役割を見越して戦い、あくまでブラッドレイの事はそこに至る障害としてしか見ておらず、同じ「名無し」でもこの2人は戦いの中で見ているものも、この戦いにかける思いや理由も真逆で全く嚙み合ってはいない(実際に作中でこの2人は、実は全く成立した会話はしておらず、殆どブラッドレイの方が言いたい事を一方的に喋っているだけである)。

既に満身創痍の状態でありながらも、終始スカーを圧倒したが、日食の最後の陽光が偶然刀身に反射して、一瞬目が眩んだその隙を突かれて、両腕を吹き飛ばされ惜敗した(しかし両腕を失ってもなお、最後の力を振り絞って、折られたサーベルの刃を口に加えてスカーの腹部に刺し重傷を負わせるという執念深さも見せている)。
神の存在を全否定し、かつて自らが拘束したイシュヴァールの僧に「天罰が下されるぞ」と言われた際には鼻で笑っていた彼だったが、そんな自分が「天からの光」によって敗北し、元イシュヴァールの武僧の手でトドメを刺されたという結末には、流石に運命じみたものを感じざるを得なかったらしく、「こういうのを天は我に味方せず、とでも言うのかね」と、皮肉気に呟いていた。

最期は、祖父の仇を討とうと現れたランファンに妻に対して言い残す事はないかと問われるも、自分と彼女の間に遺言など不要だと一蹴し、結果的には彼女にトドメを刺される前に命が尽きてしまい、それによって急速に老化しながら、彼女とスカーに看取られる形で、自分の人生に満足感を抱きながら息を引き取った。
ベースが人間である為か、他のホムンクルスのように霧散はせず、後には老化して白色化した遺体が残った。

「作られたレールの上の一生だったが……お前たち人間のおかげで、まあ、最後は、多少」

「やりごたえのある、よい『人生』であったよ」

ちなみに急速に老化しながら息絶えるという最期は、本体を無垢な胎児の状態に戻され、文字通り新たに生まれ直したプライドとは、奇しくも真逆の結末だった。

死後

強行的な軍事国家を築いた独裁者として、多くの者から反感や不信を集めていた一方で、彼の行った領土拡大による経済向上等の恩恵を最も受けいていた中央の国民達からは、一定の支持を集めていた為に、混乱を避ける為にも彼がホムンクルスであった事や、国民に危険を及ぼしていた事は国民には伏せられ、彼の留守を狙って政権奪取を目論んだ一部の軍上層部との戦いで殉職し、「名誉の戦死」を遂げたという形で処理された(同時に、セリムも列車の爆破の際に亡くなった事にされている)。

彼を含めたホムンクルスとお父様の死によって、ホムンクルスの支配から解放されたアメストリスは、その後は新たな大総統となったグラマンの下で、周辺国との和平やイシュヴァール復興政策を初めとした、それまでとは真逆の融和政策に舵を切り、少しずつ平和への道を歩み出している。

評価

間違いなく敵キャラクターとしては、本作を代表する屈指の人気キャラである。

作中では、お父様から特に信頼を置かれているホムンクルスとして、あるいは軍事国家を築き数々の戦乱を巻き起こし、多くの民族を弾圧したリアリストな独裁者として、冷酷非道な面が多く見られる一方で、妻への深い愛や、プライド共々築き上げたブラッドレイ一家と言う家族関係を楽しんでいたりと、冷酷な独裁者でありながら、非常に人間味のあふれるキャラクターとして描かれている。
人間に対してもその弱さを見下す一方で、油断のならない相手として見ながらも、逆に人間が持つ強さや成長を楽しんですらおり、そういった強い人間達と、ホムンクルスでも大総統でもないただの「個人」として、ただ全力でぶつかり戦う事を望み、最期はその望みを果たした。

総じて、その重厚なキャラクター性と、恐ろしいくらいの戦闘能力の高さから、ファンからはしばしば「ラスボスみたいな中ボス」「ラスボスよりラスボスっぽい」と評される。

余談

大総統一家の休日


前述の通り戦闘面における強豪キャラだが、そんな彼にも勝てない相手はいる。
である

妻とは普通の恋愛結婚だったらしく、出会いは彼が25歳のときだったそうだが、初デートの際にビンタを喰らっている。そして2回目のデートでもお尻を誉めたせいでまたもビンタを喰らっている。ちなみに彼女のビンタは「最強の眼」を持ってしても見切れなかったらしく(一部ファンの間では「最強の眼<最強のビンタ」とも呼ばれている)、しかしこのビンタがプロポーズの決め手となったとの事。
(なお、妻をデートに誘う際、ラストから女性の扱いのノウハウを脂汗を掻きながら必死で教わっていたそうな)

お父様のレールに敷かれた彼の人生に置いて、唯一自分の力と意志で手に入れたものが彼女であり、そんな彼女に対しては深い愛情を抱いている。ランファンから妻に対してすら遺言をしない事を批難された際には、「なめるなよ、あれは私が選んだ女だ。私とあれの間に余計な遺言など要らぬ」と、王の妻として絶対的な信頼を寄せていた事を窺わせる言葉を返した。
上記した、有事の際には彼女すら躊躇なく切り捨てる冷徹さも、逆に言えば彼女をそれすらも理解して受け入れられる「王の妻」として、全面的に信頼していた証である。

原作本編では、序盤を除いてネタ要素など皆無なキャラなのだが、コミック表紙裏のオマケ漫画では女性を見るポイントはお尻だとし、太もものマスタングとは激しい論争を繰り広たり、最終決戦で酒に酔っ払ってバッテラの手土産を持ちながら、リン達を相手に無双するシュールな姿が描かれたりと、様々なネタ4コマが作られている(これは彼に限った事ではないが)。

作中でブラットレイがたった一人で戦車を破壊する描写があるが同じように某ゲームの某バンダナの傭兵もたった一人で手榴弾だけで戦車を破壊している。相棒(もとい陸軍将校に取材した製作者)によると「通常なら戦車の死角から対戦車ミサイルやロケットランチャーを撃ち込むのが常識」「歩兵が真正面から戦車に一対一で戦車に勝てる方法は絶対にありえない」とのこと。
このことからサーベル一本と手榴弾だけで戦車を破壊するブラットレイの実力がどれくらい高く且つ人間離れしてるのかがよくわかる。
ちなみにグレネードだけで戦車を破壊した傭兵の話を聞いた相棒「非常識だ」と皮肉交じりに称賛してた。

03年版アニメでの設定

プライド(旧鋼)を参照

ゲーム作品におけるブラッドレイ

『ドリームカーニバル(PS2)』
03年設定の多人数対戦ゲーム。
気まぐれで「相手を殺さなければなんでもあり」の武術大会の開催を宣言。本作では各ストーリーモードのラスボスとしてプレイヤーに立ちはだかり、優勝者チームにそれぞれの望むものを景品として与える。一定の条件を満たすとPCとして使用可能(ただしストーリーモードは存在しない)。

本作ではホムンクルス設定について言及されておらず、最強の眼を使用する描写はない。
通常攻撃は遅いが、必殺技では原作さながらの素早い連続斬りを発動する。また、ステージギミックを破壊すると武器がサーベルから日本刀に変化する。

モンスターストライク
コラボ用キャラとして超究極降臨クエスト『大総統の帰還』にて登場し、ドロップする。特殊条件があり、コラボクエストの難易度・極以上をホスト及びソロでクリアした場合、ランダムで降臨するという仕様となっている。その上、降臨した時から24時間限定の制限付きでもある。
クエスト内容は、強力な爆発の全体攻撃に、ランダムでこちらのキャラに剣を投げつけて確率麻痺を行うなどの攻撃をしてくる。その上、回復のためのハートが湧かず、敵を倒すことで唯一の回復手段であるヒーリングウォールも一回貼られるだけではすずめの涙ほどの回復しかしないなど、原作再現とばかりに相当な難易度を誇っている。
また、当初は全体爆発がこちらのHPの"8割強のダメージを与える"という壊れ具合であった。しかし、これは設定の手違いだったようで、修正されて"3割程度のダメージ"に下げられた。それにより多少難易度が下がられたが、それでもクエストに対応できる適正キャラが少ないでのお手上げ状態のプレイヤーも少なくはない。

関連イラスト

K i n g  B r a d l e y
憤怒


ハガレン
キング・ブラッドレイ



関連タグ

鋼の錬金術師 アメストリス軍 大総統
ホムンクルス ラース
ブラッドレイ夫人 セリム・ブラッドレイ
勝てる気がしない(本編でも実際にダリウスが「勝てる気がしねぇ」と言う場面がある)
歩く死亡フラグ(作中でも彼の登場は、即ち敵は皆殺しにされる事を意味するのだと兵士達の間では恐れられており、実際に作中で彼と戦ったキャラクターはその殆どが死んでいるか何らかの重大な後遺症を負っている事から、ファンからはこう言われる事もある)

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