概要
CV:山寺宏一
鋼の錬金術師FAに登場する反体制ゲリラの指揮官で、元国家錬金術師。身長198㎝ぐらい。
蒸発・凝固などの相転移や水の弾丸の射出など、水属性の錬金術を得意としており、与えられた二つ名は『氷結』。右手に錬成陣を彫った専用のガントレットを装着しており、他にも非常時用に左手の平にも直接錬成陣を彫っている(作中では詳らかにされなかったが、監督の意向により多種の錬成技術を備えているという設定)。
単純に相手を氷結したり、凍傷を負わせる事が可能なのは勿論、逆に水を膨張させ水蒸気爆発を起こして周囲を吹き飛ばしたり、血液を沸騰させる事で人体を破壊する事も可能である。その火力は凄まじく、能力の相性がいいとはいえロイ・マスタングとも真正面から撃ち合える程。
錬成に用いる水も水筒の水から水道管や雨水はおろか、自分自身の体内の血液でも可能など液体ならなんでも良いらしく、無力化するのは非常に困難。
さらに純粋な身体能力や格闘術もエルリック兄弟をあしらい、「剛腕の錬金術師」であるアレックス・ルイ・アームストロングと真っ向から渡り合える程であり、己の血から作った剣や槍を用いて戦う事もできる。
後述する体内の賢者の石の力も用いて、街中に錬成陣を描く事で、セントラル中の水を凍結させて操る事も可能であるなど、凄まじい錬成力も持っており、総じて単体での戦闘力は作中に登場した武闘派錬金術師達の中でもトップレベル。
ただしホムンクルス達からの評価としては賢者の石に依るところが大きかったらしく、賢者の石を用いずに戦っていた場合の戦闘力は不明。
人物
過去イシュヴァール殲滅戦に参加するも、国の行った行為から良心の呵責に耐え切れず、戦後国軍を脱退。国家錬金術師の資格を返上し、反政府運動に身を投じる。
実は原作漫画でも名前のみ登場しており、完全なアニメオリジナルキャラクターというわけではない。単行本15巻のイシュヴァール戦を描く回にて、通信兵が「南区アイザック隊、通信途絶えました!」と報告する場面から彼の率いる部隊はイシュヴァール殲滅戦において行方不明、もしくは壊滅した事が仄めかされている。
原作でも失踪後に反政府側に転身し、事件を起こして同様の末路を辿ったのかもしれない。
ただし、原作におけるアイザックは他の隊への呼称から察するに名字であり、全くの同姓同名ではない可能性が高い。
また扱いも一般兵と同じで、彼の出撃する地区を担当していたアームストロングの帰還の後新たにグランが召集されている為、彼らと同じ武闘派国家錬金術師とは考えにくい。
アニメにおいてスタッフに姓を名と勘違いされ原作と異なる名前で登場したキャラクターには前例がいるため、もしも今後の作品展開において彼が再登場した場合、別名になっているかも…
国の行おうとしていた企てをどこまで正しく把握していたかは不明だが、彼がやろうとしていたことが「巨大な氷を用いて巨大な錬成陣を描き、その上でその錬成陣で軍中央部を完全凍結させる」であったため、国土錬成陣にまで辿り着いている可能性が高く(コレ自体はヒューズと同じく賢者の石の錬成陣さえ知っていればホムンクルス関連は知らずとも軍の大規模作戦と結びつけて誰でも辿り着けるため)、その計画の道具として使われた事からキング・ブラッドレイを初めとした軍上層部を強く憎んでおり、彼らの抹殺を目的としている。
また詳しい経緯は不明だが、過去に軍によって賢者の石の実験台にされていたらしく、ホムンクルス達からは人柱候補の一人として密かに監視されていた。
ただし、本人はその事は知らず、自身の体内に賢者の石がある事も知らなかった。
作中では単身セントラルに乗り込んで、各地に錬丹術も組み込まれた錬成陣を配置して中央司令部を氷漬けにしようと目論んだが、エルリック兄弟やマスタングらの妨害に遭い失敗して逃走する。
最期はブラッドレイ本人と遭遇して即座に襲いかかるも、一瞬にして斬り伏せられて息絶えた。
一見国家に仇なすテロリストを大総統自ら討伐した武勇伝のように見えるが、上記の通りアイザックは軍上層部が行っている事をある程度知っており、体内の賢者の石の件などもありブラッドレイ側にとってエドやマスタング達の手に落ちると都合が悪かった事から口封じの為に出撃したに過ぎない。
体内の賢者の石も彼の絶命と同時にエネルギーを使い果たして消滅した。
ちなみにこの時点の彼は既に負傷して消耗した状態だった為に、万全の状態で状況も違っていればもっと善戦できたかもしれない。流石にタイマンでブラッドレイに勝つのは難しいだろうが…
結局詳しい情報を明かす前に殺害された事から、この時点ではエド達からはあくまで国を荒らすただのテロリストくらいにしか認識されておらず、彼の「この国が何をしようとしているか知っているのか」という問いにも、彼が賢者の石を持っている事に勘付いたのもあってエド達は聞く耳を持たなかった。
後に彼らが国の実態に気づいた際には先のアイザックの言葉を想起している描写が追加されている。
このように、アイザックは動き出すのがもう少し遅ければ、もしくは与する組織を違えていればエドやマスタング達の味方になっていたかもしれなかったキャラクターである。
エドのような子供が国家錬金術師をしている事を嘆いて、純粋に善意から忠告をしようとするなど、壊れてしまう前は高潔で真っ当な軍人であった事が言動の端々からも窺える。
内乱でイシュヴァール人を皆殺しにした罪に耐えられずに反政府側に転身したはずなのに、結局は自分も計画に無関係な人間までも邪魔になるなら錬金術で惨殺するようになってしまったというやり口は歪みきってはいるものの、テロを起こしたのも彼なりに国の未来を想っての事。
ifの姿の想像を掻き立てられるキャラクター設定、原作ではありそうでなかった水属性の錬金術師である事や、戦争に狂わされた男を演じる山寺氏の怪演、その高い戦闘力と見栄えの良い能力の数々から、ほとんど1話しか登場していないにもかかわらず、ファンからの人気や評価は非常に高いキャラクターである。加えて原作者自身が原作で構想していたキャラというのもあって、たった1話で退場させたのは勿体なかったという声も多い。
2022年に開催されたハガレン展returnsでの原作者のコメントでは「イシュヴァール殲滅戦をきっかけに軍に不信感を抱くようになる国家錬金術師のキャラクターを登場させる予定だったが、複数の登場人物に要素を受け継がせる形で統合し、そのキャラ自体は没にした」というこぼれ話があり、これがアイザックの原案になっていたキャラクターの事であると推測できる。
関連項目
ゾルフ・J・キンブリー:元同僚。中央刑務所で脱獄と引き換えに仲間に誘おうとするも蹴られている。彼は短くともイシュヴァール殲滅戦以降、裏でホムンクルス達と繋がっていたので当然だが。
マース・ヒューズ:同じく序盤の時点でホムンクルス達や国が裏で企む計画に勘付いてしまい、ホムンクルス達によって口封じされてしまった人物。
ティム・マルコー:同じくイシュヴァール戦の際に自身が行った事に耐え切れず、戦後に軍から脱走した人物。さらに序盤の時点でホムンクルス達や国が裏で企む計画にもある程度は辿り着いており、一方でホムンクルス側からは人柱候補と目されて監視されていたなど共通点が多いため、前述の要素の主な統合先であった可能性が高い。
スカーの兄:同じく物語開始前にホムンクルスの計画に辿り着いていた人物。
スカー:同じくイシュヴァール戦をきっかけに軍に強い憎悪を抱いている人物であり、アイザックの容姿のコンセプトは彼を原型に「哀」の要素を強く押し出したもの。スカーもまたアイザックの要素を受け継いだキャラだったのかもしれない。