ホムンクルス(鋼の錬金術師)
ほむんくるす
『鋼の錬金術師』における敵役の7人の人造人間である。
原作から分岐しオリジナルストーリーを展開した2003年版アニメでは、その正体やメンバーなどが大きく異なる。本記事でもある程度解説するが、詳細はホムンクルス(旧鋼)を参照。
原作及び2009年版アニメ(FA)における生まれた順番で並べている。
冠する罪 | ||
傲慢「プライド」 |
|
|
色欲「ラスト」 | ||
強欲「グリード」 |
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|
嫉妬「エンヴィー」 |
| |
怠惰「スロウス」 | ||
暴食「グラトニー」 | ||
憤怒「ラース」 |
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特徴
彼らは七つの大罪に相当する名が与えられており、どの媒体においても即死級の攻撃を受けても瞬時に蘇生する再生能力と、200年以上生きても外見が変わらない不老長生を有する。ホムンクルスは人間と構成物質こそ大差ないが、体内に賢者の石を有しており、これにより前掲の疑似的な不老不死としての肉体を維持している(石の設定は原作と2003年版で異なる)。
なお、舞台となるアメストリスにおいては、「七つの大罪」を定義したキリスト教はとっくに廃れている設定。2003年版にてダンテが明言しており、原作単行本においても「クリスマスとかの宗教行事は無いんですよ、現実とは別の歴史を辿っているから」と作者が発言している。
七体のホムンクルスはそれぞれ特殊能力を有しており、それらは往々にして他のホムンクルスをも凌駕する代物である。彼らの体にはどこかにウロボロスの紋章が刻まれており、バラバラの状態から再生しても消えることがない。ホムンクルスは人のまがい物の為、生殖能力を持たない(ただし一部の例外あり)。そして、彼らの創造主とされる『お父様』という者に忠誠を誓っており(例外あり)、アメストリス国内を暗躍している。
結束
中でも原作初期から登場するラスト・グラトニー・エンヴィーの三人は原作及び2003年版のどちらにおいても3人でつるんでいることが多かったが、他は各自の思惑通りに動き、7人が完全な一枚岩だったことは原作・2003年版双方で一度たりとも存在しない。
(唯一、ギャグ時空であろうユニバーサルスタジオジャパンで公開された2003年版アニメの番外編ムービー『国家錬金術師軍団VS7大ホムンクルス』ではスロウスを除く6人が結託してエルリック兄弟並びに国家錬金術師チームと戦っている。)
※以降の記載には本編のネタバレを含みます
原作及び2009年版アニメ(FA)において
- 彼らを作ったお父様の正体はヴァン・ホーエンハイムの血液を媒体にして作られた『フラスコの中の小人』とも呼ばれる世界最古のホムンクルス。『お父様』が不要な欲望を削っていく上で生まれたため、彼らは七つの大罪の名を有する。
- 体内の赤い石は完全な賢者の石であり、石さえ残っていれば全身が蒸発したとしても復活する(仮に体内の賢者の石を抉り取ってもその石の周辺から肉体が段階的に再生する)が、賢者の石は人間の魂の結集体なので、一回再生能力を使用する度に対価として魂を消費していく残機制である。その為、魂を全て使い果たした上で致命傷を受けると完全消滅し、二度と復活しない。ただし、残機その『者』がお父様を介してリロード可能な仕様であり、しかも基本的に残機が無くなるまで使わせ続ける以外に防ぐ手立てが無いため、再生能力自体はかなり強い。
- したがって賢者の石を液化させ、人間に流し込むことにより人間をホムンクルスにすることも可能。ただし、注入された人間の魂と石の中の魂で肉体の取り合いになり、失敗すれば肉体が石による破壊と再生に耐えられず死亡するため、成功率は凄まじく低い上、老化は(遅くはなるが)するし、魂が一つしか残らないため再生能力も使用できなくなる(グリリンの場合はリンがグリードを受け入れたため、魂の消費が起きず再生能力を失わなかった)。
- 人間ベースのホムンクルスの生殖能力については不明。ブラッドレイについてはホムンクルス化により生殖能力を喪失したと思われる描写があるが、グリリンに関してはそれに関する描写は特にされていない。
- 皆黒っぽい服を着ているが、これらは体の一部でありこれ以上脱ぐことができない。ただし、人間ベースの個体とプライド(の容器であるセリム)は普通に服の着脱はできる。
(2003年版アニメ)において
→詳細はホムンクルス(旧鋼)を参照
彼らを統べるのはイズミの師であるダンテ。彼女はホーエンハイム(2003年版ではホーエンハイム・エルリック)の最初の妻。
ホムンクルスは「人体錬成の失敗作」という設定。
●原作及び2009年版アニメ(FA)→ラスト(鋼の錬金術師) 【CV:井上喜久子】
色欲のホムンクルス。
妖艶な美女の姿をしており、原作ではホムンクルスの中で唯一の女性型だった。紋章の位置は鎖骨部。
ホムンクルスの司令塔的な立ち位置であり、後述のグラトニーには母のように慕われていた。
特殊能力は最強の矛と呼ばれる、ホムンクルス最強の貫通力・切断力を有する伸縮自在の指(2003年版では爪)。
原作では二番目に誕生した。
一方、2003年版では前述の設定上、スロウスに次いで若い7歳。
●原作及びアニメ2009年版アニメ(FA)→グラトニー(鋼の錬金術師) 【CV:白鳥哲】
●2003年版アニメ→グラトニー(旧鋼) 【CV:高戸靖広】
暴食のホムンクルス。
禿げ頭の太った小男の姿をしている。紋章の位置は舌。
戦闘力は高いが、間が抜けていておつむが弱く、他のホムンクルス(特にラスト)と共に行動することが殆ど。ちなみに原作では一人称が「おで」、旧アニメでは「ぼく」。暴食の名の如く常に空腹であり、優れた嗅覚で相手を探し当て、硬さに関係なくどんな物体も噛み砕き捕食することが出来る。
実は真理の門(2003年版アニメでは一貫して門と呼ばれる)の失敗作という設定であり、人間を好んで喰らうのはその魂を賢者の石に錬成するためである。原作及びFAでは真理の扉の模造品を腹から作り出し空間ごとを「呑む」ことができる能力を発揮。
原作では六番目に誕生。
●原作及び2009年版アニメ(FA)→エンヴィー(鋼の錬金術師) 【CV:高山みなみ】
●2003年版アニメ→エンヴィー(旧鋼) 【CV:山口眞弓】
嫉妬のホムンクルス。
やせぎすの中性的な外見で性別は不明。紋章の位置は左腿。
皮肉屋でとことん性格が汚い。後述の特性上、凄まじいほどの体重とパワーを誇る。特に2003年版では終盤までひたすら物語をかき回していたが、その正体は意外な人物であった。
何にでも変身できる能力を有しているが、その本性はどの媒体でも巨大な爬虫類のような化け物の姿をしていた。また原作・FAにおいては賢者の石を使い切った直後の「核」の状態で、賢者の石を動力源とする人形兵を吸収することで復活する描写があった。
原作では四番目に誕生。
2003年版では最初に作られた。また、男設定。
●初代グリード(原作及びアニメFA版)→初代グリード【CV:中村悠一】
●二代目グリード(原作及びアニメFA版のみ登場)→グリード(鋼の錬金術師) 【CV:中村悠一】
●グリード(2003年版アニメ 初代のみ)→グリード(旧鋼) 【CV:諏訪部順一】
強欲のホムンクルス。
突き立った髪と釣り目を持つ青年。紋章の位置は左手甲(盾装備時にも浮き上がる)。
その二つ名に恥じぬ強欲ぶりを有する野心家であり、一度手にしたものは自らの身を削ってでも離さない。造物主の元を離れデビルズネストという酒場で暮らしていた。原作ではラースに捕らえられた後『お父様』に吸収されたが、残った賢者の石は後にシン国の王子リン・ヤオに宿され、長い事二重人格として活動していた。この形態をグリリンと呼んだりもする。
固有能力は最強の盾と呼ばれる防御力。体内の炭素を結集しダイヤモンド並みの硬さを得る。
原作では三番目に誕生。
2003年版でも140年前から生きているというセリフがあり古株の模様。
●原作及び2009年版アニメ(FA)→ラース(鋼の錬金術師)/キング・ブラッドレイ 【CV :柴田秀勝】
憤怒のホムンクルス。
アメストリスの支配者であるキング・ブラッドレイ大総統の正体。
最後に作られたホムンクルスであり、人間の肉体をベースにして作られた。そのため老化もするし再生能力も持たない。2003年版とは異なりホムンクルスの司令塔でもない。
固有能力は最強の眼であり、飛び交う銃弾や落下する瓦礫の軌道すら完全に読み切るほど極めて優れた視力を誇る。左眼に紋章があるため普段は眼帯で隠している(なので視力はある)。また、作中でも最高クラスの身体能力と剣技を使いこなしているが、これは賢者の石由来のものではなく、大総統となるべく育てられた際に身につけた自前のもの。
2003年版では少年の姿をしたホムンクルス。紋章の位置は右足裏。
青白い肌をしているが、なぜか右腕と左足の色・大きさが異なる。
固有能力は融合能力であり、他の物質と触れ合うことでその物質と合体することができる。そのためホムンクルスで唯一錬金術を使えるが、戦闘力は7人の中で最も低い。
誕生当初は記憶を有していなかったため、とある方法で現実世界に出現してからは放浪を重ね、自分を人間だと思い込んでいた。後にエンヴィーに赤い石を与えられたことでホムンクルスとして覚醒する。
●原作及び2009年版アニメ(FA)→スロウス(鋼の錬金術師) 【CV:立木文彦】
怠惰のホムンクルス。
ホムンクルスで最も大きな体を有している。紋章の位置は右肩。
やはりと言うべきかサボり癖があり、事あるごとに「めんどくせぇ」と言い放つ非常に怠惰な性格。その固有能力は最速の足であり、ラースをも凌ぐスピードを有する(速すぎてスロウス本人の反応速度を超えている程)。その巨体から放つ怪力攻撃、戦車の砲弾でも耐えるほどの筋肉の鎧も強力。
原作では五番目に生み出され、ひたすら地下でトンネルを掘らされていたが…?
2003年版ではホムンクルスの末っ子。紋章の位置は左胸。
背の高い美女の姿をしており、大総統秘書官のジュリエット・ダグラスに擬態していた。
固有能力は体の液状化で、液状化している内は再生能力すら使わずにあらゆる攻撃をすり抜ける。
●原作及び2009年版アニメ(FA)→プライド(鋼の錬金術師)/セリム・ブラッドレイ【CV:三瓶由布子】
●2003年版アニメ→プライド(旧鋼)/キング・ブラッドレイ【CV:柴田秀勝】
傲慢のホムンクルス。
どちらの媒体でもホムンクルスのリーダー格という設定が共通している。
原作では最初に誕生したホムンクルスであり、大総統のご子息セリム・ブラッドレイの正体。誰が呼んだかこども長男。セリムの肉体は単なる器であり、本体はどす黒い平面の影。この影を自在に操る能力を持ち、相手を切り裂いたり拘束したりする。単純な戦闘力はホムンクルスの中でもトップクラス。
傲慢の名に恥じず、見た目とは真逆の徹底した残虐ぶりと狡猾な知能を有する。
『お父様』から最初に切り離された為か外見もよく似ており、ホーエンハイムは「プライドが初期のお父様に似ているのは姿、性格などのお父様の本質が『傲慢』であったため」と推測している。義父であるラースは末弟であるが、世間体としては父。
紋章の位置は不明。
2003年版ではその正体はキング・ブラッドレイその人。大まかな設定は原作と変わらないが、こちらでは固有能力が原作のラースと同じく最強の眼であり、他のホムンクルス同様再生能力を有する。ちなみにこちらでは養子のセリムは普通の人間。
お茶目な部分は単なる演技であり、ダンテにとって最も忠実な部下である。
上述の通り不老不死であるが微弱な変身能力を有していたため、年を取ったように見せかけて周囲の目をごまかしていた。
それぞれのキャラクター名が七つの大罪からとられているのは述べているが、同時にそれが人間を構成する不可欠な部分とも評されており、エルリック兄弟が目指すものに
・眠れる体になりたい(怠惰)
・恋人と〇〇〇したい(色欲)
・ウィンリィのアップルパイを食べたい(暴食)
・それらができる人に対する嫉妬(嫉妬)
・誰かを救えるようになりたい(傲慢)
・激情を抑えない(憤怒)
・それらを求める(強欲)
がある。
2003年版
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