概要
軍部上層部とは、大総統キング・ブラッドレイ(ホムンクルス・ラース)を筆頭とした、鋼の錬金術師に登場するアメストリスの国軍「アメストリス軍」の上層部の者達の総称である。
実態と目的
軍事国家であるアメストリスにおいては、事実上の国家の最高意思決定機関であり、国家の舵取りを行う者達である。イシュヴァール内乱の頃から殆ど面子は変わっておらず、所属する者達はいずれも軍内でもかなりの古株の将校達なようであり、中には現場からの叩き上げもいる。
しかし、肝心のトップのブラッドレイがホムンクルスであり、その下のメンバー達も人間ではあるのだが、その多くがお父様から「不老不死」を授かる事を目的として動いている者達であり、彼等はブラッドレイがホムンクルスである事も彼等の計画も全てを知った上で、ホムンクルス達に自ら首を垂れて従っている。このようにこの国の司法を司る者達は上から下までホムンクルスによって完全に掌握されており、ホムンクルスの意思の下で賢者の石や合成獣などの非人道的な人体実験の数々や、国土錬成陣完成の血の紋を刻む為の活動や、人柱候補の選出なども行っていた。
このような動機で動いている集団である為に、非常に利己的な人間が多く、口では「人類と国家の更なる繁栄」を謳いながら、自分達の利権の為に人類を真っ先に裏切り、国中の他の人間達を平然と犠牲にして、それを当然の事として開き直っている裏切り者集団である。そもそもホムンクルス達が意図的に自分達の計画に賛同する操りやすい人間を中央に集めて、逆にグラマン中将のような自分達に従わない改革派の人間を悉く地方に左遷した結果、このような集団が出来上がった。
実際は、不老不死など彼等を釣る為の口実に過ぎず、ホムンクルス達にとっては彼等など便利で替えの効く捨て駒程度の存在であり、能力よりも主にホムンクルス達にとって扱い易いかどうかで選別された面子である。その弊害として、トップであるブラッドレイが一時的に行方不明になった途端に全員が右往左往するなど、中心人物がいなければ殆ど何もできない無能集団でもあり、総合的には国家や国民を食い物にしている「老害」としか言いようがない連中である。
さらに彼等だけでなく、彼等の直属の部下達や中央の各ポジションにおいても、同様にブラッドレイを初めとしたホムンクルス達の息のかかった者達は多く、加えてホムンクルス達は各地の戦線を拡大する為に、あえて前線指揮官には自らの手柄の為にいたずらに戦線を拡大するような無能な指揮官を配置したりと、中央は最早「魔窟」と呼んでも過言ではない程に腐敗しきっていた。
ちなみに彼等に共通する思想としては、「自分達選ばれた者が君臨し、世界や人類を変える」という選民思想やそれに基づく弱肉強食思想がある。お父様やホムンクルス達はあくまで自分達「進化した人間」がより高次に到達する為に計画を進めていたに過ぎないので、この思想は彼等が自分達の行いを正当化する為に自ら作ったか、ホムンクルス達に吹き込まれた思想だと思われる。いずれにせよ中央という安全圏で過ごしている彼等が言えたような思想ではないが。
ただし、この国と全国民を犠牲にするという計画に参加している時点で、彼等はいずれも既にこの国には自分達の身以外に守るべきものなど何も存在しない哀れな者達だとも思われる。レイブン中将のように元は国を改革しようという熱意に溢れた真っ当な軍人だった者達もいたらしく、ホムンクルス達に老いによる焦りなどに付け込まれた結果今のような老害に成り果ててしまった。そういった意味では、彼等もまたホムンクルス達によって人生を狂わされた被害者達だとも言える。
同時に、この国や国に住む大切な人達の為に戦ったエド達主人公勢とはあらゆる意味で対極の者達であり、マスタングやオリヴィエ少将のなってはならないIFの姿であるとも言える。
最終的には、ブリッグズにてレイブン中将がオリヴィエ少将に斬殺された事を皮切りに、「約束の日」の最終決戦において、その大半がオリヴィエ少将らの手や人形兵など様々な要因によって死亡し、さらにホムンクルス・ラースであるブラッドレイも最終的にはスカーの手で倒されている。そして生き残った者達も、最終決戦後に一連の騒動の全責任を被せられて拘束され、新たな大総統に就任したグラマン率いる新政権下で、全員が戦犯として裁かれるという末路を辿った。
構成メンバー
軍部上層部のメンバー
アメストリス軍事最高責任者にして独裁者。正体はホムンクルス・ラース。
詳細は該当記事参照。
褐色肌で立派な口髭を生やした老紳士といった風貌の将軍。
詳細は該当記事参照。
クレミン准将
CV:勝沼紀義
褐色肌でスキンヘッドの人相の悪い大柄な将軍。性格は横柄にして冷淡であり、部下達に対する当たりも強い。蜂起したマスタング組への攻撃をしている最中にブラッドレイ夫人を用済みとして射殺を許可したり、避難を済ませていない住宅地に向けて砲撃しようとするなどの暴挙を行った。しかし住宅地に砲撃する前に、イズミが開通させたトンネルを通じてやってきたバッカニア達によって阻止され、その後はマスタング組の前で椅子に拘束される。そして「約束の日」終盤に、お父様の発動した国土錬成陣の生贄にされかけたが魂が返還されて生還し、事件終了後は事件の首謀者の数少ない生き残りとして下記のエジソン准将と共に拘束され、その後は一連の騒動に関する全責任を被せられた上で、グラマンによる新政権下で戦犯として裁きを受ける事になった。
夫人射殺未遂の件で夫人は完全にマスタング側を信用し、これらの出来事を夫人がラジオを通して証言した結果、親ブラッドレイ派が比較的多い中央の国民達に「おかしいのはアメストリス軍の上層部である」という印象を強めてしまい、マスタングやブリッグズに大義名分を与える結果となった。そういう意味では、新政権樹立の立役者の一人であるとも言えるかもしれない。
エジソン准将
CV:天田益男
白髪に顔の下半分を覆う豊かな口髭を生やして眼鏡をかけた老将軍。性格は小心者であり、暴走した人形兵に襲われていたところをイズミに助けられ、お父様に口利きをするから自分を護衛するように頼んだが、逆に彼女に威圧されて拘束されてしまう。その後、お父様の計画全てを白状させられた上、彼女とオリヴィエ少将に何度も鉄拳制裁された挙句、自身の部下達にも見捨てられてがっくりと項垂れた。そして「約束の日」終盤、お父様の発動した国土錬成陣の生贄にされかけたが魂が返還されて生還し、事件終了後は事件の首謀者の一人として上記のクレミン准将と共に拘束され、やはり一連の騒動の全責任を被せられた上で、戦犯として裁きを受ける事になった。
彼の若い部下達が「家族がいる」と言って彼に軍のバッジを突き返すシーンは、自分の身と立場以外何も守るものがない老人である彼とは、まさに対比になっている場面である。
ガードナー中将
CV:糸博
細身で眼鏡をかけた初老の将軍。反抗抑止も兼ねて、オリヴィエ少将に賢者の石を核とした不死の軍団「人形兵」の存在を教えた。しかし、「約束の日」の最中にオリヴィエ少将に「ぬくぬくと安全地帯から戦場を眺める貴様らのような者が、痛みとかいうものをさも崇高な物のように仕立て上げて利用する」と断じられ、「反逆者になる気か、アームストロング!」と必死に叫ぶが、「どうかな、事が終わった時には、英雄になっているかもしれんぞ」「ただし…私はイシュヴァールの英雄ほど、甘ったるくはない!」と、逆に吐き捨てられてそのまま銃殺された。
フォックス
CV:ふくまつ進紗
黒髪に口髭を生やした将軍。階級は明言されていないが、アニメ版の階級章を見る限り准将であるが、彼が死んだ際にオリヴィエ少将が「これで上の席が一つ空いた」と喜んでいたので、階級は下でも立場や権限は彼女より上のようである。「約束の日」の最中にオリヴィエ少将が中央軍の失態を嘲笑し、中央軍の指揮権を自分に預けるように進言してきたのに対して、彼女が上層部に送られた事を「貴様はただ囚われているだけだ」「貴様がここにいることが、ブリッグズ兵に反抗させない為の強力な枷となる」と威圧したが、逆に彼女に「たとえ、私がここでくたばったとしても、それは私が弱かっただけの事として切り捨て、怯まず動く事が出来る集団…それがブリッグズ兵だ」と言い返される。そして、ブリッグズ兵が中央司令部にまで乱入してきた時には、彼女を反逆罪として銃殺しようとしたが、それよりも早く彼女に腕の肉を愛刀で削がれた上で(アニメでは腕を貫かれた)人質にされ、鎮圧部隊を引かせるように要求された。しかし怯まずに、攻撃を続けるように部下に命じたが、そこに突如オリヴィエ少将を殺す為に現れたスロウスの攻撃が誤爆して、そのまま叩き潰されて圧死した。皮肉にも直前にオリヴィエ少将に対して捻り潰してやるなどと発言した矢先に、文字通り自らが物理的な意味で捻り潰される事になった。
他の上層部の人間達に比べると、オリヴィエ少将に腕を斬られて脅迫されながらも攻撃続行を指示し、真っ向から啖呵を切るなど芯はあり、彼なりに軍人としての矜持はあった事が窺える。
短い白髪に白いカイゼル髭の老将軍
名称は不明であり、階級はアニメ版での肩章を見る限り少将。イシュヴァール内乱時から軍部上層部にいた人物で、ちょくちょく出ては来るが、イマイチ目立たなかった。「約束の日」の決戦時には、いつまで経ってもマスタング達を倒せない事に業を煮やして、まだ起動テストや試運転も済ませていない段階の人形兵を起動させるという暴挙に出る。起動した人形兵が「パパ?」と呼んだ事に対して、「よーしよしよし、いいか、パパの言う事を聞けよ」と宥めようとするが、その直後に起動した複数の人形兵によって噛み千切られるという凄惨な末路を辿った。彼自身はそれで終わったものの、彼のこの行為のせいで人形兵は完全に起動してしまい、暴走した人形兵達はさらに戦場に大混乱を齎していく事になる。
ちなみに実写版ハガレンでは、同作のハクロ少将が彼と全く同じ末路を辿っている。
短い白髪に鷲鼻の老将軍
名称及び階級不明。一応は古参の軍部上層部のメンバーのようだが、作中に登場した軍部上層部の中では最も目立たなかった人物。「約束の日」の決戦時には、作戦本部が陥落した事を受けて部下を連れて大総統執務室に篭り、そこを新たな作戦本部にしようとする。そして大総統の椅子を前に魅惑されて「この危機を乗り切れば」と、自分がその椅子に座る事を夢想しながら実際に椅子に座ろうと手を伸ばしたが、その瞬間に部屋に乱入してきた人形兵達によって食い殺された。
ちなみに大総統執務室と椅子は、後にその場にやって来たオリヴィエ少将からは「こんな狙撃され易そうな場所に座る奴の気が知れんわ」と酷評されている(ブラッドレイなら問題は無いのかも知れないが)。
フェスラー准将
イシュヴァール殲滅戦の時のヒューズ、アームストロング少佐らの上官。小太りで顎髭を生やした男性将校。性格は至ってクズであり、自分の手柄の為にイシュヴァール人を豚と蔑んで、他の地区の指揮官が功績を上げている事に焦って、碌に戦況も読まずに部下を突撃させて戦線を悪化させていた無能な指揮官だった。イシュヴァール人を殺せないアームストロング少佐を中央に送還し、代わりに来たバスク・グラン大佐(当時)によって好転した戦況を、さも自分の手柄の様に上機嫌に豪語していた。そして、イシュヴァラ教最高責任者ローグ・ロウの降伏宣言も無視して戦争を続けようとし、ヒューズ達や周りのイシュヴァール人達を怒らせたが、最期はそれらの言動に呆れ果てたバスクの手で、「フェスラー准将、ご存知ですかな? 戦場における士官の死因の二割が、部下に殺されたものらしいですよ」と言われながら胸をライフルで撃たれて死亡。その後、彼の死は予てから彼を嫌っていた部下の手により「流れ弾によるもの」として処理され、後任の指揮官としてバスクが就任した(その後バスクは准将に昇進している)。功を焦り味方を犠牲にした彼が、自らの死を以て2階級特進(おそらくは)となったのは、因果応報の末路であると言えよう。
各地の戦線拡大の為にホムンクルスによって配置された前線指揮官の一人であり、一応は上層部の人間ではあるが、ホムンクルスとの繋がりがどの程度あったのかは不明。ただし、最前線での指揮をやらされていた事から、繋がりがあったとしても殆ど捨て駒のような扱いだったと思われる。
アニメ版FAでは尺の関係から死亡シーンも含めた出番がばっさりカットされており、アームストロング少佐に中央への送還命令を出す場面にしか登場していない。
キンブリーの上官達
イシュヴァール戦地での後方指揮を担当していた5人の高官達。特に目立っていたのは立派な口髭に眼鏡と軍帽の老将校と、スキンヘッドで頭に傷がある眼鏡の将校である。中央の軍部上層部やホムンクルス達の命令で、現地での賢者の石の実地試験や、イシュヴァール人達を使った人体実験を行い、マルコーが完成させた賢者の石をキンブリーに預けて殲滅戦を実行させ、さらにキンブリーに攻撃対象地区に留まって医療活動を続けていたロックベル夫妻の抹殺まで暗に命じていた。しかし、最終的には賢者の石の力に魅了されてその独占を目論んだキンブリーによって、口封じの為に全員が爆殺される。キンブリーはこの件で逮捕されたが、現場に報告を聞きに来ていたホムンクルス・エンヴィーに気に入られ、それが切っ掛けでキンブリーと彼等との繋がりが生まれた。
スカーに殺害された上層部の人間達
序盤でヒューズによって言及された者達で、国家錬金術師を監督・管理する立場にいた上層部のメンバーである。その立場上彼等もホムンクルスの計画に直接関わる者達だったようだが、その立場故にスカーの標的にされ、全員が殺害された模様。この件で上層部とホムンクルスサイドは人手不足に陥ってしまい、スカーの存在はホムンクルスサイドからも危険視されるようになった。
ブラッドレイの部下達
シュトルヒ
大総統付き補佐官で、階級は不明。彼もまたブラッドレイの正体や彼等の計画を最初から知っており、その上で補佐官としてブラッドレイの指示で動いていた。劇中ではその役職上、国家錬金術師試験やブラッドレイの南部視察の際にも姿を見せていた。また、ブラッドレイがマスタング牽制の為にホークアイ中尉を中央に異動させた時には、実際に彼が人事局を動かしたらしく、人事局のヤコブレフと共にその旨を知らせに来た。「約束の日」では正門前で単騎で戦闘に入ったブラッドレイを見送った後、中央軍にブラッドレイの邪魔をしないように指示し、中央軍の指揮を執ってブリッグズ兵と応戦していたが、その最中に突如現われたフーによって手刀で気絶させられた。最終決戦後は他のホムンクルスの協力者達同様に身柄を拘束されたが、大総統補佐という立場から大総統後任に関して取引を持ちかけられる事になる旨が、レベッカ少尉によって語られている。
ゲルトナー
CV:てらそままさき
黒髪と薄く長いもみあげと口髭の眼鏡をかけた男性将校。レイブン中将失踪後にブリッグズにやって来た中央の軍人達の指揮官であり、自ら中央でレイブン中将の後任の席に就いたオリヴィエ少将に代わって新たなブリッグズの指揮官の座に就いた。ブラッドレイの腹心の一人であり、このタイミングでブリッグズの指揮を任された人物である為、彼等の息がかかった人物だったと思われるのだが、キンブリーの策略で始まったドラクマの侵攻の際に、マイルズ達ブリッグズ軍がドラクマ軍を瞬殺した光景を見て「アームストロング少将がおらずともこの戦果、素晴らしい!流石一枚岩と名高いブリッグズだな!」と、素直にその実力を絶賛したり、東方軍との合同演習では、ブリッグズ軍を褒めたグラマンに「仕上げたのは私ではなくアームストロング少将なのですが」「東軍こそ良い面構えの者が多いですね」と発言するなど、意外にも中央の上層部の人間とは思えない程に言動は至って謙虚で温和そのもの。「約束の日」の決戦時以降の動向は不明だが、その立場故にマイルズ達が行動を起こすにあたって、事前に捕縛されたか排除されたと思われる。
ブラッドレイの直属の部下達
ブラッドレイがグラマンが主催した合同軍事演習に参加した際に同行した軍人達。いずれもブラッドレイの直属の配下達で、やはり彼等もブラッドレイの正体も知った上で、その指示に従って動いていた面子だと思われる。会話からマスタング組をバラバラに地方に左遷した際にも裏で動いていたらしい。最終的にはグラマンの策略に嵌められたハクロ少将の密告を受けて、何人かを東部に残してブラッドレイ達は中央に戻ろうとしたが、中央に戻る最中に乗っていた列車を東方軍に爆破されてしまい、全員まとめて谷底に転落して死亡した。しかし肝心のブラッドレイ自身は直前に危機を察し、そのまま同乗していた彼等を躊躇なく見捨てて、一人で脱出して生存していた。ちなみに東部の合同軍事演習に監視の為に残った方の部下達のその後の動向は不明だが、マイルズ達やグラマン達が動くにあたって、やはり彼等によって捕縛されたか排除されたと思われる。
軍部上層部及びホムンクルスの協力者
元軍部上層部お抱えの医療系錬金術師。内乱時にイシュヴァール人達を使って賢者の石の錬成に成功したが、良心の呵責に耐え切れずに戦後に資料と未完成の賢者の石を持って脱走する。
詳細は該当記事参照。
軍部上層部の研究者達
軍部上層部の下で賢者の石や合成獣の人体実験に関わっていた研究者達。マルコーのかつての部下達も含まれており、マルコー失踪後も賢者の石の開発を続けていた。中にはマルコー同様にホムンクルスに強要されて止む無く従っていた者もいたようだが、最終的にはホムンクルス達によって用済みと見なされ、「約束の日」までに彼等自身が賢者の石に錬成されて全員死亡している。
錬金術師の金歯医者
斜視と金歯が目を引く、眼鏡をかけた医療系錬金術師の老人。かつてキング・ブラッドレイ=ホムンクルス・ラースの作成に携わった研究者の1人である。本編ではレイブン中将がキンブリーの見舞いに来た場面で再登場し、キンブリーが持っていた賢者の石を使って重傷を負った彼を全快させた。性格は自分の為だけに人の命を軽く扱う外道であり、自分が育てた大総統候補生(後述)を平然と盾や捨て駒として扱い、マスタングにその行動を非難されても「彼等には一流の食事や教育や寝床を与えた、だから彼等は私には感謝しているだろうよ」と開き直り、マスタングが人体錬成を拒否するや、ホークアイの頸動脈を候補生に斬らせて瀕死にさせ、その上で賢者の石をちらつかせて「彼女(ホークアイ)を治したかったら人体錬成をしろ」と脅迫している。
ただし、その後の会話からマスタングが人体錬成を拒否した場合にホークアイを人質にする事自体は、ブラッドレイの入れ知恵だったらしく、彼の行動はあくまでホムンクルス達の意向に従ったものである。また意外にも、彼自身がホムンクルスに協力する動機は不老不死などではなく、錬金術師としての探求心と純粋にお父様への忠誠心であり、むしろ不老不死に惹かれている上層部の者達の事は見下している。ジェルソに拘束されながらも「あのお方の邪魔はさせん!」と叫ぶなどお父様への忠誠心は本物であり、人間キャラの中では最もお父様に近い場所にいた人物である事は間違いないようである。実際に作中では、国土錬成陣の第一段階の発動とそれによる人柱の準備も任されており、それを可能とするだけの生体錬成にまつわる技術や知識も持っていた。
作中では、国土錬成陣の第一段階を発動し、5人の大総統候補達を通行料とする事で中央にいた人柱であるエド、アル、イズミの3人を人体錬成を応用してお父様の元へ転送する。そして上記した行動によって残ったマスタングやスカー達を追い詰めるが、突如上から現れたジェルソの唾液によって拘束され賢者の石を落とし、さらにメイ・チャン達の奇襲によりホークアイも治療され、配下の大総統候補生達もやられた事で劣勢に陥る。しかし、その直後にホムンクルス・プライドとブラッドレイが現れ、ブラッドレイによってマスタングが拘束されたのを見て、「よくやったブラッドレイ、流石はわしが育てた...」と言いかけた途中でプライドの影に貫かれて取り込まれ、そのまま人体錬成の構築式の一部として利用され、人体錬成発動後はリバウンドで醜い肉塊に成り果てて死亡した。
ちなみにこの一連の流れの中でプライドもブラッドレイも、既に日食までに時間が無かった事もあって、彼には声をかける事はおろか一瞥もせず、互いに何も言わずに流れるように彼を犠牲にしてマスタングの扉を強制的に開ける準備を整えた事から、どうやら最終手段として彼を生贄にする事まで事前に打ち合わせ済みだった模様。皮肉にも大総統候補生達を捨て駒のように扱っていた彼自身もまた、最初から捨て駒として配置されていたに過ぎなかったのである。
軍部上層部に加入した味方キャラ達
マスタング組の一人。マスタングに対する人質として大総統付き補佐官に任命される。
詳細は該当記事参照。
北方の国境線を守るブリッグズの指揮官。ホムンクルス達の計画を阻止するべくあえて自ら軍部上層部での席を要求し、ブリッグズを掌握する為の人質として上層部の一員に任命される。
詳細は該当記事参照。
軍部上層部の良識派
『鉄血の錬金術師』の異名を持つ国家錬金術師。階級は准将。先のイシュヴァール戦にも参加し勇猛果敢で多くの兵士達に慕われていた。一応は軍上層部の関係者だったが、ホムンクルスの事や上層部の企ては何も知らず、第5研究所の管理も任されていたが、それもあくまで書類上の事だけで、彼自身はそこで行われていた非人道的な人体実験の数々についても何も知らなかった。
詳細は該当記事参照。
元軍部上層部のメンバー
元々は中央の軍部上層部の一員として所属していたが、レイブン中将の「不死の軍団」をちらつかせた勧誘を「下らん」と一蹴した結果、東部へと左遷された。
最終決戦後は、新たな大総統の座に就き、自身を中心に新政権を樹立させる。
詳細は該当記事参照。
軍部上層部が保有する部隊
合成獣(キメラ)部隊
軍内部で秘かに行われていた人間と動物をかけ合わせる事で、人間の知性に動物の能力を宿した特殊兵士を生み出す人体実験の成功者達。該当する者達は結果的に全員軍を離反している。
元は軍に所属していた面子で、イシュヴァール戦に参加した者もいたが、戦争で重傷を負ったところを回収され、無理矢理実験台にされた結果奇跡的に成功した。その後は研究所を脱走してグリードに拾われる。それぞれが動物の能力を持ち、中には肉体を部分的に変化させられる者もいる。
詳細は該当記事参照。
同じく軍の人体実験に強制的に参加させられた者達で、実験後は軍籍を抹消され軍部上層部の秘密部隊として活動していた。作中ではキンブリーの直属の部下として配属されて当初はエド達と敵対していたが、やがてエド達との交流を通じて軍を離反し彼等の味方になる。上記のデビルスネスト組の成果を経た後継の実験台である為、キメラ兵士としてはより進んでおり、肉体を人の形をした動物のような獣人形態に変化させる事が可能で、針や粘性の唾液などの固有の能力を持つ。
詳細は該当記事参照。
大総統候補生達
(画像はイメージです)
前述の錬金術師の金歯医者の部下達。その名の通りキング・ブラッドレイが誕生した事により用済みとなり、賢者の石を入れられなかった大総統候補生達である。それ以降は兵士として何十年間もひたすら激しい修練を積み、軍部上層部の下で秘密部隊として活動しており、作中では金歯医者の護衛を行っている。言わば「量産型ブラッドレイ」とでも言うべき存在なのだが、既に人格は殆ど抹消されているらしく、ただ上の命令に従って動くだけの戦闘マシンに過ぎない。その為、上の人間の命令なら自らが傷つく事も死ぬ事も、自分の身を盾にする事も全く厭わず、そういった意味では上層部が提唱する「死をも恐れぬ軍団」のプロトタイプとも言える存在でもある。ちなみにブラッドレイの同期の大総統候補生達なので、メンバー全員が初老以上の高齢者である。
劇中では、個々の戦闘力はブラッドレイには劣るものの、その数ととにかくどんな攻撃にも全く怯まない特性に任せてマスタングやスカーを圧倒し、さらに人体錬成を頑なに拒否するマスタングへの脅迫として、ホークアイの頸動脈を切って瀕死にさせた。しかしその後は、金歯医者の項での解説通りメイ達の突然の奇襲によって一気に形勢逆転されてしまい、そのまま彼等との乱戦で圧倒されて全員が倒され全滅した。なお大総統候補生の内の5人は、金歯医者によって国土錬成陣の第一段階を発動し、人柱をお父様の元に転送する為の通行料として使われて消滅した。
人形兵
多くの人間を実験台にして量産した魂一つ分の賢者の石を、専用の人形に定着させる事で生み出した存在。レイブン中将らが示唆していた「完全なる不死の軍団」の正体である。
詳細は該当記事参照。