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傷の男

すかー

『鋼の錬金術師』に登場するキャラクター(の通称)。「スカー」と読む。
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概要

CV:置鮎龍太郎(2003年版)/三宅健太(FA)

作中に登場する民族「イシュヴァール人」の男。
アメストリス国内で頻発する国家錬金術師連続殺人事件の犯人で、顔に付いた大きな十字傷を持つことからこう呼ばれる。なお本名は不明であり、当人も「名は捨てた」として作中で明かされることはなかった(作者曰く「設定はあるけど秘密」とのこと)。

その正体は、かつてアメストリス軍の行なった大々的なイシュヴァール人殲滅作戦の生き残りで、理不尽に多くの同胞の命を奪った国家(および錬金術)を強く憎み、当時の侵攻軍に所属していた重役を標的に殺人を重ねる復讐鬼となった。

主人公であるエルリック兄弟の前にも幾度となく現れ、彼らが前述の殲滅戦に関わっていないにしろ、自然の摂理に背く「国家錬金術師」を葬らんと問答無用に襲いかかる。

人物像

イシュヴァール人の外見的特徴である褐色肌赤い目白い髪を持つ。普段はその正体を隠すためにサングラスをかけている(これは、後に登場する北方司令部マイルズ少佐も共通している)。髪型は短髪のツーブロック。前述通り、額から両頬にかけて✕字を描くように大きな傷があるのが特徴。この傷は殲滅戦の中である国家錬金術師によって攻撃された際に付いたものである。

筋肉質で屈強な体躯を持つ偉丈夫。原作では頬が痩けた厳めしい顔立ちだったが、2003年アニメ版では物語の設定上若干年齢が引き下げられ、若々しい外見となってている。

衣装については、イシュヴァール人の集落で暮らしていた頃は衣の上に袈裟を羽織った僧侶らしい出で立ちだったが、本編ではノースリーブのシャツの上に黄色いジャケット、黒いズボンといった現代風の洋服を着用している。また、ジャケットの背中とズボンの左サイドには十字架が描かれている。

元々が地神イシュヴァラを信仰する「イシュヴァラ教」の武僧ということもあり、厳格でストイックな性格。信仰心も深く、自身がイシュヴァールの人間であることを誇りとしている。
ただ、前述の経緯からその心は復讐に囚われ荒みきっており、師父からはそれを案じる言葉をかけられている。自身がそうした復讐にかられる一方で、相手に対しても自身への復讐を肯定する場面もあり、ウィンリィがとある経緯から自身に銃を向けた際にも、彼女には「その権利がある」と認めている(もっとも、攻撃してきた時点で敵とみなし反撃するつもりであったが)。

しかしながら、神を信仰する背景からか義理堅い性分も併せ持ち、他者を騙したり裏切るなど義に背く行為をとることはない。合成獣となったニーナとアレキサンダーを殺害した際はイシュヴァラに二つの魂の安寧を願う姿も見せた。

また、そのシリアスな背景や強面な外見とは裏腹に実は可愛いもの好きであり、子猫などの小動物を前にして表情をほころばせるというコミカルな場面も。

因みにモチーフは映画『ターミネーター』シリーズのアーノルド・シュワルツェネッガー演じるT-800とのこと。常に冷徹な言動や、悪漢(ヨキの差し向けた賞金稼ぎ)のサングラスを取り上げるシーンなど、それを彷彿とさせる描写も多い。

戦闘能力

「1人で一般的軍人10人分の武力に相当する」とされるイシュヴァラ教の武僧であった経歴から、その戦闘力は非常に高い。事実、先の殲滅戦においても一般兵相手であれば複数人であろうと一網打尽にする活躍を見せている。

加えてあらゆるものを破壊させる「破壊の右腕」を持ち、その右手で触れることで相手の肉体を破壊し葬っている。これは本来イシュヴァラ教で禁忌とされる錬金術の力であり、腕に刻まれた錬成陣の入れ墨によりその力を発動している。

なお、この「破壊の右腕」は、実は殲滅戦中に右腕を失い瀕死となった傷の男を生かそうと、錬金術の研究を行なっていた彼の兄が、自身の死の間際に自らの右腕を錬金術によって移植したものである。

仕組みとしては【理解→分解→再構築】という錬金術の三段階の過程を【分解】までの二段階目で止めているとのこと。戦闘においては凶悪な性能を発揮する錬金術であるのは間違いないが発動する上で使用者自身も破壊対象となる物質を【理解】していなければならないというかなりピーキーな錬金術でもある。また、そもそも傷の男が兄から引き継いだ右腕だけでは【理解】から【分解】までの錬成しか行えず、【再構築】までを行うには兄が移植のために使用した左腕に描かれたもう一つの錬成陣が必要となる(ただし、傷の男がこの力を使用する目的が飽くまでもアメストリス人への報復であり、加えて錬金術そのものを否定する彼が【再構築】の力を欲することはなかった)。
【再構築】までは完全に使いこなすことはできなかったとはいえ、【理解】から【分解】までの錬成を使いこなしており、国家錬金術師に匹敵する技量とエドアルマスタング等ほどではないが高い知力も併せ持っていることが伺える。
また、その錬成陣についても兄がアメストリス国の「錬金術」とシン国の「錬丹術」を研究して独自に考案したものであり、作中にてアメストリスの錬金術が封じられる事態に陥った際も問題なく力を発動させている。

作中での活躍

過去

アメストリス国内にあるイシュヴァール人の集落で武僧として家族とともに暮らしていた。
時世はアメストリス人がイシュヴァール人の子供を射殺したのを引き金とする内乱の真っ只中であり、傷の男自身はアメストリス人や彼らの用いる錬金術に対して懐疑的であったが、彼の兄をはじめとする一部の同胞は「他国と共栄する上で同等の知識が必要」として研究に没頭し、常々意見の食い違いから口論を起こしていた。

ある日、国家主席キング・ブラッドレイの号令によりアメストリス軍の大々的な襲撃を受ける。国家錬金術師を動員した苛烈な攻撃により多くの同胞の命が奪われる。自身も戦線に立ち同胞を逃がさんと奮戦するが、その中で、驚異的な力で破壊と殺戮を繰り広げる国家錬金術師や、「こちらも錬金術で対抗するべき」と主張する兄の研究仲間たちの歪んだ思考を目の当たりにし、錬金術に対する嫌悪感を一層強めることになる。

まもなく自身も「紅蓮の錬金術師」ゾルフ・J・キンブリーの急襲を受け、「賢者の石」を用いる彼の起こした大規模な爆発により顔に傷を刻まれた上に右腕を失いそのまま昏睡する。同じくその場で瀕死となりつつも意識を留めていた兄は、弟だけでも生かそうと彼に自身の研究成果を託し、その右腕を錬金術で移植して絶命する。その後、傷の男は戦線にて人種関係無しに負傷者の治療をしていたロックベル夫妻(ウインリィの両親)が駐在する診療所に担ぎ込まれた。

しかし、意識を取り戻し自身の腕を見た彼は兄の死を認識してしまい発狂。アメストリス人への憎悪を爆発させ、その場にいたアメストリス人であるロックベル夫妻を殺害。そのまま診療所から脱走して残骸となった故郷を目の当たりにし、国家への復讐を誓う。以降はセントラルを中心に神出鬼没に現れ、当時の戦役の関係者や国家錬金術師を暗殺するという狂行を働くようになる。

本編

エルリック兄弟とは、綴命の錬金術師ショウ・タッカー父子を殺害した直後に接触。偶然エドの名前を呼んだ憲兵の声に反応し、彼らが「鋼の錬金術師エドワード・エルリック」だと断定し、粛清せんと襲いかかる。

兄弟は当初、彼の能力を把握していなかったこともあり苦戦を強いられ、エドは機械鎧の右腕を、アルは胴体を破壊されてしまう。しかし、直後にマスタング大佐たちやアームストロング少佐が駆け付け形勢は逆転し、傷の男は戦況不利と見て地面を破壊し下水路を辿り逃亡した。

大事な「人柱」と成り得るエルリック兄弟やマスタング大佐を襲撃する傷の男の存在はホムンクルスたちにとって都合が悪く、後にグラトニーラストが嗾けられ深手を負うことになるが、イーストシティの貧民街で身を潜めて暮らすイシュヴァール人たちに保護される。そこで師父と再会し、彼からは復讐の無意味さを説かれるが、なおもいばらの道を歩むことを断言する。

その後、元軍部中尉であったヨキが傷の男の身柄を手土産に再起を目論み賞金稼ぎを雇って嗾けるも一網打尽にされ、以降は傷の男に半ば脅される形で行動を共にすることになる。また、ヨキが旅先でシン国の錬丹術師メイ・チャン(と連れのシャオメイ)を保護したのを機に同じく行動を共にする。

さらに、ホムンクルスのアジトで監禁されていたティム・マルコー医師と出会い、戦線当時「賢者の石」を生産していた彼を酷く憎むが、「生き証人」として彼を生かしたまま連れ出した(この際、マルコーの顔の表皮を破壊してメイに再生させ、顔を変えさせた)。結果的にこのマルコーとメイの二人により、傷の男の兄が研究していた「逆転の錬成陣」が解読されることになる。

「約束の日」にはかつての兄と同じ左手の【再構築】の錬成陣を再現し、ブラッドレイ(ことホムンクルスの一角ラース)を相手に善戦し、自身も深手を負いつつも辛くも勝利。その後、イシュヴァール人の同胞たちの協力もあり国土錬成陣をベースに新たな錬成陣を上書き生成し、これまでお父様賢者の石を介していた「血の錬金術」を、錬丹術と同じく地殻エネルギーを直接吸い上げるシステムに再構築する。結果、エドたちが再び錬成を発動できるようになり、神を取り込んだお父様やプライドとの戦いに大きく貢献する。

戦いの後、アームストロング少将によって密かに戦場から連れ出され、表向きは生死不明扱いとなる。そしてマスタングの下に就くことになったマイルズの頼みもあり、共にイシュヴァール復興に尽力する。

2003年アニメ版では

2003年放送のアニメオリジナル展開では「イシュヴァールの生き残り」「破壊の右腕を持つ復讐鬼」など凡その設定こそ原作と共通しているものの、エドライバルキャラとしてイメージされていた為、比較的華奢で細面の若々しい姿になっている。

本作では、兄が錬金術の研究に没頭していた経緯が、死別した彼の恋人を蘇生(人体錬成)するためとされ、その末に誕生したのが“色欲”のホムンクルス・ラストということになっている。後に起こったイシュヴァール人殲滅戦では、兄は死に行く同胞の魂を糧に「賢者の石」を生成するも、その絶望的な戦況に心を病み生成を断念。その後、原作同様キンブリーの襲撃により右腕を失った弟を救うため、「未完成の賢者の石」を右腕として移植し息を引き取った(そのため、原作と異なり片腕だけでも【再構築】までの錬成が可能)。

「弟」という共通点からかアルとの絡みが増え、アルもとある一件で行動を共にした際には「スカーさん」と親しみを込めて呼んでいる。また、前述のラストの素体となった兄の恋人に対し好意を抱いていたらしく、リオールで撃たれそうになったラストを咄嗟に庇う一面があった。

その後、おなじくリオールにて因縁のキンブリーとの死闘の末、お互いに左腕を犠牲にしつつ辛勝するが、キンブリーは死の間際に二人の不意を突きアルの体を爆弾に変えてしまう。傷の男はアルを救うために自身の右腕とリオールに進軍した軍人7000人を使って彼の体を完全な「賢者の石」に錬成し、消滅(死亡)する。原作と全く異なる最後に多くの視聴者が涙した。

映画『シャンバラを征く者』では終盤に現実世界のラストとスカーが登場。ヒッチハイクをしていたエルリック兄弟を(怪訝な表情で)トラックに乗せていた。
当然ながら、元の世界の二人とは別人…かとおもわれたが、DVD特典であるお疲れ様会では実は本人たちのエキストラ出演であったことが明かされる。1カット・台詞無しという扱いを不本意とし二人揃って会場に抗議に現れるも、なおもぞんざいにあしらうエドたちに激昂し顔の傷のカサブタを引剥し、手裏剣のように投擲して攻撃する(作者がアシスタントとのリレー4コマをした際のネタである)。しかし、カサブタはあらぬ方向へと軌道を描き、遅れて会場に現れたグラトニーに命中。怒った彼により丸飲みにされてしまった。

関連タグ

鋼の錬金術師
イシュヴァール
スカーフェイスライバル 復讐

ウィンリィ・ロックベル
ヨキ メイ・チャン シャオメイ ティム・マルコー
マイルズ

エドワード・エルリック アルフォンス・エルリック アレックス・ルイ・アームストロング ゾルフ・J・キンブリー キング・ブラッドレイ:傷の男と交戦した宿敵達



クラリスグランブルーファンタジー)世界は違うものの、錬金術を「破壊」方面に特化させて戦う戦闘スタイルが共通している。その「破壊」の原理も、錬金術の物質変換の経るプロセスである「分解 → 再構成」を、「分解」までで留めて対象を崩壊させるというものであり、さらに傷の男もクラリスも「その錬金術を高めた結果、『再構成』までできるようになった」という点も共通している。

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