「勘違いしないで、理不尽を許してはいないのよ」
「次に泣く時は嬉し泣きだって約束したから」
概要
演:本田翼(実写映画版)
エルリック兄弟の同郷の幼馴染。エドワード・エルリックとは同い年、アルフォンス・エルリックとは一歳違いで彼女が年上。身長158㎝ぐらい。
兄弟にとっては、一番の心の支えと言うべき存在である。祖母ピナコに師事する機械鎧(オートメイル)技師。エドの機械鎧はほとんど彼女による製作である。
両親のユーリ・ロックベルとサラ・ロックベルは医師で、イシュヴァールの内乱の折に従軍医として現地に赴き、そのまま巻き込まれて帰らぬ人となってしまった。それ以降は、祖母であるピナコ・ロックベルと愛犬デンと暮らしており、機械鎧の修理に帰ってくる兄弟たちを、その都度迎えている。
物語前半で機械鎧(オートメイル)技術の発達した南部の鉱山町であるラッシュバレーに赴き、そこで修行生活に入ることとなる。その後、人造人間(ホムンクルス)との対立が激化していく中に巻き込まれていき、一時は人質同然となってしまうも、周囲の協力と持ち前の芯の強さで難を逃れ、最終決戦に赴くエドを見送っている。
容姿
金髪碧眼のポニーテール、耳に右に4つ、左に2つの合計6つピアスをしており、これは兄弟からのお土産(という名のご機嫌取りの賄賂)である。元はリザ・ホークアイに憧れて付けはじめたもの。というのも、リザはウィンリィがエドを支える覚悟を決めるきっかけとなる言葉をくれたお姉さんでもある為である。
普段は作業用のツナギにバンダナをしているか、白のノースリーブに黒のミニスカート、黒のジャケットと革製のショートブーツを愛用している。
そのほかにも、エプロン姿やブリッグスでの防寒コート、2003年版アニメでは軍服姿など、登場キャラクターの中では、割と衣装には恵まれている。ちなみに、シャンバラを征く者では、リザ・ホークアイと同じ髪型になっていた。
かなりの巨乳の持ち主で一部の作品でも指摘される場面もある。
人物
気の強いじゃじゃ馬気質で明るくお転婆な性格。その一方で泣き虫で心根は優しく、喜怒哀楽がはっきりとしている素直な性分。一方でエルリック兄弟をはじめ、常に家族や友人を気遣う優しい少女。であり、その為彼女を慕う人物は多く、一度目標を定めるとどれだけ苦難があろうとまっすぐ前へと進んでいく芯が強い人物。
また年上や目上の者を本心で敬える礼儀正しいところもあり、マスタング大佐ことロイ・マスタングやホークアイ中尉ことリザ・ホークアイといった軍人にもその態度は崩さず、自分の両親の仇である傷の男にも当初は憎悪を抱いていたが、彼の性格が軟化したのもあるとはいえ、必要以上に恨み言を言ったり、偏見を持つ場面も殆どなかった。
ただ、大の機械オタクでもあり、機械鎧の話となるとはしゃぎだす。ラッシュバレーでは、綺麗なアクセサリーよりも、年代物の機械鎧や高級な部品に心を奪われていた。
エルリック兄弟とは家族同然の間柄で、彼らが家を焼いた日に彼らの代わりに涙を流したり、(恐らく写真でしか見たことがない)二人の実父のホーエンハイムの顔も忘れずに覚えてるなど、エルリック兄弟がウィンリィの両親の理不尽な死に本気で怒るくらい大事にしていたように彼女も兄弟達の周りのものを同じくらいに大切に思っていた。
そして無意識のうちにエドに惚れていたらしく、のちにエドとは夫婦となっている。
ウィンリィとスパナ
自身の製作した機械鎧に強い愛着をもっており、それゆえに修理のたびにエドが盛大に壊してくると、スパナやモンキーレンチで思いっきり叩く。パイプ椅子を持ちだしてきたこともあった。ときとして、帰ってきたエドへあいさつ代わりに見事なコントロールで投げてくる(「帰ってくる=壊してきた」であるため)。
※ただし、最初の修理の際にネジを一箇所閉め忘れるというドジをやらかしている。
ただ、エドへの制裁ばかりでなく、照れ隠しの際でも、手元にスパナやレンチがあるとそれで叩く癖がある。アルにもかましたことがあったが、そちらは情緒不安定になってエドの心を傷つけてしまったアルの根性を叩き直すための愛情表現。こうした言動から、ウィンリィにとってスパナは仕事道具であるとともに、トレードマークであり、最大の武器でもある。
ゲーム限定専用武器(錬成銃)
ゲームボーイアドバンス専用ソフト(鋼の錬金術師・想い出の奏鳴曲)に登場するウィンリィ専用の武器。能力はその名の通り錬金術を使用可能な銃でエドの錬金術とルールは同じく7-7以上には出来ずかつレベル5が最大レベル。レベル5ともなるとエドのレベル5錬成とほぼ同等クラスの威力となる。
流石に最初から持ってる…という訳ではなく、ある程度シナリオを進めると自動的に入手となる。
鋼の錬金術師のゲーム作品は基本的に本編とは繋がりがない為、この様な武器の実装が可能になったと言える。
ちなみにこちらも錬成銃がない間は通常攻撃のみで前述の様にスパナを投げ付けて攻撃する。
作中での活躍
原作では9話(3巻)での初登場となった。
「傷の男」の襲撃で右腕の機械鎧をバラバラに壊されたエドを手荒く迎える。
修復後、ピナコと徹夜で機械鎧を仕上げ、眠気眼で兄弟を見送るも、夕方に起床した際に締め忘れた右腕のネジを発見してしまう。
13話(4巻)で再登場。兄弟が第五研究所に潜入した際、ネジの締め忘れで腕の関節が外れてしまい、エドから中央(セントラル)へ出張整備を依頼され、罪悪感から大人しく依頼を受ける。そこでヒューズ中佐の自宅に招待され、さらに中佐の娘のエリシアと親睦を深める。その後、エドとアルの兄弟喧嘩の仲裁に入り、アルにスパナで活を入れながら涙ながらにエドの隠していた本音を明かし、仲直りの後押しをした。
兄弟の復帰後は二人の南部行きに同行し、機械鎧の聖地「ラッシュバレー」への巡礼を強行。摺師の少女パニーニャの両脚の機械鎧に惚れ込み、製作者のドミニク・レコルトと面会する。弟子入りを志願するも即却下されるが、息子夫婦の妻が急な豪雨の中で産気付き、幼い日に読んだ医学書を頼りに急遽出産を主導。無事大仕事を成し遂げる。その甲斐あって、ドミニクからガーフィールを紹介され、兄弟と別れてしばらくラッシュバレーで修行の日々を送ることになる。(※小説版にて書き下ろしエピソードが存在)
32話(8巻)にて、ダブリスでグリードとの戦いでまたも右腕を壊したエドと再会。きっちりボコってから修理を請け負うも、エドがリン・ヤオたちシン国の一派と交戦して結局丸ごと腕を壊したため、エドをきっちりシメてから作り直す羽目に。
そこから休暇を貰って中央へ戻るエドに同行してヒューズ一家との再会に向かうが、待っていたのはヒューズの殉職という衝撃の事実だった。しばらくはショックで塞ぎ込んでしまうが、43話(11巻)でアームストロング少佐に拉致られたエドの帰還と、エドが辿り着いた人体錬成の真実からアルの肉体の復活の可能性が確信に変わった様子を見て、徐々に前向きになる努力を始める。
ところが46話(12巻)で兄弟が「傷の男」と交戦しているとの野次馬の噂を耳にし、不安から鉄火場に向かってしまい、エドが「傷の男」にロックベル夫妻を殺害した真相を問い質そうとした瞬間を目撃する。混乱と衝動的な憎悪から、側に倒れていた兵の拳銃を握り銃口を「傷の男」に向けるが、エドの必死の説得で思い留まり、同時に自らに湧き上がった殺意に恐怖を感じる。一足先に憲兵に保護されてホテルに戻り、そこにブラッドレイ大総統が慰問に訪れて他愛のない話に興じることになる。そのあと、ラッシュバレーの面々から帰還を待ち侘びる電話を受けて立ち直り、兄弟に見送られながら修行の日々に帰った。
68話(17巻)で大総統が兄弟に釘を刺す意図で、ウィンリィをブリッグズ要塞を訪れる兄弟の元にゾルフ・J・キンブリーと共に送り込み、エドの機械鎧を寒冷地仕様に換装するも半ば人質状態となる。兄弟から自身の状況を聞かされ自覚のなさを悔やむも、ブリッグズの面々と共に「傷の男」捕縛作戦に同行し、北部からの脱出を決行。途中「傷の男」と交戦状態に入るが、中央の合成獣兵との戦いで負傷した「傷の男」に対し、恨みを殺して傷の手当を施し、「理不尽を許してはいない」という言葉共に「傷の男」の復讐心に変化をもたらした。
脱出作戦で兄弟の猛反対を押し切り自ら囮を申し出て、エドと別れて坑道から東部へ南下する。途中、ティム・マルコーとエンヴィーの決戦に立ち合いつつ、レト近郊で「傷の男」一行と別れ、家路を目指す。そこで兄弟がかつて助けたロゼ、そして兄弟の父ヴァン・ホーエンハイムに出会う。ロゼの好意で風呂と衣装を提供してもらい、その後81話(21巻)でようやく故郷のリゼンブールに辿り着く。
帰宅後、先んじてリゼンブールに辿り着いたエドと再会し、再会までの顛末とアメストリスに迫る危機について聞かされる。エドから国外逃亡を進言されるが、これを断固拒否して兄弟の帰りを待つことを決める。そして決戦へ向かうエドの背中を見送った。
国土錬成陣の発動時に巻き込まれる瞬間、また逆転の錬成陣発動の際にも登場し、陣に取り込まれた感覚を「苦しみの渦の中にいるようだった」と言い表した。
決戦後、肉体を取り戻してリゼンブールに帰還した兄弟を出迎える。
最終話でにて、新たな旅立ちを決意して列車に乗り込むエドを見送る。
余談
本作において、ウィンリィは一般人であることから戦闘においては出番がなく、兄弟達を待つ立場にあったが、そのエド達を待つ立場であり、帰る場所であることに大きな意味があった。
本作はエドとアルが失った身体を取り戻す旅の物語であり、その旅の中で出会った人達と絆を紡いできたが大きな意味を持っている。ウィンリィは彼らが出会った人物の誰よりも近くで最後まで見守ることでヒロインとしての大きな存在となった。
また、
・2009年版アニメのOPテーマ『レイン』の映像でウィンリィらしき人物の姿をした真理がエドを出迎えるように両腕を広げている
・同じくレインの映像の最後で母のトリシャの夢を見ながら幸せそうに眠るエドを優しく見守る
・2009年版のアニメにおいてエドが真理の扉を代価にするシーンにおいてこれまで支えてくれた人が自分の名前を呼ぶイメージで、最後にウィンリィが彼の名前を呼んでいる
・今作の最後、等価交換を絡めたエドのプロポーズに対して等価交換なんて関係なく自分の人生を全てあげる、とエドが雁字搦めにされていた等価交換をあっさりとひっくり返す
などの描写から、ウィンリィこそが、世界を救って弟と共に体を取り戻し、真理の扉を捨てて新たなる錬金術の研究の旅をすることになるエドにとっての最愛の女性であり、本当に必要だった真理であることを意味付けてると解釈できると思われる。
2003年版にも登場しており、こちらでは初期からエドに恋心を抱いているが、「エド達が元の体に戻るまで機械鎧技師としてサポートする」と頼もしく宣言していた原作やFA版とは違いエルリック兄弟…というより、エドに「体が元に戻らなくても自分が機械鎧技師としての腕を上げて不自由なく生活させるからもう旅をやめてほしい」と後ろ向きな考えになっている。
旧アニメ版は登場人物が全体的に儚い雰囲気を醸し出したり、悲観的な考えになっていたりしている。
・原作やFA版とは違い、ロイがエドを国家錬金術師に勧誘する為にリゼンブールへ訪れた際、リザが同行しなかった為にその時点で彼女と出会うことができなかった=彼女の覚悟の言葉に勇気をもらう機会を無くしてしまった(後に原作と同様の言葉を聞くが、彼女の上官であるロイが彼女の両親を殺してしまった事実を知った後に聞いた為、原作とは違う受け止め方になってしまっている)。
・12歳の頃で様々なトラウマを一度に背負ってしまったせいで後ろ向きな考えになったエドのもう帰る家はないという言葉を受けてしまう。
・生身の頃のバリーに襲われたことがトラウマになり、さらにエドが死んでしまうかもしれない場所にいること、エドがニーナの件含めて深い傷を負ったことを知ってしまった
…と言った理由が考えられる。
旧作最終章である劇場版では、大人として成長しながらも従来の明るい雰囲気を残した原作とは対照的に儚さや諦観の雰囲気が漂う女性へと成長している。髪型はリザに近い。
エドの帰りを諦観気味になりながらも健気に待っていたが、結局二度と会えないという結末になり、多くのファンが涙した。
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クルック(ブルードラゴン)…主人公に恋をしている幼馴染ヒロイン、強気な性格、サポート役、機械に強い、ポニーテールの髪型など共通点が多い。他方で、こちらは恋愛が成就していない。